ソード・アート・オンライン 〜理想の中の現実〜 作:DQkzk
学校が始まったり、部活のトレーニングで疲れてダウンしたり……やっとひと段落ついたので投稿出来ました。
8時の鐘がなるとネズハは店じまいを始め、そそくさとその場を後にした。俺はその後を隠蔽を使いながらつける。
俗にいうストー…尾行をしていた。え?キリトに言ってたこととやってることが違うって?馬鹿言うな、尾行は身辺調査の一環だ!
暫く尾行していると路地裏に入っていった。見失っては不味いのでバレないギリギリのスピードで追っていった。するとそこにある酒場の前でネズハが立ち止まっていた。何故かわからないが10秒ほどそのままでいた。
もしかしたら引き返して来るのではと俺が危惧しているのも杞憂に終わり、ネズハは重い足をゆっくり運んで酒場の扉を開けた。扉が開いて閉まるまでの約2秒の間に拍手や「ネズオ、おかー」などという声が聞こえた。扉が閉まると何も聞こえなくなった。この世界では閉じられた扉は原則的に音声を遮断する。なので中での会話は全く聞こえないのだ。《
とにかくスキルを持っていない俺は扉を開けて音声が聞こえるようにしなければならない。隠れていた物陰からそっと出て、極力ゆっくり歩いた。扉の前まできて、周囲を確認しながらゆっくり開けていく。5度、10度と開けていき、15度に差し掛かったところでようやく中から声が聞こえてきた。
「ネズオー、今日どうだった?」
「製作した武器が十数個、メンテ、強化もそこそこ」
「おー、新記録じゃん!」
この言葉と共に周りから拍手が送られその後和気藹々とした雰囲気で雑談をしていく。このままじゃ何も得られないかな〜とか思って欠伸をしているとポツリとネズハが呟いた。
「…………でも、アレはもう限界だよ……」
(おっ!待ってました!)などと不謹慎?なことを思った俺。
「まだ大丈夫だって、絶対まだまだイケるって。」
「そうだよネズオ、全然噂になってねーもん。」
ネズハの仲間達はネズハの発言に対して励ましの声をかけた。
「いやでも、これ以上は危ないよ。……それにもう元は取れたし……」
「何言ってんだよ、本番はこれからだろ?がんがん稼いで、二層の間にトップ連中に追いつこうぜ!」
(ん?あれで稼げているのか?どう考えても稼げるようなことはしてないだろ。仮に稼げるとしたらそれこそ砕けた武器をもう一度手に入れることぐらいだろ。だが………)
俺は脳がはち切れんばかりに回転させて考えた。だがすぐに辞めざるを得ない状況になった。
「ん?おい、なんかドアが」
今まで気づかなかったがどうやら話に夢中で扉をかなり押していたらしい。これはまずいと思い、すぐに出来るだけ滑らかに扉を閉じ、
60、55と下がっていき、50に差し掛かったところで相手が目を離してレートが一気に70まで回復した。そいつが酒場に戻ると素早く路地裏に駆け込んだ。正直もう少し聞いていたかったが流石に2度目はバレると思ったのでやめた。
俺はさっきの会話から得た情報を頭の中で整理していた。
(あれだけ失敗しても稼げ、なおかつ弁償、買い取りをしても元が取れるほどの金額。こんな大金は簡単には手に入らないからやっぱり武器を売ることだろう。だがアスナのときは俺は強化の一部始終をはっきり見ていた。…………見ていた?いや、あのとき1度だけ目を武器から離した瞬間が……)
そう考えた俺は不意にキリトから教わったあることについて思い出した。いろんな仮定が結びついたところで俺は戦慄した。始まってからまだそんなに経っていないのにこんなことを思いつくやつがいるなんて…
俺はキリトに急いでメールを送った。トリックについて可能かということと取り返せるかどうかという内容で。返事はどちらも出来るということだった。ただキリトは焦っているのか返信が粗雑なものになっていた。こういうときはたぶん場所を聞いても返ってこないのでキリトと別れた場所まで行くことにした。
俺がそこに着いてからしばらくしてキリトから連絡があった。宿屋にいるから来てくれという旨のメールがきた。書かれていた部屋に入るとそこには目が赤くなっているアスナと正座をしているキリトがいた。
(あーあ、こりゃ何かやったなキリト。)
入ってきた瞬間キリトの顔が少し明るくなった気がするがアスナの怒気というプレッシャーの前で反応できるはずもなく、慈悲深い視線を送るとキリトは項垂れた。
「早く教えてくれない?どうして私の剣が壊れていないのか。」
「ん?なんだ、まだ教えてなかったのか。」
俺はてっきりもうアスナに話しているのかと思っていたんだが違うらしい。
「あぁ、アルスが来てから話そうと思っていたからな。元々お前がトリックを暴いたんだし」
「何言ってんだ。どうせお前も大方わかっていたんだろ?俺でもわかるんだからβテスターのお前がわからない道理はない。」
俺がそう言うとキリトは心底面白そうな顔をして「まぁな」と答えた。俺には何が面白いのか全く分からんが。
「じゃあ説明するぞ、まず何故消えたウインドフルーレがあったかというと元々消えちゃいなかったんだ。」
「どういうこと?」
アスナがはてなマークを浮かべていた。
「つまり、剣がすり替えられていたんだ。それならどこで?という疑問が湧くだろうがそこはライトエフェクトと≪クイックチェンジ≫で説明できる。携行炉に素材を入れたときに出るエフェクトで俺たちの目をそちらに向け、その間にクイックチェンジで武器を入れ替える。これはミスディレクションの一種だな。」
キリトの説明が終わるとアスナが複雑そうな顔をしていた。
「それって可能なの?」
「あぁ、可能だ。さっき試して来たからな。」
俺がアスナの疑問に答えると、キリトが目を丸くしていた。
「おい、お前まさかソードスキルクールダウン時間短縮を取らずにそれを選んだのか?それは愚行だぞ。」
「馬鹿を言え、この前ちょうど熟練度100になったから何にしようか決めかねていたんだよ。そこにこの話がきたからどうせなら試してみようと思ってな。」
キリトは呆れ半分納得半分といった顔をしていた。アスナに限ってはもう話についていけてなかった。
「…………っと、脱線したな。纏めると、武器を騙し取るこの方法を使ってネズハは強化詐欺をおこなったんだ。」
「なら早く捕まえに行きましょう。」
アスナはその言葉とともに部屋の外へ出ようとするがそれを遮るように声を発した。
「待て、今行っても無駄だ。それにクリアしなければいけない問題がある。」
アスナはピタリと動きを止め振り返った。
「………何故無駄なの?」
アスナの声には怒気が孕んでいた。当然だろう、自分の愛剣が一時とはいえ奪われたんだから。
「証拠が無いのに強化詐欺を行っていると言ってもしらを切られればどうしようもない。だからまず証拠が必要だ。準備をすれば証拠を掴むことができるが今は無理だ。気持ちはわかるが我慢してくれ。」
俺が理由を言うとアスナは暫く逡巡した後「…わかったわ」と言ってどうにかおさめてくれた。この時を逃さないように俺は声音を低くして真剣な眼差しで言った。
「……いいか、これからする話は今後に深く関わってくる。ちゃんと聞いてくれ。もし、アスナが言ったように捕まえようとすると一つ大事なことが関わってくる。それは罪についてだ。罪を犯した者はそれ相応の罰を受けるべきなのだがこの世界に法律のような罰する制度はない。賠償できるならそれで大丈夫だが、もし出来なかった場合償う行動はほぼ一つに限定される。」
2人がはっと息を飲んだのが聞こえた。
「PK……」
「そうだ。もしPKをしてしまうとPKが容認されてしまう世界が出来てしまう。それをなくすためにこのことに恐らく一番最初に気付いた俺たちがどうにかするべきだ。」
いい終わり静寂に包まれる。俺たちはお互いに見合って、3人で頷くと行動を開始した。
長期に渡って書いたのでおかしな点があると思います。そこを教えてもらえれば改善するのでよろしくお願いします。