ソード・アート・オンライン 〜理想の中の現実〜 作:DQkzk
レベルとスキル載せておきますね。
時は少し遡り、キリトと別れた後の事。
俺……アルスは目の前にいるボスの大きさと迫力に思わず足を止めた。
「やべぇ、アルゴから聞いてたけどこんな奴を足止めしなきゃいけないのかよ…………………足止めやめてキリトたちのところに行こうかな」
そんなふざけた言葉を漏らした俺はボスの索敵範囲に入っていたようでボスが俺の方へ向かってきた。
攻撃圏内に入るとボスのハンマーによる横薙ぎの攻撃がきて、それををバックステップで躱し、一気に懐へ入って短剣で斬りつける。
何回か斬りつけると蹴りをいれられそうだったので思いっきり後ろに跳躍する。攻撃は受けなかったが何も考えず思いっきり後ろに跳躍したため、体を制御しきれず着地の際に体勢を崩して少しダメージを受けた。《軽業》スキルを持っていればちゃんと着地できたはずだ。《軽業》スキルの必要性を感じ、次のスキルはこれにしようかとちょっと本気で考えてしまった。
そんなことを考えていたのはほんの一瞬。これに時間を費やすのは致命的な隙を与え、死に自ら近づくようなものだ。
体勢を立て直した俺はボスの振り下ろされるハンマーを横に躱す。そして振り下ろされたハンマーを持っている手に斬りつけすぐに離れる。今度は横薙ぎの攻撃でまた後ろに跳躍し、今度は数回ではなく一度だけですぐに離脱する。
俗に言うヒットアンドアウェイだ。
そんなことが何回続いたのかわからない。気づけば俺のHPは攻撃が掠ったりするなどして2割程度減っていた。一旦仕切り直そうと後ろに飛んでボスの攻撃範囲から逃れる。
ここで俺は失念していた。このボスには麻痺付随の遠距離攻撃があることを。
ボスのモーションを見て思い出したが既に遅かった。ボスが溜め込んだものをブレスとして吐き出す。俺はモロにブレスをくらった。俺のHPは一気に4割のところまで減少し、麻痺も付与された。
俺は前述で言ったようにアルゴに《アステリオス・ザ・トーラスキング》の情報を貰っている。というよりむしろアルゴにボス攻略戦に参加している奴らに伝えて欲しいと依頼された感じだ。
その情報を持ってボス部屋にきたが既に《アステリオス・ザ・トーラスキング》が出現しており、伝えている暇がなかった。そのため、こいつの情報を知っている俺がタゲを取るという思いでやっていたのに忘れてしまっては本末転倒だった。
自分の状況をみて舌打ちをすると共に諦めにも似た感情が芽生えた。慰めにもならない消痺ポーションを飲むがしばらくは動けない。
ゆっくりと近づいてくるボスを俺は只々見ていることしかできなかった。ボスがハンマーを振り上げ降ろそうとする瞬間、横から黒い影が走ってきて俺の横腹に蹴りを入れて吹き飛ばした。
「ごぶっ!」
そんな声を出しながらゴロゴロと床を転がる。止まった時に見たのはハンマーを回避するキリトの姿だった。
「大丈夫か?」
「…………手荒い救出ありがとうよ。」
回避しながら聞いてくるキリトに少し嫌みを言って返す。未だに麻痺にかかっているので立ち上がることも出来ず、なんとかその場に座って辺りを見回す。
後方からエギルたちが走ってきており、すぐにキリトと合流できるだろう。その中にアスナがいないのに気づいて探してみると、ボスの死角から攻撃している人がいてそれがアスナだとわかる。他の攻略組はナト大佐がいた場所から一歩も動けていない。攻略組のリーダーであるやつすら動けていないのは正直どうかと思う。
「キリト‼︎そいつはハンマーの攻撃に加え、麻痺付与のブレスを吐いてくる!胸が膨らんで、上体が少し仰け反ったらくるぞ!弱点は王冠だ!」
俺が大きな声でボスの情報を伝える。その声に反応して「了解‼︎」という声が返ってきた。その後キリトはアスナたちに指示を飛ばす。アスナたちがキリトの言葉に頷くと、指示された通りに動き出す。
そこで漸く他の奴も動き始めた。こちらに着くとリンドが何か言っているがキリトがそれを遮り周りに大声で指示する。そのことでリンドと軽く口論になっているが結果はリンドの顔を見る限りリンドがキリトの指示に従っているんだろう。
それからは順調にことが進んでいった。俺の麻痺はキリトたちがきて安堵したのか過ぎる時間はあっという間だった。ボスの麻痺ブレスもあれから少し遅れてきたネズハが投擲武器《チャクラム》による王冠への攻撃で殆どをスタンさせることで回避し、残りもプレモーションがわかっているので容易く回避できた。
「グオォォォォォッ!」
ボスの雄叫びが聞こえ、ついに最後のHPバーの最後の一本が半分になった。
「今POTを飲んでいる部隊が回復したら
リンドの指示に周りは『おぉー!』という声を出す。俺たちが今まさしくPOTを飲んでいる部隊であと30秒程で回復する。その時間を待っている間も他の部隊が攻撃を加え続けている。
「回復終わったぞ!」
「よし!
エギルがリンドに回復が終わったことを告げるとリンドがそれに伴い指示を出す。
リンドの指示により、ネズハがチャクラムで王冠を攻撃しボスを
全員がソードスキルを叩き込み、ボスのHPがみるみる内に減っていく。誰もがこれで終わりだと思っただろう。現に俺もそう思ったくらいだ。だが結果は虚しくHPは削りきれなかった。全員ソードスキルの硬直により動けない。俺たちの目の前ではボスが少し笑った顔をして無慈悲にもボスがハンマーを振り上げている。周りからは死を覚悟したような雰囲気がでている。俺もそう思った。
(………だが断る‼︎)
俺は自分の中で勝手に一人芝居をして体術スキルの《弦月》を発動させる。先日のウィンドウィプス戦で違うスキルなら硬直の縛りがないことはわかっていた。ムーンサルト気味に後方に宙返りしながら相手を蹴る。それだけでは終わらない。倒れながらピックを取り出して王冠目掛けて投擲する。これで完全に削りきりボスは爆散する。
congratulations!という文字と共にリザルト画面が表示される。それを見て少しの間があったあと一斉に『ウォォォォッ!』という声が上がった。俺はその瞬間緊張の糸が切れその場に仰向けに倒れこんだ。暫くぼうっとしていると不意に非常に綺麗な発音で『congratulation』という声が聞こえたので声のした方に視線を向ける。そこにはエギル、キリト、アスナがいて喜びと賞賛、困惑と不安、怒りと嬉しさ、それぞれが違った表情を浮かべていた。
「……終わったな」
「あぁ」
俺の発言にキリトは首肯で返す。その声は少し安堵したように聞こえた。
「一つ聞いていいか?」
キリトが疑問に思っていることがあるのか聞いてくる。
「………なんだ」
「ネズハがなんでここにいるんだ?チャクラムまで装備しているし」
どうやらネズハのことについて気になっていたらしい。アスナも気になっているのか怒りがやや和らいでいる。これはチャンスだと思い、この話題に意識を逸らして怒りがこちらに向かって来ないようにしようとすぐに答える。
「それは順を追って説明する。
まず俺があいつに投擲武器チャクラムの存在を教えて、おれがこの前ドロップしたチャクラムを渡した。だけどチャクラムを使用するには《投剣》と《体術》が必要だったから俺が一緒にクエストの場所まで行ってクエストをクリアさせた。それが終わるとすぐにここに向かって戦闘に参加したという訳だ」
俺が長ったらしい説明を終えるとキリトは納得顏をして
「だからアルスは一度もこっちに顔を見せなかったのか」
「そういうことだ。
…………でさ、俺がボスのとどめさしたはずだよな?なのに俺のリザルト画面にラストアタックボーナスが出なかったんだけど誰か心当たりは?」
俺がそういうとキリトがしれっと「俺がとった」と言った。くそっ、お前か!さっき(そういえば俺が最後に攻撃したよな。じゃあラストアタックボーナスゲットか。よっしゃー!)とか心の中で思っていた俺が馬鹿みたいじゃないか。
*馬鹿です。
「………そうか、良かったな。」
そんなことはおくびにも出さず返答する。そこでふと周りを見ると他の攻略組の何人かがこちらに気づき始めた。
「じゃあそろそろ次の層のアクティベートをしに行くか。じゃあなエギル、次のボス攻略で」
これ以上一緒にいるところを見られるのはこいつらに迷惑がかかると思ったので足早にこの場を去る。
「おい、待てよ!」
後ろからキリトが呼び止める声が聞こえたので歩く速度を少し落とす。すると後ろから2つの足音が聞こえてくる。キリトとアスナは追いつくと隣にきて俺と同じスピードで歩く。
「………お前らこれからどうするんだ?」
その後暫し無言を貫いて歩いていたが不意に思いついたことをそのまま口にする。その質問に答えたのはキリトだった。
「俺は次の層から始まるクエストをするつもりだ。」
「…なら俺とは別行動だな。少しやりたいことがあるんだ」
「わかった。何かあったら呼んでくれ助けになるから」
「ありがとよ」
俺たちの会話が終わりまた無言になる。
(そういえばこの場でアスナが何も言わないということはあれは終わったのか?なら大丈夫だな。)
そんなことは決してなかった。次の層のアクティベートが終わった後すぐに説教をくらいました。アスナの前では二度とこんなことはしないと心に誓った日でもあった………
二層ボス攻略時
アルス
レベル 18
スキル
《短剣》
《投剣》
《隠蔽》
《体術》
キリト
レベル18
スキル
《片手長剣》
《索敵》
《投剣》
《所持容量拡張》
追記
誤字があったので修正しました。