混沌の中で選ばれし英雄 ~理不尽な世界を魔法と人型兵器で破壊してやる~   作:氷炎の双剣

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ちょっと時間進みます。


〈11章 ライン 最終学年編〉
11-1 最終学年


 あの合宿から1年ちょっと経っていた。

 1年だったライン達ももう最終学年になる。

 

 2年生は学科が分かれており、各々違う道を選択したのだ。

 各々の得意分野に進むことになる。

 

 ラインとグレンは指揮官科。

 指揮官科は自分で選択出来る科では無く、先生達が選ぶのだ。また100人居る中での20人しか入れない。

 

 やることは魔法師としての修練ももちろんだが、戦術、戦略、またHAWや銃も扱う。広くやる学科で成績上位者が取られる傾向にある。

 

 上の下程度の何故ラインが入れたのかというとラインは合宿での事件の指揮能力が認められたのである。またエマ先生の推薦もある。

 

 一方グレンは高い能力とカリスマ性を認められたらしい。

 

 そしてティナは魔法師科だ。魔法師科はその名の通り魔法師になるための学科だ。更なる魔法、武術等を修練して行く。もちろん銃も扱う。ただし、魔法師に特化するためHAW等については学ばないらしい。

 

 またマナンは普通科に行ったらしい。魔力適正の無いマナンは普通科ーー一般兵士と同じ訓練所に行ったらしい。また一般兵士と同じなので銃を主に、HAWや戦車、戦闘機を学ぶらしい。まあ銃が得意だから銃だろう。

 

 そしてあの3人組は魔法師科らしい。指揮官科に来なくて良かった。来ていたら無能指揮官になっていただろう。

 

 そんな感じでバラバラで学んだ俺達は3年生になり、またアカデミーの教室に集まっていた。

 

 早く来て、ほとんど人が居ない教室でふうっと一息ついて、いつもの席で待っていると目の前に人影が映る。顔を上げると日に焼けたマナンの笑顔がそこにあった。

 

「ライン、久しぶり!!」

 

 と言ってラインに抱きついて来る。

 久しぶりだから寂しかったのだろう。

 というラインもマナンが普通科に行った為、宿舎が移ったので少し寂しさを感じていた。

 

「ああ、久しぶりだな!! 見ない内に筋肉もついて逞しくなったな」

 

 マナンの肩を叩いて確かめる。

 まあでも華奢なのは変わらんな。

 

 そんなラインに痛がりながら嬉しそうなマナンは背中を思いっきり叩かれ悲鳴を上げる。

 

「いったぁぁ!! ちょっと何だよ!!」

 

 涙目でマナンが振り返るとニヤニヤと嬉しそうににやけるティナが居た。

 ティナは魔法師科で見た目は対して変わって無い。いや実は殺人級に筋肉ムキムキかもしれん。

 

 と失礼な事を考えているとティナが睨みつけて来る。

 

「……今、失礼な事考えて無かった?」

「……そんなことないですよ」

 

 なぜか敬語になるラインにティナは追撃はしてこなかった。

 

「久しぶりね、二人とも」

 

 2年生で教室や授業が違う為、余り会わなかったのだ。特に2年生は忙しい。2年生の時が主に自分を鍛えられる時期なのだ。

 もちろん3年生の間も鍛えられるが3年生ともなると連携や模擬戦中心となる。

 

「それにしても少し逞しくなったわね……」

 

 と言ってマナンの体を弄くり回すティナにマナンは涙目になった所でエマ先生が入って来る。

 

「皆さんお久しぶりです。ふふ、見ない内に頼もしくなりましたね」

 

 エマ先生の言葉に釣られて周りを見渡す。

 確かに1年時の浮かれた感じは消えている。垢が抜けたのだろう。

 厳しい訓練に耐えた者だけがここに居る。

 

 そういえば2年時はエマ先生担当では無い。1年生がほとんどで3年生がちょっとという感じだ。

 エマ先生も相変わらず小動物で可愛いなあ。

 

「皆さんがここに戻って来たという事は皆さんの技量はほとんど完成しているでしょう。しかしその技量はあくまでも個人技量です。戦場では個人技量では無く、連携が求められます」

 

 その為に俺は学んで来たんだ。この1年を。

 

「これから1年は集団戦闘を学んで貰います。指揮官科の20名、各一人ずつに分かれ、五人、20チーム作って貰います」

 

 なるほど。小隊単位に分かれ練習するという事か。

 

「そしてメンバーですが、こちらで決めました。出来るだけ力量は均等にしたはずです。変更は認めません」

 

 仲良しチームは無しか。まあ力量にばらつきが出るからな。

 

 配られたデータを端末で確認する。自分のチームの部屋番号が書いてある。

 

「ではこれから自分のチームの部屋に行って下さい」

 

 エマ先生の掛け声と共に動き出す生徒たち。

 

「さて、俺達も行こうか。……敵同士になっても恨みっこ無し、だからな?」

「ええ、もちろん」

「うん、全力で闘おう」

 

 3人は拳同士をぶつけ、離れて行く。笑顔を共に。

 

 

 

 

 

 -----

 

 アカデミーのメイン校舎から離れた所に有るチームが集まる校舎に移動する。中には小部屋が沢山あり、これからチームの拠点として使う。

 

 ラインは自分のチームの部屋の前に立ってドアを開ける。

 

 すると中には一人の女子生徒しか居なかった。まだ集合時間には少し早い。

 

 その女子生徒は肩までの黒髪で眼鏡を掛けて、教科書を読んでいるーーいや、ぎっしりと文字が書かれたノートも一緒だ。

 

 そんなラインの視線に気付いたのか、視線をチラッと向けるがすぐに手元に戻す。

 

 邪魔してはいけなさそうだから大人しく待っているか。

 

 端末でゲームでもしていると勢い良く扉が開いて入って来る男子生徒が一人。

 ハアハアと息切れしている程だ。

 

「す、すみません!! 遅れました!!」

 

 いきなり謝って来る男子生徒にラインは頭を捻る。

 

「いや、まだ集合時間には余裕が有るぞ」

「えっ!?」

 

 慌てて手元の時計を見た男子生徒は顔を赤面させる。

 

「また時間見間違えた……はあ……」

 

 ものすごく落ち込む男子生徒にラインはフォローする。

 

「遅刻よりはマシだ。まあ座れよ」

「そうですね……」

 

 ラインの対面に座った男子生徒は恥ずかしそうに自己紹介を始める。

 

「改めて、初めまして。私はドリーです」

「こちらこそ初めまして。俺はライン。よろしくなドリー」

 

 手を差し出して握手する。その後雑談をしていると後ろ声が掛かる。

 

「ねぇ」

「ん?」

 

 振り向くとさっきの女子生徒がこちらを睨んでいる。なんか悪い事したか?

 

「あなた達はやること無いの? これから連携実習よ? 暇なら少しでも勉強したらどう?」

 

 上から目線の言葉に怒りがこみ上げるライン。ここは抑えて、反論しなくては。

 

「勉強? ああ、そういえば君は学年トップだったね。なら分かるだろう? 勉強だけが連携実習への勉強では無く、話す事も必要だと」

 

 ラインの言葉に悔しそうに顔を歪める。

 

「……好きになさい」

 

 そう言って手元に視線を戻す女子生徒。

 

 ああ思い出した。学年トップの成績だったが指揮官科に選ばれず、魔法師科に行った女子生徒が居たとティナに聞いたな。

 

 するとドリーは申し訳なさそうにする。

 

「ごめんなさい、私のせいでこんな目に」

「いや、お前は悪くない」

 

 まあ、また小言言われるのも嫌だから黙っていようか。

 

 手元の端末を見ると集合時間が迫っていた。後二人も来ないぞ。

 

 するとまた扉が勢い良く開く。

 そこには息切れしているマナンが居た。

 

「何とか間に合ったぁぁ!! えっ? ライン?」

「……マナン?」

 

 思わぬ再会に抱き合う二人。

 

「ラインと同じとは思わなかった!!」

「俺もだ!!」

 

 踊り出しそうな雰囲気にドリーは思った事を言う。

 

「……二人は付き合ってるの?」

「「違う」」

 

 息の合った答えにイマイチ納得してないドリー。

 

 そんなこんなしている内にチャイムが鳴ってしまう。連携実習への移動の時間を知らせるチャイムだ。

 

「え? 一人足りないのだが……」

 

 ラインの呟きは静かな部屋に響いたのだった。

 

 

 

 

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