混沌の中で選ばれし英雄 ~理不尽な世界を魔法と人型兵器で破壊してやる~   作:氷炎の双剣

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戦場は地球に移ったのでここから新章に入ります。
ここからは地球がメインになるので新章を作っただけです。


ところで次週から週2更新にしようと予定してます。
金曜日は固定として、月曜日か火曜日に投稿していこうかと考えています(あくまで予定)

9/21 改稿


〈3章 ルーカス 地球攻防編〉
3-1 地球侵攻開始!!


 -地球連合軍ウランバートル 朱威サイド-

 

 火星独立軍が地球に突入している間に既に朱威の部隊は迎撃体制を整えていた。

 無数の砲門やミサイルが空からやってくる敵に対し、牙を向けていた。

 空も同様である。無数の戦闘機が空を支配していた。今か今かとトリガーを握る兵士は手に力を入れる。

 

 そしてとうとうその時が来る。

 レーダーを凝視していた兵士はレーダーから目を外し、上官に告げる。

 

「レーダーに感有り!! もうすぐで視認出来ます!!」

「良し、展開も出来た。直ぐに攻撃を打診しよう」

 

 上官は朱威に報告する。

 

「報告します!! 我が軍の展開完了。攻撃指示が有れば直ぐに攻撃出来ます!! ご命令を!!」

「うむ、全軍攻撃開始!! 地球に奴らの居場所は無い事を教えてやれ!!」

 

 直ぐに攻撃命令は各部隊に伝達される。

 

「了解。これより攻撃を開始する」

 

 トリガーを兵士達は押す。砲門からは轟音と砲煙を放ちながら砲弾は目標を目掛けて飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

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 -火星独立軍ウランバートル上空 ウォルサイド-

 

 目の前の機器……いや自分も含めて、機体、降下ポット全てがガタガタと小刻みに、たまにドンッという強い衝撃がウォルを襲う。

 

 ふとモニターに目を移すとモニターの端に移る画面の隊員のヨーネスは震えていた。

 

「小隊ちょ~~うぅぅぅ……ち、地球は地球連合軍が沢山居ると聞きました。だ、大丈夫ですよね? また勝てますよね?」

 

 肝試しにでも行くようにガタガタと震えるヨーネスを見て、ウォルにいたずら心が芽生える。

 

「……さあな。激しい戦いになるから流れ弾に当たるかもしれんな」

「そんなぁーーー!!」

 

 本当に泣き出しそうなヨーネスにもう1人の隊員アルバは叱咤する。

 

「オイ、ヨーネス!! そんな様子じゃ勝てねえぞ!! 宇宙と同じようにぶっ潰せばいい!!」

「で、でも、地球じゃずっと空に飛べる訳じゃないし……」

「なら、一瞬で方をつければ良い!!」

「で、でも敵はいっぱい居るし……」

「そこまでだ。二人とも」

 

 ウォルは話す二人を止める。

 そろそろ降下ポットから降下する時間である。

 

「そろそろ、降下だ。俺の合図で降下ボタンを押せ。そして戦場では俺から離れるなよ」

 

 ウォルはHAWの操縦経験では2人と同じだが、元軍人。戦場経験もある。冷静な判断を下せるウォルが小隊長になるのは適任だった。

 

 そしてロックオンされたアラートが鳴り響く。降下ポットにミサイルが飛んで来るのは直ぐだ。

 

「降下まで……3……2……1……降下!!」

 

 ウォルがボタンを押すのと同時に二人も押す。

 するとHAWの目の前の壁はパージされ、彼方に飛んで行くと同時にウォル達は降下ポットから離れ、大空に舞う。

 

 見下ろす地面には無数の車両。全てがこちらを向いていた。

 そして横からは戦闘機達。

 

 状況は絶望的だがウォル達は諦めていない。

 

「グリフォン小隊行くぞ!!」

 

 小隊長の言葉に隊員達は頷き、必死にはぐれないよう食らいついて行く…… 

 

 

 

 

 

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 -地球連合軍ウランバートル 朱威サイド-

 

 空から降って来る沢山の円柱状のポットから次々とHAWが湧き出て来ていた。

 そしていつの間にかに空は無数のHAWに埋め尽くされていた。

 

 だが地球連合軍の猛烈なる攻撃に確実に少しずつだが次々と数は減って行く。

 やはり、地上では勝手が違うみたいだ。

 

「ふむ。やはり地上では運動性能が劣るみたいだな。機敏さが無い」

 

 顎に手を置きながら眺める朱威。

 

 HAW達は『重力』に慣れていなかった。

 宇宙では動いたらその慣性のまま動くが地球では速度は徐々に落ち、落下し始める。

 この勝手の違いに苦戦するHAW達である。

 次々と攻撃を避けれずに墜ちていく。  

 

「ククク……やはり地上ではHAWは使えんだろう。この戦いは朱威が頂こう」

 

 朱威は高笑いを始めるが戦況は動き始める。

 

 次第に重力に慣れ始めたのか動きが変わって来たのだ。

 これはやはり若い力だろうか。

 

 HAW達は宇宙と同じとはいかないまでもかなりの動きをし始め、攻撃を避け始める。

 

 最初に戦闘機達が餌食になる。

 次々とHAW達の攻撃を受け、火を噴いて墜ちていく。

 

「何なんだこれは……有り得ない……有り得ないぞ!!」

 

 この様子に朱威は理解が追いつかない。

 

 昔からの言葉がある。

『戦場とは生き物だ』という言葉である。

 戦場は生き物のようにどうなるか予想出来ないという意味だ。

 だから指揮官には臨機応変に対処出来なくてはならない。

 

 しかし、朱威は思考停止していた。

 まさか戦闘で修正出来るとは思ってなかったのである。

 

 戦況は朱威をよそに移り変わって行く。

 

 

 

 

 

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 -火星独立軍ウランバートル上空 ウォルサイド-

 

 最初は皆地球に慣れず次々と戦友達が落とされるのを歯を噛みしめながら見てるだけだったが、次第に慣れてきたのか動きが変わって来る。

 

「クソォォォォ!! よくもバルトを!! 許さねぇぇぇ!!」

 

 アルバは早い段階で重力に慣れ初めていた。

 次々と戦闘機を落としていく。

 

「アルバ待ってよ~~」

 

 と泣き言を言いながらしっかり付いて行くヨーネス。

 

 2人共将来が楽しみだな

 

 と思いながらウォルは2人を狙う敵を落としていく。

 

 しばらくすると戦闘機は片付いたのかもう来ない。

 だが自分の燃料を見るともう心許無い。

 燃料が無いならば、地上で動いて止まってを繰り返し、燃料を節約するしか無い。

 

「こちらグリフォン小隊、もう燃料が心許無い。これより、地上戦に入る」

 

 ウォルは他の小隊に無線で連絡を取る。

 

「了解した。こちらも心許無い。援護する」

 

 他の小隊もグリフォン小隊に続いて地上戦に移行していく……

 

 

 

 

 

 

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 -地球連合軍ウランバートル 朱威サイド-

 

 呆けてる朱威に次々と戦況報告が入って来る。どれも被害報告ばかりだ。

 

 まさか……まさか……俺は敗れるというのか……HAWの性能低下を予想し、有利な着地迎撃をしているのに……我が軍は敗北するというのか……

 

 とブツブツ言っている朱威に部下は報告する。

 

「朱威閣下!! 敵は地上戦に移行するもようです。地上戦ならば相手は機動力は低下します!!」

 

 部下のその言葉に朱威は我に返る。

 

「ーーっ!? HAWが地上に降りたとな。やはり燃料が問題か!! 良し、戦車で蹴散らせ!!」

 

 朱威はさっきまでボーッとしていたが、今は若返ったようにやる気満々である。

 次々と指示を出して行く……

 

 

 

 

 

 

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 -火星独立軍ウランバートル上空 ウォルサイド-

 

 HAW達は次々と高度を下げ、着地する前にブーストを吹かしゆっくり着地する。

 

 しかし、着地するのを待ってましたと言わんばかりに戦車砲で集中放火で次々とHAWを落としていく。

 着地しないと燃料は尽き、そのまま落下したら着地の衝撃で機体は木っ端みじんだろう。

 

 ウォル達はもはやもう避けられない危険な着地を迫られていた。

 

「クソッ、こんな集中放火されてる所に着地出来るか!!」

「倒して倒しても、沢山いるよぉぉ~~」

「……やりようは有るが……しかし……」

 

 ウォルの小さな呟きをアルバは聞き漏らさない。

 

「小隊長!! 何か作戦が有るのですか!? このままじゃ死を待つだけです!! 教えて下さい!!」

 

 迫るアルバに躊躇うウォル。

 話すか躊躇うウォルに通信が入る。

 

「よお、ウォル。それは俺達がやるぜ」

 

 モニターに映るのはウォルの元上官だった男だ。

 

「全く、ヒヨッコにやらせる仕事は無いってね」

「お前らより俺達の方が適任だな」

 

 更に増える元上官達。地球連合軍に所属していた頃に散々しごかれた事をふと思い出す。

 

 3人の元上官は小隊を組み、地球連合軍でも、火星独立軍でも宇宙戦で活躍していた。

 もはや3人の連携プレーはお見事と言うしかない。

 

 そこではお荷物だったウォルだったが、3人はウォルを買っていた。

 3人が連携し、敵を攪乱している間にウォルは敵の死角から攻撃していたのである。

 ウォルの戦場把握能力は3人も認めていたが、操縦技術が追いついていなかった。なので、いつも撃墜されそうになっていた。

 そんなウォルを3人は可愛がっていた。

 

「お前の考えは分かってるよ。それにコレが最良って事もな」

「でも……もはやこれは作戦では無いです!! 作戦はどのように生きる残るかであってーー」

 

 ウォルの言葉を遮る3人。

 3人の覚悟は決まっていた。

 それに気付いたウォルは歯を噛み締めるながら無言で敬礼する。

 3人はそれを見て、満足したのか離れて行った。

 

 

 

 

 

 

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 -火星独立軍ウランバートル上空 デビッドサイド-

 

 ウォル達と別れ、敵陣に突っ込むデビッド達。

 もはや後ろは振り向かない。

 

「さあサイモン、アレックス。思い残す事はねえなあ?」

 

 長らく一緒に戦ってきた戦友と最後の会話を楽しむ。

 

 最初に話し始めたのはサイモンだ。

 

「あーこんな事なら、あの子に告れば良かったなあ」

「サイモン、また女変えたのかよ。前の女はどうした?」

「俺が軍人って言ったら振られちまったわ」

 

 そうサイモンは言いながら頭を掻くが、特に悔しそうに見えない。

 いつもふざけていたサイモンも何だかんだ、覚悟は出来ていた。

 

「そりゃあ運がなかったなあ。アレックスは?」

「俺は強いて言えば、テキサスの酒が飲みたいなあ」

 

 アレックスはいつも変わらずクールだ。だが微かに変わる表情からは今から死ぬことに不満は無さそうだ。

 

「良いなあそれ!! 生きていたら行こうか」

 

 3人は理解していた。必ず死ぬことに。

 まず敵陣に突入すれば集中放火を受け、死ぬこと。

 万が一生きていても、機体の燃料が尽き、不時着しバラバラになること。

 

 だが3人は一矢報いる事に決めた。もはや迷いは無い。

 

 敵陣に突入する3人に火線は集中する。

 

「うほーーー!! すげえ弾幕だぜ。死と隣合わせのスリルはやべえなぁ!!」

 

 と騒ぐデビッド。

 

「これが可愛い子のアピールなら歓迎だな」

 

 と残念がるサイモン。

 

「不思議と恐れは無いな」

 

 少し面白そうなアレックス。

 

 3人は弾幕をかいくぐりながら、本陣に近づいて行く。

 

 

 

 

 

 3人のおかげで他のHAW達は次々と着地に成功する。

 

「スゴい……なんだあの動きは……」

 

 いつもうるさいアルバも静かに3人の実力を認めていた。

 

 どうか……ご無事で……

 

 とウォルはただ祈るだけだった。

 

 

 

 本陣に近づくほど厚くなる弾幕。

 絶妙な動きでかわして行く3人。

 だが、いつか別れは唐突に訪れる。

 

 ドンッという音と共に足を撃たれ、煙を噴いて速度が落ちていき不時着するアレックス。

 

「アレッーーークス!! ちくしょう!! 待ってろ、今行くぞ!!」 

 

 足を止めたくなる衝動を抑え、前に進む。

 

 そしてまた凶弾が襲う。

 

 サイモンのコクピットに直撃し、爆散する。

 

「サイモン!! お前も先に行くのかよ!? 全く酒のツケは俺が払えってかよ!?」

 

 死んだ戦友に軽口を叩くが返ってくるのは敵の弾だけ。

 

 残ったデビッドは舌打ちをしながら敵に突入すると火線が集中する。

 もはや避けれる数では無く、必死に致命傷を避けるだけだ。

 

「グオオォォォォーーー!! 一矢報いるんだよぉぉぉぉーーー!!」

 

 もはやHAWは原形を留めてなく、あちらこちらから煙を噴かせ、モニター越しでは無く、直接外が見えるようになっていた。

 ボロボロのHAWはもはや武装は無く、身一つだった。

 

 薄れゆく意識の中、地球連合軍本陣が見える。

 デビッドはうっすら笑い、目を閉じた。

 

 ああ……悪くねえ気分だ……これでツケは返したよな? 俺はしっかり仕事したぞ、お前ら?

 

 デビッドのHAWは地球連合軍の本陣に突っ込んでいった……

 

 そこから上がる煙ははまるで天への道筋だった。

 

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