第89話
あたしちゃんと昼食食べたよな?でもなんでだろう?食べたって言う気がしない、あたしだけじゃなくて箒とかも同じような顔をしている
(なんか食べたって言う気がしないよな箒)
(ああ、空気に呑まれたといえば良いのか判らんが、何を食べたかって思い出せない)
コース料理だったようで色々とギャルソン?に説明されたが何を言われたかなんて殆ど判らず、机の上に並べられたナイフとフォークにも困惑した。普通に食事をしていたのは教師勢と龍也さん達を除けば
「あら。美味しいですわね」
「本当ね。腕の良いシェフがいるのね」
「……美味い」
セシリアと楯無先輩とユウリは普通に食事を進めていた。これが育ちの差とでも言うのだろうか、そんなことを考えながら食べた食事はうろ覚えで味もどんな者だったか覚えてない。
「?不味かったか?」
反応がないあたし達に龍也さんがそう尋ねてくる。味は良かった、それは間違いない……だが高級店って言う感じの雰囲気に呑まれて味わったという感じがしないんだよな。あたしがそんなことを考えていると鈴が
「いや。美味しかったんだけど……もっと普通のが良かったな~なんて」
そう確かに美味かった。だけどこういう店は一介の高校生が来る様な店ではない、もっと普通の店が良かった。多分あたしだけじゃなくて大半がそう思っているはずだ
「ふむ……そうか。では夕食はもっと普通にしよう。そういえばスバルとかも同じことを言ってたなあ」
2回目!?学習しようぜ……とあたしが考えているとはやてさんが
「でもあれやん。毎回じゃない?就任したばっかのルーキーとかも連れてきたら同じ反応してるやん」
「そう言われればそうだな。忘れてたな」
あたしは名前も知らないルーキーとやらに心底同情した。有名人の上司にこんな店に連れてこられて食事。普通なら動揺して味なんて殆ど判らないだろうなあ……
「じゃあとりあえず荷物を置きにいくか。ISの改修とかの話は明日にして今日は休めばいいだろう。それにこんな後でネクロの話とかも聞きたくないだろ?」
こんな後どころか覚悟が出来るまでそんな話は聞きたくないと思いながら頷くと龍也は結構、それで言いと笑いながら会計を済ませるから先に行けというので店の外に出ようとしている時に聞こえてきた12万と言う食事代にあたしは思わず隣の箒に
(あたし達って何を食ったんだ?)
食事で12万。そんな経験は今まで1回もない。一体どんな高級食材を食べてしまったのかが気になりそう尋ねると
(判らない……私はそう言うのに詳しくないんだ)
自分達が何を食べたのかを考えながら駐車場のワゴンに乗り込んだのだった……なお弥生達が食べたのはA5ランクの和牛であったり、大間のマグロだったりする。この店はミッドチルダに少ししかない地球食専門店だったりするのだった……
ワゴンカーが止まったのはどこの豪邸だよと言いたくなるような屋敷の前だった。セシリアや楯無さんが自分の家より大きいと驚いているのが見える。庭もあるプールもある、完全無欠な豪邸だ。俺たちが唖然としている中ツバキさんが
「龍也君の家なの?これ」
「ええ。格安で譲ってもらったんですよ。家族が多いので」
そう笑う龍也が門を開けて屋敷の中に入っていく。これはついていく流れなのでワゴンから自分の荷物を取りだして、俺達もその後をついていった
(すげえなこれ)
噴水にプール。綺麗に刈り込まれた植木などどれを見ても豪邸と言う感じだ。いや、目の前の建物を見ればわかるんだけど如何してもそんな風に思ってしまう
「ただい……「「「「わーい!おかえりなさーい」」」ごぶうっ!」
扉を開けた龍也の身体が宙に舞った。え。ええ!?どういうこと!?驚きながら玄関を見るとそこには
「リィンのせいだな。1番勢いよく突進した」
「酷いです!リィンのせいじゃないですよう」
「リヒトの突進が1番だよ!へも!?」
「何で突進するんですかアホの子」
「パパー!パパー大丈夫!?」
「はふう……知らない人が……一杯」
銀髪・紅髪・目を髪で隠してる・金髪・オッドアイ・フードと色々な容姿をした10歳前後の女の子が一杯居た。フードつきの女の子だけ俺たちを見て目を回していた。対人恐怖症のけでもあるのだろうか?
「えーとはやてさん?あの子達は?」
シャルの問い掛けにはやてさんはにっこりと笑いながら
「ん?家族やよ?」
なんて簡潔な言葉だろう。家族それで済ませてしまえるだけの信頼とでも言うのだろうか?それがその一言でわかった。千冬姉が俺とマドカを家族と言うのと同じだ。不思議な説得力があった
「あー突撃警戒してなかったなあ」
どっこいしょっと立ち上がる龍也は、首を鳴らしながら手を振りちびっ子達に笑顔を向けながら
「ただいま」
龍也がそう声を掛けるとちびっ子達は、ぱあっと華の咲くような笑みで笑いながら
「「「「おかえりー♪」」」」
両手をぶんぶんと振るちびっ子達は、ロリコンではない俺でも可愛いと思ってしまうほど愛らしさに満ちていた
「可愛いわねぇ。それに皆良い子そう」
「良い子そうじゃなくて良い子ですよ、ではどうぞ私の家へ」
俺たちを先導して歩く龍也が家にはいると、ちびっ子達は龍也のコートにしがみつき器用に昇っていき、にぱーと笑っている。龍也ははいはいと言いながら頭を撫でたり抱っこしたりしている。何と言うか
(((お父さん?)))
なんか堂の入ったお父さんと言うのを思わずにはいられなかった。はやてさん達は判るわかると頷きながら
「兄ちゃんってなんかお父さんって言う感じがするんや」
「子供だと余計にそう思うんだよね。良く懐くし」
「お父さん属性でお兄さん属性なんだよね。多分」
どんな属性なんだ!?お兄さんでお父さん属性ってどういう属性だ!?俺が心の中でそう突っ込んでいると龍也は抱っこしていた金髪の子に何かを言っていて、その子は判りましたといいながら頷き、ぴょんと龍也の腕の中から飛び降りる。同じように背中にしが
みついていたことかも地面に着地する。それを見ていたセシリアや鈴はなんかほっこりした顔をしていた、愛らしい仕草で母性本能とかがくすぐられたのかもしれない。そんなことを考えていると
「こんにちわー。リィンなのです」
「アギトだぞ」
「ターゲスアンブルッフ・リヒトだよ。リヒトでいーよ。おにーさん、おねーさん」
「ユナです。こんにちわ」
「ヴィヴィオー!」
なんか凄いな個性的な面々過ぎる。喋り方も髪の色も雰囲気もだ……あ、あれ?気絶していたフードのこは気がついたらいなくなってた。どこへ行ったんだろう?
「お部屋に案内するのです!」
「お手伝いだな」
「ひっひーリヒトもお手伝いできるもんねー!」
どうも龍也が言っていたのは俺たちをそれぞれの部屋に案内してくれと言う話だったらしい。子供のときからお手伝いをさせる、それはいいことだと思う。俺はどうやらマドカと千冬姉と同じ部屋のようで……あれ?詰んでる?千冬姉とマドカと同じ部屋って俺肉食獣がいる部屋で寝ていると同意義
「「ふんっ!」」
「!!!!」
千冬姉とマドカに同時に踵で爪先を踏み抜かれる。ぐう……余計なことを考えた罰か……そんな俺達を案内してくれている女の子。確かリヒトちゃんは
「面白いね!おねーさん達」
俺が踵で爪先を踏み抜かれるのを面白いというリヒトちゃんを見て。思わず俺は
(この子ってはやてさんとかに似ているのか?)
この子もどうやら魔王属性のようだ。見掛けが可愛いからって騙されると痛い目を見る。この短い時間で俺はそれを確信していたのだった、なおリヒトちゃんはマドカに
「ペットがいるんだよ。かくれんぼをしててどこに言ったか判らないけど、後で出てくると思うんだ」
「ペット?可愛いのか?」
「可愛いよーそれに頭もいいよ」
魔法使いのペットって何なんだろう。でもこれだけ小さい子が多いから普通に子犬とかかな?俺はそんなことを考えながら踏み砕かれた右足を引きずりながら、リヒトちゃんの後をついて歩き出したのだった
私とエリスとお姉ちゃんはアギトちゃんに案内されて2階を歩いていた。10歳くらいに見えるけど凄くしっかりしている
「この部屋は空き部屋でな、夜勤を終わった六課の職員が泊まりに来るんだ。だから勝手に入ったら怒られるからな」
この部屋は誰の部屋だから駄目とかを教えてくれていた。ここに来るまでに通ったのははやてさんの部屋とシグナムと言う人の部屋だった。シグナムって誰だろうと思ったけど、多分一緒に暮らしてるってことは家族の人なんだろうと思った
「アギトちゃんは姉妹ってどんな感じの子なの?」
お姉ちゃんの問い掛けにアギトちゃんは
「んーリィンっていたろ?あれが自称1番お姉さん。でも1番甘えん坊で我がままで泣き虫。リヒトは基本的に言う事を聞かない自由人で、ユナは本とぬいぐるみが大好きで毒を吐く、アザレアはアリウムと二重人格で、アザレアは泣き虫で人が怖い、アリウムはわが道を行く性格。ヴィヴィオは兄大好きだな」
1人1人かなり性格が違うようだけど……それでも姉妹としてやっていけてるのは、やっぱり龍也さんがいるからかな?
「んで荷物置いたらリビングな?階段下りてすぐの大きい扉の部屋に行ってくれればいいから。兄がそこで話があるんだって」
「今度は案内してくれないのですか?」
案内がなくて寂しいということではないが、アギトちゃんから私達の知らない龍也さんの事を聞きたいと思っているエリスがそう尋ねるとアギトちゃんは
「連絡が来るまで暇だからかくれんぼをしてたんだけど、ドラきち……あーペットな?見つからないから探しに行かないといけないからごめんな」
どうもアギトちゃんも私達を案内したいようなんだけど、ペットが心配だからごめんなと言って来る
「いいわよ。ペットって言っても家族なんでしょ?心配しちゃうわよね?」
お姉ちゃんの言葉にアギトちゃんはうんって頷きながら
「どっか危ない所に行ってたら大変だから、見つけてやらないと」
ぐっと握りこぶしを作るアギトちゃんの小さい背中を見ながら、隣のエリスとお姉ちゃんとISのプライベートチャンネルで
(ドラきちって凄い名前だよね)
(そうですね。一体なんなんでしょう?)
(ドラゴンとか?)
お姉ちゃんの言葉に思わず噴出す。幾らなんでもドラゴンのドラきちなんか容易なネーミング過ぎる。きっと何かの生き物にそう名づけたんだと思う
「はい。ここな?部屋は結構広いから3人でも余裕だと思うからじゃーなー」
そう言うとドラきちと言うペットを探しに行ったのか、廊下を元気良く駆けて行くアギトちゃんの小さい背中を見送り、私達は案内された部屋に入った
「広いわねー。ベッドは2段ベッドが2つ?それに机とかTVもおいてあるわね」
外から見てもかなりの大きさだったけどやっぱり家の中も凄かった。私達の部屋は2段ベットが2つにテレビとソファーも完備と見た目と同じくらい部屋の中の装飾も豪華だった
「これなら一週間所か1ヵ月でも全然平気ね♪」
荷物を2段ベットの上に置きながら笑うお姉ちゃん。確かにこの部屋なら1ヵ月居たって平気かもしれない、それに魔法使いの世界なんて普通に生きていたら絶対に見れない、観光とかもしたいかもしれない
「まぁそれよりもリビングに行きましょうか?龍也さんが待っているそうですしね」
待たせるのも悪いから荷物を机の上において私達はアギトちゃんに案内してもらった道を引き返し、1階のリビングに向かったのだった
「あ、簪それにエリス。どうだった部屋は?」
途中で鈴さん達にあって、1階のリビングに向かいながら私達の部屋のことを話すとへーって頷きながら
「あたし達の部屋も似たような物ね、こんな部屋をホテルで借りようとしたら幾らするのかしらね?」
「ざっと見積もっても5桁はするんじゃない?一晩」
だよねーと部屋のことを話しながらリビングに向かう。そこはシックと言うのかお洒落だけど嫌味じゃない。そんな色合いの家具で固められた部屋だった
「待ってたよ、まぁ好きなところに腰掛けるといい」
リビングの長机の所で待っていた龍也さんに頷き、来た順から椅子に座っていくのだが
「これもまた見事だね。相当高いんじゃない?」
「ですわね。イギリスでもここまで見事な椅子は見たことがありませんわ」
椅子を見ているシャルロットさんとセシリアさんがそう言う。私は普通に腰掛けたけど確かにいい椅子であることは間違いない
「そんなの気にしなくていいから、早く座るといい本題の話がいつまで経っても出来ないからな」
龍也さんがそういった瞬間。リビングに置かれてた壷が突然ゴトンと音を立ててひっくり返った
「え!?ドッキリ!?龍也何かした?」
「いや、何もしてない筈だが……何かいるのか?」
椅子に腰掛けていた龍也さんが立ちあがり壷に近づきながら
「アギトとかが何かを入れてたか?」
小さいアギトちゃんとかの悪戯かと呟きながら壷に近づくと
「クギュークギュー」
くぐもった何かの鳴声が聞こえてくる……その鳴き声を聞いた龍也さんは壷の中を見て
「詰まったのか?」
そう声を掛けると壷の中の鳴声が大きくなる。どうやら中に何かがいるのは確実のようだ
「ギュウ!キュキューっ!!!!!!」
助けれくれと言っているかのように鳴声が大きくなる。その鳴声を聞いていたマドカさんが一夏君に
(何の鳴声だ?)
(聞いた事がない鳴声だから判らん)
一夏君の言う通りに聞き覚えのない鳴声になんの鳴声だろうと考えていると、龍也さんがぶんぶん壷を降り始める。何回目かですぽんとコルクが抜けるような音がして壷の中から灰色の何かが飛び出してきた。それは私達の座っている机を飛び越えて出入り口に近くに落ちると、ころころと数回回転してから止まった
「え?なんだこれ?」
弥生さんの言葉はきっと全員が思ったことだろう。灰色で少し大きめな犬と同じくらいの物体は、ゆっくりと丸まっていた状態から元に戻り
「キュー♪」
尻尾をピーンと伸ばしフリフリ降り始めた。短い手足に丸っこい身体。頭の横から生える2本の角と赤い瞳……なんだろうこの生き物凄く可愛いけど犬とか猫の私の知ってる生き物じゃない
「龍也君?それなに?」
ツバキさんが引き攣った顔で尋ねると龍也さんはニコニコ笑いながら
「ペットのアースドラゴンの幼生のドラきちです」
アースドラゴン……ドラゴン?ファンタジーの王道がこれ?
「キュ?」
ピコピコ揺れる尻尾と愛嬌を振りまくその仕草。何か想像と違うけど
「「「可愛い♪」」」
こんな可愛い生き物見たことがない。子犬と比べても一回りも二回りも可愛い、頭を撫でようか考えていると
ピーッ!!!
指笛の音が響く。それを聞いたドラきちは開いていた窓を見つめて
「きゅーッ!!!」
タタタタッ!ピョーン!
小さい生き物とは思えない脚力で、開いていた窓を飛び越えて庭へと駆け出していった
「あ……行っちゃった」
頭を撫でようとしていたクリスさんがしょぼーんとしている。勿論私もだ、頭とか撫でてみたかったのに……
「アザレアが呼んでたからな。仕方ない、また明日にでもするといい。毎朝散歩してるから一緒に散歩とかしてもいいぞ」
毎朝ドラゴンの散歩。何かシュールな光景だけどいいかもしれない。ドラきちは凄く可愛かったから写真を撮っておきたいと思う
「それでだ。ドラきちの件はおいといて本題の話をしたいからそろそろ座ってくれないか?」
龍也さんに言われて気づく、私とクリスさんそれにエリスにお姉ちゃん、更にはヴィクトリアさんや鈴さんもドラきちが出て行った窓を名残惜しそうに見つめていた。そしてそんな私達を見てほほえましいと言う顔をしているユウリさんや織斑先生の視線に、私達は赤面しながら椅子に座りなおしたのだった……なおヴィクトリアさんだけは、両手で顔を覆って酷く恥ずかしそうにしていたのだった
ドラきちを見て目を輝かせていた簪達。やっぱり女の子だから可愛い生き物が好きだったんだろうなあと思いながら、机の上のカップに紅茶を注ぎ
「ではまずだが、今回ここに一夏達を招待したのは勿論理由がある。1つはISの改修、2つ目は独立稼動のパッケージの作成、そして3つ目は同年代でネクロと戦っている人間と引き合わせるためだ」
えって言う顔をする一夏達とは対照的になるほどと言う顔をしたツバキさんと千冬は
「それはあれか?ネクロと戦うためにか?」
「そうなるな。出来る事ならば護衛程度に留めて置きたかったが、そうも言ってられん。ネクロの目的が鈴や箒にある以上自分で自分の身を守れるだけの力を身につけてもらわなければならない。だが」
ここで1度言葉を切り一夏達を見る。一夏は自身の暴走を、箒達は自分と同じ顔をしているネクロとの戦いを恐れ、簪達もまたネクロに対する恐怖を改めて認識し顔が引き攣っている
「今の状況で訓練とかをしても意味がない。だから一夏達には六課の訓練や本局の訓練生と会ってみて話をしてみて欲しい。それで大分考えが変わるかもしれない、無論結論を急ぐことはない。どうだ?」
私の言葉にうーんと言う顔をしている一夏達。一週間と言う時間は短くはないが長くもない、本当は2週間くらい時間が取れればいいが、そこまで悠長にネクロが待ってくれるとは思えないからだ
「私はいい考えだと思うけどね。戦闘経験者の同年代って言うの良い話相手になってくれると思うわよ?」
スコールが車椅子の上でそう言う。年長者らしく私の考えていることを理解してくれてありがたい
「同年代の子ってどんな子がいるの?」
楯無の問い掛けに私はスバルやティアナ、それにセッテたちの事を思い出しながら
「普通だよ。普通の女の子だよ。守りたい者や願いがあってネクロと戦うことを選んだね」
私がそう言うとラウラはふむっと頷きながら。私の両隣を見る普段にいる筈のなのはやはやてがいないことを確認してから
「なのはやフェイトがいないのもそのためか?」
「そうだよ。今ちょっと話に行ってるんだ、気難しいわけではないがいきなり来て話をしましょうと言っても、話しにくいだろうからな」
とは言え六課のメンバーはかなりおおらかだから、そこの所の心配はないけどなと心の中で付け加える
「だから明日は六課。ネクロと戦っている最前線部隊であり、私達が所属しているそこに一緒に来てもらう。お昼から観光がしたいというのなら案内する。難しく考えないで経験者と話す位に考えていてくれれば良い、ISの回収は少しずつ進めていく予定だ」
本人が戦う気がないのに改修しても意味がない。その気になれば半日で改修できるが、焦る事もないだろう。考える素振りを見せている一夏達に
「そう深く考えなくていいと言っただろう?今日はのんびりと過ごすといい、風呂は1階と2階にあるが、1階は女性専用だから一夏とユウリは入らないように。じゃあ部屋で荷物を出すといい。夕食は7時だからそれまで好きに散歩でもしているといい」
そう言うと一夏達は考え事をしながら部屋を出て行き。残ったのはスコール・オータム・千冬・ツバキさんだった
「酷いといいますかね?」
他に方法があれば別の手をとりたい、だが方法がない以上多少の行き過ぎも必要だ。だから批判するかと尋ねるとオータムが
「私はそうは思わないけどな。自分で考えさせる、命令するでもなくこうしろと誘導するわけでもない。自分で決めさせる、それ自体が優しいと思うぜ」
「確かにね。自分で決めさせる。逃げるにしろ立ち向かうにしろ。自分の決断ならそれを尊重したいってことでしょ?」
判っていますという表情をするツバキさんとオータム。それに対して千冬とスコールは
「ネクロと戦わせる。その道しかないのだろうか?」
「戦ってボロボロになった私だからこそ言えるけど、子供たちに戦わせるのはどうかと思うわよ?」
確かにそうだが、こればかりは仕方ない事だ。私やはやてを狙っているのなら一夏達を戦わせる必要はないが
「箒達のネクロは自分達を狙っている。抗うことが出来なければ殺される……あれだけの数、そして特殊能力。幾ら私達とは言え楽に戦えるネクロじゃないんだ」
空間を歪めて移動。それに攻撃や結界を通り抜ける稀有な能力、攻め込まれやすく守りにくい。それが箒達のネクロだ
「別の方法も考えてはあるが、それでも駄目だ。向こうは数が多い頭数を増やすので手一杯だ」
あのネクロとISのハイブリッドの事を考えると、戦える人間は少しでも増やしたい。だが正直な話、IS学園の教師は戦力として数えるのは難しい
「こっちの魔法使いを連れて行くのは?」
「それは駄目だ。下手に戦力を連れて行くとこっちの防衛が手薄になる」
どちらかと言うとネクロはこっちの方が出現率が高い。それを知っててなお、なのはやフェイトと言った隊長クラスを連れて行っている以上、これ以上戦力を減らすことも出来ないのが現状だ
「となると……やっぱり一夏達が強くなるしかないのか」
私だって色々考えたがそれしか方法がないのが現状だ
「とは言え無理にとは言わない、その決断をするのは一夏達だからな。私はその決断を尊重するだけだ」
この1週間で一夏達がどういう結論を出すのか?それは私が口に出すことじゃない、全ては一夏達が決めることだ
「まぁ小難しい話はここまでだ、夕食のときにワインを出しますが。摘みは何にします?」
久しぶりに帰ってきたミッドチルダだ、少し位息抜きをしてもいいだろうと思い。千冬達にそう尋ねるのだった
すげえ……俺は目の前の光景を見て思わずそう呟いた。巨大な施設で隊舎と言う感じの建物が何棟も見える。これが機動六課
ネクロと戦う最前線の場所なのか
「ようこそ機動六課へ、ここが私達の職場になる」
これだけの敷地を見るとかなりの人数がここで働いているんだろうなと思う。それに出入り口には警備員もいて
「八神陸上1佐、高町3佐、フェイト執務官お疲れ様です!後ろの方達は?」
「別の世界でネクロに狙われてる人や、ちょーとここで鍛えておくつもりなんよ。ちゃんと滞在許可証と手続きは取ってるから証明書の発行を頼むわ」
なんか難しい話をしているのを聞きながら、昨晩の事を思いだす。好きにしていて良いと言うので歩いているとドラゴンに追いかけられ、へんな発明品のロボを見つけたり。まぁIS学園では体験できないような貴重な体験が出来た。中々に面白かったと思う。そして昨晩の夕食はオムライスだった、どうやらアギトちゃん達のリクエストだったようだ、最初はオムライス?と思ったが喰って見るとむちゃくちゃ美味かった。デミグラスソースも絶品だったし、朝は簡単なハムトーストとサラダにスープ、運動するかもしれないから軽くしてくれたらしい。
「前線部隊はなのはとフェイトが隊長をしている「スターズ」と「ライトニング」分隊で4人ずつの構成になっている。部隊舎はあそこな。それであの奥のが「ロングアーチ」情報索敵を主にしている部隊ではやてが指揮官をしている」
敷地を歩きながら説明してくれる龍也。なのはさん達は21歳らしいけど部隊を持っている所を考えるとやはりエリートなのだろう
「ふーっ!寄るな!」
「良いじゃん!たまには場所変わってよ!」
「はやて不公平だよ」
なんか子供みたいな喧嘩をしているけど、それとこれは違うんだよな多分。そんなことを考えていると楯無さんが
「前に言ってた龍也さんの部隊は?」
確かアサルト。強襲部隊って意味だよな?だけど隊舎がないことが気になったのかそう尋ねている。龍也は
「私の部隊は有事の際のみ召集が掛かる。普段はライトニングやスターズ、それにロングアーチで行動している」
兼任ってことか。でもそれが出来るだけの能力があるというのは凄いと思う。そんなことを考えながら1番大きな隊舎に入った瞬間
「兄貴ーッ!会いたかったー!!!!」
「龍也様ーッ!LOVE-ッ!!!!」
「兄さまー!」
「龍也さんお久しぶりです!」
「うおあああああああッ!!!!!」
龍也が一瞬で女性の波に飲み込まれて消えた。もみくちゃにされている……思わず隣のはやてさんを見ると物凄く怖い笑みで笑っていると思った瞬間
「たわけ!兄ちゃんから離れろッ!!!!!」
一喝、その一喝で龍也を飲み込んでいた女性は一気に離れた。龍也はぜーぜーと荒い呼吸で
「し、死ぬかと思ったぞ。スバルとかセッテとか筋力全開過ぎる。それに魔力を併用されたら押さえ込まれるぞ普通」
魔力で強化されたら大の男でも組み伏せるのか、魔法って凄いな……怒られた女性を見て
(これはまた綺麗ところばかり集まってるな)
オレンジの髪に青い瞳。すらりとした手足の長い美女でモデルのように見える
ピンク色の髪の女性はとても綺麗なのだが、光りのない目が死ぬほど怖い
茶色い髪をした女性は男のように見えるけどスカートをはいている所を見ると女性なのだろう
一番最後の人は1度在ったことが会った鈴や弥生さんが首を傾げながら
「スバル?なんか成長してない?」
そう龍也の義手が壊れたときにチンクさんと一緒に来ていたスバルだった。あの時は10~14くらいだと思ったが、今は18歳前後と言う感じだ。スバルさんは俺達を見てくすりと笑いながら
「いや、あの時は辻褄あわせで幻術かけてたからね?私は本当は18だよ」
スバルさんはそう笑うとなのはさん達に敬礼して
「それではスバル・ナカジマ一等陸士これより早朝訓練にいくの失礼します!」
そう言うと逃げろーっ!と叫んで男の子のような少女を脇に抱えてあっという間に見えなくなった。魔王に襲われる前に逃走、賢い選択なのかもしれない。そんなスバルさん達を見ながらオレンジ色の髪をした女性が
「んじゃ。私も訓練見に行くかな。じゃーなー兄貴。後で時間があったら訓練見に来てくれよな~」
「龍也様が見に来てくれるのならば、私はオレンジ頭を血祭りに上げて差し上げましょう。見ものですよ」
……なんかあれな人がいる。俺達の視線が龍也に集中する、龍也は溜息を吐きなんて説明しようか考えている様子だ。そんな龍也にツバキさんが
「なんかここの人って凄いわね?」
かなり気を使っている言葉だと判る、一目見ただけだが判るあれはなのはさんたちの同類だと……それに女性ばかりなのが気になっている箒達が
(随分と女性が多いが龍也の趣味なのだろうか?)
(モテるからハーレムでも作ろうとしているのかな?)
(え!?そんな事無いと思うよ!?)
その余りに酷い評価を付けられた龍也は溜息を再度吐きながら
「ここは元はロストロギアと言うのに対応できるように作られた部隊で、はやてがリーダーだった。だからはやての知り合いで固められてるから女性が多いんだよ、私は結成されてから少ししてから合流したんだ。だから人選は全部はやてが決めたんだ」
だから別に女性ばかり集めているわけじゃないぞ?と龍也が言う。そう言うことか確かに女性が指揮官ならセクハラとかないしそれに安心して女性が多くなるのも当然だなと思っていると龍也が
「私はこれからスコールの怪我の治療をしてもらう手筈を取る。一緒に来るならISを預けておけば修理してくれるがどうする?」
スコールさんは手術の準備が出来るまで龍也の家でいるらしい。アギトちゃん達が怖がるといけないからと言って部屋で休んでいるたしい、ちなみに千冬姉は二日酔いとまでは言わないが、ワインが聞いて起きれなかったのでそのままにしてある。起こすのも可愛そうだと思ったし、下手に起こすと捕食されそうな気がしたからだ。それにISの修理か
(白式はダメージレベルCだけど1回修理してもらった方がいいかもな)
箒とかはダメージレベルがDなので迷わず修理を依頼していた、俺も1度見てもらおうと思い
「ついていって修理してもらう」
「それならついて来い。こっちだ」
そう言って歩いていく龍也の後ろをついて歩く、途中ですれ違う制服姿の人達にじろじろ見られたがここでは龍也もなのはさんたちも有名人だから仕方ないと判っていたのだが、どうにも肩身が狭かった。そんなことを考えているうちに研究室に着いたのか龍也が建物の中に入っていく。
「やーや。ようこそようこそ、私のラボへ久しぶりだねー元気にしてたかい?」
海であったジェイル・スカリエッテイさんに出迎えられる。スカリエッテイさんは
「色々と話をしたんだけどね、時間がないからISの修理をして欲しいなら机の上においておいてくれるかい?悪いね」
カタカタとキーボードを叩くスカリエッテイさんは確かに忙しそうだ。邪魔をしたら悪いと思い待機状態のISを机の上におき研究室を出る。そこで箒が
「魔法使いの訓練とやらがあるのだろう?見に行っても構わないか?」
さっきスバルが言っていた訓練、魔法使いの訓練がどんな物か気になっていた俺や弥生さんも
「時間があったらでいいから俺も見てみたいな」
「あたしもだ。どんな訓練をしているのか見てみたい」
言葉にはしてないが簪さんやヴィクトリアさんも興味津々と言う顔をしている。龍也は
「構わないぞ。見てみるといい、それもきっといい勉強になると思うぞ」
龍也の言葉に続いてなのはさんやフェイトさんも
「今日は確か近接訓練の日だったよね?」
「そうそう。シグナムとかが教導官をしているはずだよ」
魔法使いにも近接訓練があるのか、どんな訓練をしているのだろう?話を聞くたびに興味がわいてくる
「それじゃあ訓練が終わる前に行くか。演習場はこっちだ」
そう言って演習場に案内してくれる龍也の背中を見ながら、俺達は見たことがない魔法使いの訓練がどんな物なのか想像を膨らませるのだった……
第90話に続く
次回は少し戦闘シーンをやって、ISキャラとリリカルのキャラの会話とかをやろうと思っています。こういうイベントも大事だと思うんですよね。スバルとかティアナそれにノーヴェとがかメインキャラになると思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。