meet again   作:海砂

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新たなるノート

 ピンポーン……。

 

「お兄ちゃーん、お友達が忘れたノート持って来てくれたよーっ」

 

 ニュースで警察が偽キラに呼びかけてすぐ、……ノートを持った人間がうちを訪れた。ま、まさか……。

 

 玄関に出る。家族にわからないように扉を閉める。そこに居たのは知らない女、それに……パームと、シュート?

 

「は……初めまして、弥海砂です。テレビ見てたら心配してるんじゃないかと思って、どうしても我慢できなくなって……このノートを触ってください」

 

 デスノートか? 彼女の差し出すノートに触れる。すると彼女の背後に、リュークとはまた別の死神の姿が見えた。間違いない、偽キラだ……だが、何故この子と共にこの二人がいる? 罠か?

 

「……夜神くん、話したいことがあるんだけど……私達も、ミサちゃんも」

 

 話したいこと……内容は間違いなくデスノートあるいはキラについてだろう。

 

「あがっていけよ」

 

「えっ、部屋に入れてくれるの? 嬉しい」

 

 三人を家に迎え入れる。……家族に会話を聞かれてはまずい、居間ではなく僕の部屋に通そう。

 

「母さん、わざわざ届けてくれたんだ、お茶か何か」

 

「えっ、あっ、そうね……いらっしゃい……」

 

 母さんと粧裕は、あまり普通ではない格好の弥に注目している。……彼女と僕が接触したことがLに知れたらまずい。

 

 階段を上がり、椅子がないので床に座ってもらう。掃除はしてあるので埃がつくこともないだろう。

 

 こいつが偽キラであること、僕がキラだとわかっていることは間違いない。警察の呼びかけはついさっき……取引をしてきたとも思えない。だが、この二人が警察側なら、僕を売り渡す可能性も……いや、だったらこんな回りくどいことをせずに、最初からLに僕のことを言えばいいじゃないか。何故いきなり家に……。とりあえず観察してみるしか……ない、か。

 

「何故わかった」

 

「あっ、やっぱり目の取引はしてないんですね。死神の眼を持つと人間の寿命と名前を見ることが出来る。でもノートを持ってる人間は寿命の方が見えないんです」

 

 リューク……まだ隠していたのか忘れていたのか……こんな、大事なことを。

 

『いや……そこまで詳しく知らなかったし俺……』

 

「……二人とキミはどういう関係だ?」

 

 この二人が何を考えているのかが、全く読めない。キラの敵なのか味方なのか。ウイングとの関連性は?

 

「友達……キラを見つけるために協力してくれた、大切な友達です」

 

「そうなのか、パーム」

 

 さあ、どう出る。

 

「ええ。私達はLの味方でもキラの味方でもない……ウイングから聞いていると思うけど。強いて言うなら、ミサちゃんの味方。ああ、神の子ってのはアイツの悪い冗談で、実際は死神界でも人間界からでもない、第三の世界から来たと言っておくわ。首を絞めれば死ぬけど、デスノートで私達は殺せないし、死神の眼で私達の名前や寿命を見ることも出来ない」

 

 リュークを見た。コクコクと頷いている。やはりこの二人の寿命と名前も見えないのか。しかし、デスノートが効かない存在……厄介だ。

 

『この娘の言ってる事は嘘じゃない。でなきゃ青山で擦れ違っただけでキラだとわかるはずがないだろう? それどころか私は「本名はキラに教えない方がいい」と止めたのに……どうも、おまえには嘘をつきたくないみたいだ』

 

…………。

 

「それはわかったが……君がもし警察に捕まっていたら、キラの秘密がバレていた……」

 

「……大丈夫……私にはパームやシュートがいたし、今、私は捕まってない。これからはあなたの言う通りに動けば捕まらない、そうでしょう? そして私がLの名前を見る。私はあなたの目になる。だから…………」

 

「? ……だから?」

 

「彼女にしてください」

 

 なんだって? 唐突な言葉にコンマ数秒、僕の思考はフリーズした。……こいつを下手に扱うと殺される可能性がある。しかし。

 

「無理だ。あの日の青山にはいつもの三倍の監視カメラが付いていた。あの日青山にいたのなら、必ず君はどこかに映っている。僕もだ。その二人がその後接近したら……今ここでこうしてる事すらまずいんだ。それくらいわかってくれ」

 

「そこは問題ないよ、夜神月。ミサちゃん、あの写真見せてあげて」

 

 シュートに促されて、二枚の写真を手渡される。そこにはセーラー服に眼鏡姿の真面目そうな女が映っていた。

 

「青山に行った日の私の写真です。化粧は全く違うしカツラも着けてます。監視カメラに映っていたとしても、この私から私は結び付けられない……」

 

…………。

 

『これなら確かにわからないな』

 

「じゃあ、指紋は? 君の指紋が警察に採られるような事があれば第二のキラと決定される」

 

「それも問題ない。オレ達が前もってミサの指紋とTV局に送られたものについていた指紋を照合して、違う人物のものだと確認している」

 

 シュート……パーム……僕、というかやはりこの女の味方なのか?

 

 TV局に送った物は大阪に住んでいた時の友人の指紋だということを、方法を含めて説明された。

 

「その友達は今、どうしている?」

 

「あなたが殺せというのなら、今すぐにでも殺します」

 

 弥はすぐに、自分のカバンから再びデスノートを取り出す。その友人の名でも書き込むのかと思ったが、開くことなく僕に差し出してきた。

 

「どうしても信じられないなら、このノート、あなたが預かってください」

 

 ノートを受け取る。けれど、これが全部とは限らない。僕のように財布や本に仕込んでいる可能性もある。

 

「預かるだけなら所有権は私にあるから目の能力は持続する。そうよね、レム?」

 

『……確かにそれならミサのノートの隠し場所が夜神月って事にしかならないが……』

 

「これなら私はあなたを殺せないし、あなたからしか警察はノートを奪えない。そして、私が不要になったら殺せばいい」

 

 なんでこいつ、ここまで……。

 

「ミサちゃんがデスノートの切れ端を他に所持していないことは、オレ達が保証する。尤も、オレ達も含めて信用してもらえたらの話だけどな。ちなみにオレもパームもデスノートは持ってない。レムは持ってんだろ?」

 

『ああ』

 

「私はあなたに利用されるだけでもいいの。信じて」

 

……何故こいつは、ここまで言えるんだ?

 

「私の両親はちょうど一年前、私の目の前で強盗に殺された。絶対に許せなかったし、殺したいとも考えた……でも、それはしてはいけない事。私はどうしたらいいのかわからなかった……裁判は長引き、そのうち冤罪の見方まで……そんな時、その犯人を裁いてくれたのがキラ。私にとって、キラは絶対的な存在……」

 

…………しかし。

 

「君は、罪のない警官達を殺した。それは君の両親を殺した人間と同じじゃないのか?」

 

 弥は涙を浮かべる。

 

「そんな事、あなたに言われたくない……。あなただって悪を裁いていくには犠牲は出る、そう考えてやってきたはず。私も同じ考え……」

 

……今までの無理なやり方は、キラに会いたいという一心ゆえ……。

 

「私には、ああするしか思いつかなかった。私の存在をあなたに知ってもらう方法……お礼をいう方法が……」

 

 一応、最低限の対策等はできている。思ったより馬鹿ではない……。それに、これからは僕に従うと言っている……それはすなわち、この二人を味方につけることにも繋がるかもしれない。

 

 僕は、二人と二匹の目を気にすることなく、彼女を抱きしめる。気にする必要はない、今はこの女の機嫌だけを取れればいい。

 

「わかった。彼氏にはなれないが、振りはしてあげられる。僕に会う為、僕の力になる為に残りの寿命を半分にした。君の目は武器になる」

 

「ありがとう……好きになってもらえるよう頑張る……」

 

 こいつにLの顔を見せ、Lの名前を知り、捜査本部もろとも消滅させる。こいつを殺すのは、そのあとだ……。そうとも、こいつはキラの正体を知ってしまった唯一の人間。長く生かしておくわけにはいかない。……できるならば、ここにいる二人、それにウイングとクロロも殺させてから……殺す。

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