meet again 作:海砂
オレはゴンやクラピカ、レオリオとともに、ゾルディック家に向かうことにした。国の名前とかは覚えてないけど、ゼブロさんとシークアントさんなら多分オレの顔も覚えていてくれるだろう。そう悪いことにはならないはずだ。
観光ビザを取り、飛行船に乗っておよそ三日、パドキア共和国に到着した。
観光バスに乗ってククルーマウンテンを目指す。何か信じらんねーな、つい最近まであそこにいたなんて。パームのドア使ったせいなのか、いまいち実感がわかない。まあ、あの門の前まで行けば思い出すだろうけど。
移動している間に、念能力のことを三人に教えた。特にクラピカは強い興味を示し、オレに精孔を開けとまで詰め寄ってきたけど、それはさすがに断る。きっとこのままでも三人とも念能力をいずれ学ぶ事になるだろうし、正直、オレがやって無事ですむとは思えない。ゴンとレオリオは割とすぐに納得してくれたけど、クラピカは「死ぬのは怖くない」とか何とかいいながら全然人の話を聞いてくれなかった。けど、二人が何とか抑え込んでくれた。……オレは、その時クラピカの紅い瞳を初めて見たんだけど……なんていうか、本人には言えないんだけど……綺麗だった。
ウイングが言っていたこと……きちんと師匠を持って時間をかければ、精孔は安全に開くことができる。とりあえずオレは、そう伝える程度にとどめておいた。
無事に正門まで到着。……バスガイドさんのカンチガイな説明のせいで、ずいぶんたくさんの人間があのカギ付きドアから入って、死んでいったんだろうな。ちょっと真実を教えてあげたい気もするけど、ゼブロさんの立場とかもあるだろうし止めておいた。オレはゴンたちとも離れて、バレないように身を潜める。バスの人たちがいなくなるまで。
そして、なんか胡散臭そうで弱そうなのがゼブロさんからカギを奪い取って、骸骨になって出てきた。ゼブロさんも自分で半殺しにしてやれば彼らが死ぬこともなかっただろうにな。そういえばウイングが『数が多すぎて、いちいち半殺しにしてらんねー』とか言ってたのを思い出す。……大変なんだな、門番の仕事ってのも。
オレたち四人は、そのままこの場に残った。
「ゼブロさん、お久しぶりッスー!」
手を振るオレに、ゼブロさんも気付いて笑顔で手を振り返してくれた。
「おや? あとの二人はどうしたんですかい?」
「んー、事情があって別れた。今はこいつらと一緒に旅してるんだ」
三人をゼブロさんに紹介する。ゼブロさんは快く受け入れてくれた。
そして、三人に門の仕組みを教える。レオリオが挑戦してみたがビクともしない。ゼブロさんの『せっかくだから』というよくわからない理由で、オレが門を開けることになった。
念無しで、2の扉まで開く……駄目だな、やっぱ随時鍛えてないと、筋力鈍るや。
……三人がバケモノを見る目でオレを見る。ひでぇなぁ。ゼブロさんが丁寧に解説してくれた。ここに留まって筋トレしたこととか、ウイングが働いてたこととか。
「オレは侵入者でいいよ」
おいおーい、ゴン、ゼブロさんの説明聞いてなかったの? オレでさえミケと正面切って戦いたくはないんだよー?
「ゴン、ゼブロさんの言うとおりだ。絶対ミケに殺されるよ」
「それでも納得いかないよ、友達を試すだなんて。絶対そんな門からは入らない!」
……これは、実物のミケを見せたほうが早いかな? そう思っていたら、執事室とやり取りをしたあと、ゼブロさんがゴンを説得してくれた。
「ゴンくん、今度は正面からミケを見てください」
そしてちらりとオレの方を見る。……はいはい、オレが開けるんですね。了解ッス。
全員で中に入って、ゼブロさんがミケを呼ぶ。
「久しぶり、ミケ」
ミケは無表情のまま、初めて見る三人をじっと眺めている。ゼブロさんが、ミケのコトを三人、特にゴンに説明していた。
「絶対戦いたくない」
ゴンでもやっぱそう思うよな? アレを手なづけようとしたパームはある意味勇者だ。
ゼブロさんは、オレも前に泊まっていた使用人の家に案内してくれた。シークアントさんに会うのも久々だな。
「おっ? お前また戻ってきたのか。後の二人はどうした?」
シークアントさんにもゼブロさんにしたのと同じようなことを説明してる間に、ゼブロさんは三人を室内に招きいれていた。三人ともスリッパに手こずっている。あー、オレも最初あんな感じだったなぁ。
「オレでも一年かからずに3の扉まで開けられるようになったんだから、三人ならもっと早く開けられると思うよ」
オレとゼブロさんの言葉に納得したのか、三人はここで世話になることを決めた。ついでにオレももう一度鍛えなおそう。もう一度3の扉を開けられるように。
20日後。オレは3、レオリオは2、あとの二人は1の門を開けられるようになった。
ゼブロさんたちに見送られて、オレたちは道なりに進む。……ここから先は、オレもどうなっているのか全く知らない。
しばらく進むと、柵に囲まれた庭園のような、きちんと人の手入れが入った区画に出た。屋敷が近いのかな……と思っていると、入り口に誰かが立っている。オレらと同じくらいの年齢の……女の子だ。
「出て行きなさい」
ゴンが彼女と会話をする。……殴られた! 即座にオレとレオリオ、クラピカが戦闘体勢に入る。
「シュート! レオリオ! クラピカ!」
ゴンが呼び止める。手を出すなと、釘を刺された。
少し下がって、二人の様子を見守る。近づいては殴られ、近づいては殴られ……ゴンは、戦う気はないみたいだ。
……そんな二人とは対照的な、敵意を持った視線をどこからか感じる。発信源は意図的に隠しているのか具体的にはわからないけど、大体の方向ならわかる。三人(彼女を含めると、四人)とも、その視線には気付いていないみたいだ。
「もう……やめてよ……」
少女が殴り続けたせいで、ゴンの顔面はひどい事になっている。レオリオとクラピカは、黙ってゴンを見守り続けていた。オレは、視線に気付いていなければ二人の間に割って入ったかもしれないけど……そんな余裕は、無かった。
ゴンと、少女が、会話をする。ゴンの足はすでに線を越えて踏み込んでいた。……敵意が膨れ上がる!!
「キルア様を助けてあげて……」
悪意がはじけ飛んで、その矛先が少女に向かう。オレは左手に硬をまとい、即座にその弾丸のようなものを受け止めた。キャッチングならお手の物だ。
「!!」
「全く……使用人が何を言っているのかしら」
茂みから出てきたのは、顔中を包帯でぐるぐる巻きにした女の人と、着物を着た女の子。敵意は少しおさまったものの、まだ感じられる、ビリビリと。
女の人は、キルアからのメッセージをオレたちに伝える。話の内容からすると、ゾルディックの家の人みたいだ。
自己紹介を聞いて確信した。キルアのお母さんと、多分、妹かな? カルト。執事の女の子はオレの後ろで震えている。
キルアは自らの意志で独房に入ったらしい。……本当だろうか。
突然キルアのお母さんが何事かを叫び始め、急用ができたとかでこの場を去った。残った妹は、オレたちに更なる敵意を浴びせかけて、母のあとを追う……オレは追いかけようかと思ったが、ゴンが執事の女の子を思いやって、全員この場に留まることになった。
ふと、受け止めた弾丸を見る。オレの手のひらに残っていたのは弾丸でもなんでもない、小さな紙切れだった。
お年玉更新その2
まだまだ続くよ!