混沌の中で選ばれし英雄 ~理不尽な世界を魔法と人型兵器で破壊してやる~   作:氷炎の双剣

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なろうには投稿してこちらを忘れるという……なんて失態を( ̄。 ̄;)

なろうの機能で文頭の一文字空けたりしてるので……


14-8 新兵器と若い兵士

 

 エーススカイの方々との挨拶も終わり、引き続き基地の中を案内される。我々は100人の大所帯だが、それほど狭く感じない。それは基地の中が広いからで地球連合軍の財力、国力には驚かされる。

 

 入り口から順に格納庫、そして食堂、部屋と案内される。そこは流石に個室ではなく、二段ベッドがいくつも置かれてる大きな部屋であった。我々だけでこの部屋を使えるらしい。といっても二段ベッドとテレビ、机と椅子が数個あるだけで、他は何も無い。

 

 エルス国の時と比べると凄く窮屈に感じるが、外には入りきらない兵士が野営地を作って居るのに、他国である我々が戦場で安全な場所で寝れるというのは凄い贅沢だ。

 

 適当にそれぞれの寝床を決めた所でソフィアさんが俺とグレンを呼ぶ。椅子に座り、脚を組むソフィアさん。先程のエーススカイと会った時の柔らかい表情では無く、真剣な表情だ。

 

「ライン、グレン、お前らにはこの後の作戦会議に同行してもらう。新人には普通あり得ない事だが、見事な作戦を立てた功績だ。地球連合軍の会議を見て、色々学ぶと良い」

 

 それだけ言うと立って、付いてくるよう手招きする。

 ふとグレンを見ると、こみ上げる感情を押し殺したような表情をしていた。その感情は喜びなのか怒りなのか分からなかった。

 

 1番地下にある作戦会議室の入り口には門番が居た。どちらも屈強な肉体をしていて、鋭い視線をこちらに向けてくる。武器は剣1つ。魔法師で有ることは明らかで、それもかなり強い。

 

 ソフィアさんが身分証を見せると敬礼を返されるが、警戒は解かれてない。誰に対してもこの警戒度なら優秀だ。

 

 流石に要塞の中なので、豪華な物では無く、堅そうで、重そうな扉が左右にゆっくりと動く。

 

「この扉、魔鋼石で出来てるな」

 

 グレンが扉を触ってぽつりと呟く。

 するとソフィアさんが教えてくれる。

 

「ここは最後に逃げ込む所でこの要塞内の心臓部分。要人は全員ここに居る。この扉は魔法に感応性が高く、魔力によって強化出来る。最高の魔法師ならば、戦車砲をゼロ距離で撃ち込まれてもビクともしないよ」

 

 そんなスゲえ扉なんだな……と思いながら中に入ると、中には多くの軍人が席に座っていた。中央のテーブル席にはお偉いさん、端の席には現場指揮官ぐらいだろうかの階級が居る。

 

 俺達が最後だったらしい。視線が集まり、中には好意的では無い視線も感じる。多くの人に見られてるという状況に喉が異常に渇く。

 

 そんな中でもソフィアさんは平然としていてしっかりとした敬礼をする。

 

「エルス国、代表直属部隊代理指揮官、ソフィア=マーキス、只今到着しました」

 

 俺達も遅れて敬礼する。流石のグレンも動揺していた。絶対ヒドい敬礼だ。

 

 すると入口から正面の1番遠い、テーブル席で最も偉い人が座る上座の人が立ち上がってこちらに近付いてくる。

 いきなりなんだと、更に動揺する俺ら。

 

 だが予想に反し、その男は凄く嬉しそうにしていた。

 

「あの高名な灼熱のソフィア殿か!! こりゃあ百、いや千人力だなぁ!!」

 

 そしてまた柔らかな笑みを浮かべるソフィアさん。あ、これは猫を被っているのか。

 

「いえ、その二つ名は過大評価されたものです。私に二つ名なんて……」

 

 と謙遜するが、男は怪しい笑みを浮かべる。

 

「もしそれが過大評価だとしても、その二つ名だけで敵はおののき、味方は奮い立つ。利用出来る物は利用しようか」

 

 出来る……無能な指揮官では無いと感じた。何という名前だろうかこの人は。

 

「ああ、申し遅れた。俺はユルゲンだ。一応ここの最高指揮官だ。エルス国からの援軍。誠に感謝する」

 

 ユルゲン!? ユルゲンって元ヨーロッパ方面軍指揮官じゃないか!!

 火星独立軍が最優先にした圧倒的不利なヨーロッパ方面の戦線を徐々に後退させ、多くの味方を救出したという凄い人だ。

 そういやヨーロッパ方面は戦況が動かないからこっちに就任したのか……

 

 筋肉質の体に日焼けした肌。そして汚れた顔。現場に出ていることが分かる。

 ふと周りを見ると熱い視線を向ける者を多く、部下に慕われているのだろう。

 

 ユルゲンの名前を聞いたソフィアさんは鋼鉄の笑顔を揺らがせる。

 

「……ユルゲン閣下でしたか……お初にお目に掛かります。過分な言葉、恐悦至極で御座います」

 

 そして口調も凄い丁寧になる。確かにルーカス長官と近い権力を持つ人だ。

 だがユルゲンは顔をしかめる。

 

「おいおい、確かに階級は高いがその口調は辞めてくれよ。俺には気持ち悪いし、俺達は同じ戦う仲間だ。階級は気にするな?」

 

 階級を気にするなと言われてもはい、そうですかとは言えない。

 ソフィアさんも同じく複雑な表情を浮かべる。

 

「しかし……はい、分かりました、少し砕けさせて頂きます。ユルゲン閣下、ご期待に全力で応えます」

 

 色々考えた上で従わないのも失礼に当たると考え、少し砕いた口調になる。

 ユルゲンも満足そうに頷く。

 

「うんうん、それで良い。さて、席に着いてくれ」

 

 ソフィアさんは中央のテーブル席に座る。俺達は隅っこの机と椅子が一つになった席だ。

 

 俺達が席に着いたのを見て、作戦会議が始まる。

 

 それぞれの手元には小型モニターがあり、それに書記や進行役が書いていく。

 

「現在敵はアラスカを完全に制圧し、こちらに向かってきています。敵戦力は今までの中で最大級で、補給も万全の模様です」

 

 ユルゲンがHAWの研究員に質問する。

 

「報告のあった例の新型は?」

「はい、依然この中に組み込まれており、今回の戦いも参加する模様です。また性能やパイロットも明らかになったのでこちらをご覧下さい」

 

 新たに表示されたページをタッチして拡大する。そのページには新型ーーイルⅡについて書かれていた。

 

「性能はセイバーをほとんど面で凌駕しております。汎用性やコスト面ではセイバーの方が上回りますが、戦闘という点で見た場合、完全に敗北しております」

 

 ざわつく室内をユルゲンは静め、研究員に続きを促す。

 

「ここまではセイバーとイルⅡの差は数によって補えますが、次が問題です。メインのマシンガンは前と変わりませんが右肩部に装備しているレールガン、これがセイバーを一撃で盾ごと撃ち抜いています。先行開発していた日本国防軍のレールガンとは違い、これは連射が可能です。もちろん最大連射数はありますが、メインでは無く、トドメとして使う分には問題がありません。強いて言うなら、大型化しており、正面にしか撃てない事です」

 

 かなり明らかになったイルⅡ。地球連合軍の諜報員の凄さにも驚くが、イルⅡの性能の高さにはかなり衝撃を受けた。

 そして連射出来るレールガン。あの威力を連射されるのは間違いなくヤバイ。まだ量産されてないのが唯一の救いだが、じきにされよう。

 

 会議場も騒然となっていた。明らかになった新型の圧倒的な性能に誰もが焦燥を感じていた。

 

「ですが、我々もただ見てた訳ではありません。これから新型を投入する予定ですが、この戦いには間に合いません」

 

 再度ざわめく会場にユルゲンが声を上げる。

 

「皆、絶望するな。この要塞はただの固い基地じゃない。ちゃんと考えている。おい、新兵器の説明を」

 

 ユルゲンに急かされ、端末に新たなページを送ってくる。そこに書いてあるのはHAWでは無く、固定砲座のようだった。

 

「はい、HAWとは別に固定砲座用、艦艇搭載用に開発していた新兵器の試作品があります。まだ問題点も多いですが、ちゃんと撃てることは実証済みです。映像を出します」

 

 新たに送られてきた映像は広い、何も無い砂漠地帯での実験だった。向こうには建物や、古い戦車やHAW等が置かれていた。

 あれが攻撃目標か。

 

 そしてカウントダウンが始まる。その時間がゼロになった瞬間、目の前が眩い光に包まれ、轟音が鳴り響く。

 

 何か起きたのかと体が強ばったがそれは画面内の事で、安心した自分が居た。

 

 そして砂煙が晴れるとそこには跡形も無くなっていた。一瞬核兵器が脳裏を過ぎったが、条約違反だし、もっと違う状態になるはずだ。

 

 自然と視線が研究員に集まる。

 

「皆様、ご覧頂けたでしょうか? これが新兵器、レーザー砲です。従来からレーザーソードとしての技術、特定間での出力は実証出来てましたが、放出となると中々難しく……それはさておき、今回のは高出力のレーザー砲です。莫大な電力が掛かるため、一発しか撃てませんが、多くの敵を破壊出来ます」

 

 研究員の自信ありげに言う様子に会場は盛り上がる。確かに凄い威力の兵器だが、一発のみの切り札。敵を多く巻き込めないと意味が無いぞ。

 

 盛り上がった所に水を挿すような感じにユルゲンが呟く。

 

「これは……効率的に当てないと負けるな……」

 

 その言葉に皆、苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべる。まだ綱渡りのような状態なのだ。

 

 結論の出ないまま、一旦休憩となる。その間に若い兵士が飲み物を持ってきてくれる。俺と同じぐらいか?

 

 そして一人の若い兵士がモニターを見て少し考えた後、ユルゲンに話しかける。

 

「ユルゲン閣下、これはレーザー砲でしょうか」

 

 それには周りの士官達が怒る。

 

「おい、給仕係はユルゲン閣下と話す必要は無い。仕事が終わったらさっさと帰れ」

 

 と追い出そうとするが、ユルゲンが止める。

 

「待て、今の一瞬で新兵器を判断したのか……少し話が聞きたい。お前ら、席に戻れ」

 

 ユルゲンに言われ、渋々と席に戻っていく士官達。地球連合軍では階級が絶対のようだな。

 

 若い兵士は感謝の気持ちを込めて、敬礼をする。

 

「ありがとうございます。私はレジス少尉です。以前からレーザー砲の開発をしていたのではと予測してました」

 

 予測したという言葉に(あざ)笑う士官達。

 それを気にせずに話を進めるレジス。

 

「ほう? 我が軍の最高機密を予測していたとは……どうやって?」

「はい、レーザーソードの開発から次に行き着くのは放出かと。ですが、放出するには高エネルギーでの状態では無いと空気中での減衰が起こり、威力が出ません。なので最初に作るとしたら大きなレーザー砲かと予測しました」

 

 まるでここの会議室に居たような正確な答えだ。これを持論でたどり着いたとしたら驚くべき推察力だ。

 さっきまで嘲笑っていた士官達は静かになり、目を丸くする。

 

 そしてレジスの話を聞いて、口角を上げるユルゲン。

 

「見事だ。だがそれだけの為にわざわざ話しかけたのとしたら、売名行為としか見えんな?」

 

 ユルゲンの表情は疎んでるのではなく、試しているように見える。この若い兵士が優秀なのか、どうなのか。

 

「……では、皆さんが今悩んでるのはこの兵器をどう効率的に使うかでしょうか。そしてその方法も私にはあります」

 

 自信ありげに言う様子に会場の視線はレジスに集中したのであった。

 

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