ダンジョンに竜の探索に行くのは間違っているだろうか   作:田舎の家

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第六話 迷宮の街へ

 『ダンジョン』

 

 元の世界で数々の戦いを潜り抜けて来た彼らにとっても、ここは未知の場所であった。

 ヒュンケル達一行が、一階層でベルと別れてから、一時間以上が経過していた。

 彼らは現在、十階層に到達し、この層の特徴である濃い霧の中にいる。

 

 十分な視界を確保するのが困難になる、霧が漂うこの階層は、草原が続く広いルームに、枯れ木が立ち並ぶ奇妙な光景を作り出していた。

 

 「地下に霧が出て、枯れ木の草原が広がるか……。ダンジョンが単なる地下洞窟ではないという話は、本当なのだな」

 

 周囲を見回し、ヒュンケルが呟く。

 

 この場所に至るまでの短い時間の間に、一行はこの不思議な『ダンジョン』の事を色々と観察して来ていた。

 上層に蠢くモンスターは、確かに手強いような相手ではなかった。

 中には、角の生えた兎や大きな蟻といった、彼らのいた世界でも良く目にするモンスターも確認出来る。

 だが、驚くべきは、そうしたモンスター達がダンジョンの壁の中から産まれ落ちて来た事だった。

 

 「ダンジョンは生きている、か……。あの光景を目にすれば、確かに納得せざるを得んな」

 

 ラーハルトも、その瞬間を確認した時は驚いた。

 ダンジョンの壁が罅割れ、そこから確かにモンスターが産み出されたのだ。

 

 「全くだぜ、身体の中に『魔石』なんて物があったり、壁から産まれたりって、このダンジョンのモンスターってのは、禁呪法で作られたモンスターみたいなもんなのか?」

 

 自身の出自に似た形態を持つ未知の怪物に、ヒムも疑問と興味を覚えた。

 

 「だとしたら、『ダンジョン』とはいったいなんなのだろうな?」

 

 『ダンジョン』の正体。

 それを疑問に思うクロコダインだったが、それについては『ギルド』も教えてくれないし、ヘスティアからもはぐらかされてしまった。

 

 そのダンジョンが産み出す、この世界のモンスターにしても、【獣王】と呼ばれた彼ですら、これまで一切の意思疎通は出来なかった。

 元の世界のモンスターなら、倒した後にむっくりと起き上がり、仲間になりたそうな目でこちらを見る事もあったのだが、今のところそんな事は起きていない。

 モンスターは、ただの脅威でしかないという、この世界の常識を改めて確認する事になった。

 

 そして、霧の中から何かが一行に向かって近付いて来る。

 

 「新しいモンスターか」

 

 ヒュンケルが、『覇者の剣』を握り締めて、そちらに視線を送る。

 現れたのは、身長三Mを超える茶色い肌に豚の顔を持つ、大型級のモンスター『オーク』だった。

 

 「こいつが、この世界の『オーク』か。あいつらに、似ていると言えば似ている……か?」

 

 クロコダインは、かつて率いていた百獣魔団にいた、自分の配下のオーク達の事を思い出す。そのオークは猪に似た顔の獣人だったが、こちらのオークは豚顔。

 

 「ふーむ、似たモンスターに付けられる名前は、どこでも同じという事か?」

 

 そんな事を思いつつ、彼も『グレイトアックス』を構える。

 現れたオークは、約三十体。

 そのオーク達が、地面に生えている枯れ木を次々と引き抜き、棍棒として握り締めた。

 

 「これが、エイナさんの言っていた、『迷宮の武器庫』か……」

 

 生きている迷宮が産み出した、モンスターに提供する、『天然の武器』。

 当然、素手のモンスターよりも、武装したモンスターの方が手強いのだ。

 

 「問題はない。多少武装したところで、オレ達との差は埋まらん」

 

 既にラーハルトは、ダンジョンのモンスターと自分達との戦力判定を終えている。

 ギルドの勉強会で聞いた情報と、ここに来るまでに軽くあしらって来たモンスターの力量。

 『上層』や『中層』に出現する程度のモンスターでは、いくら数が多かろうとも、彼らの決定的な脅威とはなり得ない。

 

 ラーハルトは、『鎧の魔槍』を構え、叫ぶ。

 

 「『鎧化』ッ!」

 

 その言葉に槍が反応し、その穂先を納める異形の鞘が、ラーハルトの身を包む鎧へと変形する。

 

 かつてヒュンケルが所有していた『鎧の魔剣』は全身鎧だったが、『鎧の魔槍』は動き易さを重視した軽装鎧だ。

 それでも、高い防御力に加えて、全身に装備された隠し武器。そして、電撃以外の魔法攻撃を無効化する高い抵抗力。それらを備え持つ強力な武装こそが、魔界の名工ロン・ベルクの傑作『鎧の魔槍』なのである。

 

 「いくぜっ!」

 

 棍棒を手に襲い掛かって来るオークの集団に、真っ先にヒムが飛び込んだ。

 武器は何も持っていないヒムに、一体のオークが棍棒を振り下ろす。それをヒムは、不敵な笑みを浮かべて、片手で防ぐ。

 

 バキッ!

 

 派手な音を立てて折れたのは、怪力のオークが握った棍棒の方だった。

 人間の姿に変化していても、彼の肉体が超金属『オリハルコン』の塊である事に変わりはない。

 生半可な攻撃では、ヒムの身体に傷一つつける事は出来ないのだ。

 

 「オラァッ!」

 

 そして、当然のようにヒムの一撃は、オリハルコン製の武器と同じ威力を持つ。

 オークの太い腹に、ヒムの拳がぶち当たる。

 その衝撃に、オークの巨体が折れ曲がり、血肉を撒き散らして派手に破裂した。

 

 『闘気』を込めた訳ではない、ただの拳の一撃。

 しかし、それだけで、ヒムの目の前のオーク達は、次々と肉塊に変わって行く。

 

 「オレも負けてられんなっ!」

 

 白銀に輝く『メタルキング』製の防具に全身を固めたクロコダインが、『グレイトアックス』を振り下ろす。

 

 ズザンッ!

 

 怪力を持つ事で知られるオークの力が、ただの赤子に思えるような【獣王】の力。クロコダインは、棍棒ごとオークの身体を、大斧で真っ二つにした。

 

 「ふっ!」

 

 その横では、ラーハルトが文字通り目に留まらぬ速さで槍を一閃する。

 正確無比な彼の一撃は、オーク達に何が起こったのか気付かせる事もなく、その豚頭に槍で風穴を開けて行く。

 

 仲間達が次々と敵を倒して行くのを見ながら、ヒュンケルは一体のオークと対峙していた。

 九階層までに見て来たモンスターとは違い、大型のモンスターに出くわしたので、試してみたい事があったからだ。

 

 (体内に、『魔石』を持つモンスター。『魔石』は、モンスターの『核』であり、活動の根源らしいな。ならば……)

 

 ヒュンケルは、オークの前で恐れる事もなく目を瞑った。

 視力を封じ、『心眼』によって敵の本体を、そして、その急所を見極める為にだ。

 それは、彼がかつて悪の戦士であった時には使えなかった、アバン流刀殺法の奥義『空』の技。

 しかし、真の正義の戦士として目覚めたヒュンケルは、ラーハルトから受け取った『鎧の魔槍』によって、アバン流槍殺法『虚空閃』を習得した。

 

 今、その槍はラーハルトの手に戻り、ヒュンケルの手には元の得物である剣が戻っている。

 ならば、出来る筈であった。

 右手に握られた『覇者の剣』の刃に、ヒュンケルの魂から迸る色に染まった、攻撃的生命エネルギー『闘気』が収束する。

 そして、闘気を帯びた『覇者の剣』の刀身が、強烈な光を放ち始めた。

 

 「『空裂斬』ッ!」

 

 一気に振り抜いた剣から、光の闘気の刃が迸り、それがオークの身体の中心を走り抜けた。

 

 「斬れたか……」

 

 ヒュンケルが確かな手応えを感じて息を吐くと、同時にオークの身体が二つに割れた。その中心にあった『魔石』も、真っ二つに斬られて砕け散る。

 

 敵の急所を見極め、実体の見えない敵をも切り裂く、光の闘気を操る『空』の技。

 それが、この『ダンジョン』から産まれるモンスターに対しても、有効な技である事が証明されたのだ。

 この技を、剣で決めたのは初めてだったが、これでヒュンケルはアバン流刀殺法を、全てマスターした事になった。

 

 「今のが『空裂斬』か」

 

 ヒュンケルの傍にラーハルトが近付き、声を掛ける。

 いつの間にか、戦いは終わっていた。

 ルームに現れたオークの群れは全て倒され、今は骸となって草の上に転がっている。歴戦の戦士である彼らにとっては、脅威とも言えない相手であった。

 

 「ああ、禁呪法のモンスターと同じように、身体の中に『核』のような物を持っているのなら、通じると思ってな、試してみた。どうやら、上手く行ったようだ」

 

 『心眼』で、モンスターの体内にある『魔石』の位置を特定し、そこに『闘気』の刃を当てる事で、『魔石』そのものを破壊する。

 成功すれば、どんなモンスターでも一撃で倒せる事になる。

 

 「尤も、弱いモンスターには使う意味がないし、逆に強いモンスターならば、上手く当てられるとは限らん。そう都合の良い話ではないだろうがな……」

 

 自分よりも力量が上の相手であるなら、『空裂斬』とて、絶対の必殺技ではない。

 それを心に留めつつ、ヒュンケルは一定の達成感を得ていた。少年時代にアバンと袂を別って以来の宿題を、漸く解決したような気がするのだ。

 

 「じゃあ、さっさと集めちまおうぜ」

 

 ヒムが早速、オークの死骸から『魔石』を抜き出し始める。

 本来は、冒険者と一緒に行動するサポーターの仕事なのだが、この一行に付いて来れるサポーターはいないので、回収作業は自分達でやらなければならない。

 

 「ん、これはなんだ?」

 

 『魔石』を抜き取ったオークの死骸は、すぐに灰の塊に変わった。だがその中に、灰にならずに残った物があり、それをクロコダインが拾い上げる。

 

 「なるほど、これが『ドロップアイテム』か」

 

 モンスターを倒し、『魔石』を抜き出すと、残った身体は灰と化す。しかし、稀に灰にならずにモンスターの身体の一部がそのまま残る事があるらしい。

 そうした物は、『ドロップアイテム』と呼ばれ、加工されて武器や防具、或いは様々な道具や薬の材料になるそうだ。

 

 今回拾ったのは、オークの腰回りを覆っていた体皮が残った、『オークの皮』である。

 ヒュンケル達は、『魔石』と『オークの皮』を何枚か拾うと、『袋』に入れ、次の階層へと歩みを進めるのであった。

 

 

 一行は『上層』を抜け、『中層』に足を踏み入れる。

 Lv1の下級冒険者が探索する『上層』に対し、ここからは、Lv2以上の上級冒険者が挑む階層となる。

 オラリオにいる冒険者の約半数がLv1という話なので、ここ以降に潜れるのは、選ばれた者だけという事になるのだ。

 

 岩盤だけで構成され、少し湿った空気が漂う十三階層。

 通路を照らす燐光は暗く、壁の隅には縦穴が開いている場所もある。

 これは、下層への落とし穴になっている、と聞いていた。

 

 「階層ごとに、ここまで姿が変わるか」

 

 ヒュンケルは、誰に言うともなしに思いを口にした。

 

 「変わるのは、ダンジョンの様子だけではないようだがな」

 

 ラーハルトの視線が、通路の先に注がれる。

 薄暗がりに、真っ赤な眼光が、複数浮かび上がって見える。

 

 「新手のモンスターだな」

 「おおっ、確かおっかねー姉ちゃんの勉強会で聞いたやつだ」

 

 クロコダインとヒムも、新たな敵に目を凝らした。

 エイナから聞いた、ダンジョンの中でも特に注意すべきモンスター。

 この『中層』で、多くの冒険者の命を奪ったのが、今一行の前に現れた、漆黒の毛並みを持つ巨犬だった。

 

 それは、『放火魔』の異名を持つモンスター、『ヘルハウンド』であった。 

 この黒犬は、口から火炎を放射し、冒険者を焼き殺す。

 もしも、群れで出逢って、一斉火炎放射でもされれば、人は灰しか残らないと、エイナが彼らに教えてくれた。

 

 この攻撃に対応する為に、『ギルド』では火炎や熱に耐性を持つ『サラマンダー・ウール』の装備を推奨している程なのだ。

 そのヘルハウンドが、通路の奥から、次々と現れる。

 

 「二十匹以上いるな」

 

 Lv1やLv2の冒険者であれば、ただちに逃げ出すような事態だが、この一行に焦りの色は全くない。

 

 「いくぞっ!」

 「おうっ!」

 

 ラーハルトとヒムが、まずは飛び出す。

 瞬時に間合いを詰めたラーハルトの槍が、子牛ほどもある黒犬の頭部を貫く。その隣で、ヒムの拳が、やはりヘルハウンドの頭を粉砕した。

 ヒュンケルとクロコダインも、飛び掛かって来るヘルハウンドを、剣と斧で切り払いながら相手をする。

 

 瞬く間に、黒犬達の数は半減して行く。

 それでも、凶暴なヘルハウンドは、逃げずに力を溜めた。

 その口腔に光が灯り、赤熱した火炎が一斉に放射される。

 

 「ぬうっ!」

 

 その火炎攻撃の前で、クロコダインが『メタルキングの盾』を構えて、『仁王立ち』となった。

 直線に放射された数条の火炎が、クロコダインの巨体に命中する。

 だが、その高熱の炎を、彼が手にする大きな金属製の盾は、水でも弾くように防いでしまう。盾から外れた炎でさえも、全身に装備された白銀の防具が、盾と同様にクロコダインの身を守る。

 

 ヘルハウンドの業火も、『メタルキング』の名を持つ防具を全身に装備し、さらには鋼鉄の肌を持つクロコダインには、全く通じない。

 この装備は、火炎や吹雪による攻撃の威力を、ほとんど無効化してしまうのだ。

 

 それは、ラーハルトとヒムも同じだった。

 

 高い魔法防御力を持つ『鎧の魔槍』、それにオリハルコンの肉体にも、ヘルハウンドの火炎程度では、焦げ跡一つ付かない。

 尤も、二人共、火炎に焼かれるようなドジは踏まない。

 ヘルハウンドが火を吐くよりも早く、その息の根を止めて行く。

 

 そして、ヒュンケル。

 

 彼が今身に付けている防具は、『神秘の鎧』。

 不可視の物理防御力を持ち、その神秘の力で、着用者の負傷を常時回復させる効果を発揮する、強力な鎧ではあるが、かつての『鎧の魔剣』のような魔法防御力はない。

 無防備でヘルハウンドの一斉火炎放射を受けてしまえば、ヒュンケルであっても、無傷では済まないだろう。

 

 しかし、彼には、全てを切り裂く剣技があった。

 

 「『海破斬』ッ!!」

 

 アバン流刀殺法最速を誇る、『海』の技。   

 その剣速は音を置き去りにし、衝撃波を生んで、形の無い火炎をも斬ってしまえる。

 自身に向かって吐かれたヘルハウンドの火炎を、ヒュンケルは剣で切り払い、無傷でそこに立っていた。

 同時に、その衝撃波だけで、一匹のヘルハウンドが撃破される。

 多くの冒険者を消し炭に変えて来た、危険なヘルハウンドも、この一行にとっては他のモンスター大して変わらない相手なのであった。

 

 

 「広いな……」

 

 『ダンジョン』に潜ってから数時間後。

 ヒュンケル達四人は、十七階層まで到達していた。

 そして、今彼らがいるのは、十七階層最奥の大広間。

 奥まで200M、幅300Mもある広い空間。その左側の壁は、綺麗に磨き抜かれ不自然に美しい。

 

 「これが『嘆きの大壁』か……」

 

 ヒュンケルは、己が目にした不思議な壁に目を細める。

 

 この場所の事はエイナの勉強会で教えられた。

 ダンジョンの『壁』は、モンスターを産み出す。その中でも、特定の階層、特定の場所から産み落とされる、たった一体の特定のモンスターが存在するらしい。

 それは、その階層に現れるモンスターの強さを遥かに超えた存在であり、様々な巨人の姿をした怪物、『階層主』とも『迷宮の弧王』とも呼ばれていた。

 

 この『嘆きの大壁』からは、そうした階層主の一体、『ゴライアス』が現れると、一行は聞き知っていた。

 

 「いねーな、その『ゴライアス』ってやつ?」

 

 ヒムが壁をじろりと睨むが、そこは鏡面のように滑らかで、罅一つ見当たらない。

 

 「ふむ、確かそいつは、倒されてから二週間後にまた現れるらしいな」

 

 クロコダインは、階層主について聞いた話を思い出す。

 

 階層主は、他のモンスターとは違って、一体しか存在せず、一度倒されると、それぞれ間隔を置いてから再び出現する。

 この場所の階層主『ゴライアス』のインターバルは、二週間とされていた。

 

 「誰かが、倒したのだろう。いつ現れるか知らんが、迷宮探索を続けていれば、その内に出会う事になるだけだ」

 

 ダイ捜索の邪魔になるならば、何であろうと倒すのみと考えるラーハルトは、階層主が居ようが居まいが気にしなかった。

 

 「そうだな、そして……」

 

 ヒュンケルの視線が、大広間の奥、壁の真ん中に空いている洞窟に注がれる。

 

 「あれが、十八階層への入り口だな」

 

 今日の目的地、ダンジョンに存在するという『安全階層』。

 その場所に、四人は初めて足を踏み入れるのであった。

 

 

 その光景は、圧巻だった。

 オラリオの『ダンジョン』十八階層。

 他の層とは違い、モンスターが壁から産み出されない『安全階層』でもあるこの場所には、大自然が広がっていた。

 

 「まさか、こんな場所が地下にあるとはな……」

 

 異世界にやって来て、今までの常識とは違う物を、色々と見たり聞いたりして来たヒュンケル達だったが、薄暗い洞窟を下りた先に広がる、大草原や森林、小川や湖を見ると、改めて衝撃を受けた。

 

 「地下迷宮でありながら、自然な世界が広がっている……。『魔界』とも違うのだな……?」

 

 ラーハルトの父親である『魔族』とモンスターが暮らす、地下世界『魔界』。

 そこは、マグマが滾る見渡す限りの不毛の大地が広がっているそうだ。

 

 「だが、このような場所があるなら、確かにダイがダンジョンの中で生きていると、信じられるな」

 

 クロコダインが、広い階層全体を見回す。

 この場所ならば、食料になる果実にも、生きる上で不可欠な水にも事欠かないのだ。

 

 「それに、明るいぜ。天井から、水晶が生えていやがる」

 

 ヒムが見上げた先には、階層の天井部分を埋め尽くす無数の青水晶があった。その中心にある白水晶が、まるで太陽のように見える。

 

 「エイナさんの話では、あの水晶の発光によって、この階層には、昼と夜が作り出されるそうだ」

 

 実際、今は地上の昼間と変わらない明るさで、階層全体が照らされている。

 水晶は、階層内の地面のあちこちからも生えていて、この場所を幻想的に彩っていた。

 大草原の真ん中には巨大樹が聳え、地下十九階層への浸入路は、その樹の根元の洞にあると聞いている。

 森を見ると、他の階層からやって来たのであろう、モンスターの姿も、チラホラと確認出来た。

 

 「この場所こそ、正に異世界だなヒュンケル」

 「ああ、大魔王バーンとの闘いでは、色々珍しい物は見て来たが、流石にこんな光景を見るのは、初めてだ」

 

 目の前に広がる『迷宮の楽園』を前にして、ヒュンケルはそう語った。

 

 バーンが作り出した、巨大な人型要塞『奇岩城』、空を掛ける巨大宮殿『バーンパレス』等を見て来た彼らだが、地下迷宮に広がる楽園などと言う光景は見た事が無かった。

 

 「次は、この階層にあるという、冒険者の『街』に行ってみるぞ。ダイの手掛かりも、何か掴めるかもしれん」

 「うむ」

 「楽しみだぜ」

 

 そして、一行は十八階層の草原を進むのであった。

 

 

 四人は、階層南部の森を抜け、湖のある西部へと歩みを進めた。

 この階層の面積は、オラリオの街の半分ほどもあり、その周囲は、天井まで届く垂直の断崖で遮られている。

 

 そして、湖には大きな岩の島があり、そこに渡る為の巨大な丸太橋が設置されていた。

 橋を渡り、崖を登ると、所々に白水晶や青水晶が生える集落へと辿り着く。

 そこには、アーチ門が作られ、看板も掲げられている。

 

 『ようこそ同業者、リヴィラの街へ!』

 

 島の断崖の上には、確かに街が存在していたのだ。

 

 「思っていたよりも、ずっと大きな街だな……」

 

 門から見える街の有様には、ヒュンケル達も少し驚いた。

 

 木で作られたバラックのような建物や、天幕を張っただけの店、岩に空いた天然洞窟を利用した店舗や宿屋。

 そこは、モンスターが蠢く迷宮の中とは思えない程、活気のある街に見えた。

 人口も、数百人はいるようで、武器と鎧で完全武装した客や住人が歩いている。

 

 一行がエイナから聞いた情報によると、この街は冒険者によって運営され、細かい規則や領主も存在しない、『世界で最も美しいならず者達の街』なのだそうだ。

 十九階層以下を探索する冒険者達を相手に、消耗品や補給物資を販売し、宿泊場所を用意し、集めて来た『魔石』や『ドロップアイテム』、資源を買取り所で取引し、金を稼いでいる。

 

 「しかし、話には聞いていたが、地上の品とは、凄い価格差があるぞ」

 「完全に、ボッタクリってやつだな」

 

 門を潜って街に入り、店先に並べられた商品に付けられた値札を見て、クロコダインとヒムが呟いた。

 

 それらに付いている値は、地上の街で売っている品よりも、桁が一つ二つ違っているのだ。

 ダンジョンの中では簡単に手に入らない物資を、法外な値段で冒険者に売りつけるという、阿漕な商売をここの住人達は行っている。

 『魔石』等の買取り価格も安く、地上で売れる値の半額以下しかここでは物が売れない。

 

 「確かに、ならず者の街という話は事実のようだな」

 「ああ、それでも、こんな街が成り立っているという事は、必要悪として受け入れられているからだろう」

 

 それでも、リヴィラの街は冒険者から必要とされていた。

 

 ダンジョン内では、いくら『魔石』や『ドロップアイテム』、資源を得たとしても、それを運ぶのに使えるのは、あくまでも人力に限られる。

 道中はモンスターとの戦闘も、当然のように行わなければならないし、武器や防具、回復薬や食料も所持しなければならない。

 重い荷物は、時に命取りにもなりかねない。

 

 これより深く潜れる上級冒険者は、探索の効率を上げる為に、集めて来た品をこの場所で換金し、再度地下へ潜って行く。

 例え安く買い叩かれようとも、地上に換金に戻る時間を考慮すれば、ここを利用する方が結果的に稼げる訳だ。

 

 「それに、この街では、金ではなく主に証文で売り買いをしているようだな」

 

 クロコダインが店を覗くと、客が品物と引き換えに、証文にサインをしていた。

 

 リヴィラの街では、重い金貨の代わりに、証文による信用取引か現物による物々交換によって、売買がなされている。

 だが、証文での取引には、派閥のエンブレムが必要だった。

 生憎、発足したばかりの【ヘスティア・ファミリア】では、まだ派閥のエンブレムも決まっていないので、証文での買い物は出来ない。

 ヒュンケル達がこの街で何かを買うなら、現金か物々交換しかないだろう。

 

 

 街中を一通り見て回ったヒュンケル達は、街の広場にいた。

 そこからは、十八階層全体が見渡せる。

 

 「ダンジョンの中でも、人が生きて行ける事は確認出来た。後は、何処かに居られるダイ様を、捜し出すだけだな」

 

 ラーハルトは、安全階層の中を見回し、改めてダイの生存を確信した。

 

 「ああ、その通りだ」

 

 ヒュンケルもその考えに頷き、彼らは、今後の方針を話し合う事にした。

 

 「ここまで来るのに、四時間弱。正規ルートに慣れてくれば、オレ達なら、もっと時間は短縮出来る。『中層』程度までなら、日帰りでも探索は可能だな」

 

 クロコダインは、ここまで来る時間を計り、『中層』までは朝出発して、夕刻には帰って来られると考えた。

 

 「だが、それでは、二、三時間しか十九階層以下を探索出来ん。効率が悪すぎるぞ」

 「そうだよな、来てみて判ったけどよ、この『ダンジョン』、馬鹿みたいに広いぜ」

 

 実際に足を踏み入れてみて、一行は、ダンジョンの広大さを実感していた。

 一層ごとの広さに加えて、それが何十層も重なっているのだ。

     

 「ああ、毎日日帰りで探索するのでは、とても捜索しきれない。ダイを捜す為には、他の冒険者達と同様に、この安全階層を利用するしかないだろう」

 

 冒険者達は、この階層を拠点として、より深い『下層』や『深層』への探索に向かっている。

 

 「オレは、ここで野営をしつつ、一日二日の休みを置いて、一泊二日か、二泊三日程度の探索を考えている」

 

 ヒュンケルがそう口にすると、皆の視線が彼に集まる。

 

 「なぜ、ダイ様の捜索に、休みを挟まねばならん?」

 

 放って置けば、不眠不休で捜索を始めかねないラーハルトが、怪訝そうな顔をした。

 

 「全く街に帰らない訳にも、行かないだろう。ベルの訓練もあるし、エイナさんの勉強会もある。物資の補給も、しなければならないからな」

 

 そうヒュンケルが冷静に指摘すると、ラーハルトも納得せざるを得ない。

 

 「そうだな、この街で補給をすれば、いくら金があっても足らん。オレ達が利用するとしたら、食事や宿泊、後は情報収集くらいだろう」

 

 人力でダンジョン内に持ち込める物資も、逆に持ち出せる物資も量に限度がある。

 しかし、見た目の大きさや重量を無視して物が入れられる『袋』を持つこの一行だけは、その問題を克服出来るのだ。

 

 「それによ、オレ達誰も『回復魔法』は使えねーだろ? 回復薬だって調達しないと、怪我を治す事が出来ねーぞ」

 

 ヒムが、このパーティの欠点を指摘する。

 

 『攻撃魔法』なら、ハドラーから受け継いだ力を、ヒムが行使出来るのだが、負傷を癒す回復魔法『ホイミ系』を使える者は、彼らの中にいなかった。

 今のところ、回復手段を持っているのは、『神秘の鎧』を着ているヒュンケルだけだ。

 

 「確かにな……。精霊がくれた『袋』の中に、特殊な薬草や貴重な治療薬、魔法力の回復薬はあるが、その数には限りがある。どこかで補給する必要はあるだろう。地上に帰ったら、ヘスティアに回復薬の事も聞いてみよう」

 「それに、教会の補修もしなければならん。屋根と壁の穴を塞いで、寝台や家具をどこかで買って運び込んで置くか」

 「この場所で野営を続けるなら、道具も揃えなければな、それに食料もか」

 

 皆が、これから始まる探索に向けて、意見を出して行く。

 

 「……結構、やる事あるよな」

 

 やるべき事を上げ終えて、ヒムがポツリと呟いた。

 

 それに、皆が無言で同意する。

 街で新しい生活を始めるとは、そういう事なのだ。

 なかなか、ダイの捜索だけに集中する事が出来ないのが現実であった。

 

 

 そして、予定通り十八階層まで到達したヒュンケル達は、今日の探索を切り上げ、地上への帰路に着いた。

 リヴィラの街を後にし、十七階層の大広間を抜ける。

 

 「ん? 何か騒がしいぞ?」

 

 クロコダインは、前方からガチャガチャと響く人の足音に気付いた。

 

 「他の冒険者か?」

 

 皆が視線を送ると、そこには通路を必死に走る数人の冒険者の男女がいた。

 当然、一行の誰とも面識の無い者達である。

 そのパーティは、ヒュンケル達四人をチラリと見ると、彼らの横を脱兎のように走り去った。後ろを振り返る事もなく、十八階層への洞穴を目指しているようだ。

 

 「これは、どういう事だ?」

 

 ラーハルトが怪訝そうな表情を浮かべたが、すぐにその顔を引き締める。

 

 「来るぞ」

 

 ヒュンケルも、通路の先から迫る気配に、『覇者の剣』を鞘から引き抜いた。

 

 「ひょっとして、今のが、モンスターを押し付けられるってやつか?」

 「ふむ、確か『怪物進呈』だったか? ダンジョンの中では、危機に陥ったパーティが時にやらかすらしいが……」

 

 ヒムとクロコダインも、これから予想される事態に備えて身構えた。

 

 そして、それが現れる。

 通路の先から、数十匹のモンスターの大群が、ドドドッと押し寄せて来たのだ。

 

 迷宮の天井近くを飛び回る蝙蝠『バッドバット』や、四足歩行する大虎『ライガーファング』、口腔に炎を溜める『ヘルハウンド』。

 そして、身長二Mを超える牛頭人身のモンスター『ミノタウロス』。

 

 それらの怪物の群れが、逃げて行ったパーティの代わりに、ヒュンケル達四人を新たな攻撃目標に定めたのである。  

 

 「仕方がない、さっさと片付けるぞ」

 

 多数のモンスターの軍勢を前にしても、ヒュンケルに動揺は無い。

 

 かつてのバーンパレスでの戦いでは、ダイ達を先行させる為に、ヒュンケルは一人で魔界のモンスター軍団と戦った事があった。

 その時戦った魔界のモンスター達に比べれば、このダンジョン『中層』程度のモンスターは、雑魚に過ぎない。

 

 その上、今の彼は一人ではなく、強力な仲間達が共にいるのだ。

 

 「言われるまでもない」

 「おおっ、早く帰って夕飯食わないとなっ!」

 「それに、軍資金も稼がねばならんのだろう」

 

 ラーハルトが魔槍を引き抜き、ヒムが拳を構え、クロコダインが鉄球の鎖を握り締める。

 

 『ダンジョン』十七階層、地上への帰り道で、異世界の戦士達とモンスターの軍勢が激突する。 

 

 

 「適度に数を減らして行くぞ」

 

 ラーハルトは、モンスターの群れに向かって走りながら、左手に装備された『鎧の魔槍』の小型シールドを外し、天井近くを舞う蝙蝠の一群に投げ付けた。

 

 『鎧の魔槍』の隠し武器の一つ『ブーメラン』である。

 

 高速回転する『ブーメラン』が、弧を描いて飛翔し、『バッドバット』の群れを切り裂いて、ラーハルトの手元に戻って来た。

 それを受け止め、再度腕に装着すると、ラーハルトは、高速で魔槍を振るって地上のモンスターを貫いて行く。

 

 今のラーハルトは、精霊から貰った『星降る腕輪』を装備している。

 この腕輪は、身に付けた者の俊敏性を大幅に高める効果を持つ。

 ただでさえ、桁外れのスピードを誇っているラーハルトが、さらに『星降る腕輪』を身に付けた事によって、その戦闘速度は、神速の域に達していた。

 

 「オオオオッ!!」

 

 ヒムも、拳を振り上げて『ライガーファング』の一体に迫る。

 彼の攻撃は文字通り一撃必殺。

 襲い来る大虎の頭を砕き、腹を蹴破り、さらには『回し蹴り』を繰り出して、モンスターを纏めて蹴り殺す。

 

 そして、ヒムは不敵に笑うと、怪物の一団に向けて片手を伸ばす。

 

 「使わせて貰いますぜ、ハドラー様っ!」

 

 生みの親であり、その命を受け継いだ彼の王に許可を求めてから、ヒムはその『呪文』を唱える。

 

 「【イオラ】ッ!」

 

 その一言で、ヒムの手から破壊エネルギーの塊が放たれる。

 爆裂呪文であるイオ系の魔法【イオラ】は、モンスターの群れの中心に着弾し、その名の通り、大爆発を起こした。

 吹き上がる爆風と衝撃に、モンスター達が吹き飛ばされ、壁や天井に叩き付けられる。

 

 「へっ! やっぱり、魔法も役に立つじゃねーか」

 

 格闘術を得意とするヒムは、これまで火炎を生み出すメラ系の熱エネルギーを拳に込めて放つ、『超熱拳』に魔法の力を使うだけで、飛び道具としては使ってこなかった。

 しかし、ハドラーの力を受け継いだ今のヒムは、【魔王】と呼ばれたハドラー同様、格闘と魔法の使い手となったのである。

 

 『ミノタウロス』達が集団で牙を剥き出しにし、迷宮の空気を震わせるような『咆哮』を上げた。

 

 『ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 恐怖を呼び起こす強烈な『咆哮』。

 それを聞けば、Lv1の冒険者なら、ショックによる『強制停止』を免れない。

 

 しかし、彼らの前にいる男は、咆哮などでは怯みはしない。

 何故なら、彼こそが『獣の王』なのだから。

 

 「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーッッ!!!」

 

 クロコダインの口から迸る『雄叫び』は、ミノタウロス達の咆哮を掻き消した。

 逆に、牛頭人身の怪物達の方がショックを受け、その身を竦ませる。

 

 「その程度かっ、この世界のモンスター達よっ!」

 

 ミノタウロスの一団目掛けて、クロコダインが頭上で振り回していた『破壊の鉄球』を叩き付けた。

 総合的な戦闘能力では、他の三人に及ばないクロコダインだが、その『パワー』と『タフネス』は、彼らをも圧倒する。

 振り回された超重量武器『破壊の鉄球』は、ミノタウロス達の強靭な筋肉を押し潰し、骨をへし折り、その身を文字通り粉砕した。

 

 その一振りだけで、十体近い数のミノタウロス達が肉塊に変わる。

 怪力と耐久力、そして精霊から受け取った重装備。

 それらを駆使して、クロコダインは、次々とモンスター達を殲滅して行った。  

 

 仲間達の奮闘を横目に、ヒュンケルの口角が僅かに上がった。

 彼自身、『覇者の剣』を振るって、モンスター達を切り倒しているが、久しぶりの本格的な戦いは、ヒュンケルの中の戦士の本能を呼び覚ます。

 

 戦士としては二度と戦えないと宣告された身が、再び戦闘の中にいる。

 ダイを捜すという大目的は、彼の中で全く揺るがないものの、同時にヒュンケルは、仲間達と共に戦える自分に、高揚感を覚えていた。

 

 (あれが最後と、覚悟を決めていたが……)

 

 その時の覚悟に、悔いも迷いも無かった。

 だが、再び戦いの場に立ったヒュンケルの心には、かつての闘志が湧き上がっている。

 

 真の戦士は、再び冒険の場に帰って来たのだった。 

 

 

 「終わったな」

 

 ヒュンッ、と槍を一振りして、ラーハルトが辺りを見回す。

 

 『怪物進呈』によって、一行に襲い掛かって来たモンスターの群れは、一体残らず殲滅され、迷宮の地面に屍を並べている。

 数の差はあっても、結果は彼らの圧勝であった。

 

 「それにしても、あいつらひでーぜ、オレ達にモンスターを押し付けるなんてよ」

 

 ヒムが、十八階層に逃げ込んだパーティに愚痴を言う。

 

 「良い気はせんが、まあ、仕方なかったのだろう。これだけ多くのモンスターが現れる『ダンジョン』ではな」

 

 実害が無かったので、クロコダインは穏便に済ませる事にした。

 

 「ああ、聞けば、このダンジョンでは、少なくない数の冒険者の人死にも出ているらしい。皆、生き残るのに必死なのだろう」

 

 エイナの勉強会で聞いた、ダンジョンの歴史をヒュンケルは思い出す。

 それは、モンスターと冒険者の間で繰り広げられる、血みどろの闘争であった。

 

 ダンジョンでは、モンスターだけでなく、様々な仕掛けが冒険者の命を奪って行く。

 冒険者にとっては、ダンジョンそれ自体が最強の敵なのだ。

 

 ビキリッ

 

 そして、それは、今この瞬間にも牙を剥こうとしていた。

 

 「今の音は……」

 

 ヒュンケルは、ダンジョンの壁に目を向ける。モンスターは、ダンジョンの壁から産まれ落ちる。その法則に従い、彼らを取り囲む壁から一斉に亀裂が走る音が迸った。

 

 「これも、エイナ嬢が言っていたな、ヒュンケル」

 「そうだ、モンスターの大量発生、『迷宮の陥穽』、『怪物の宴』だっ!」

 

 そうヒュンケルが口にした瞬間、周囲の壁が一斉に割れ砕け、そこから無数のモンスターが産み出された。

 瞬く間に、彼らの周りは、百体近いモンスターによって埋め尽くされる。

 

 「第二ラウンドだぜ」

 

 その恐るべき光景を見ても、ヒムは余裕の笑みを浮かべる。

 

 「いくらでも来るがいい。ダイ様に辿り着く為ならば、オレは、このダンジョンの全てのモンスターを倒す」

 

 ラーハルトが、変わらぬ鉄面皮で魔槍を構える。

 

 「オレも【獣王】を名乗る以上は、モンスターには負けられんな」

 

 鉄球を、再度片手で振り回すクロコダイン。

 

 「今日は様子見の予定だったが、やはり一筋縄では行かないようだな、この『ダンジョン』は……」

 

 ヒュンケルが、一行を包囲するモンスター達に、鋭い眼光を向ける。

 

 

 竜を探す者達と、それを阻む『ダンジョン』との戦いの日々は、こうして始まるのであった。

 

 

 

   

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