meet again   作:海砂

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気にしないでござる!

「やっと……追いついた……」

 

 それは宗次郎くんが志々雄に追いついたということ。

 すなわち、私の負け。チクショウ。

 

 宗次郎くんはボロボロになった刀を志々雄に渡して謝っていた。

 

「僕が悪いんじゃないですよ、怒るなら緋村さんを怒って下さいね」

 

 前言撤回、別に謝ってはなかった。

 

「逆刃刀でまさか「長曾禰虎徹」をここまで壊すたあ、少し甘く見ていたか……」

 

 誰が打ったのかが重要ではない。どう働くかが重要だ……これ、本当に本物なんだろうか? ガチ剣客の志々雄が言ってるんだから本物なのかな?

 

「コテツ?」

 

 由美さんが虎徹を知らない宗次郎くんに説明してあげている。

 頭がパーとか言われてるけど学問をする余裕がなかっただけじゃないかな、宗次郎くんの場合は。

 

「宗次郎、一つ頼まれてくれねーか」

 

「弁償以外なら何なりと」

 

「……桂木裕美、お前もだ。東だけじゃなく「十本刀」を全員、ただちに京都に集結させろ」

 

 ……恐れおののく由美さんとは対照的に、志々雄はひどく楽しそうだ。

 

「力ずくでも「緋村剣心」の中に押し込められてる「人斬り抜刀斎」を引きずり出したくなった」

 

 ニッと笑う志々雄、包帯や火傷も相まって、怖い。

 

「わかりました『鳩』を勝手に使いますよ。僕らだけで全員集めてたら時間がかかりますからね」

 

「好きにしろ」

 

『鳩』? 暗喩なのか、それとも本物の鳩か、まあ宗次郎くんに付いて行けばわかるだろう。

 

「……ああ、『鳩』を使うんだったら俺自身が檄文を飛ばした方が効果的だろうな。よし、西はいい、やはりお前たちは東の十本刀を集結させろ」

 

「わかりました」

 

 結局『鳩』が何なのかはわからないままになりそうだけど、まあいいや。

 流れは原作通り、東の十本刀を集める方向になった。

 

「裕美さん、まず僕らは中山道に向かいます。下諏訪に一人、十本刀がいますからね」

 

 下諏訪……安慈さんか。

 

「了解。道中十本刀について詳しく教えてくださいね。さっきから何のことやらさっぱりなので」

 

「そういえば裕美さんには話してませんでしたねえ、まあ、おいおいと」

 

 知ってるけどね。原作には出ないもっと詳しい情報が聞ければ御の字だろう。

 

 

----------

 

 

「ぅおえェえええェ」

 

「大丈夫? 弥彦」

 

「大丈夫くない」

 

 士族の子が船床に伏している。

 俺は二択を迫られる。

 ……知らぬ。陶の者など知らぬ。

 翁はあれだ葵屋のジーサンだ間違いない。

 同時期に出た、京都で、陶……陶芸?

 ピコーン! 陶芸家! 新進気鋭の陶芸家!

 思い出した! 比古清十郎の本名だかペンネーム! 新津なんちゃら!(覚えてない)

 翁と比古清十郎、そりゃどっち選んでも騒乱に巻き込まれるわな。

 それ以外選んじゃダメ? ダメかな? ですよねー。占いオソロシイ。

 

 京都に着いたら、赤べこの妙さんのご実家を頼ることになっている。

 そこに確か尋ね人の張り紙をして、それを操ちゃんが見るんだったはずだ。

 そして二人が出会う。

 一緒に比古清十郎の元を訪れて……そこからルートが別れるのかな。

 比古清十郎と剣心とともにいるか、はたまた葵屋に向かうか。

 ……よし決まり。なんだかんだ言っても薫さんと弥彦をほっぽりだすのは性に合わない。

 『葵屋』ルートに決ーめた!

 色々と巻き込まれるけどまっ、しゃーない。これが俺の気性だ。

 ……比古清十郎の後ろに隠れてコソコソしてる方が命は助かりそうな気もするけどキニシナイ!


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