第80話
管制室に戻ると案の定。千冬がはやてに詰め寄り
「はやて!あれは……あのネクロは何だ!?何故私と同じ顔をしていた!?」
「ちょっ。まちい!落ち着きぃッ!!!」
詰め寄られて慌てているはやて。それに管制室に批難していた箒達の顔色も良くないか……
「落ち着け。千冬」
「八神!さっきのは……「落ち着けと言っている。それよりも今のお前には何よりも優先すべきことがあるんじゃないのか?」
気絶している一夏とマドカを管制室の椅子に座らせると、千冬ははっとした表情になり
「2人は……?」
「問題ない。ダメージのほうは全て回復させた。浄化のほうも完了済みだ、目覚めるまでネクロの話は無しだ。良いな」
千冬は一夏とマドカを心配そうに見ている。2人が目覚めるまでは恐らく気になってはいても尋ねてはこないだろう
「しかし、龍也は私達には説明してもらう「二度は言わない、良いな」……判った」
もう何がなんだか判らないという表情の箒に強い口調で言って管制室のPCの前に座り
「ユウリ。少し手伝ってくれ……もしかすると最悪の展開になっている可能性がある」
あのタイミングで出てきたネクロの千冬。そして明らかに足止め目的だと思われる3体のネクロの反応……そしてスコールからの情報で貰った情報戦に特化したネクロ……全てが悪い方向に動いているような気がする
「判った。何を調べれば良い?」
ISを解除しPCの前に座って尋ねてくるユウリ。気絶している一夏とマドカを見て困惑してる鈴達を見て一瞬考えるが時間がない
「全ISの改修案の図面と強化用独立稼動のパッケージの設計図だ」
箒達が襲われることを考えて対ネクロ用に改修する予定だった。その図面とそのIS専用の強化パッケージの設計図。狙うとしたらそこらへんのはずだ
「え?強化独立稼動のパッケージ?……あたし達ようの?」
「そうだ、最悪の可能性を想定して設計しておいたものだ。いずれは組み上げて装着させる予定だったが……」
話しかけてくる鈴に返事を返しながら、なのは達に
「千冬を手伝って一夏とマドカを休めれる場所に連れて行ってやってくれ、楯無とはやてはこっちの手伝い。弥生達は部屋で休むといい。あとでまたネクロの事ではなしをするからな。それまでは休んでおけ。今回も長い話になるぞ、それと楯無たちはEの77番からDの128番までの確認を頼む」
全員分のISのデータは奪われないにしろ。なんらかしらの目的があったと見て間違いない、とにかく片っ端から確認しない事には何も始まらない
「ほら。龍也さんの邪魔になるから行くよ」
「そういうこと、こういう時のメカニックとかは気難しいから行くよ」
色々と聞きたいことがあるって表情をしている箒達にそう声を掛けて出て行くなのは達を見ながら。データを全て確認する……
~1時間後~
「どうだった?私の方は特に調べられた形跡が無いが」
私が見たのは簪やエリス用のパッケージだったが、一度は開かれたようだがなにも触られてないようだ。他のはどうだったと尋ねると
「改造案とパッケージの方は手付かずだったが……こっちはブルー・ティアーズと甲龍の情報だけコピーされていた形跡がある」
「私のほうはパッケージデータの武装の1部とラファール・リバイブの情報」
「私の方はレーゲンと紅椿のデータがごっそり持っていかれてるで兄ちゃん」
改修案とパッケージには殆ど触った形跡が無く。鈴達だけのISの情報だけが持ち去られた……考えれる事態は1つだけ
(予想とは違っていたが、最悪の展開だな)
チフユが纏っていた暮桜の事を考えると考えられるのは1つだけだ。ユウリも私と同じ事を考えたのか思案顔をしている
「もしかして……「龍也さん!早く寮に来て!マドカが暴れてるの!」
駆け込んできたなのはの言葉に楯無が言いかけた言葉は掻き消された……だけどこの場にいた全員には最悪とも言える予想が頭の中に浮かんでいた。それは千冬同様ネクロ化した箒達がネクロ達の陣営に居るかもしれないという可能性だった……
時間は少し遡る
「う……あ?ここは……」
ゆっくりと身体を起こすと同時に
「一夏ーッ!心配したんだからね!」
「ごぶうっ!!」
鈴の声を確認したと同時に腹部走る激痛。どうも頭から突っ込まれたらしい
「り、鈴?……あいだだだッ!!なんだこれ!?全身が痛い!!!」
「鈴!?何をしてるんだ!?」
俺の悲鳴に気付いた箒がカーテンの間から顔を出す。心配して近くに居てくれたのかもしれない
「違う!あたしはなにもしてない!」
何もしてないって事は無いだろ?って心の中で突っ込む。口にして言いたいが痛みのせいで声が出ない。この騒ぎに気付いたのかカーテンが開かれる。カーテンと言うことは保健室だろうか?そんなことを考えていると
「はい。これ身体の上に乗せて」
ぽいっと投げ渡された蒼く輝く水晶。投げ渡してくれたのはここ数日顔を見合わせてなかったなのはさんだ
「まぁ色々言いたいし。骨の1本2本はへし折って……イヤむしろ踏み砕いてやりたいと思っているけど」
やばい。目がマジだ……改めて魔王の恐怖を感じていると
「まぁここは本気ビンタ一発で許すって言うのが私達の出した結論だから元気になったら……覚悟しておいてね?」
「……はい」
全身に走る激痛を感じながら頷く。なのはさんは
「それ暫く持ってれば傷の回復が始まるから、ほら鈴、箒行くよ」
猫のように2人の襟首を掴んで歩いていくなのはさんを見ながら言われたとおり蒼い水晶を握り締めていると
(あーなんか暖かい)
身体の芯から温まるというのか、何と言うのか判らないがとても暖かい……しかしそれより気になるのは
(記憶が無いってことなんだよな……)
覚えているのはアリーナで襲撃者の駆るISで俺も箒も戦闘不能寸前に追い込まれたところまで……
(龍也に助けてもらったのか?いや……それにしては)
箒と鈴の顔に微妙な怯えの色があったのが気になる……
「ん?」
そんなことを考えていると水晶は音を立てて俺の手の中で砕け散る
「おお!?えええ!?大丈夫なのかこれ!?」
思わず狼狽して身体を起こすとさっきまで身体に走っていた痛みが無い。普通に手も肩も動く、砕けてしまった水晶を手にベッドから出てカーテンを開ける
(保健室じゃない。ここは誰かの部屋?)
どうも移動式のカーテンで俺が寝ていたベッドだけを覆っていたようだ、その隣には同じようにカーテンで覆われたベッドが見える。俺の他にも誰か倒れたんだろうかと思っていると
「一夏起きたか。こっちに来い」
千冬姉の呼ぶ声がしてその部屋の扉を開ける。俺達の寮の部屋より一回り大きい間取り……どうもここは千冬姉の部屋だったようだ
「一夏。起きたか?気分はどうだ?」
「大丈夫だよ。千冬姉……それとなのはさん」
なのはさんのほうを向いた瞬間。全力で振りかぶっているなのはさんと目が合う
「はっ?、いっでええええええッ!!!!」
バチーンッ!!!!!!
全力フルスイングのビンタ。元気になったら覚悟しろって言ってたけどいきなりですか!?そして右手で頬を抑え顔を上げると
(次弾装填済みですか)
フルスイングに加え軽くジャンプして勢いを倍以上に増加させているフェイトさんと目があった瞬間
バチーンッ!!!!!!!
「いっでええええええッ!!!!」
無事だった左頬に全力フルスイングのビンタが叩き込まれ。しかもジャンプしていた分威力が増していて、俺は千冬姉の部屋のソファーに顔面から突っ込む羽目になったのだった……
「ほれ。一夏氷嚢だ」
「ありがと。千冬姉」
千冬姉に手渡された氷嚢で頬を押さえながらソファーに座る
(シャルとセシリアは居ないか……)
やっぱりと思う自分が居る。ネクロが怖いといって隠れることを選んだセシリアと自分が何をしたいか考えるといっていたシャル。
まだ答えを出すには早いということだろう
「まずなんだが一夏。私と一夏の下には1人妹が居る。お前とは双子になる」
……はい?ちょっとまってください。千冬姉、それは結構重大な話なのではないですか?
「そしてあのISの操縦者がお前の妹のマドカだ」
「ちょっ!?ええええええッ!?!?俺思いっきり殺されかけたんだけど!?」
いきなりすぎる。妹が居るってことだけでも驚きなのに、ついさっき俺を殺そうとしていたあのISの操縦者が妹とかって
「っていうか!?落ち着きすぎだろ!?」
普通に紅茶を飲んでいる箒達にそう言うと
「いや。私はさっき聞いたし」
「うん。あたしも」
「なんで弟の俺より先に聞いてるの!?おかしくない!?」
俺のキャラじゃないのに突っ込みを繰り返していることに驚きながらそう叫ぶ
「仕方ないだろう。お前が全然起きないんだ……それに色々と話さないといけないこともあったしな。一夏、お前はアリーナで何をしたか覚えているか?」
その言い方だと俺が何かしたみたい……ここで気づいた。簪さんやエリスさん達が俺から若干距離を取っていることに
「千冬姉。俺は何かしたのか?」
「その様子だと覚えてないようだな」
ふーと溜息を吐いた千冬姉は机の上のディスプレイを電源を入れた。そこに映し出されたのは
「俺!?」
黒い白式を身に纏い。悪魔のような印象を受ける装甲をした俺がマドカの駆るISを殴り蹴り雪片で徹底的に打ちのめしていく
途中で龍也が乱入して俺を気絶させてくれたようだが。そうでなければ俺は人を殺めていたかもしれない状況だった、こんなのを見れば簪さん達が俺から距離を取るのは判る……
「なのはさん……俺は知らないうちにネクロ化したのか?」
考えられるのはそれしかない。俺がそう尋ねるとなのはさんは首を振り
「ううん。ネクロ化じゃないよ、良く判らないけど魔力に操られていたって感じかな?」
操られていた……俺には1つ心当たりがあった
(あのオレだ……)
牢獄に閉じ込められたもう1人の俺。狂気をその身に宿したオレだ……だがそれだけで終わりではなかった
「千冬姉!?」
「そのようだ……高町が言うには平行世界の私らしいな」
ペガサスのように瞳孔が縦に割れた千冬姉が高笑いしながら消えていくところで画像は途絶えていた
「ネクロの常套手段だよ。動揺させれば隙が出来るからね……とは言え。こういうケースはかなり稀だけどね」
言葉の無い俺たちにそう告げるなのはさん。とは言えこの画像はかなり衝撃的だった……。もしかすると平行世界の自分と戦うことになるかもしれない……それはそう簡単に受け入れることが出来ない問題だ。そんなことを考え全員が沈黙していると
「ふううううっ!!!」
猫のような唸り声が聞こえたと思った瞬間。寝室のほうから少女が飛び出してきて俺と千冬姉に向けてナイフを振るってくる。その顔つきは俺には似てないが、千冬姉にそっくりだった
「うおっ!?」
「マドカ!止めろッ!」
千冬姉がそう叫ぶとマドカは肩で息をしながら
「うるさいうるさいうるさい!!!私は姉さんも一夏も嫌いだッ!!!死ねッ!!私の前から消えろッ!!!」
涙をその目に浮かべてナイフを振るってくるマドカ。激昂しているせいか攻撃は単調で避けれない事はないが。この狭い部屋と言う条件と涙を浮かべているマドカを見るとどうしても動きが鈍る
「どうして!私だけ1人にした!!!姉さん!一夏!私が今までどんな気持ちで生きてきたか判るか!!!」
箒やなのはさん達は一切見ず俺と千冬姉に憎悪の視線を向けてくるマドカ
「私はあの時1人で川に落ちた!だけど姉さんが助けてくれるって思ってたのに……姉さんは私を捨てたんだろう!?」
川に落ちた!?じゃあ俺がマドカのことを覚えてないのはその時のせいなのか!?
「違うんだマドカ。あの時私も一夏も川に落ちて「うるさいうるさいうるさいッ!!!!!姉さんの話なんか信じられるか!!!私はずっと1人だった!ずっと寂しかった!!!」
半狂乱でナイフを振るうマドカ。何とかそれをいなしてる千冬姉と俺だが、家具のせいで思うように動けない
「楯無。エリス!危ないから部屋から出ろ!巻き込まれるぞ!」
慌てて部屋を出て行く簪さんとエリスさん。箒と鈴、それにラウラは何とかマドカを取り抑えようとしているが、あそこまでナイフを振るわれていると近づくことすら難しい。ISがないのが救いだが、あの両手のサバイバルナイフは不味い……どうやって取り抑えるかを考えていると
「やれやれ……いきなりコレか?愁嘆場かね?」
「ぐっ放せッ!!!」
「放せといって放す馬鹿が居ると思うかね?」
龍也がマドカの両手を掴んで吊り上げている。マドカはじたばた暴れているが龍也はびくともしない所か笑いながら
「うん。昔保護したワーウルフの子供を思い出すな。いや、ハルピュイアの子供だったかな?最初は全然懐いてくれなくて大変だったなあ……」
龍也がとんでもない事を言った気がするがとりあえずスルーする。俺はその場にへたり込みながら
「はー……助かった」
起きてすぐ向けられたまじりっけなしの殺気と刃物は怖すぎる……
私がマドカの両手を掴んで吊り上げていると千冬が
「マドカ話を聞いてくれないか?」
「放せ放せ放せッ!!!!ふーっ!ふーっ!!!」
千冬の話を聞く素振りすら見せない、どうもネクロによって憎悪とかが強化されてるようだな……
「そのままやと話し合える状況や無いな」
「そうだな……ふむ」
このまま捕まえて置いてもいいが、放した瞬間一夏達に襲いかかられても、目的達成で自殺されても困る
「千冬。少々手荒な手段になるが、大人しくさせる方法があるがどうだろうか?」
「何する気だ?」
「その視線。流石に傷つくよ……なにただ少しはやてと2人きりにさせて話をさせるだけだ。はやてはこういう子供を大人しくさせるのが得意なんだ」
何回もやっているから実績はあるんだぞ?と言いながら言うと付いて来ていたユウリが
「このままでは埒が明かない。頼んでみたらどうだ」
「お前も!私を裏切った!殺してやる!殺してやるぞユウリッ!!!」
ああ。ワーウルフの子供のほうに似ているな、この感じ……
「そうだな……少し落ち着かせるだけでいいからな?」
「OK。お任せ!はーい「ふーっ!!!」良いこやから落ちつこか?「はぐっ!?」
はやてがにっこりと笑ったまま地獄突きを放ちマドカを昏倒させる
「ちょっ!?俺の妹なんだけど!?」
一夏が慌てた様子でそう叫ぶ。当然ながら鈴は面白くないって顔をしているがスルー
「心配ないって♪10分くらいで終わるでまっててくれる?」
気絶したマドカを連れて部屋の奥に向かっていくはやてを見送り
「お茶でも淹れようか……お茶請けはケーキでいいかな?」
コートからティーポットとケーキを取り出していると楯無が
「そのコートも魔法?」
「ああ。4次元コートと言ってな。ネクロを追って無人世界にいくことが多いからジェイルが作ってくれたんだよ」
そんな話をしながらポットに茶葉を入れてお湯を注ぎ、人数分カップを用意してソファーに座る
「あー龍也が来てくれて助かったわ」
「本当だな。あのままだったらどうなっていたか……」
やれやれと言う感じの箒と鈴。ラウラは私の手元のケーキを見て
「私はガトーショコラが良い」
「はいはい。ガトーショコラな」
皿にケーキを載せて全員分配っているとユウリが
「性格強制と言っていたが……大丈夫なのか?」
性格矯正って単語だけを聞けば不安になるのは当然か……私は肩を竦めながら
「大丈夫だよ。何の心配もない」
「龍也が言うなら大丈夫そうだな」
紅茶を全員のカップに入れながら
「はやてに任せれば。95%で性格強制完了だ」
今までの傾向を思う出しながら言う。はやてに任せておけば人間嫌いの亜人の子供も、人造魔導師の子供も問題なく大人しくて良い子になっている
「へーどうなるんだ?」
興味深そうに尋ねてくる一夏の前にケーキを紅茶を置きながら
「95%でヤンデレになる。残り5%は普通になる。心配することはない」
良い子ではやてに良く似た性格になっている。子供特有の独占欲の現われだと思う
「「「「心配するところしかないんですけど!?」」」」
大声で叫ぶ一夏たちを見ながら紅茶のカップを手に
「問題ない。殺ンデレから病ンデレになるだけ安心だろう?」
「「「「どこが!?」」」」
「無駄だよ。龍也はもう魔王が近くに居る生活に馴れちゃってるから」
「だよねー龍也さんもう魔王も個性として受け入れちゃってるもんね」
「十人十色っていうだろ?気にするものじゃないさ」
「「「気にしろッ!!!!」」」
声を揃えて叫ぶ一夏達を見ているとはやてとマドカが消えて行った部屋の扉が開き
「一夏一夏♪姉さん姉さん♪」
一夏と千冬の間に座り両腕を幸せそうに抱え込むマドカを見て
「ほっ……ヤンデレになってみたいだな」
一夏がそう言って胸をなでおろす。どうも成功してただのシスコンとブラコンになったようだ。偶にはちゃんと成功……
「箒紅茶……「何故私が居るのに他の女を見る。許さないぞ」……魔王になってる!?しかもどこから出したそのナイフ!?」
素早くナイフを取り出し一夏の喉元に突き立てるマドカ。うん……やっぱり魔王で病んでるようだ
「成功成功♪兄ちゃん私にもケーキ頂戴♪」
「普通に膝の上に座るな。隣に座れ」
普通に私の膝の上に座ったはやてにそう言うとはやてはにへらと笑い
「やーだ♪頑張ったんやから少しはわがまま聞いて?」
にこっと笑うはやてにはいはいと返事を返しはやての好きなケーキの準備をしていると
「一夏♪ずーと会いたいと思っていた。姉さんも……こうしてあえて嬉しい」
ついさっきまでの暴れ具合からは想像できない懐きっぷりだ。多分さっきまでの暴れ具合は愛情が深いせいで憎悪に変わってしまったのだろう
「んー♪一夏も姉さんも好き♪大好き♪」
さっきまで殺す殺す騒いでいたのが嘘の様だ。さっきまでの狂気的な光は消え穏やかな感じがして、歳相応の女の子って感じだ……だけど一夏にとっては突然再会した妹であり、認識が無い……ストレートすぎる感情表現に赤面していると
「……潰すわ」
えらくドスの聞いた声で立ち上がった鈴が両手にISを部分展開する。なんか予想通り過ぎる反応でどうすれば良いのか判らないな
「ぎゃー!?鈴!?リーン!?駄目だから!ISで強打は駄目だから!!」
一夏が慌ててそう叫ぶ。マドかはそのやり取りを気にした素振りを見せず。ぎゅーっとコアラのようにしがみついたままだ
「うっさい!あんたも妹に鼻の下伸ばしてるんじゃないわよ!変態!!」
「誤解だろ!?俺何もしてない!!!「一夏♪」とりあえず離れろマドカーッ!!!」
「一夏は私が嫌いなのか?」
「いや嫌いじゃないぞ!?やっと会えた妹なら嫌いになるわけが無い!「嬉しい♪」「一夏ーッ!!!!!」
一夏の背中にぴとってくっつくマドカ。それを見た鈴が更にヒートアップする。箒とラウラも面白くなさそうな顔をしているが、やっと会えた家族と言うことで我慢しているようだ。はやてがどういう方向性で話し合ったのかは不明だが……
「千冬姉!マドカ!マドカを何とかしてくれ!」
自分では駄目だと判断した一夏が千冬に助けてくれと言うが。千冬は紅茶のカップを片手に、空いた手にケーキを持って避難していた。素晴らしいまでの対応と言わざるを得ない
「久しぶりに会った兄に甘えたんだろう。そのままおんぶしていてやれ」
「さすが姉さん。判っています」
ぎゅーっと幸せそうな顔をしているマドカ。うん……あれはスケールダウンしたはやてそのものだな
「兄ちゃん♪」
「「離れろ!この猫かぶり!」」
「ああ”殺してやろか!!!」
なのはとフェイトが私からはやてを引き離そうと奮闘しているなか。一夏はと言うと
「一夏は私と姉さんを見ていれば良い。判る?」
「オーケー。マドカ話し合おう。まずは俺の頚動脈にナイフの刃を当てるのを止めてくれ」
「一夏動くな。私が引き離そう」
「夫を救うのは妻の役目だからな」
「死ね。眼帯、似非侍」
空気が凍りついたと思った瞬間。箒とラウラが無言で拳を握り締め戦闘態勢に入る。それを見て楯無とユウリがこっちに批難してきて
「これ酷くなってないか?」
「殺す気がなくなった分良いだろう?それに妹ってああいうものじゃないのか?」
「「絶対に違う」」
楯無とユウリの突込みを聞きながら自分の妹を思い出すが、皆あんな感じだったと思うんだが……
「まぁ良いんじゃないか?ところでお茶のおかわりは?」
一夏がマドカと箒達の争いに巻き込まれ悲鳴を上げているのは無視して私はそう尋ねるのだった
織斑先生の部屋から自室に戻りベットに横になる
「一夏君大丈夫かしらね」
最終的には箒ちゃん達もISを部分展開して一夏君に殴りかかっていた。マドカちゃんが護ってたみたいだけど……どうなったんだろう?途中で巻き込まれるのがいやで逃げてきたからどうなったか判らない
「話は明日になっちゃったしねえ」
マドカちゃんのことを考慮した龍也さんがネクロについての話は明日にするって言ってさっさと部屋に戻ってしまったので聞きたいことも聞けずしまい……まぁ明日になれば判るから良いんだけど
「それにしても簪ちゃんは良いなあ」
思わずそんなことを呟く。魔法使い……なんてときめく言葉だろう……子供のときは魔法使いになりたいなんて思った事もあったから羨ましいと思う反面。魔法が使えるってことはネクロに狙われると言うことと同義だ。羨ましいなんていってはいけないと思うが思わずそう呟く
「私も魔法が使えたらな~♪」
街の出かけたときに思わず買ってしまった杖を振るった瞬間
「楯無話が……」
「あっ」
ユウリと目が合う。ユウリは私の手の中の杖を見て
「すまない。誰にも言うつもりは無い。続けてくれ」
そう言って足早に出て行くユウリ。再起動した私は両手で顔を抑えて
「みゃああああああああッ!?!?」
自分でも理解できない奇声を発して、杖を慌てて片付けユウリの後を追いかけたのだった……
追いつき説得するまで必死で説得が終わった後、どうしてそこまで慌てていたのかを必死に考えるのだった
生徒会長様が自分の気持ちに気付くまであと少しかかりそうです
第81話に続く
次回はマドカを含めてこれからの話とセシリアとシャルの話をしようと思います。あとマドカは、はやてと良く似たヤンデレにするつもりです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします