僕の平穏な人生がある日突然終わりを告げたようです   作:木原

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お久しぶりです。

いやー就職してから忙しくて忙しくて一ヶ月半も放置してしまいました。てへぺろ(≧∇≦)

次の投稿も多分遅くなりそうですが読んでくださっている皆さん。

今後ともどうかよろしくお願いしまう


正体がバレた!逃げろシドー!!

「君はアーサー王だな」

 

白龍皇の言葉にこの場にいる兵藤、木場、ゼノヴィア、3人の視線が一斉にアルトリアに集まる。

 

それにアルトリアは、気づいているか知らないが僕らの後ろにグレモリー先輩と姫島先輩もいる。

 

2人とも兵藤、木場、ゼノヴィアの三人と同様に驚いている様子だ。

 

当然だ。

 

アーサー王といえば、聖杯伝説や妖精郷、エクスカリバーといった数々の逸話が存在し世界で知らない人は、まずいないだろう。

 

そして、突然のカミングアウトをかまされた僕のサーヴァントのアルトリアは、顔色ひとつ変えることなく、ただ白龍皇をじっと見つめている。

 

そしてアルトリアは、数秒の沈黙の後、とうとう口を動かした。

 

「……はい、確かに私こそ、ブリテンの王にしてブリテンの赤い龍。アーサー・ペンドラゴンです」

 

「やはりな。しかし、今までアーサー王と名乗って来なかった手前、お前は身元を隠すと思っていたがやけに素直じゃないか」

 

「近くにドライグが存在する以上私の存在がバレることは、時間の問題だと思っていたので……」

 

とアルトリアは兵藤の方を向き、懐かしい友を呼ぶような優しい声で言った。

 

「お久しぶりですねドライグ」

 

すると、突如、兵藤の右腕がドラゴンの腕に変わり果て、右腕から低い威厳のある声が聞こえてきた。

 

『やはりお前だったかアーサー。お前から感じる俺と同じ波動でまさかとは思ったが……』

 

右腕から声が発せられたという非現実に僕以外誰も気にする様子もなくウァーリを警戒するだけでこの話を聞くことに徹している。

 

だが、僕としては今すぐにでも隙を見てアルトリアを連れてここから出たい。

 

だってウァーリがいるってことは、いつ悪魔側に僕らのことがリークされるかわからないんだもん。

 

少なくとも、この場からアルトリアがいなくなれば、状況が説明回から一発即発の空気になる。

 

こう見えて僕って、昨日の夜に堕天使の親玉のアザゼルに堕天使サイドに勧誘されて入ったばっかだし。

 

入って早々、アザゼルに迷惑かけるわけにはいかない。

 

僕は、皆がドライグとアルトリアの会話に徹しているのをいいことに行動に移した。

 

と言っても、やることはすごく単純。

 

風の如くアルトリアの腕を引っ張り、木場とゼノヴィア、部長と姫島先輩の間をかき分け僕はこの緊迫に包まれたこの場所から逃走した。

 

「ちょっとシドー、手を離してください!何故逃げるのです?」

 

そう言ってアルトリアが僕に掴まれている手を振りほどき、逆に僕の腕を掴み返しその場に止まる。

 

何度も言うが女とは思えないようなとんでもない力だ。

 

振りほどかれた時もそうだが、まるでバキバキの筋肉野郎に拘束されてるみたいに一歩も足が前に出ない。

 

それに少しは僕の気持ちも考えていただきたい。

 

グレモリー先輩たちの前からアルトリアの腕を引っ張り自分なりにかっこよく2人で逃げたのにも関わらず、その数メートル先で立ち往生をくらっちまった僕の気持ちを。

 

正直、先輩たちの視線が痛い。

 

あの誰に対しても心を開くイッセーでさえ『何やってんだこいつ?』みたい表情でこちらをみておる。

 

僕は、皆の視線をできるだけ見ないようにしてアルトリアに言う。

 

「何故って、あのグレモリー先輩だぞ。憶測と推論で簡単に人をストーキングできるような奴だぞ!そんな奴がアルトリアのことを知ったらきっと自分の欲求を満たす為に僕らを自分の周りにはべらせるに決まってる……だからひとまず逃げて、後日話をうやむやにするんだよ」

 

「しかしシドー……」

 

「大丈夫だ。きっと時間が解決してくれる。詳しい説明は省くけどこの僕が時間の絶対性を今までずっと証明してきたから信憑性は確かだ」

 

僕の革新的な言葉を聞き、僕に一言「そこまで言うのなら……」と渋々納得してくれたようで、ようやく重い足を動かしてくれた。

 

 

ーーー◯△◯ーーー

 

その後、僕とアルトリアはグレモリー眷属から逃げるように家に向かって走って帰った訳だが、家の中に入って早々、またも面倒くさい事柄に直面した。

 

そう、家の中に堂々と奴がいたのだ。

 

アザゼルだ。

 

家の中に入ってまさかの「おかえり〜」が聞こえてきたのである。

 

いきなりの第三者の声にいち早く反応したアルトリアは、見えない剣を顕現させ、土足のまま周囲の靴箱や隣にいた僕を一歩、踏み出した衝撃でなぎ払い、声の主の元へ文字どうり跳んで行ったのだ。

 

おかげで壁に叩きつけられた僕は、腰と頭を強打する羽目になった。

 

ここ最近立て続けに発生するこういう脇役が負いそうなやられ方に痛み以上にどこか儚さが押し寄せ泣きそうになってくる……というかあれ?なんか視界が潤んで前が見えないぞ。

 

「ぐすんっ」

 

痛む腰を手で押さえつけながら涙を拭った僕は、倒れてしまった靴箱を立て直し、おぼつかない足取りで居間に向かった。

 

居間に入り、最初に目に飛び込んできたのはアルトリアに見えない剣を突きつけられるアザゼルの姿だ。

 

アルトリアから発せられるプレッシャーが尋常じゃない程この部屋の空気を重くしているというのに、アザゼルといえば小さな1人用のちゃぶ台に座り呑気に湯のみに入れたお茶を飲んでる。

 

って、それに僕の湯呑みッ!

 

何勝手に使っちゃってんの!!

 

別に間接キスとか気にするタイプじゃないけどおっさんが使った湯呑み使うの嫌だわ。

 

アルトリアがいつでも人を殺せそうな勢いで言う。

 

「勝手に人の家に不法に入り込んで何か私たちに御用でも?」

 

うわー。アルトリア的にアザゼルはもっと常識考えろ、と言いたいのだろうけど、僕から見れば土足のアルトリアが言ってもあまり説得力ないな。

 

他人だと絶対にしないのだけどアルトリアは、もう他人じゃないからここで僕がフォローでもしてやるか。

 

幸いなことに僕はアルトリアの一歩で吹き飛ばされるただの同居人Aだし。

 

音を立てないように細心の注意を払いながら横目で僕を確認したアルトリアとアイコンタクトを交わし、ゆっくりアルトリアの靴を脱がしてゆく。

 

まずは右足の靴を脱がせるために、太ももに手を当てもう片方の手で靴を脱がせる。

 

やましい気持ちなど一切ないのに、なんか足がエロい。

 

次に左足の靴も同じ工程で脱がしていく。

 

よし、これで大丈夫だ。

 

後は、アザゼルに『常識を守れ』と言ってやれ!

 

「ハハハハッ!これは傑作だわ。かの有名なブルテンの騎士王さまが高校生に靴を脱がせてもらうなんてよ」

 

「……貴様ッ!やはり私の正体を……」

 

「いや、多分、ドラゴンに関わりのあるものならどいつでもお前の体から発せられる赤龍帝のオーラに気づくぞ。そして赤龍帝を神器以外で宿す人間などブリテンのアーサー王しかいないだろう……今俺に向けてる見えない剣もあながち本物のエクスカリバーとかだろ」

 

そうアザゼルは剣を向けられてるにも関わらずとてもリラックスした様子で話しかける。

 

「……………」

 

アザゼルは冗談で言ったつもりだったが思いのほかアルトリアの目が一瞬泳いだのを見逃さなかった。

 

「おいおい、マジかよ。本物のエクスカリバーって伝承通り湖の乙女に返却されてねぇのかよ。これはいいこと聞いたぜ。まっ、俺としちゃ聖剣には興味ないけどな。だがミカエル辺りの耳に入ると厄介極まりないかもしれないな」

 

なんか今、本物のエクスカリバーとか、とんでもない世界の秘密的なことを耳にした気もしたが、まぁ、気にしないでおこう。

 

それより今アザゼルに剣を向けているアルトリアをどうにかしないとね。

 

今はアルトリアが一方的にアザゼルに敵意を向けているだけだが、いつ戦闘に発展するかわかったもんじゃない。

 

僕の家で暴れられてもどうせ後始末は僕だからね。

 

僕は、とりあえずアルトリアを止めることにした。

 

「あまり協力関係に当たるアザゼルに剣を向けるもんじゃないよ。僕らは一応、堕天使の加護を手厚く受ける予定なんだから」

 

「ですが!やはり堕天使は危険です。それに堕天使と勝手に組んだのはシドーであって私ではありません」

 

まぁ、そう言われればそうだけど……ついつい甘い言葉で堕天使側についてしまったけど、僕的にアザゼルは、そこまで悪い奴じゃない気がする。

 

「でもよ。僕的にアザゼルって絶対面倒見が良さそうだし、どの勢力にも顔が聞きそうだし、悪魔に着くよりは絶対マシだと思うよ」

 

アルトリアに言うと共にあぐらをかいて座っているアザゼルにも聞こえるように言う。

 

さりげにアザゼルの好感度も上げる作戦だ。

 

「おう、お前わかってんじゃねぇーか。自慢じゃないが俺は今の魔王よりは、年上だぜ。それに、だ。アーサー・ペンドラゴン」

 

と、アザゼルは、僕からアルトリアの方に視線を移す。

 

「お前に取ってもうちの陣営に入るのはそれほど悪い話でもないはずだぜ。だってよ。お前が求めてるもんってこいつだろ」

 

そう言って僕を指差すアザゼル。

 

またまたご冗談を。

 

確かにアルトリアと僕は、居所を共にする中だけど別に男女の関係とかに発展することはない。

 

僕としては、受け入れ態勢はバッチリなんだけど……アルトリアがね。

 

この前、勝手に勘違いして軽く流されちゃったもん。

 

また、いつものごとく即答で否定するだろうとアルトリアを横目で見ると……

 

凄い目が泳いでいました。

 

完全に図星を突かれたようだ。

 

「ま、まさかこれまでの対応は、すべてデレからくるツンであって本当は、ぼ、僕のことが……好きだったのか!!」

 

「いえ、別に」

 

僕の言葉を耳に入れたアルトリアは、こっちを見ると即答してまたアザゼルに視線を戻した。

 

「何故そう言い切れるのですか?確かにあなたの言う通り私は、シドーを欲し、これからもシドーを手放すつもりはない。逆にあなたの陣営につくことでシドーが私の元から離れていくかもしれないですよ」

 

「話してやってもいいがその前に剣を収めてくれ」

 

渋々といった感じでアルトリアは、剣を収める。

 

「確かにそうだな。だが、見たところ本人は全然自覚がないじゃねぇか。それどころか自分の価値にすらまだ気づいていない。そんなんじゃ、軽く考えても己の力を把握するまで数十年はかかるだろうよ。だが、俺ならシドーをお前が求めるレベルまで進化させることができるぞ」

 

なんだかさっきから2人して僕のことをまるで宝石の原石のように言って。アルトリアに限っては、僕が欲しいだとか僕を離さないだとか、やっぱり僕に気があるんじゃないか。

 

聞いてる限りだとアルトリアは、束縛系なのかなぁ?

 

強い女性に一方的に押し倒されるの僕は好きだよ。

 

「……で、どうするんだアーサー王。俺に協力すればお前の望みは、叶いやすくなるぞ」

 

「……確かにあなたの言う事も一理ありますね」

 

一瞬の静寂が流れた後、アルトリアは、僕の顔をじっと見て静かに口を開いた。

 

「わかりました貴方の思い通りに堕天使に協力するのは癪ですが、私もシドーと共に貴方に協力しましょう。ですが勘違いしないでください。私は、アザゼル個人と利害が一致したから協力するだけで堕天使サイドと協力関係になった覚えはありませんからね」

 

「おうよ」

 

突然、アザゼルが僕の腕を取り引き寄せ、心臓の辺りになにか幾何学的な小型の魔法陣を展開させた。

 

「んんー、そうだな。今はまだ詳しいことはわからないが聖杯の出力はまだ5%未満ってことか。しかし、5%未満で軽く並の上級悪魔の魔力量超えてるとかやっぱり想像通り聖遺物型の神器はハンパないな。えぇーっと……」

 

と、さらに魔法陣を身体中に張り巡らし、思考の渦の中に入るアザゼル。

 

僕らを気にせず1人でブツブツ呟きながらずっと魔法陣を介し、僕を分析する事約10分。

 

「なるほどな。だいたいお前を理解した。やはりお前が持つ聖杯は、神器だな。ただ、俺の知ってる神器と違ってかなり特殊だが、これもどうせ聖書の神が死んだ事で起きたバグの一種だろうよ……なぁ、シドー。お前的に自分の能力の事をどこまで把握している?」

 

「なんか魔力量が普通の人よりあるんでしょ」

 

「ほかには?」

 

他には……他に何があるだ?正直、アザゼルの言う自分の価値がわからん。

 

だって別に力も一般人並だし、頭の回転も普通だし、自分で言うのも嫌だが特に突出した才能はないね。

 

そんな僕の様子にアザゼルは頭を抱える。

 

「こりゃ、ダメだな。じゃ、シドー。自分の魔力がどこから供給されているのかわかるか?」

 

「そりゃ、自分の魂的な場所……とか」

 

「バカかお前は。人間が精製できる魔力量なんて一部の例外を除けばほんの微々たるものだ。お前も例外ではなく自力で精製できる魔力量は、普通の人間より少し多い程度だぞ」

 

「ん?と、すると僕とは別に聖杯から魔力が僕に送られてきてるって事?」

 

「間違っちゃいないけど、厳密に言うとお前は聖杯を介してこの星の龍脈とリンクし、絶えず龍脈から魔力を供給しているんだ」

 

「……えーっと、つまりこの星を貯水タンクとして僕が蛇口だとしたら今の僕は、蛇口を少し捻った状態ってわけなのかなぁ?」

 

「まぁ、そういう事だな。そしてその蛇口を限界まで捻ったら多分、その魔力で言葉通りなんでもできるぞ!」

 

「なんでも?」

 

「あぁ、死者蘇生から地球に来るサイヤ人の抹消や永遠の命までなんでも叶えられる」

 

「……神龍以上の願望機ってわけか」

 

つまり結局の所、やはり僕は選ばれた存在だった、という事だ。

 

まったく、運命というのをここまで憎んだ事は、これが初めてだぜ。

 

強すぎる自分を想像し、うっとりしていた時、アルトリアが話に割り込んできた。

 

「水を差すようで悪いのですが今の段階のシドーでは、聖杯を100%の出力で起動する事は不可能ですよ」

 

「えっ、マジ?」

 

「はい、マジです」

 

答えた後、アルトリアは、アザゼルを若干怒気を交えながら言う。

 

「アザゼルもあまりシドーに調子のいい事ばかり言わないでください。この人、ヘタレで根性腐ってますけど行動力だけはあるんで、後々面倒臭いことに巻き込まれやすいんですよ」

 

「アルトリアちゃん、ちょっとひどくね?ヘタレなのは認めるけど根性は、バリバリ新鮮だよ」

 

「いいですか、シドー。仮に100%の出力を出したとしても人間であるシドーの肉体は、耐えられる事なく、空気を入れすぎた風船の如く内側から破裂するのがオチです」

 

でました。いつものごとく期待だけ抱かしといての否定。

 

こればっかしは、言われる事に慣れてるとはいえ、期待して多分、自分自身に失望する具合がハンパない。

 

ただ、これはアルトリア個人の推測であって、アザゼル的にはもしかして僕に可能性を見出しているかもしれない。

 

淡い期待を胸にアザゼルの方をチラリと見る。

 

「そこのお嬢ちゃんのいうとうりだ。今のお前に聖杯の力を引き出す力も技能もねぇよ。前にも同じ事言ったろ」

 

ただ、とアザゼルは続ける。

 

「かといってせっかく手に入れたレア神器を宝の持ち腐れにするのは、俺的にアウトなわけだ。そんな事、神様、魔王様が許してもこの堕天使の総督が許さねぇ。おっと、そういやぁ、聖書の神って死んでたんだな」

 

僕らの顔をチラリと見てくるアザゼル。

 

ん⁉︎ なに、今笑う所?

 

アザゼルには悪いけど、全然笑えないわ。

 

それにアザゼルに見られるまでボケた事すら気づかんかったわ。

 

「……と、とにかくだな。お前が使い物になるまでの間、当分お前の身柄はこちらで預かる。当然嬢ちゃんも一緒に来るのだろ?」

 

「えぇ、シドーを1人にさせるのは心配ですから。それに聖杯に関しては、あなた方より私の方が多少詳しいと思いますので」

 

「よし、決まりだな。それじゃ、今週中にでもグリゴリの研究施設に来い。グリゴリが総力をかけてお前を魔改造してやるよ」

 

嬉しそうな表情を浮かべながらアザゼルは、用が済んだのかその場で立ち上がり、玄関へと向かう……も、途中で何かを思い出したの振り向き……

 

「そういやぁ、明後日の晩とかってお前ら予定とかあるか?」

 

「い、いや、特には……アルトリアは?」

 

「いえ、私も特に用はありませんが……」

 

まぁ、アルトリアは、日常的に常に僕の隣にいるから予定は僕と一緒、聞くまでもなかったな。

 

「ならちょっと2人とも俺に付き合え。いいもの見してやる」

 

そう言い残しアザゼルは部屋から出て行った。

 

 

 

 

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