混沌の中で選ばれし英雄 ~理不尽な世界を魔法と人型兵器で破壊してやる~   作:氷炎の双剣

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何とか少し書けました。4月になれば落ち着きますので……


14-2 手荒い歓迎

 

 残念な刑事との別れをほんの少し惜しんだ後、エルス国行きの飛行機に乗る。行きとは違って、堂々と乗れる。むしろファーストクラスを手配して貰うぐらい好待遇だった。

 

 出発ロビーから微かに聞こえる日本語を尻目にファーストクラスに入ってからはもう日本語は聞こえなかった。時たま聞こえた日本語はCAの談笑だった。

 

 そして季節が真逆のエルス国に降り立つ。日本は冬に近づいてるのに、こちらは夏に近づいこうとさている。季節の急な変化に体が付いていかない。

 

 予想以上に疲れながら、ウェリントン基地の入口に着く。身分証は持って行ってない。もし前の日本で落としたらマズいからだ。だからもちろん入口で止められる。当然、身分証を持たない不審者を簡単には通さない。

 

 普通ならばここで時間を食うところだが、俺には秘密兵器がある。そう、日本の特別身分証である。日本政府の支援を受けることが出来るという特別な身分証だ。

 

 これには入口の兵士達も上に報告しなくてはならない。

 

 そして10分後、俺は入口の検問をクリアすることが出来た。更には車と運転手を用意してくれるだと。師匠様々だ。

 

 そしてもちろん向かうのは本部。ブライス代表と色々と話がしたい。本部に向かう間に見た基地の様子は少し騒がしかった気がした。

 

 

 

 

 

 車を降りて、中に入り、エレベーターを使って執務室に行く。ノックして中に入ると満面の笑みでこちらを見ているブライス代表と目が合う。

 

「よく戻ってきたね、ライン」

 

 俺が戻ってこないと思っていたのだろうか?

 

「何とか生きて帰ってきました……」

 

 代表は横に首を振る。

 

「違う。君が戦いで死ぬとは思ってない。帰る理由がここに有るのかという意味だ」

 

 何を根拠に俺が死なないと思ってるんだ? 

 

「それは、やはり生まれ故郷ですし、マナンやグレン、俺には仲間が待ってます。あの、私が何故死なないと思うのですか?」

 

 ニヤリと含みを持った笑みを浮かべる代表。

 

「それは、君の意志の強さだ。君の意志の強さは悪い方向にだが、とてつもなく強い。もし半身を失っても君は復讐を遂げようとするだろう。そんな人は死なない」

 

 代表は気付いたのか、俺の大きな深い復讐心に。それでもアカデミーに受け入れてくれた。

 

「君ならその復讐心を糧に更に大きくなると思う。もし心が闇に染まる時は、私が責任を持って止めよう」

 

 師匠といい、代表といい、良い上司に恵まれてるなぁ。

 

「……ありがとうございます。もし私が暴走して仲間を襲った時は、その時は、遠慮なく殺して下さい。私は仲間を殺してまで復讐をしたくない。もうこれ以上大切な人を失いたく無いです」

 

 代表は先ほどまでの笑顔を消し、鋭い眼光を俺に向ける。その眼力はエルス国を背負う代表としての覚悟と多くの戦場の経験からだろうか、師匠とは少し違う物だった。

 師匠は鋭い刀のような眼光だったが、代表は全てを知っているかのような眼光だった。

 

「……分かった。もし私がそこに居たなら、決して君の仲間を傷つけさせはしない。だが私が常に傍に居るとは限らない。その時はどうする?」

 

 制御出来なくなった俺を止められる人は他に居るのだろうか。自分で言うのなんだが、あの時の俺は中々強い。そして今は気の力も手に入れている。

 暴走する前提で話してるのはどんな事も想定しなければ成らないからだ。

 

「……その時はーー」

「俺がやる」

 

 突然後ろから声がしたから振り向くと、そこには赤髪の男ーーグレンが腕を組んで壁に寄りかかっていた。

 

「……ここの警備をもう一度見直さなくてはいけんな……」

 

 困った顔で呻く代表。

 コイツは厳重な警備の中をくぐり抜けて来たのか!?

 

「ライン、お前の闇は知っている。そしてそれを止められるのは俺しか居ない。もちろん代表様とか柳生が傍に居るなら用なしだけどな」

 

 得意げな顔を向けるグレン。さっきまでの話を聞いていたのだろうか。

 

「……正直な所、私はラインの傍に居ることは出来ない。だからグレン、君に頼みたい」

 

 するとグレンは敬礼をして応える。

 

「お任せ下さい、ブライス代表!!」

 

 台詞は真面目そのものだが、表情は何とも締まりの無い顔だった。

 大丈夫か、これ?

 

 

 

 

 

 その後、アカデミーの卒業証書を貰って、グレンと共に寮に向かう。アカデミーは卒業したので、独身寮だ。

 グレンは自分の部屋に戻っていく。

 

 部屋は一人部屋で広さもアカデミーの時よりもかなり広い。1DKとなっていてキッチンも一応ある。まあほとんどの人が食堂を利用するらしいけど。そりゃあ食堂の方が楽だし、旨いし、メニューも豊富でバランスが取られてる、とエルス国の全力がそこに注がれている。

 

 マナンがいつも一緒に居たから思う。何と物足りない部屋なのだろうかと。おしゃべりでは無いマナンだが、誰かが居るというのは全然違う。

 

 その時、インターンホンが鳴らされる。モニターを確認するとそこには変な仮面を被った人達が楽しそうに笑っていた。

 驚くのと同時に部屋のドアを破られる。

 

 可笑しな格好の4人組はそのまま俺に襲いかかってきた。

 

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