ソード・アート・オンライン 〜理想の中の現実〜 作:DQkzk
部活が長すぎてお疲れですよ。全く生きてる気がしないよ…
「ふわぁ〜。久しぶりの街はいいな。」
そう、ここは街だ。クエストをクリアした俺は武器の手入れなどのために下りてきたのだ。いつ襲われるかわからないフィールドに長期間いたためか、やはり圏内は安心する。
そんなこんなで街を歩いていると1人の少年が目の前にすっと現れた。
「よう、アルス。」
俺は咄嗟に回れ右をして退散しようとしたが数メートル先にアスナがいた。
(街って知り合いのエンカウント率高ぇな。フィールドのモンスターより高いだろ。つーか何故気づかれた?俺変装してんだけど)
因みに俺はフード付きマントを装備しており、フードは目深にかぶっている。さらに2層に来てから買ったマフラーをつけている。見つかる理由がない。
「すいません、アルスって誰ですか?人違いじゃないでしょうか?」
俺は素がでないように自分とは異なる丁寧な言葉遣いで言った。
「お前、俺の目の前でフード被ってただろ。マフラーつけてても同一人物だとわかるぞ。」
(しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)
「………………ヤァ、キリトニアスナジャナイカ。ドウシタンダ?」
「気まずいのはわかるけど流石に片言は無いんじゃないかしら。」
今にもため息がでそうな顔でアスナこちらに歩いてきた。
「今まで何やってたの?ここ最近会わなかったけど」
「ちょっと用があってな、暫くフィールドにいたんだ。」
その言葉を聞くと何故か何もかもわかってますよみたいな顔で俺を見ていた。
何?その顔。俺の私生活知ってるの?ナニソレコワイ。…………………………まぁ冗談だ。
恐らくアスナは俺が人目を避けて行動してたと思っていたんだろう。間違ってはいないがまさか本当にずっとフィールドにいて1度も街に帰っていないなどとは思わないだろう。それにその行為を注意したのは俺たちだしな。
「はぁ、お前ら俺と話してていいのかよ。知ってる人が見てたら大変だぞ?」
物凄く疑問に思っていたことをそのまま口にすると2人は急に不機嫌な顔になった。何故だ、俺の言葉に問題があったのか?解せぬ。
「そんなこと考えてるのなら私たちは話しかけないわよ。………話したいことがあるんだけど。」
「分かった。」
俺たちはすぐ近くの飲食店に入った。そこで俺は食事中の会話という名の圧迫面接紛いのことをされていた。
具体的にはアスナ、キリトからの質問責め。そして説教。この時を思い出したくない。だってめっちゃ怖ぇし。アスナの無言からくるプレッシャーとかもうあれ人間じゃない。キリトなんかもう我関せずを貫いていたからな。俺の救援は何もなかった。
あの場にいたら誰でも精神をやられると思うよ…
何故か俺はあの会話の最中にウィンドフルーレの強化素材集めに俺が同行(強制)することになっていた。
というわけで俺は今、ウィンドウィプスの討伐大会に参加中だ。なんでもドロップ率が8%しかないらしい。それに誰が1番早く50匹倒せるかを競って、ビリのやつが飯を奢るという条件をつけての狩りだ。
俺はフィールドに籠りっぱなしだったのでお金はそれなりに余裕があるが現実世界で一人暮らしの俺としてはお金はできる限り節約したいのでなんとしても勝ちたいところだ。
結果から言おう。
……………完敗だった。
アスナ1位、キリト2位、俺ビリ。
俺はレベルは高い方だし、戦闘経験もそれなりに積んだ方だから勝てると思っていたがそれは思い上がりだった。
アスナには連撃数で劣り、キリトには一撃のダメージ量で劣っていた。武器の特徴に寄るところもあるが短剣で連撃数で負けたらダメだし、キリトのダメージが多すぎて俺がちまちま削っても差が縮まらず、むしろ開いていった。
飛行系の敵だったのも1つの要因だろう。短剣はリーチが短いから攻撃してきたところをギリギリで躱して、すれ違いざまに攻撃をするしか確実に当てる方法がない。しかもこれにはかなりの集中力が…いや、やめよう。これじゃあただの言い訳だ。
だからこう結論づけよう。
アスナとキリト凄すぎる、と。
勝負に負けた俺はキリトとアスナに連れられとある店に入った。その店でケーキを奢ることになった。ケーキだからお金に余裕があるだろうと思っていたが高額で所持金が一瞬で消えるレベルだった。泣く泣く俺は俺を除く2人分のケーキを注文した。
暫くして俺たちのテーブルにケーキが運ばれてきた。
「そういえばアルス君が使ってたスキルって何?見たことがないんだけど」
アスナが食事中に何気無く聞いてきた。キリトも凄く気になるという顔をして肯定の意を唱えていた。
そう俺はこの勝負の際体術スキルを使ったのだ。余りにも2人の屠るスピードが異常でこれを使わないと勝てないと思ったからだ。
(正直答えたくない。だってアルゴが俺に言ったように俺も恨まれたくない。)
そういう逡巡があったため「あー、そのですね…」と言い淀んでいるとアスナから無慈悲な通達がきた。
「早く言わないとどうなるか分かっているよね?」
やばい…アスナの顔が怖い。
「…………エクストラスキル、体術だ。」
「「体術ぅ⁉︎」」
2人は声を揃えて驚いた。
「ねぇ、それってまだ出回ってない情報?聞いたことがないんだけど。」
「まぁ、そんなところだ。」
「なんで隠しているの?」
どうやら俺の釈然としない態度に違和感を覚えたらしい。鋭いな。
「そんなことないぞ。そ、それより幸運の
「……そうね、わかったわ。今から鍛冶屋に行きましょう。」
そう言ってアスナは席を立った。
(ふぅ。なんとか話をそらせたな。思い出さないうちにさっさと行こう。)
食べ終えた俺は席を立ち、店を出ようとしたら先に歩いていたアスナが振り返り、
「体術の件、後でちゃんと聞かせてね。」
…………そらせてなかった。