meet again 作:海砂
あーくそ、パームのバカタレが。
念能力を使ったのが原因で変なのがわんさか沸いて出たらどうする気だ!
ヒソカは多分いないだろうからともかくとして、クロロあたりに興味もたれた日にゃ俺は一人で全力で逃げるぞ。盗まれようが殺されようか知ったことか!!
なーんてな、出来る性分だったらこんなに苦労はしてないさ。何だかんだいって、やはりあのガキどもを放ってはおけない。貴重な仲間だし。なので小一時間の説教に留めておいたありがたく思えコンニャロ。
今日はもう日も暮れるような時間帯で、なおかつ石化した俺に次の試合が組まれる事はなかった。あー、明日から40階か。めんどくせー。とっとと180階くらいには行っときたかったんだが。ま、シュートの脅しさえなければ、トンパばりの土下座で速攻負ける気だったけどな。
……ん? そういやあいつの
ムカついたので、100階に向かう途中でシュートをピリピリと(けしてビリビリではない)痺れさせてやった。案外便利だなこの能力。イヤガラセに最適だ。
そして部屋に到着するやいなや俺はバタンキュー。今日は何かもう色々な意味で疲れた。シュートにゃ悪いが俺はベッドで寝かせてもらう。決定。問答無用。文句言ったらミミズサイズの
そしてウトウトしかけた頃、誰かが来た。知らん、シュートお前さんが出ろ。どうせパームが暇だとか言って遊びに来たんだろ相手してやれ。
「え……っ、う、ウイング!」
俺を呼ぶな。知るか。ウゼー。
「ウイングってば!」
シュートがあまりにもうるさいので仕方なく顔を上げる。
……変なの沸いて出たー!!
「初めまして、ウイングくん、シュートくん。私は……ああ、いえ、私も、ウイングと申します」
その後のことは覚えていない。気付いたら俺はベッドの上に正座していた。あああああなんか変な展開になってきた。
パームのバカタレウンコタレ、とか脳内で罵っていると、ウイングさんが話し始めた。
「今日のお二人の戦いを見せていただきました。先ほどパームくんから聞いたように、おそらく君たちも何らかの念能力者なのでしょう。それだけでも吃驚に値しますが、ひとまずそれはあまり関係がありません」
何が言いたいんですか。なんかさっきから俺ばっか見てませんか。うっかりウイングさんもヒソカと似たような性癖の持ち主だったりしたら俺舌噛み切って死にますよ?
「ウイングに話したいことがあるって言うから、連れてきたの。……私の独断で。ごめん、でも、きっとかなり重要な事だと思って」
はいはいお前さんのカンはあよく当たりますねー俺ほどじゃないがな。けど、もうこれ以上原作キャラに関わりたくねーよ俺……。
「君が念能力を使用した瞬間も見せていただきました。随分と、オーラの総量が少ないですが、それには気付いていますか」
アンタわざわざ俺を凹ませる為に来たんかい! はいはいどうせ俺はオーラないですヘタレですー。もうしっかり自覚もしていますー。なんてチキンな俺様には絶対言えないので、無言で頷いた。
「では、その理由は、自覚していますか?」
……なんかね、今、耳がウサギさんになったよ? 俺のオーラが増えないのは生まれつきじゃないのか? ちょっとまじめに話を聞こう。俺は改めて、ベッドに座りなおした。
「俺は、気付いたら念を覚えていました。自分の知らない間にです。そして、その時以来、どんなに修行を積んでもオーラ総量は増えませんでした。理由は全くわからないので、生まれつきのものだと思っていました」
ウイングさんが、やはりといった面持ちで俺の目をじっと見た。後の二人は固唾を呑んで見守っている。
「君は、これはあくまでも私の予想なんですが、無意識下で何らかの強大な念能力を使用しています」
ナ、ナンダッテー!?
「そして、その念能力の誓約として『オーラ総量が増えない』というものが組み込んであるものと思われます」
知らんよ。俺知らんがな! そんな覚え全くナッシング!
「直にこの目で見たわけではないので、その能力がどういったものかまでは私にはわかりません。……念能力者は、実際に念を使用していると、ごく微量ですがオーラの総量が増えていきます。現にパームくんには戦闘中、その傾向が見られました。ところが、君は全く増えていない。これは、通常では絶対にありえないことです」
さらに、ウイングさんは言葉を続ける。俺はもう完全にダンボな耳で彼の話に聞き入っていた。王様の耳はロバの耳ー! (特に意味は無い)
「現在いる辺りでの戦いでは問題はないでしょう。しかし、200階以上に行けば能力者はウヨウヨいます。そして、総量が増えない以上、君はおそらく、そこでまともに戦うこともできずに負け、下手をすれば死ぬかもしれません」
ああ、ウイングさんは多分、俺たちが最上階を目指しているものだと思っているんだろう。まあ、天空闘技場にいる大抵の奴らは実際目指してるだろうしな。興味も無い事もないし……な。怖いから絶対行かないけど。
「みすみす子供を、しかも才能ある子供達を危険には晒したくないと考えたのです」
ウイングさん、あんたええ人や……ヒソカなんかと同列扱いして本当すんませんでした。
「ウイングさんは、その能力を解除する方法はご存知ですか?」
期待のこもった眼差しで見つめる。だが、答えは無情にもNOだった。
「今現在発動している様子はうかがえません。実際に発動しているときであれば可能かもしれませんが……再度尋ねますが、自分ではそういった能力の心当たりはないのですね?」
頷く。俺の特質能力も偶然出来たものとはいえ、それ以前からオーラ総量は増えなかった。つまり、
「では、それを自分で、何らかの方法で理解できるようになるまでは、200階以上に進むのはやめた方がいいでしょう。出来れば、四大行のような基本的なもの以外の念能力自体をあまり使用しない事をお勧めします。興味を持って近付いてくる輩もいますからね」
えーと、つまり? 現状じゃ俺は200階でフルボッコにされるから、なんでオーラ総量が増えないのかを先に調べようねってことかな? たぶん。んで、下手に能力使うとクロロみたいなんが盗みにくるから使わない方がいいよってこと?
「話は、それだけです。本当に、おせっかいだったら申し訳なかったのですが、どうしても放っておけない性分なもので……同じ名前の、よしみもありますしね」
そういって、ウイングさんは笑う。笑顔は本当に幼い人だなぁ、と、全然関係ないことを考えてしまった。
「いえ、本当に助かりました。自分の才能の無さだと諦めていたんですが、これで少し未来が明るくなったような気がします。さすが、心源流拳法の師範代だけのことはありますね」
「ふふ、それも君の能力ですか? 私は名乗ってしかいないのに、どうやらそれ以上のことを知っているようだ」
やべっまたやらかしたか? と思ったが、割と好意的にそれは取ってもらえたらしい。
「どうしても理由がわからない時、或いは心源流拳法を学びたいと思った時には、いつでも訪ねてきてください。君たちなら歓迎しますよ」
自分のホームコードを残して、ウイングさんは去っていった。あ、何でここにいたのか聞いておけばよかったな。別に、知る必要のないことではあるけど。
「ウイングの念能力が増えない理由……ちゃんとあったんだね。てっきり才能がまるで全然ないものだとばかり……」
シュートもそれに頷いている。チクショーそういう風に見られてたってことか! いや自分でもそう思ってたけどさ。
「でもさ、元々200階未満で金貯めようって話だったんだから、それに関してはそのまま続行でいいんじゃね?」
「ああ、そうだな……」
オーラを失った理由、それほどの誓約がなければ発動しない能力……俺の中の何かがカチリと音を立てて外れた気がした。
ありがとう、ウイングさん。これは、必ず何かの足掛かりになる。
俺は、そう確信した。
ウイングさんはズシの修行場所として天空闘技場を前もって視察に来たというどうでもいい裏設定。