IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は色々と伏線を用意して行こうと思っています、第90話を過ぎて複線と言うのもおかしいかもしれませんけど。必要な物なのでそこはご理解をいただけると嬉しいです。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第91話

 

 

第91話

 

ノーヴェさんやスバルさんにクラナガンの街を案内してもらった。俺達の知る街と良く似ている、魔法使いの世界とは言えそんなに差異は無いんだなあと感心していたのだが

 

「隣の地区からは閉鎖区域だから引き返すわよ」

 

そう言って背を向けるティアナさん、普通の街並みに見えるけど閉鎖区域ってどういうことだろうか?

 

「む?壁?透明な壁があるぞ?」

 

「本当だな。もたれかけることができるな」

 

マドカとラウラが閉鎖区域の方に手を伸ばして、それぞれの右手と左手を起点にして立っている。まるでパントマイムのようだと思っているとセッテさんが

 

「そこから先はネクロが進行の拠点にしていた移動要塞「パンデモニウム」の残骸が落ちている地区でネクロの魔力に汚染されているんです、当然ネクロの出現率も高く、大変危険ですので龍也様が結界で周囲を封鎖しているのです」

 

そうなのか、かなりの範囲が封鎖されているのかもしれないと思いながら辺りを見る。普通の町並みの中にある封鎖区域。それだけ

ネクロの攻撃が激しいってことなのかもしれない。セッテさんの説明を聞いていると1つ引っかかったことがあった。それを訪ねようとすると箒が俺よりも早く封鎖区域のほうを見て

 

「封鎖区域があるのなら、そこまで警戒する必要は無いんじゃないのか?」

 

箒の質問は正しいと思う。地区を封鎖しているのだからネクロが現れないんじゃ?と思うのは当然の事だ。それなのにこの周囲にはカーキ色の制服を着た管理局って所の人たちの姿が見える。箒の質問にノーヴェさんが

 

「いや、ミッドチルダ全体は魔力に満ちてるからな、空間転移の能力を持つネクロや下位ネクロはその魔力に惹かれてやってくる。封鎖区域とは関係ない所に出てくることもあるんだよ」

 

そうなのか。でもそれを言われるとIS学園の敷地の中に直接跳んで来たこともあったなと思い出し納得しているとスバルさんが

 

「あと勝手に入ろうとすると捕まって、牢屋に入れられるから。罰金は安く見ても50万からだから入らないでね?」

 

いや。俺死にたくないからそんなところ頼まれても入らない。それだけ危ないってことかと納得していると

 

「デバイスのパーツの店は?」

 

エリスさんがそう尋ねる。ISの整備が好きな簪さんも興味津々と言う顔をしている

 

「ああ。見たいって行ってたね。近くだから案内するよ」

 

そう言ってスバルさんは歩き出そうとして、立ち止まり振り返ってティアナさんを見て

 

「隊員証持ってる?」

 

「……忘れたの?」

 

「……うん」

 

いやーな沈黙が満ちる中ノーヴェさんがはぁっと深い溜息を吐いて

 

「あたしは持ってきてるぞ?ティアナは?」

 

「私も持ってる。半日休憩だからってちゃんと身につけてなさいスバル」

 

ティアナさんとノーヴェさんに怒られてしょぼーんとしているスバル。なんか年上なのに可愛いと思え

 

「「ふんっ!」」

 

「ごぶう!?」

 

シャルと鈴の両サイドからの裏拳を両頬に叩き込まれ、一瞬視界が狭くなった気がした、足元がふらついている俺を鈴が掴み

 

「あたし達はあんまりそう言うの興味ないから、別の所を見てみたんだけどいいかな?」

 

デバイスに興味があると言っていたのは、クリスさんと簪さんそれにエリスさんとユウリだ、確かに少数だった

 

「それなら近くにカフェがあるからそこに案内してやるよ。オープンカフェで良い所なんだ、あたしもあんまりそう言うの興味ないからさ、そこで待ってようぜ」

 

助かった助かったと言いたげなノーヴェさんに続こうとするスバルさんはティアナさんに肩をつかまれ

 

「荷物もち」

 

「……はい」

 

多分スバルさんも、そう言うのに興味が無いんだろうなあと思っているとセッテさんが別方向に歩き出す

 

「どこに行くんだセッテ?」

 

「……予約していた龍也様の写真集をとりに行くのです。それではまた」

 

そういったセッテさんは振り返ることも無く歩きさって行った。それを見ていたヴィクトリアさんが

 

「セッテは龍也さんのことを様付けしているが、どういう理由なんだ?」

 

ノーヴェさんはセッテさんの姉だから知っている筈と思い尋ねたのだろう。ノーヴェは頭を掻きながら

 

「セッテは龍也至上主義。龍也の事が何よりも優先する、セッテの部屋なんか壁全部龍也の写真で埋め尽くされてるし、等身大の人形とかもあるんだぞ」

 

……それは相当やバイレベルまで行ってしまっているのでは?と全員が思ったが誰も口に出来なかった。鈴とかシャルはそうか……とかなんか悟りを開いた顔をしているし、この世界は下手をすると鈴とかにかなりの悪影響を与えるのでは?と思わずにはいられなかった……

 

「まぁ。そう言うわけだからセッテはほっておいて良いぞ。邪魔すると襲ってくるからな、それよりカフェに行こうぜ」

 

そう言って歩き出すノーヴェさんと

 

「末妹ですし、お兄さんに憧れがあったんだと私達は判断していますから。龍也兄様は尊敬できる人ですし……無理も無いと思うんです」

 

にっこりと笑いこちらですと言って歩き出す、ディードさんの背中を見て俺達は馴れって恐ろしいなあと思うのだった……多分六課の人は魔王に慣れきってしまっているんだろうなあと思うのだった……その後俺達は観光名所を見て回り、龍也の家へと帰ったのだった……ちびっ子が元気でトランプしよーよーとか言って鈴とかシェンさんにじゃれ付いているのを見ながら、部屋に戻りベッドに寝転がって夕食の時間まで少しだけ眠ることにしたのだった。実を言うと最近夜禄に眠ることが出来ず寝不足気味だったからだ、少し街を歩いて疲れたのか俺は夢を見るようなこともなく眠りに落ちたのだった……

 

 

 

なおティアナに簪さんとエリスさんは

 

「これがデバイスのパーツ」

 

「結構高いんですね」

 

パーツと値段を見てそんな話をしている簪とエリスにティアナは

 

「まぁここのは六課とかの前線部隊のパーツを専門で取り扱ってるからちょっと割高よね。まぁ性能はいいからそれでも買うんだけどね、おじさん、頼んでおいた狙撃用のパーツとハンドガンのカートリッジは?」

 

「はい。ちゃんと仕入れてあるよ、いつも買ってくれるかちょっと割引しておくね」

 

店員から渡されたパーツを受け取っているティアナ

 

「このカートリッジギミックと言うのはこれか……」

 

「見て判るの?ユウリ」

 

「判らん、どうやって搭載するんだ?」

 

カートリッジシステムを見ているユウリと楯無

 

「1回フレームをばらしてロード機構とマガジンを搭載するの、同じ外見でも中の性能は違うからね、その人の魔力ランクに応じて買うんだよ」

 

スバルはカートリッジを買い足したいけど、隊員証を忘れたしなぁと呟いている

 

「はい。スバル荷物を持って」

 

「はーい。かなり多いね今日は?」

 

「まぁね。あとこれよろしく」

 

簡易デバイス製作キットをスバルに手渡す。それは嘱託の魔導師が使うデバイスを作れる物だった

 

「どうするの?これ?今更必要ないでしょ?」

 

スバルの問い掛けにティアナは私のじゃないわよと返事を返して

 

「簪とエリスはメカニック志望なんでしょ?私がメンテナンスする時に教えてあげるから組んでみなさいよ」

 

「え?私とかでも作れるの?」

 

「作れるわよ。私とスバルも最初は自作のデバイス使ってたしね。ユウリは?買うならもう1つ買うけど?」

 

「まだ良い、考えたいことがある。デバイスを作っている余裕は無い」

 

ユウリはそう呟くと店を出て行ってしまった。楯無はそんなユウリの背中を見つめて

 

「ごめん。ユウリが心配だから行くわ。後でね!」

 

簪とエリスにそう声を掛けて出て行ってしまった。残されたスバル達は

 

「何か訳ありそうだね。まぁ私が言う問題じゃないか……それじゃあカフェに行こうか」

 

会計を済ませ一夏達が待っているカフェにと向かったのだった……

 

 

 

 

 

龍也に連れて来られて来た研究室では

 

「やぁ。ミス・ミューゼル、ようこそ私のラボへ」

 

白衣を着た紫色の髪の男性に迎えられる。龍也の話によると彼が私の手足を治してくれる科学者のジェイル・スカリエッテイと言うここでは高名な科学者らしい

 

「大丈夫なのか?かなりハイなやつそうだぞ?」

 

「大丈夫だ。頭は少々おかしいが腕は確かだ」

 

「待ってくれないか龍也。頭がおかしいというのは出来たら否定して欲しいのだが?」

 

なんか不安になるんだけど……本当に大丈夫なのかしら

 

「心配しなくていいよ。ミス・ミューゼル、私なら君に再び走ることが出来る足と大事な物を掴める手を与えられる。信用してくれたまえ」

 

金色の瞳が私を見る。その目は真っ直ぐで信じてくれと伝えてきているような気がした

 

「判ったわ……よろしくお願いするわ。ドクター」

 

「ああ。任せてくれたまえ、さてと龍也とミス・オータムは外へ行ってくれるかい?この手術はとても難しい私1人にしてくれ」

 

スカリエッティがそう告げると龍也は私を見て

 

「不安に思うことは無い、ふざけているかのような口調だがこいつは良い科学者であり医者だ、私の義手もこいつの作品だ、心配する必要は何ひとつ無いぞ」

 

そう笑って出て行く龍也。だがオータムは不安そうに私とスカリエッテイを交互に見ている。会ったばかりだから不安なのだろう

 

「心配ないよ。ミス・オータム、失敗はありえない。半日ほど掛かるから外で待っているといい」

 

優しい口調で言われたオータムは少し考える素振りを見せてから頷き

 

「スコールをよろしく頼む」

 

「任せておきたまえ」

 

スカリエッテイにそう声をかけてオータムは部屋を出て行った。残ったのは私とスカリエッテイだけだ

 

「ではまずは腕の適合性を試すよ。色々と用意してみた。1番感じの良いのを言ってくれ」

 

スカリエッティの後ろのハンガーには右腕がたくさん掛けられていた。多分これが切り落とされた右腕の代わりになるのだろう。私の右腕の接合部にあるコネクターにワイヤーをつないで

 

「良いよ。動かしてみてくれ」

 

「どうすればいいのかしら?」

 

タスクではこういう感じではなかったので感じが判らないと言うと

 

「拳を握り閉める、開くで良いよ。感覚は繋いであるから思うだけで動くはずだよ」

 

言われたとおり拳を閉じて開くイメージをしてみる。離れた所にある右腕がゆっくり動く

 

「固い気がするわ」

 

酷い筋肉痛の時に手を動かしているような気分だというと

 

「じゃあ次だね。これはどうだい?」

 

今度は軽いので軽いという。どうも見た目は同じだけど少しずつ違うらしい、そんな中5本目の腕で

 

「あ、これが丁度いいわ……自分の腕みたいにしっくり来る」

 

前の右腕よりも感じが良い。それに実に滑らかに動くというと

 

「ん。これだね。肘と手首のモーターを強くして人工筋肉を少し多めに使っているのが良かったのかな?それじゃあ右腕は決まりと」

 

「今度は足なのかしら?」

 

私がそう尋ねるとスカリエッティはいいやと言って

 

「足のほうは人工筋肉から骨格。手術で今の機械の骨格を取り出して嵌めなおす。だからここからは手術になる」

 

そう言って私に失礼と声をかけてからオペ台に優しく乗せてくれる。仰向けでスカリエッティを見て

 

「リハビリとかは必要なのかしら?」

 

不安を口にするのは嫌だったのであえて軽い口調で尋ねると

 

「不要だよ。身体に馴染むまでの2~3時間ベッドの上でいてくれれば歩けるようにはなる。走れるようになるのは少しだけ時間が掛かるかもね」

 

そう言って手術の時の麻酔の用意をするスカリエッティに

 

「どうして貴方はそんなに滑らかに手術の準備が出来るの?」

 

この手術の準備は明らかに手馴れた感じだと思い尋ねるとスカリエッティは

 

「この手術は戦闘機人の手術だ。ネクロに脅され私が作ってしまった、だから私は誰よりもこの手術に詳しいのさ」

 

明るい性格だと思っていたけど彼も内に闇を抱えてたのね。もしかすると私とオータムのように龍也に仲間にされたのかもしれない

 

「心配しなくても良いよ。直ぐに終わるからね。それじゃあお休み」

 

麻酔を掛けられて私の意識は闇の中にと沈んで行ったのだった……

 

「う、うん?」

 

目を覚ますとそこは研究室ではなく白を基調にした医療室のような部屋だった

 

「や。目が覚めたかい?ミス・ミューゼル」

 

ぼんやりとした頭を振って身体を起こそうとしたが

 

「動けない?」

 

体がピクリとも動かない。動くのは視線と口だけだった困惑している私にスカリエッティが

 

「うん。まだ動けないよ、ついでだから右腕と両足だけじゃなくて背中とかの金属の骨格も交換しておいたよ。今まで傷みとかあったんじゃない?」

 

その言葉に頷く。金属の骨格は取替えが利く分便利だったが拒絶反応とかで薬が手放せなかったのだ

 

「その薬ももう必要ないから、人造骨格と筋肉に変えてるから薬は必要なし、まぁ今日1日は大人しくしていてもらうけど……多分明日からは普通に歩けると思うよ」

 

それは予想以上に良い変化だ。今まで苦しんでいた拒絶反応がなくなるだけでもありがたい

 

「ありがとう。ミスタ・スカリエッティ」

 

「どう致しまして。それじゃあもう少し休んでいると良いよ、多分眠いだろうしね」

 

そう笑って出て行くスカリエッティの背中を見ているとまた強烈な眠気が襲ってきた。ここはもう少し眠ったほうが良さそうだ、私は睡魔に身を任せて眠りに落ちたのだった……

 

 

 

 

 

ワタシはどうすればいいのだろうか……

 

龍也に許可を取って1人でクラナガンの街を歩きながらワタシは考え事をしていた。前にセリナが現れた時、もし楯無がいなければワタシは死んでいただろう。それを自分の身を呈して助けてくれた楯無、そしてその楯無を莫大なデメリットがある核同調(コアトレース)を使ったワタシ……

 

(ワタシは……どうして楯無を助けたんだ……助けられたから?)

 

助けられたから助けた、それは当然の事だ。だがそれだけか?もやもやとした感じが何時までも胸に残る。首から下げたロケットペンダントを開く。そこにはまだ人間だった頃のセリナの写真が収められている。研究所で唯一残っていたセリナの写真だ……ロケットを閉じる。よく考えるとIS学園にいる間に何度このロケットを開いただろう?タスクでは毎日見ていたのに

 

(ワタシは楯無に惹かれているのか?こんな身体で?)

 

ワタシはあの外道共の実験で男になってしまったが、本当は女なのに?何時限界が来て死ぬかもしれないのに?

 

「馬鹿らしい……そんなことは許されることでは「何が馬鹿らしいの?」

 

突然聞こえた声に驚きばっと後ずさるとそこには

 

「なによ~そんなに逃げなくてもいいじゃないユウリ」

 

センスを片手にくすくす笑っている楯無がいた。今1番会いたくない時に来たなと思っていると

 

「それで?何が馬鹿らしいの?」

 

首を傾げながら尋ねてくる楯無に

 

「言う必要は無い」

 

つっぱねる用に言うと楯無はくすりと笑みを深めて

 

「そ、それならユウリが言うのを待ってるわ」

 

にこにこと笑う楯無はそうだと言って

 

「はやてさんとかが観光にいいところを教えてくれたから一緒に行きましょうよ」

 

「嫌だ。付き合う道理は無い」

 

考え事をしたくて1人になったのに楯無と一緒では意味が無いと思いながら言うと、楯無は顔に浮かべていた笑みを消して

 

「それで自分だけで全てを解決できると思って進むの?」

 

その目は真剣そのもので言葉に詰まる。そんなワタシを見ながら楯無は

 

「あのセリナって言うネクロに会ってからユウリはずっとおかしいよ。昔の知り合いかもしれない、もしかすると私にセリナって言う人を重ねて見てしまって辛いのかもしれない。だからって1人になるのはおかしいと思うよユウリ」

 

確かにワタシは楯無にセリナを重ねて見てしまっているのかもしれない、何かもセリナと楯無は良く似ているからだ

 

「私はユウリが話したくなるのを待つよ、だけどユウリがまた1人になるのはほっておけない。だから私はユウリを1人にはさせない」

 

強い意志を宿した目で私を見る楯無。だがワタシが抱えている問題を話して良い物かと思う、話してしまって楽になる所か自分の首を絞めてしまうかもしれない可能性があるからだ

 

「何かを悩んでいてもいいよ。ユウリはユウリでしょ?何も不安がることも怖がることは無いと思うよ?さてと!それよりも行こう!良い所があるって教えてくれたんだよ」

 

そう言ってワタシの手を取って歩き出す楯無。こういうところはセリナには無かった所だ、それにさっきまで楯無と一緒に居たく無いと思っていた。それなのにつながれた手から感じる体温のせいかとても安心する。ワタシは1人ではないんだと思える

 

「楯無どこへ行くんだ?」

 

どこに行くかも知れずについていくのも可笑しな話なのでそう尋ねると楯無は

 

「凄く良い所よ。龍也さんやはやてさんが良く行く場所なんですって」

 

そんな所に行っていいのか?龍也やはやてが良く行くという事は2人がなにか思い入れがある場所なのでは?と思っていると

 

「そこからの景色が凄く良いんですって。そこに行ったらきっとユウリの悩みも解決するんじゃないかしら?」

 

強引ではあるがワタシのことを心配しての行動だったのか……ワタシの手を引く楯無の背中を見つめながら

 

(覚悟を決めたほうがいいのかも知れんな)

 

楯無だってきっと不安に思っている。セリナを見て恐怖しただろうし、ワタシが如何して自分の傍にいてくれるのかと考えただろう

……それでもなおワタシの手を掴んでくれた楯無。何時までも逃げていても仕方が無いのかもしれない……それが恐怖や不安を乗り越えてワタシの手を掴んでくれた楯無に対してワタシが出来るただ1つのことなのだから……

 

 

 

 

 

ISの改修と修理がまだ終わってないからと言って、身体を動かさないといざと言うとき身体が動かないので、演習場で組み稽古をしているのだが

 

「遅いぞ一夏」

 

マドカの冷静な一言が聞こえたと思った瞬間。天と地が逆転し俺は背中を強か地面に打ちつけていた

 

「あいたた……何をしたんだ?」

 

マドカにそう尋ねるとマドカは手を振りながら

 

「円運動だ。合気の一種だな、これなら身長も体重も何もかも関係ない」

 

ふふんと笑うマドカ。その笑い方は千冬姉にそっくりだった、俺は腰をさすりながら立ち上がる。徒手空拳の組み手も駄目、木刀を使った軽い打ち合いも駄目。今日は散々だと思ういや……別の理由からか

 

(俺は戦うのが怖いのか?)

 

2回の暴走また何時暴走するかもしれないという不安が会って集中しきれないのか?

 

「一夏。今日は少し動きが悪いがどうかしたか?」

 

弥生さんとの組み手を終えたラウラがそう尋ねてくるとそれが切っ掛けになったのか鈴や箒も訓練を1回止めて

 

「確かに今日の一夏は随分と動きが悪いな、どうかしたのか?」

 

「調子が悪いならクリスとかと動きの分析をしてたらどう?」

 

俺を心配してそう言ってくる箒と鈴。だが調子は悪くないのだ、だが身体が動かない

 

(俺はどうしてしまったんだ)

 

箒や皆とネクロと戦うと決めたはずなのに、俺の身体は俺の決意を嘲笑うかのように動いてくれない。その事がもどかしくて苛立ちを感じつつ、箒や皆を心配させるわけにも行かず

 

「少し考え事をしてただけだ。次からは大丈夫だ」

 

パンっと手を叩いて気合を入れるような素振りをする。今はISを使ってないんだ暴走する筈が無いんだ、何を恐れる必要がある?そう考えて深く深呼吸をしもう1度マドカとの組み手をやろうとしていると、ふと気付く

 

(あれ誰だ?)

 

逆立った金髪に、黒いライダースーツの青年が俺を見ていた。その眼光は異様なまでに鋭く、思わず背筋が伸びた。ここにいるということは六課の人間だと思うんだが、どうも雰囲気が違うなあと思っていると

 

「皆ちょっと来い」

 

演習場に来た龍也が俺達のほうを見て手招きする。何の用だろうと思いながら近づくと

 

「今から私は今度ここに配属される隊員の訓練を見に行くのだが、一緒に来るか?」

 

ちょっとそこまでって言う感じで言う龍也。ここに配属される隊員の訓練の見学?そう言うのって俺達が行ってもいいのだろうか?

 

「え?そう言うのってあたし達が行っても良いの?」

 

思ったことをすぐ口にする鈴がそう尋ねるとヴィクトリアさんも

 

「向こうは事情を知らないのだろう?私達が行ってたら気分を害するのではないのか?」

 

雑誌やTVで見たが機動六課はエリート部隊で若い隊員の憧れの部隊だそうだ、そんな部隊への配属が決まるかもしれない訓練の見学に何も知らない俺達が行くのはお門違いではないだろうか?

 

「いや、お前達が着いて来る事に意味はある」

 

龍也は有無を言わさない強い口調でそう言い切った。その余りに強い口調に萎縮する面々がいる中、シェンさんが

 

「龍也さん、私達が行くことに意味があるってどういうことですか?」

 

魔法を知らない俺達が行く事に意味があるなんて到底思えない、龍也は俺達を見ながら

 

「今から行く部隊は追跡班の訓練生がいる部隊だ。大体が15~17歳が多い、それに実戦経験をしているティアナやスバルは先に行って自分達の体験談を話す準備をしている」

 

ここで言葉を切った龍也は少しだけしゃがみこみ。俺達を見て

 

「不安があって訓練で身体を動かして不安を紛らわそうとしているのは判る、だが今必要なのは別にあると思う。同年代と話してみて、訓練を見てみて。自分達が不安に思っていることを訪ねてみると良い、何時までもそれを抱え込んでいては悪循環にしかなりえない。寝れてないんだろう?」

 

龍也の言葉で俺や箒達の背筋が伸びる……そう俺達はここ最近禄に眠れていない、俺は眠るとまたあのオレに会うかもしれないという恐怖から。箒や鈴達はあの時見た自分のネクロの存在がきがかりで眠れていないのだ

 

「そんな状態で訓練をしても意味が無い。だからどうだろうか?気分転換、そしてお前達が抱えている問題を解決するために一緒に来ないか?」

 

冷静に説明してくれる龍也。俺達は少し考えてから行くと返事を返したのだった……そして龍也に連れられていった部隊で俺達は知る事になる。戦うと言う事と立ち向かうと決めた人達の話を聞いて、そしてその話が俺達の人生の転機になるということを今の俺達は知らないのだった……

 

 

車に向かう途中で俺は気になっていたことを龍也に尋ねてみる事にした

 

「さっき逆立った金髪の人が俺達を見てたんだけど」

 

俺がそう尋ねると龍也はああと頷き

 

「ルシルファー・S・ハーティーン。剣の腕はピカイチで面倒見も良い、少々口が悪いから、勘違いするかも知れんがいい奴だよ。

多分お前達の動きを見て何か言おうとしてたんじゃないかな?」

 

そうなんだ。じゃあ怖がることはなかったのかと安心していると龍也は

 

「まぁその内に紹介する。あいつは言う事を聞かないのでな、いつかとは言えんがな」

 

そう苦笑して歩く龍也の運転する車に乗り。俺達を乗せた車は新人がいるという部隊の方へと走り出したのだった……

 

 

~おまけ~

 

シェンの日記

 

龍也さんの豪邸の中で私は

 

「迷った……」

 

自分の部屋が判らなくなりうろうろしていると

 

「どうしたんですか?」

 

「あーリィンちゃん?」

 

私を見上げながら尋ねてくるリィンちゃん。迷子になったとは言いにくくなんと答えた者かと考えていると

 

「暇なら遊んでください」

 

キラキラとした目で尋ねてくるリィンちゃん。その手にはグローブとボールが見える。キャッチボールでもしてたのかなと思いながら

 

「良いよ。遊ぼうか?」

 

「わーい!じゃあこっちです!」

 

嬉しそうに笑って歩き出すリィンちゃんの後をついていくと、ホールに出て玄関の前に出た。小さくても暮らしてるから覚えてるんだなあと思いながら一緒に庭に出ると

 

「キュー♪」

 

「待て待てー!」

 

「回り込むよー!!!」

 

庭を走り回るドラきちとそれを追いかけているアギトちゃん達の姿が見える。私とリィンちゃんが行くと

 

「……こ、こんにちわ」

 

「こんにちわ」

 

フードを被っている少女に頭を下げ返す、リィンちゃんに差し出されたグローブを受けとり

 

「おー?リィンも遊んでくれるのかー!」

 

「人が増えると楽しいよねー」

 

「そうですね、よろしくお願いしますね」

 

「キュー!!!」

 

ちびっ子軍団とドラゴンが楽しそうに笑う。私はグローブをバシバシと叩きながら

 

「よーし!こーい!!」

 

「えーい!!!」

 

山なりで投げられたボールを受け止めながら

 

(なんかこういうのいいなあ)

 

IS学園ではなかった心休まる時間。こういうのは凄くいいなあ、私はそんな事を考えながらボールをアギトちゃんへと投げ返したのだった……途中で鈴も出てきて

 

「面白そうじゃない、あたしも遊んであげようか?」

 

「わーい!嬉しいです!じゃあこれをどうぞ!!」

 

リィンちゃんからグローブを受け取り私の隣に立つ鈴に

 

「行くぞー!」

 

綺麗なフォームから投げられたボールは真っ直ぐ鈴の胸元に来る

 

「上手いじゃない。ほら行くわよー」

 

リィンちゃんに山なりにボールを投げると

 

「キュー!」

 

ドラきちがそれに割り込んでボールを口でくわえる。

 

「「おおー」」

 

私と鈴は思わずその曲芸のような動きに拍手をしてしまった。それから私と鈴はアギトちゃん達が満足するまでキャッチボールや追いかけっこをして遊んであげたのだった……

 

 

第92話に続く

 

 




次回はオリジナルの部隊を出す予定です。ネクロと街で考えてたら面白い部隊が思い浮かんだものでそれをぜひやろうと思っています。そして次回の話で一夏達が決意の様な物を固めるような話しにしたいと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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