でも、MHXが面白すぎて書く時間が………
最初は半信半疑だったがあれからアルトリアの説明を聞くにつれて、なんだか現実味が帯びてきた。
また、アルトリアが僕のサーヴァントという事は、これからまさかの同棲ということになる。
彼女は、そのことについて余り深く考えていないようだが僕は違う。
ただでさえ肋骨が内臓に刺さった激痛をはじめとする全身の痛みが今も体に残っているというのにずっと心臓がバクンバクンで胸が物理的にも精神的にも張り裂けそうですわ。
で、今、僕はというと一応、怪我人なのでベットに横になっていた。
「あぁ、アルトリア。全身が痛い。僕、死ぬのかな?」
「いえ、死にません。魔術は余り得意ではないのですが一番酷かった箇所は処置しましたから」
「うん、それは知ってるけど……」
内臓に刺さった骨は処置して貰ったにせよ、ただのひ弱な一般人が風王鉄槌というすごい技を食らって怪我したのがその箇所だけとは限らない。
つまり、本当に重症な所だけ応急処置してもらったがそれ以外のところは湿布に包帯だけという雑な処置だけだ。
よって今の僕は顔以外包帯に覆われ、ミイラのような姿に成り果てていた。
まっ、家の中だから気にしないけど。
と、生まれてこのかた味わったことのないほどの怪我を負い、テンションだだ下がりな今の僕にアルトリアは言う。
「それよりシドー。もう夜です」
「うわっ、もう8時じゃん。なんか半日気失ってたから時間の感覚変だわ」
「いえ、そうではなくお腹が空きました」
確かに、今日はいろいろあって気にならなかったけど昼から何も食べてない。
作ると言っても今から作る気分でもないし……
「ピザでもとるか」
僕は、ポケットから携帯を取り出し、全国的に展開しているPIZZAXのサイトにアクセスする。
「確か、ここをこーやって……」
「あの、シドー。晩御飯は作らないんですか?」
「いや、いま注文してるから……サイズはMかLどっちがいい?」
「……Lでお願いします」
「はいよ」
アルトリアの要望どうりにLサイズを注文する。
インターネット予約って電話と違って店員と会話しないから僕のようなあまり友達がいない人でも気軽に注文できていいよね。
学校も全校通信制にするべきだと僕は思います。
携帯の画面に表示されたお届けまでの時間を見ていると、ふと、疑問が頭をよぎった。
「ん?そういやアルトリアって飯食う必要あんの?英霊だろ」
「いえ、私は英霊ではありませんよ。まだ死んでいないですから、さしずめ英雄といったところでしょうか」
「そ、そうなんだ」
もう、そういう関係聞くのやめよう。
意味がわからん。
でも、英霊ではなく英雄だとするとあれか?
幽霊のように消えたりできないわけだよな。
とするとあいつの服とか歯ブラシとか僕が買わないといけなくなってこないか?
それに僕の知る限りだとこの日本という国は、戸籍というものがないとこれから何年、何十年暮らして行くにつれて不味くはないだろうか。
これは、海外にいる親の力をかりたほうがいいのではないだろうか?
いや、それはやめよう。頭がおかしいと思われる。
「まぁ、その辺ことは今度考えるか」
独り言を漏らす僕をアルトリアが不思議そうに見ている。
「どうしたんですか?顔が怖いですよ」
「あっ、うん、ごめんね。ちょっといろいろ考え事があって……」
「もしかして、それって私に関わることですよね」
アルトリアは、申し訳なさそうに言う。
「まぁね。でも心配は要らないから。小さい頃から溜め込んだお年玉もあるし、ちょうど明日日曜だから僕が色々街に出て買ってくるよ」
その言葉を聞いてアルトリアは、僕の前に急に膝間ついた。
「シドー。その心に感謝します。この身は、生涯シドーに尽くすと騎士の誇りをかけここに誓います」
「……あっ、うん。そうだね」
アルトリアの大袈裟な物言いに若干引く僕だった。
次の日、僕は、アルトリアを家に残し一人で痛む身体に鞭打って若者の街、渋谷に足を運んでいた。
目的は、アルトリアの日用品は兎も角、まずは最優先に服を買わなければいけないと思ったからだ。
アルトリアが着用しているドレスか戦闘服かようわからん服は、いまの時代にはあっていないためあれでは外も歩けない。
だがら、僕がアルトリアの代わりに服を買いに来ているわけだが……女性ものの服を買うのがこんなに恥ずかしいと思わなかった。
アルトリアは、なんでもいいと言っていたけど下着を買う時なんか顔から火を噴くほど恥ずかしかった。
まぁ、無事四苦八苦しながらも上下黒のブラ・ショーツセットを二着と今時の女の子らしい服がわからないので洒落ている店でマネキン買いしていまに至るわけだが……女性服がこんなに高いなんて思っていなかった。
あとは靴と日用品と歯ブラシは家に予備があったと思うから……あぁ、なんか急に面倒くさくなってきたわ。
こんなの全く普通じゃない。一般人の男がある日突然女の子と二人暮らしなんて。
まっ、今更そんなこと思ったところでだけどな。
僕が一通り必要なものを一通り買い終えて次に向かったのは、秋葉原だ。
ここで買うものは決まっている。
大きい手下げ袋を両手に携え、向かったのはラベノや漫画が揃ったオタクのスーパー、ソフマッポだ。
そこで手に取ったのは異能バトル系の漫画数点。
別に僕自身関わる気はないがアルトリアに巻き込まれそうな気がするのでこういった漫画を買ったほうがいいと思ったからだ。。
もし万が一アルトリアが言っていた英霊が襲ってきた時のための教科書みたいなものだ。
やはり普通の相手を相手にする分には格闘雑誌のほうがいいかもしれないが普通じゃない場合は、こういった漫画のほうがいい。
別に自慢ではないが厨二病を発症していたせいかアルトリアの事といいそう言った非現実的なことを受け入れやすいのだ。
ソフマッポで適当な漫画を数点購入した僕は電車に乗り駒王町へ戻っていった。
帰り道、明らか女性用の服や下着を持っている事に対するひやひや感が僕の中にはあったが、無事何事もなく家に着くと青いドレスに身を包んだアルトリアが玄関で迎えてくれた。
「ただいま。あっこれ服とか靴とか色々買ってきた奴」
アルトリアに今日は買ってきたものを渡す。
「お帰りなさい、シドー。わざわざ私のためにありがとうございます。お礼と言っては失礼かもしれませんが私なりになにかシドーの役に立てないかと思い部屋を片付けさしてもらいました」
「まじ?」
「はい、あと、お腹空いてるかと思いましてピザも取らせてもらいました」
「……そ、そうなんだ。お金払うの僕だよね?」
「いえ、もう払いましたよ。ちょうどひきだしにこの時代の通貨が入っていたので」
「うん、それ僕の生活費だね。まぁ、別にいいけど」
そう言って靴を脱ぎ、リビングへ入っていく。
アルトリアも僕のあとに続いてリビングへ入ってくる。
リビングといっても家自体一人暮らしにちょうどいいマンションなのでそれほど広くはないが。
「そういえばシドー。掃除しているとき気になるものが出てきたのですが……」
僕がちゃぶ台に座るとその前にアルトリアが座りながら机に一枚のカードが置かれた。
「シドー。このカードはどこで手に入れたのでしょうか?」
カードには、弓兵を思わせる姿が描かれた物でどこか不気味な雰囲気を放っている。
「あぁ、これ僕が物心ついた時から持ってた奴なんだけど捨てるに捨てれなくてね……これがどうかしたの?」
「いえ、このカード私が見た限りでは、術者の魂に英霊の魂を上書きする召喚器のようなものでしょう」
「えっ、そうなの!意味がいまいちわからないがなんかすごい事じゃね?」
今の説明は、僕でも理解できる。
僕が前世の記憶を持ち、目の前にはアルトリアのような存在に術者がなれるカード。
つまり転生チートという奴だ。
いやー、やっぱり僕は他者とは違う何かを持ってたんだ。
一人でテンション高めに舞い踊っている僕に対しアルトリアは、深妙な面持ちで続ける。
「嬉しそうにしているところ申し訳ありませんがあまりこのカードを使わないほうがいいと思いますよ。知識のないシドーが使っても、シドーの存在そのものが英霊に飲み込まれてしまいますし」
「つまり、使った時が僕の最後みたいな感じ?」
「はい。だから使わないでくださいね」
……だよね。そうなるんじゃないかと心の隅っこでは思ってたもん。
やっぱり僕はラノベの主人公みたいにはなれないようだ。