混沌の中で選ばれし英雄 ~理不尽な世界を魔法と人型兵器で破壊してやる~   作:氷炎の双剣

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9/29改稿


4-5 初めての授業

 -アカデミー内 一年生の教室-

 

 入学式の翌々日から早くも授業が始まっていた。

 

 入学式の翌日は授業の準備と部屋に整理の為の日であった。

 

 そして今日から授業が始まる。既に大きな教室には一年生全員の100人が座って待っていた。

 

 ラインの隣にはマナンだけ。グレンは既に友達と楽しく談笑していた。男女様々な人とである。持ち前の誰とでもお構いなしに話しかける性格が発揮されたのだろう。

 

 ラインがぼーっとその様子を遠い目で見ていると少し不安混じった声で話しかけられる。

 

「ねえ、隣いい?」

 

 ラインが声がするほうを見ると肩までの茶髪の少女が居た。

 

 身長は160cmぐらいだろうか。女性としては平均身長ぐらいの彼女が隣の席を座りたいと言ってきたのだ。

 

 ラインはさぞ当たり前のように、大学のようなながーい椅子の中にいるマナンに、奥行くように言って自分の席を譲る。

 

 すると彼女は

 

「ありがと」

 

 と言ってラインの隣に座る。

 

 隣に彼女が座ると微かなグリーンティーの香水のさっぱりとした匂いがラインの鼻腔に付く。

 

 彼女の横顔をチラッと見ると、メイクはしてないらしいが、整ってた顔が目に入る。まあメイクは軍人だからしても無駄なので。

 

 その目線に気付いたのか彼女もチラッとラインを見て、目線が合ってしまう。

 

 すると彼女は話しかけて来た。

 

「そういえばアナタもクラスメートなのよね? 私はティナ。よろしくね」

「そうだな。よろしくティナ。俺はライン。コイツはマナンだ」

 

 ラインは後ろにいるマナンを指差す。

 

 マナンは初対面なので緊張しているのか小さく手を上げる。

 

それを見たティナは笑顔で返す。

 

「よろしくね、ライン、マナン」

 

 

 

 

 

 

 軽い自己紹介が終わった所で担任が扉を開けて入って来る。

 

 担任はニコニコと笑顔で居た。

 

 ほっと優しそうな先生で良かった……

 

 という空気が教室に流れている中、担任はニコニコしながら教壇に立ち、とんでもない発言をした。

 

「はじめまして、皆さん。私はエマと申します。では早速授業を始めましょうか。ではかかって来て下さいね」

 

 ……はぁ?

 

 という言葉が誰からも出たのは言うまでもない。

 

 いきなり『かかってこいやーー!!』なんて言われるとは喧嘩じゃ有るまいし、可笑しいのは明確だ。

 

 だが次の一言で教室の雰囲気がガラリと変わる。

 

「あれ? 皆さん消極的ですねー。ダメですよー。あ、私が女性だから舐めているんですね? 初対面の人を見た目で判断してはいけませんよ? あ、そういえば私を倒したら卒業で構いませんよ」

 

 卒業……という言葉に反応する生徒達。

 

 相手は身長150cmぐらいの小柄な女性。胸が軍服の上からも分かるぐらい大きく、眼鏡をかけていて、顔は童顔。正に小動物のようだ。

 

 ちなみに隣のティナを見ると……あまり失礼な事を考えているとエマに向けている気迫がこちらに向きそうだ。

 

 まず最初に仕掛けたのはあの3人組のヤンキー枠、茶髪ツンツン頭だった。

 

 机の上に乗り、ジャンプして通路に着地し、教壇に上がる。

 

 喧嘩慣れしているのか速い。

 

「最初はファルク君ですか」

 

 ファルク君と呼ばれたヤンキーは右から上段に蹴りを放つーー

 

 ーーが左手で軽く止められてしまう。

 

「いい蹴りですがまだまだですね」

 

 エマはファルクを褒めるが、ファルクは赤子を捻るぐらい容易くあしらわれていた。

 

 もちろん空いている左手で顔面を狙って殴りかかるが、逆に 掌底 (しょうてい)ーー掌の手首に近い部分で相手を叩く技ーーを腹に受けてしまう。

 

 普通ならばよろめくぐらいだが、エマの掌底は教壇から落ち、机に激突するぐらいだった。

 

「頭は打って無いですね。一応回復させときますね。ヒール!!」

 

 エマは床に転がっているファルクに対し、両手を突き出し、青い光がファルクをまとっていく。

 

 苦しげな顔をしていたファルクは次第に穏やかな顔に変わって行く。

 

 治療が終わったエマは立ち上がり、教室を見回す。

 

「他には卒業したい人いますか?」

 

 エマはニコニコしながら生徒達を見ていく。

 

 この様子を見て、生徒間には

 

 卒業するって、怪我で退学の間違えじゃ……

 

 という雰囲気が漂っていた。

 

 最初のファルクを行かせた3人の中のリーダー、エドウィンは歯を食いしばり顔を歪めていた。

 

 またラインは冷静に分析していた。一方、マナンは実力差を感じて小さく縮こまっていた。

 

 また隣のティナは逆に拳を反対の手にぶつけ、やる気満々だった。

 

 ……やはりエマは魔法師。今のも全て肉体強化魔法だろう。それに治療魔法が使えるとは……かなりの魔法師だな。

 

 とラインは客観的に自分との実力差を理解する。

 

 なかなか誰も行かないのでティナが飛び出す。

 

「次は……ティナさんですか。確かーー」

 

 エマがしゃべっている間にティナが近づき、右ストレートを放つーー

 

 ーーが身体を軽く捻られ避けられる。

 

 通り過ぎたティナは後ろ蹴りを放つ。

 

 エマはとっさに腕をクロスにして防ぐが、威力を殺しきれず教壇から落ちてしまう。

 

 この間、2秒。

 

「……そうそう、ティナさんは魔法師で得意分野は格闘術」

 

 エマがこう呟いた時には既に、ティナが魔法師という事は明らかだった。

 

 渾身の後ろ蹴りを笑顔で防がれたティナは悔しさで顔を歪めていた。

 

 一方エマは笑顔でティナを評価していた。

 

「ティナさんはこれが限界みたいね……卒業は無理だけど、格闘術は高評価付けーー」

 

 ーーエマは言葉を途中で切り、横に素早く飛ぶ。

 

 エマがもともといた地点には赤髪の青年ーーグレンがいた。

 

 グレンは舌打ちして、エマを睨む。

 

 こんな態度に対してもエマは笑顔だ。

 

「グレン君、後ろからなんて卑怯ですよ~それに先生に向かって舌打ちとはお仕置きが必要ですか?」

 

 ずっとニコニコしているが後半は目が笑っていない。

 

 そんなエマに対し、グレンは鼻で笑う。

 

「フンッ、戦場じゃ1対1じゃ有るまいし、お前も禁止してないだろ?」

「ーーお前?」

 

 今までニコニコしていたエマは表情を曇らせ、ワナワナ震え始める。

 

 あっ、やべっ

 

 という声がグレンの口から漏れたのと同時に本気を出したエマにおもっいきり吹き飛ばされ、気絶してそのまま連れてかれてしまった。

 

 エマの怒った気迫に教室は静まり返った。

 

 そして、今後誰もエマに逆らわなかったという。

 

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