meet again 作:海砂
ギョッ、ギョッ、ギョギョギョのギョ~♪ 朝~は岩場でグゥグゥグゥ♪
「鳴らすな、気持ち悪いから」
何故だろう。ウイングにはこのケータイの魅力が全く伝わらないらしい。可哀想な人だ。
ちなみに冒頭のは自作したゲゲゲの鬼太郎シングルフィッシュ限定バージョン着うただ。ケータイネットと電脳ネットで同時配信してみたら思いのほか好評となった。特に同じ機種を使ってる人たちの間ではひそかなブームになっているらしい。
金? もちろんとってますが何か? 大特価、サビメロのみなら一曲50ジェニーでダウンロードできますよ。ちなみにフルバージョンだと一曲250ジェニー~300ジェニー。両方取り放題で月額800ジェニー。他にも前の世界のアニソンとかJ-POPとか、適当に暇なときや移動時間に作ってはUPしている。歌はボーカロイドみたいなのがこっちにもあったので、それで。あと歌手がカヴァーしてくれたりもしてる。
最初はちょっとした小銭稼ぎの副業のつもりだった。それが今では『ジャンルを問わない天才作詞作曲家、彗星のように現る! しかし、その正体はいまだ不明』とか言われている。電脳ネットで、実は5歳の天才少年だとか、実は100歳過ぎたババアだとか、実はプロライセンスを持つミュージンクハンターだとか、さまざまな噂が流れているのが見てて面白い。最後のはちょっぴり近いかな? 別にミュージックハンターではないけど。
私について流れている情報は『ヨークシン在住』『シングルフィッシュ限定版を愛用している』ということだけ。もともと戸籍もないし、ハンターライセンスのおかげでかなり厳重に機密保持されるのでとっても便利。ジンほどじゃないけど。
ごめんなさい全部前の世界のパクリなんです。
「ジ○ス○ックが知ったら絶望するだろうなー」
そういうウイングは、ケータイで手軽に出来るゲームを開発してこれまた話題になっている。本人曰く、前の世界のFLASHゲームみたいなものを軽く応用しただけのソフトウェアらしいが、その特許料のおかげで、私の副業なんかより随分潤ってるの知ってるよ? しかもプログラミング言語は全部英語だから(ハンター文字に比べればだけど)ウイングでも簡単に構築できる。で、ゲームもいくつか作ってた。パック○ンとかテ○リスとか。モロパクじゃねーか。ウイングはそういったものを、ヨークシンの小さなゲーム会社に企画書と現物ごと持っていって一大企業に仕立て上げたというわけだ。ゲーム製作ソフトの販売と企業株価の急上昇、それに実績による報奨金とでもう動かなくてもお金が入ってくる状態。
そんな二人の副業とフエールミラー、それにここに着てから続けている競売市荒らしのおかげで、トータル金額は800億を突破した。意外と儲かるんだな、ケータイのゲームと着うたの開発。元の世界に戻れたらそっち方面目指してみようかな。ヒットするかどうかが問題だけど。作曲の才能はないからなぁ、さすがに。
私達は小さな2Kのマンションを借りて、そこを拠点にして生活している。ライセンスのおかげで敷金礼金が取られなかった上に家賃も月6万ジェニーと、多少……いやかなりボロいものの、都心部にしては相当格安だ。ちなみにセメタリービルまでおよそ300メートル。検問が敷かれるはずだけど関係ないよね自宅が中にあるんだから。つーか並みのマフィアには負ける気しないし。敵に回す気もないけど。
そうそう、ベンズナイフの鑑定書が無事に出たことも大きな収穫だろう。公式に本物認定されたニセモノナイフが競売最低落札価格10億ジェニーで、9・2のオークションに出品される。本当は公式鑑定に半年以上かかるらしいけど、ハンターライセンスをチラつかせつつそこをゴネて、何とか間に合うようにしたって訳だ。モノ自体が状態良、かつデザイン画が存在する有名な品だということもあって、スピード鑑定にこぎつけたというのもある。ちなみに落札された金は、3日には銀行振り込みで受け取れるようにと条件をつけた。最初のGI競売日が9・6だったはずだから、そこまでにちゃんと間に合うことも確認した。
ナイフ以外のガラクタはどうひっくり返っても間に合わないって言われたんで全部引き取って、その辺のショップでバラけて売った。こっちはトータルで500万ジェニーくらい。……まぁ、そんなもんかな、小さな市場ばかりだったし。
そうしてのんびり(練の修行は欠かさず)9・1を待っていた。占いによると、団長の号令の下、団員が着実にここヨークシンへと集結しつつあり、ゴンたち主人公組も特に大きな危険なく、今は天空闘技場でウイングさんと出逢い、再会している頃だろう。次に会うときにはもしかしたら拳法の基礎くらい学んでるかな、シュート?
「浮かれてる場合でもないぞ。旅団がこの街にすでに数人はいるってことだからな。うっかり目をつけられでもしたら……」
「わかってるって。でもさ、纏の方が垂れ流しにするより楽なんだよね。具現オーラ量の微調整もしなきゃいけないしさー」
潜在オーラ量は見破ることが出来ないからともかくとして、もれ出るオーラは意識して量を加減しないと、普通の人よりも大量に出てしまうことになる。なので私は外出する際ほとんど絶でウロウロしている。そっちの方が加減を考えなくていい分楽だから。そして人と接触する時(買い物とか)だけ量を調節して垂れ流す。……その点ウイングはいいよね、元々オーラが少ないうえに増えないんだから、ラクで。
「……なんか失礼なこと考えなかったか? 今」
いいえ考えてませんからあんたはその今作ってるバ○オハザ○ドもどきをさっさと完成させてください。携帯を振りかざしてガンコン代わりにするって、一体どういう発想なんだか。まぁ、スマホ技術はこっちの方が遅れてるけどテクノロジーに関してはどっこいどっこいだから、ゲームの前にその企画書だけで一儲けするつもりだろう。動きに反応するスマホの企画特許とかで。銃の型のスマホが、そう遠くないうちに発売されるかもなー。銃型スマホに似せた本物の銃とか密輸されたり? ああもうわけわからん。
そんなこんなで、私達はすっかり戦いとは縁遠い毎日を平和に過ごしていた。時々ウイングが「納期が~!」とうなされているのを除けばの話だけど。
お年玉更新、終わり。