第88話
龍也さん達の後ろを歩いて森の中を歩くこと5分。私達の前に荘厳と言う表現が相応しい石造りの教会が姿を見せた
「これが聖王教会?」
「そうや、聖王教会。ベルカの土地の最重要施設や。んで聖王の家系を神聖視している場所や」
聖王の家系……凄い名前だけど……ちらりと龍也さんを見ると龍也さんは頭をかきながら
「私は滅んだ聖王の家系の最後の直系だ」
最後の直系……でも滅んだ家系なんだよね?どういうことだろう?と私達が首を傾げていると龍也さんが
「私の生まれはこの時代より数千年以上前だ。ネクロが1番最初に現われ世界を滅ぼそうとした時代、その時代のネクロを倒した王「神王」の息子だ。だから本当はお前たちよりはるか年上だ」
とんでもない話になってきた……龍也君は本当は過去の人間なの?魔法ってそんなことまで出来るの?
「今の時代の魔法使いだと無理だよ。時間跳躍は神王の家系だけの稀少技能。今使えるのは龍也くらいだよ」
時の巻き戻し……長いこと人間が夢見た理想。魔法も大概だけどこれは極め付けだ。そのとんでもない事実に私達が驚いていると
「限定的だ。それに使う気もない。対して気にするまでも無い」
何か不機嫌そうだ。何が原因なんだろう、私がそんなことを考えていると龍也君が不機嫌な理由は直ぐに判った
「「「神王陛下万歳ッ!」」」
ザッ!と一斉に万歳三唱が始まる。龍也さんの顔が死んでる、今まで見たことの無い顔だ
(これはあれかな?エリス。心底鬱陶しいって思ってるってことなのかな?)
(それっぽいわね。もう鬱陶しいって態度が顔に全部出てる)
ひそひそ話をするなか龍也さんはよしっと頷いてから
「顔を出したから帰るぞ」
くるりと背を向けて歩き去ろうとする龍也さん。本当にここが嫌いなんだと判る
「ちょっと待ってください。神王陛下!」
シスター服の私たちと同年代そうな少女が笑顔で龍也さんに言うと
「うざい。かえる。車よこせ」
簡潔すぎる!?しかも最後の車よこせって何!?IS学園とここだと全然態度が違いすぎる
「お願いしますよぉ!たまには顔を出してってください!司祭様がうるさいんですよおお」
「纏わり着くなリムヤ!私はここは嫌いなんだよ!!」
「お願いしますうううう!!!」
龍也さんの腰にしがみついて滝のような涙を流す少女。これだけ見ると酷い図式だ
(あーリムヤかあ……兄ちゃんリムヤに甘いからなあ)
(えっ?そうなの?)
(うん。元は孤児で龍也さんとこにいてさ。私はシスターになりたいですって言ってここに来た子なんだ)
「お願いしますうおとうさーン!」
「ああ!もう判った!判ったから泣くな!!!」
あ、龍也さんが折れた。と言うかお父さんって……
(お父さんか……龍也が引き取った孤児だからか?)
(そうや。中にはお兄ちゃん呼んでる子も居るで?兄ちゃんあんまりそう言うの気にしないから)
(気にするべき所だと思うんだけど!?)
普通は気にするところだと私も思う。龍也さんは、はあっと深い溜息を吐いてから
「悪いが街の案内は少し待ってくれ。カリムのところに顔を出すから。それまでなのはとかに聖王教会の中を案内してもらうといい結構な名所だぞ」
そういってリムヤさんに先導され教会の中に入っていく龍也さんとはやてさん。残った私たちは
「どうぞこちらへ、観光コースはこちらです」
先頭にいた女の人に案内され、龍也さん達とは違う出入り口から教会の中に足を踏み入れたのだった
聖王教会の中の装飾は外の見た目と同じでかなり洗練され美しい物だった
「はぁ……これはまた見事だな」
思わずそんなことを呟いてしまった。私は無宗教だが、この建物の素晴らしさは判る
「確かに綺麗ね。こんな場所ならオクトさんも連れてきたかったなあ」
私の隣でツバキさんがそう呟く。観光名所と龍也が言っていたがその言葉に偽りは無かったようだ
「なのはさん。写真とか大丈夫?記念に1枚撮りたいんだけど?」
「うーん、壁とかの方を向けてたら大丈夫かな?展示品とかの写真は駄目だよ?」
凰が高町にそう尋ねているのが見える。一夏やマドカも
「はーあんまり俺はこういうの興味ないけど凄いな」
「ステンドグラスだな。綺麗だな」
巨大なステンドグラスを見上げてそう呟いている。美術鑑賞などやったことの無い私でさえ、ここにあるものが一品と言うのがわかる
「素晴らしい絵画ですね。ヴィクトリアさん」
「ああ、確かに素晴らしい絵だ」
「普通に美術館に飾ってあってもおかしくないね、この絵なら」
イギリス組みのオルコット・スミス・デュノアは飾られている絵を見てそんな感想を呟いていた
「……これがこの世界の刀剣か。何と言うか機械的だな」
「だな。なんだろう?このスリット見たいのは?」
「それはねカートリッジシステムだよ。カートリッジってなんて言えばいいのかな?サブタンクかな?それを装填して一時的に魔力を底上げして攻撃力とか防御力とか、デバイスの特殊機構を発動させるのに使うんだよ」
フェイトの説明を聞いたユウリが
「その機構はISに流用できるのか?」
「う?うーんどうだろう?私はエンジニアじゃないし。後で行く六課で聞いてみたらどうかな?専門家も居るしそっちで聞いたほうが良いと思うよ」
「そうか。ネクロと戦って判ったが、今のままのISでは駄目だと実感した、もう少し能力の底上げをしたかったんだがな」
龍也がスコールたちを連れてきてから何かユウリの表情が硬い。そこで戦ったネクロが関係しているのだろうか?
「お姉ちゃん。ユウリさんなにか悩んでるみたいだけどいいの?」
「いいのよ。待ってみるのも大事なのよ、心配しても悩んでも結局話してくれるのを待つしかないからね」
「あら?楯無は良い女の条件でも知ってるのかしら?」
「ええ、待てることでしょ?」
「正解。良い女の条件は待てることよ。女尊男卑とか関係なくね、男っていっつも何にも言わないで、進んで行っちゃうからそれを時邪魔しない待てる女が良い女なのよ」
「スコールの持論だな。まあそれに関しては私も賛成だけどな」
なんかユウリ達を見て良い女談義をしている。なんでこんな所であんな話をしてるんだ?
「はい。シェンはもうちょい詰めて。クリスとラウラも。はいチーズ」
美術鑑賞興味なし組みが記念撮影している。それを見て私は鞄からカメラを取り出して一緒に回っていたツバキさんに
「私達の写真を撮ってもらいたいんですがいいですか?」
「一夏君とマドカちゃんと?」
「はい、やっと揃ったんですからね写真を撮っておきたいと思っていたんです」
写真は大事な物だ。例え自分の傍に今その人物がいなくても、ここに居たんだと思い出せるからだ
「判ったわ。撮ってあげる」
「ありがとうございます」
一夏とマドカに写真を撮るぞと声を掛けると一夏は判ったとすぐ頷いたが、マドカは不思議そう顔をしているので
「家族の写真を撮ろう。もう1度マドカ・一夏。私が揃った記念に」
「!判った♪」
私の右隣に一夏、左隣にマドカ。1度失ってしまった大事な者をもう1度手にすることが出来た。もう2度と忘れることは無いだろう
(今度こそ私が守りきってみせる。家族を)
2度と失わないと決意を新たにした。この写真はもう何年も増えることの無かった家族の写真のアルバムの1番最初のページに張られることになるのだった
「待たせて悪かったな」
一通り教会の中を見終わった所で龍也とはやてが来る。龍也は少しばかり疲れた様子だった
「疲れた顔をしてるわね?どうしたの?」
ツバキさんの問い掛けに龍也はやれやれと肩を竦めて
「管理局を辞めて、聖王協会の所属になれとうるさかったんだよ。私は管理局をやめる気などないからな。何を言われてもNOとしか言いようが無い」
ふうっと溜息を吐きながら行った龍也は出口のほうを指差して
「車を出してくれるそうだ。それで管理局まで行って滞在許可を出してもらいに行くぞ」
滞在許可。ビザと同じような者か、それが必要だというのなら逆らうことに何の意味もない。わかったと頷き外に出るとワゴンタイプの車が3台用意されていた。手際がいいな
「それぞれはやて、なのは、フェイトが運転する。荷物はもう載せてあるから好きな車に乗ってくれ」
そう言って別の所に歩いていこうとする龍也に一夏が
「お前はどうするんだ?」
「バイクで先に行ってる。事情を説明しておかないと、いきなり滞在許可をくれと言ってもらえる物ではないからな」
そう言って龍也は私達の前から歩き去り、暫くするとバイクのエクゾースト音が遠ざかっていくのが聞こえた
「んじゃ。車に乗ってな?今から行けば昼食ごろには手続き終わると思うで」
はやてのその言葉に頷き私達は車に乗り込むと車はゆっくりと走り出し、私達は魔導師が暮らす街へと走り出したのだった
「なんか想像と違うな」
なのはさんの運転するワゴンの窓から見える街並みは俺が想像していた物と大分違っていた。何と言うか物凄く文明が発達した都市っていう感じだ。ラウラやクリスさんもなんか違うと呟いている。なのはさんの運転する車には俺・マドカ・千冬姉・ラウラ・クリスさん・シェンさん。はやてさんの車はスコールさん・オータムさん・ユウリ・楯無さん・セシリア・ヴィクトリアさん。フェイトさんの車は鈴・箒・シャル・簪さん・エリスさん・弥生さん・ツバキさんとなっている。
「想像してたのって塔とか浮島とか?」
運転しながら尋ねてくるなのはさんにラウラが
「魔法使いの小説にはそんな事が書いてあった」
「あはは!うん。確かにそう言う魔法使いがいる世界もあるよ?」
世界によって違う、うーん文化の違いとかなのか?俺がそんなことを考えているとマドカが俺の服の袖を引いて
「一夏。あれを見ろ。龍也の写真集発売と書いてあるぞ」
「はっはは何を馬鹿……マジかよ。すげえ行列」
マドカのジョークだと思い笑いながら窓の外を見ると、龍也の顔がプリントされポスターと昇りが多数配置され。販売するであろう本屋の前には長蛇の列。しかも女性ばっかり……店員らしい人が整理券を配っているのが見える
「なのは、龍也は人気者なのか?」
もしかして物凄い有名人なのかと思いながら尋ねると、なのはは笑いながら
「人気者って言うよりカリスマかな?結構龍也さんは街の人を助けてるし、復興資金をポケットマネーから出したりしているからね。知らない人は居ないんじゃないかな?」
人気者じゃないか……うーんなんて表現すればいいのか判らないけど有名人ってことでいいのかな?それとも英雄とでも言うのだろうか?
「なのはは買わないの?」
クリスさんの問い掛けは少しおかしいと思った、こうして買う人は多分龍也を滅多に見れない人のはず、一緒に働いている……
「うん?買ってるよ?定期購読にしてるから家に届くから態々ならばなくてもいいんだよ」
……俺がおかしいのだろうか?なのはさん達が何を考えているのか一瞬本当に判らなくなった。
「顔を見て話すのもいいんだけど、昼寝してる所とかは滅多に見れないからね。写真も欲しいんだよ。だってほら龍也さんの写真ってブロマイドで4枚500円くらいで販売されてるんだけどさ」
販売されてるの!?と言うかブロマイド!?それでいいのか魔法使い!?昼寝してる男の写真を見て何が面白いんだろう?魔法使いってもっと神秘的だと思ってたんだけど、予想以上に俗物的だった事に驚愕し……物凄く並んでいる女性の数に呆れル俺を乗せて車は本局と呼ばれる場所に到着したのだった。車から降りてきた箒達も
「魔法使いってもっとこう神秘的だと思ってた」
どうやら俺と同じ感想を抱いていたようだった
「しゃあないやん?魔導師も人間なんやし見たいものは見たいし、欲しい物は欲しいんやで?」
妙に説得力があった。それはきっと我が道を行く性格のはやてさんだからこその説得力だと思った。多分千冬姉とかマドカが行っても同じような説得力があると思う
「ま、とりあえず滞在許可証を書きに行こうよ。龍也が準備してくれてるはずだからさ」
フェイトさんがそう言って早く早くと言って歩き出す。その背中を追って本局と言う建物に入る
(うわ。すげえ)
IS学園の設備よりも1ランク。いや3ランクは上だろう。あちこちに展開された空中ディスプレイに丸いなにかの装置。その上に乗った人の姿が消える。魔法使いのエレベーターのような物だろう。未知なる文明の科学力の高さに驚いていると
「こっちやで、兄ちゃんの執務室は……はよ来い」
おいでおいでと手招きするはやてさんに頷き。丸い装置ではなくエレベーターに乗る。そのなかで
「龍也君の執務室って?」
「そのまんま。兄ちゃんは管理局大将やからね。執務室はあって当然やで?まぁ六課に帰れば私達も執務室あるけどな」
たびたび出てくる六課と言うのはなんなんだろう?話を聞く限り龍也やはやてさん達が所属している部隊のようだけど、そんなことを考えているうちにエレベーターは止まり。その階の奥の執務室に入ると
「来たか。書類の準備は出来てる、紙に名前とか書いてこっちに渡してくれ。こっちで処理するからな」
もうどこの豪邸だと思うような部屋の机に龍也が腰掛けながらそう声を掛けてくる。後ろを見ると別荘であったシャルナさんが控えていて。一瞬物凄く覚めた目で見られて肝が冷えたが、直ぐに視線がそれたのでほっとした
「それを書いたら昼食にしよう。私が良く外食で使う店があるんだ、そこの予約をしてある」
手際がいいなぁ。俺達全員分の書類の準備をして。その上で昼食の予約?
「龍也君?予約ってレストランとか?」
「いえ?普通の店ですよ。普通のね?」
なんか不安だ。魔導師の金銭感覚がどんなものかは判らないが何か不安になる
「まぁ気にしないで書いて持ってきてくれればいい、それで滞在許可証が発行できるからな。判らないところは聞いてくれればいいから」
繰り返し言われとりあえず先にと机の上におかれていた書類を見た。名前と生年月日それと所持デバイスの能力?
「龍也さん、ここに書いてある所持デバイスの能力って?」
「ISのことを書いてくれればいい。名前と武装だけでOKだ。一応規則だからな、所持品として処理したほうが楽だぞ?あとで質量兵器だとか何とか言われると面倒だからな」
重火器は駄目なのか?それに質量兵器って?俺たちが首を傾げているとなのはさんが
「説明してもいいけど多分良く判らないと思うから気にしないほうがいいよ?ただ質量。銃とかの所持が禁止されてるって思ってくれればいいから」
うーん色々と制度があるんだな。魔導師っていうのも……俺はそんなことを考えながら名前・生年月日・血液型の順番に書いていってふと気づく
(あれ?武装って言ってたよな?俺とかは簡単だけどエリスさんとかは?)
武装がブレードとエネルギークローの俺はちゃっちゃっと書いて終わりだったけど
「えーとレインオブサタディにガルム」
「あー武器の名前が漢字しかも枠が小さい」
武装を沢山搭載しているシャルロットや、武装の名前が漢字のシェンさんや鈴が書くのに奮闘している。それに能力の説明も必要なのだが
「AICの理論の説明をこの行で書くのは、少し厳しい物があるな」
「本当だねラウラ。まさかこんな事を書くことになるなんて思って無かったよ」
特殊な武器を搭載しているラウラやクリスさん。それに楯無さんも書くのに苦戦している。それを見て俺は
(武器が少なくて良かった)
思わずそんな事を思ってしまった。とりあえず埋めるべき欄を埋めている、あーこれか武装の能力を書くのってえーと零落白夜はバリヤー貫通。こんなもんでいいのか?
「龍也これで頼む」
「私もかけたわよ。利き腕が左でよかったわ」
「こういうのを書くのはなれてるから楽ね」
千冬姉とスコールさんそしてツバキさんが書類を書き終えて、龍也から金属のカードのような物を貰ってる。多分あれが滞在許可証って奴なんだろうなと思いながら。俺も自分の書類を書き進める事に意識を集中させるのだった
全員分の書類を受け取り、かわりに滞在許可証を受け取っていたのだが
「説明を書くのが大変だったわ」
「……僕はどうしてラファールにあんなに武装を搭載してしまったんだろうね?」
能力の説明が難しい楯無と武装の数が多いシャルロットが酷く疲れた様子で私の前に書類を置いた。仕方ないこととは言え可愛そうだと思ってしまった、書類を机の中にしまい。代わりに滞在許可証を渡して
「これで全員分行ったな?じゃあさっそく昼食に出かけよう」
昼食を終えてから私の家に案内して部屋割りをすればいいだろうと思い。後ろで控えていたシャルナに
(空き部屋の掃除とかを頼む。あと食材の買い足しを頼めるか?)
小声でそう尋ねるとシャルナはお任せくださいと頷き執務室を出て行った。シャルナに任せておけば大丈夫だろう。私はそんなことを考えながら本局を後にして、はやての車の助手席に乗り予約していた店に向かった
「ここだ、ここ」
クラナガンの中心にある店の前で言うと、隣に来ていた千冬が
「かなり高級そうな店だが?」
「大丈夫だ、私が奢るからな」
クラナガンや周囲の管理世界でも腕のいいコックが多数集まって経営しているこの店は。まぁ確かに高級店といってもいい店だ。だからこそこの店に案内すると決めていた。普段は昇進や活躍した時にスバルとかを連れてくる程度だ
「まぁ気にするな、それに腹もすいてるだろ?」
時刻は昼の1時半。食事の時間としては少し遅い、そんなことを話しているのなら早く食事にしようと声を掛け店に入ると
「お待ちしておりました。八神龍也様。いつものお部屋を準備しております。こちらへ」
ギャルソンに先導され店の奥へ奥へと進む。進むたびになんか一夏達が身体を小さくしてる。始めて連れてきたときのスバルとかに似ているなと思いながら通路を歩いていると
「どうぞ。お入りください」
ギャルソンが扉を開ける。そこはシャンデリヤや紅い絨毯が引かれた。まぁ簡単に言うとVIPルームと言う奴だ。なかには既に4人ほどのギャルソンが待機しており
「どうぞおかけください」
椅子を引いて座りやすいようにしてから声を掛けてくる。私はまぁある程度なれているので普通に腰掛けたが
「あ~こういうのは中々慣れんなあ」
「本当だよね」
はやてやなのははなれないなあと話しながら座り、一夏達はガッチガッチと言う様子で椅子に腰掛けた。唯一普通だったのはセシリアと楯無くらいだった。名家の生まれだからこういう機会もあったのだろう
「食前酒は白と赤とございますが?」
「今日のお勧めは?」
「牛のフィレステーキです」
牛肉なら赤ワインだな。それと
「肉が苦手な者は?」
おずおずと手を上げる簪とシェン。あとツバキさんは魚の方が好みねと言う、スコールもお昼からは肉はちょっとと言うので
「ではあの4人には魚のメニューを、それと白ワインを頼む。見れば判ると思うが未成年だ。白葡萄のジュースにしてくれ」
畏まりましたと頭を下げて、出て行くギャルソンを見ながらガチガチの一夏達に
「もう少しリラックスしたらどうだ?」
「「「む、むむむ無理!こんな店来たこと無い!」」」
声を揃えて言う一夏達。こうなれば料理が来るのを待つしかなさそうだな
「お待たせいたしました。八神様」
「ん。ありがとう」
私の前からワインを置いていくギャルソン、一夏達はボトルに入った葡萄ジュースを注いでいる
「今しばらくお待ちを、オードブルを今仕上げていますので」
深く頭を下げて出て行くギャルソンを見送りワイングラスを手に
「そんなに緊張することもないだろう。食事だからな?力を抜いて普通に食べればいいさ」
テーブルマナーが判らないと騒いで居る一夏達にそう声を掛けてからワインを煽った。
「あら?美味しいジュースね。酸味と甘みが丁度いいわ」
「この白ワインもいけるわね。良い店を知っているのね」
「む。確かに良いワインだ、これは料理が期待できるな」
緊張している一夏達とは対照的にリラックスした様子でワインを煽っている千冬たちを見ながら、私はもっと別の店にしたほうがよかっただろうか?と考えながら空いたグラスにワインを注ぎなおしたのだった
第89話に続く
次回は少し観光のような話をしてから龍也の家へ。中盤からは六課でISの改修の話をして行こうと思っています。勿論なのはやはやて以外のリリカルのキャラも出して行こうと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします