ソード・アート・オンライン 〜理想の中の現実〜 作:DQkzk
年明け初です!
今、暇すぎて読書をしまくってます。何か楽しいことないかなー
俺は今、アスナたちと共にプレイヤー鍛冶屋の前にいる。
「いらっしゃいませ。本日はどんなご用件でしょうか?製作ですか?それともメンテですか?」
「強化でお願いします。持ち込みで素材は上限まで。」
その言葉を聞いた瞬間、鍛冶屋は困ったような顔をし、すぐに元の顔に戻った。
(……?)
「わかりました。では預からせて戴きます。」
アスナは鍛冶屋の男に細剣≪ウインドフルーレ≫と素材を渡した。
「確かに。」と言って鍛冶屋は強化作業に入った。携行炉に素材をいれるとぼぅっと炎が上がった。その炎の光はとても綺麗で思わず魅入ってしまった。光が弱まると鍛冶屋は火の中にウインドフルーレの刀身をいれ、暫くした後取り出し金槌で叩く。その間の時間は妙に長く感じられた。叩くこと十回、ようやく終わり刀身が光りだしたかと思うとすぐにポリゴン片になって消えていった。
「嘘……」
「すいませんでした!」
「………」
鍛冶屋は土下座をして必死に謝った。アスナは何が起きたのか理解できないような否、したくないかのように暫し放心している。俺はどうしていいかわからず、狼狽えていた。
ナニソレハズカシイ。
「…どういうことだ?俺はβテスターなんだがβテストのときには武器消滅なんてペナルティはなかったぞ。」
それまで俺と同じようになっていたキリトが慎重に言葉を紡ぎたした。
「たぶんβから変更があったんだと思います。前にも1度だけありましたから…」
とても悲痛な面持ちで鍛冶屋は言った。
「すいません。代金は全額返金します。………返品したいところなのですが生憎ウインドフルーレは切らしていてランクは下がるんですけどアイアンレイピアで宜しければ…」
これに関しては俺たちが決められることではないのでアスナに返事を求めそちらを見やると僅かな動きで首を左右に振っていた。
「………いや、大丈夫だ。頼んだのは俺たちなんだから君が弁償する必要はないよ。こういうことがあることを覚悟してやっているからな。」
アスナに変わってキリトが答えた。
キリトの言っていることはあっているんだろう。だが事実起きてしまっている以上、変わったと言われたら信じるしかない。でも俺は少しこの鍛冶屋に不信感を抱いた。
(そもそもこれが真実だとすると可笑しくないか?起きるかもしれない確率と実際に起きた確率が余りにも離れている。期間的にあり得ない。)
そう考えた俺は「先に行っていてくれ」と言ってアスナをキリトに任せ、1人残って鍛冶屋に尋ねた。
「………なぁ、えーと…」
「ネズハです。」
余りはっきりしない声で鍛冶屋もといネズハが名乗った。
「あぁ……ネズハ、前にも起きたって言ったがそれはいつのことだ?」
「…………確か3日前だったと思います。」
少し怪訝な顔をしながらもちゃんと答えてくれた。
「そうか、それでそいつはどうしたんだ?」
「…何故ですか?」
やはりというべきか鍛冶屋は不審がってきた。そりゃそうだ、俺だってこんなこと聞かれたら疑っているのかなどと思う。
「いや、剣の所持者の行動を参考にして今後の方針を決めようとしていただけだ。他意はない。」
まぁ、こういう建前があれば変には怪しまれない。鍛冶屋も一応納得したようで答えてくれた。
「その人は私が武器のスペアを持っていたのでそれを譲りました。」
「そうか。すまないな、商売の邪魔をしてしまって。それじゃあこれで。」
そう言って俺はこの場を後にして彼らを追いかけた。
俺はフレンドの居場所探知を使ってキリトに会った。因みに俺はこの前の説教時にフレンド登録させられました。脅しです、ハイ。
「アスナは?」
「終始落ち込んでいたけど幾分かは調子を取り戻した。今はすぐそこの宿屋にいる。」
ひとまずこの報告に安心する。だが疑惑がある以上、アスナにこのままで居てもらうのは忍びない。だから俺ができることはしよう。
「ちょうどよかった、アスナには聞かれたくないことを話そうとしていたからな。」
「さっきのやつか?」
「察しがいいな。その通りだ。」
キリトもこれについては何かあると感じているらしく、俺の話の続きを待っていた。
「俺はなんらかの方法を使って武器強化を失敗させている可能性があると思っている。」
「そうか、俺はそこまでは考えてないけど確率の低いことが何度も起きるとは思えない。」
「俺もそう思う。鍛冶屋についてわかってることを教えてくれ。情報交換をして情報を纏めたい。」
「わかった。」
俺はキリトからアーニルブレード+4の強化に立て続けで失敗した奴の話を聞いた。そして俺は武器破壊を起こした奴の話をした。
「……ますます可笑しいな。表面上あの鍛冶屋の損失が大きい。なのにエンド品の買取、手数料返還なんてしたらあの鍛冶屋は生きていけないはずだ。どこからその損失分の利益を手に入れているんだ?」
俺の言葉にキリトも合わせるように言う。
「確かにな。
…………これは俺の見解なんだがもしかしたら武器強化失敗で稼いでいるかもしれない。」
俺はキリトの言葉に驚愕した。ぶっ飛び過ぎている、相手は損失するが自分は損失はしない。だがそれは同時に利益がないということだ。しかもネズハの場合相手の損失の一部を払っているため損失は測りしれない。
「それこそあり得ないだろう。あの鍛冶屋がそういうことをやるやつに見えないし。」
「俺もそう思うよ。でもこれ以外に考えられないんだ。」
「……だな。まだ方法はわからないができることはしよう。キリト、アルゴに武器強化に武器消失のペナルティがあるか聞いてきてくれ。可能であれば一緒に情報を集めてくれ。」
「わかった。お前はどうするんだ?」
「鍛冶屋の身辺調査だ。」
そう言った俺は今、柄にもなく不敵な笑みを浮かべていた。