僕の平穏な人生がある日突然終わりを告げたようです   作:木原

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世界軸は、一応第4次聖杯戦争の後です。

つまり、このセイバーは、士郎と出会わなかったセイバーですね。


ミッション開始

次の日、朝の日差しに包まれ、僕は目を覚ました。

 

といっても部屋に1つしかないベットは、アルトリアに譲っており、僕は床でタオルケットをかぶせてで寝ていたのだが……。

 

やはり、フローリングで寝ると腰が痛くなる。

 

それに僕の角度からだとベットで寝ているアルトリアの姿は見えないにしても、女の子と同じ部屋で寝るという行為そのものが童貞である僕には、なかなかハードな事だ。

 

只今の時刻6時30分。

 

少々早い目覚めだがこれは、昨日計画したことだ。

 

そう、僕は今日アルトリアには内密に大事なミッションを遂行しなければならない。

 

そのミッションとは、エロ本の封印だ。

 

やはり僕も思春期男子である。

 

別にエロ本を封印する必要もないと思うが女の子と暮らす手前、エロ本が家の中にあるということは大変よろしくない。

 

だから今日、僕はエロ本を封印しなければならない。

 

「……よし、アルトリアは寝てるな」

 

アルトリアに寝息を確認してベットの下へ手をくぐらせ、隠していた5冊のエロ本を手に取り素早い動きで学校の鞄にしまう。

 

フッ、後は一人になる登校中にそっと捨てるだけだ。

 

あまりにも呆気なくエロ本を回収できた事に思わず顔に笑みが浮かべる。

 

だが、捨てると決心したのにもかかわらず今頃になって何故かエロ本に対する恋しさが込み上げてきた僕は、最後にと鞄の中のエロ本達に別れの挨拶をしたい気持ちになってきた。

 

「あぁ、さらば僕のエロ本た……」

 

「シドー。起きてたのですね」

 

「……⁉︎」

 

ギギギっと首が錆びた鉄のごとく不自然な動きでアルトリアに向き直る。

 

「ま、まぁね。早起きは三文の徳っていうし、今日は朝早く起きたい気分だったんだ。それよりアルトリアこそ昨日より朝早く起きるんだよね」

 

「はい、今日からシドーが学び舎に通う事になりますので通学路に危険が無いか下見に行こうかと思いまして」

 

そう言いながらアルトリアは、ベットから降りて顔を洗いに行く。

 

どうやらエロ本には、気づいてないようだ。

 

まぁ、こんな事もあろうかと以前からエロ本専用の「偉人の書」とプリントされたブックカバーをしていたおかげかもしれないが。

 

「では、今から下見ついでにこの街をぐるりと回ってきますのでシドーは、私が帰ってくるまでにご飯を作っておいてください」

 

いつの間に着替えたのか、昨日僕が買ってきた服ではなく僕の中学の頃のジャージを着たアルトリアが手足の筋肉をほぐす体操をしながら言う。

 

早っ!まだ、起きてから五分のたってないのに。

 

どうやらアルトリアは、朝にメッチャ強いようだ。

 

アルトリアは、その後玄関からではなく窓から人間とは思えない程の跳躍で跳び出していった。

 

 

ーーー◯△◯ーーー

 

 

「行ってきます」

 

エロ本が入った鞄を握りしめアルトリアに警戒しながら僕は家を出る。

 

外に出た途端、ばれずにエロ本を外に持ち出せたためかなかなか味わうことのできない安堵が押し寄せてきた。

 

後はこのエロ本を破棄するだけだ。

 

破棄するならできるだけ近場で人の気配がない場所ががいいだろう。

 

とするとこの条件に合う隠しスポットは、あそこしか無い。

 

僕が通う学校の近くにある廃墟だ。

 

そこは僕の家から正反対の方向にあるのだが別に心霊スポットという事でもなく、ただ廃墟なだけなのでエロ本を隠すには絶好の場所だと思う。

 

そうと決まれば今すぐにでも行きたいところなのだが今、学校の近くは登校している生徒で溢れていると思うし、携帯を取り出し時間を確認するとその廃墟まで行って隠すには、時間的にきついものがある。

 

それにどうした事だろうか?

 

さっきエロ本に別れの挨拶を済ませ破棄すると決心したにもかかわらず、今捨てることをためらう自分がいる。

 

学校で一回だけ読んでから捨てるか。

 

 

 

 

私立駒王学園。

 

僕の通う共学の学校だ。

 

といっても男子の数は女子の数に対し圧倒的に少ない。

 

二年生である僕のクラスも女子は全体の7割を占めているが別に僕は気にしない。

 

一年生の時、女子だらけの学校に舞い上がったりもしたものだが、現実的に女子ばかりとかいっても必ずしも女子が数少ない男子に好意を抱くわけ無いし、会話する時も床に落とした消しゴムを拾う、または拾ってもらった時に話すぐらいだ。

 

鞄に入ったエロ本を大金が入った鞄の如く抱きしめながら僕は教室に到着するなり、教室の窓側にある自分の椅子に深く腰を下ろした。

 

別に僕が教室に入っても室内にいる委員長系の女子が挨拶してくるだけで誰も話しかけてこない。

 

適当に委員長な女子に会釈し、自分の席に着くなり、窓の外をボォーと眺める。

 

隣のクラスから女子の悲鳴が聞こえてくる。

 

どうせいつものように隣のクラスの兵藤一誠あたりが女子に向かってセクハラでもしているのだろう。

 

まだ、一時間目が始まるまで少々時間がある。

 

僕は鞄から「偉人の書」を取り出し、背後に誰もいないこととエロ本の中身が見える角度に誰もいない事を確認するとエロ本を読み始める。

 

内容は、どれも足フェチ特集だ。

 

そう、僕は女性の足に性的興奮を覚えるのだ。

 

もちろん足以外でも興奮するが足には負ける。

 

僕としては、モデルみたいな細い足よりムチッとした足の方が好みだ。

 

だが、断じてデブ専では無い。

 

そうだな。例を挙げるならばアルトリアの足は、僕の評価としては90点超えかもしれない。

 

つまり、ホームランコースだ。

 

適度な脂肪が無駄の無い太ももの筋肉を優しく包み込んでいるさまは、まるで三ツ星レストランで出されるカツサンドのようだった。

 

一度でいいからあの様な太もも様に顔を挟まれたい。そして生足で踏まれ、口の中に足の先を入れられたい!

 

よし、今度頼んでみよう。

 

アルトリアの太もも様に比べると悪いがこのエロ本の足達は三級品だ。

 

まっ、それでも僕は鑑賞するけどね。見て診て視まくるけどね。

 

世界的な美術品を鑑賞する様にエロ本に載っている様々な足を眺めていると突然、教室の入り口が騒ぎ始めた。

 

またか、と思いながら目をやると多数の女子に囲まれながら一人の男子生徒が教室の中へ入ってきた。

 

木場侑斗だ。

 

誰もが認めるリア充の中のリア充。

 

自分の推測では、この学校で一番モテモテであろう人物。

 

入学から今まで毎日の様に女子から告白させ、その全てをアフターケア付きでお断りしているというリア充の中の化け物。

 

その笑顔は女子を一蹴するだけではなく同時に女子を味方につける事で、「女子に嫌われたく無い」と考える男子たちから大変な優遇を受けている。

 

 

視線を木場からエロ本に戻す。

 

牙を取り囲む女子の足を見るのも一興だが、目の前に三流の足がある以上三流以下の足を見ることはできない。

 

今日で最後だからこの本の生足を頭に焼き付ていると僕の方に手が置かれた。

 

「おはよう、乙坂くん」

 

反射的にエロ本を閉じる。

 

振り向くと朝なのに太陽より輝く笑顔を浮かべた木場がいた。

 

同時に全身から放たれるリア充オーラが僕を侵食し始める。

 

「お、おはよう。僕になんかようかな?」

 

「別に様ってほどじゃ無いんだけど、乙坂くん1人で寂しそうにしてたからね」

 

はい、でました。

 

超上から目線。

 

これだからリア充は嫌なんだよ。

 

1人がいいってやつの気持ちぐらい察してほしいね。

 

だが、心ではそう思っていても実際は、あまり強気に出れない。

 

「あ……うん。で、でも大丈夫だから」

 

この返事が精一杯だった。

 

その後、先生が入ってきたため、事なきを得たが結局木場が話しかけてきたせいでエロ本を堪能できなかった。

 

 

ーーー◯△◯ーーー

 

 

ホームルームが終わり放課後、僕はエロ本が入った鞄を抱きしめながら一番に教室を飛び出した。

 

まだ、終わってないクラスがほとんどのため廊下にはチラホラと生徒がいるだけだったが僕はその中をかいくぐり正面口へ駆け足で向かった。

 

階段を下り右へ曲がるともうそこは下駄箱だ。

 

だが、急いでいたためか、曲がろうとしたところで同じく下駄箱側から曲がってきた女子生徒と真正面からぶつかってしまった。

 

「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」

 

すぐに立って相手の元に駆け寄るが手を差し出すが理性がすぐに手を引っ込めてしまう。

 

それは僕が校内カーストが下位という事もあるが一番の理由は相手が女子生徒だったからだ。

 

それも校内で知らない人はいないほど有名な三年のリアス・グレモリーと言う北欧出身の巨乳で足が素敵な先輩。

 

「ええ、こちらこそごめんなさいね。私の不注意だっ……あれ?」

 

だが、グレモリー先輩が見上げるとすでに僕はいなかった。

 

緊張感で頭が真っ白になった僕は、床に落ちた自分の鞄を取りグレモリー先輩から逃げるように校門の外に出たのだ。

 

「ハァ、ハァ……」

 

学校の外に出てもなお息を切らしながら僕は走っていた。

 

目指す場所は、あの廃墟。

 

さっきグレモリー先輩とぶつかった事を思い出すたびに口元が緩んでしまう。

 

鞄を抱きしめながらニヤニヤして走る高校生。

 

きっと端から見たら誰もが気持ち悪いと思う事だろう。

 

走り続ける事数十分。

 

ようやく駒王町にひっそりと佇む廃墟へとたどり着いた。

 

入り口には『立ち入り禁止』という看板だけがかけられた状態で柵などはない。

 

廃墟にしては、保存状態が良くところどころコンクリートが砕けたり鉄筋の骨組みがむき出しになっていたりしているだけで廃墟に踏み入れた瞬間床が抜けたりとかは、なさそうだ。

 

予想以上の迫力に足がくすんだが僕は一度決めた事はやる人間だ。

 

以前テレビで霊能力者が霊にとりつかれない方法を言っていたのを思い出し、気を強く持ち廃墟へと踏み入れる。

 

わかっていたが廃墟の中は電気が通っているわけがなく、まだ太陽が出てるというのに思ったより薄暗い。

 

僕はさらに薄暗くなっている奥へと足を踏み入れ、比較的綺麗な状態で残っているテーブルの上に鞄を置きエロ本を取り出そうと中を探る。

 

「………」

 

ん?こんなに鞄の中にもの入れたっけ?

 

薄暗いため肉眼では中を確認しづらいが、エロ本と筆箱しか入れなかったのにこの鞄、ごちゃごちゃと色々入ってる。

 

試しに偶然手に取っているハンカチの様なものを取り出し、携帯のライトで照らす。

 

「……って、これパンツじゃん」

 

なんと手に持っていたのは赤のスケスケパンツだった。

 

えっ、なに?誰か間違えて僕の鞄にパンツ入れたの?

 

しかし、今日一日中鞄に気を配っていたのでそれはないだろう。

 

携帯の明かりを鞄の中へ差し込むとなんと鞄の中身がまるっきり変わっていた。

 

鞄に入っていた生徒手帳にはご丁寧にリアス・グレモリーと書かれている。

 

……完全にやっちゃいましたよ。

 

ぶつかった時、鞄を落としたのは僕だけじゃなくグレモリー先輩も鞄を落としてたんだ。

 

そしてグレモリー先輩が落とした鞄を僕が拾ってしまったと……。

 

一気に全身の力が抜け脱力感が僕を襲う。

 

もうテンションだだ下がりですわ。

 

明かりを消すために携帯の画面にを操作する。

 

「……ん?」

 

いま、なんか携帯の画面に何か写ったような。

 

試しに後ろを振り向いてみるが誰もいない。

 

気のせいかと思い再び画面を見ると物陰からゆっくり上半身裸の女で下半身が馬のような化け物が足音を立てづにこちらへ一歩一歩音も立てずに前進してくるではないか。

 

……夢かな?

 

うん、きっと地縛霊とかそういうどこにでもいる類だ。

 

やっぱりここ廃墟だけあって集まりやすいところだったんだ……

 

「って⁉︎……ギャァァァァ」

 

悲鳴をあげながらその場にしゃがむ。

 

刹那、頭すれすれに30センチ以上はある鋭利な刃物のような手が空気を切った。

 

遅れてパラパラと数本の髪の毛が床に落ちる。

 

「ケタケタケタ!久シブリノ人間。ソレモ童貞。アァ、甘イカナ、旨イカナ」

 

人間が発する言葉とはどこかかけ離れた異様な声で笑いながら化け物は、逃げる僕の後を追いかけてくる。

 

やばいやばいやばいやばい。

 

マジでやばい。

 

僕は、がむしゃらに廃墟の中を走る。

 

右に曲がったり左に曲がったりとにかく廃墟の入り組んだ内装を駆使し逃げまわるが相手は不気味な笑い声を発しながらまるで狩りを楽しむかのように追いかけてくる。

 

「何処ダ?ココカナ?それとも……ココダッッ!!!」

 

ドンッ!

 

隣の部屋から化け物の声が聞こえたかと思えば、壁を突き抜けて化け物が現れた。

 

現れた瞬間、足に力を入れドアを突き破り部屋を突き破りまた逃げるが、ここは廃墟。

 

床には瓦礫やら物が散乱している中を走っている。

 

化け物が迫ってきている恐怖か逃げるので精一杯だった為足元にまで注意が行き渡っていなかったのか、何かにつまずきバランスを崩してしまった。

 

だが、僕の体は床には叩きつけることなかった。

 

その代わり、化け物が振るってきた回し蹴りを真正面から喰らって壁に叩きつけられた。

 

「ぐ、がっ……ッ!」

 

衝撃で胃の中の空気が込み上げてくる。

 

アルトリアの風王鉄槌に比べるとまだ弱いがそれでも素人の僕にしてみれば激痛だ。

 

それでもまだ動く足を強引にでも動かし逃げようと背を向けた途端、鋭爪で背中を引き裂かれた。

 

「ぐ……あぁぁ……」

 

僕はその場で蠢いた。

 

痛い。マジで痛い。

 

背中から焼けるような痛を感じる。

 

激痛……なんてもんじゃない。

 

もう、動く力さえ残ってない。

 

ケタケタケタケタケタケタケタ……。

 

「アァ、美味シソウ。私ニ食ワセテ奪ワセテ!」

 

化け物の下半身がぱっくり開き、異様なほど大きな口が現れた。

 

あんなのに食われるのだけは、嫌だがもう、僕に抗う力なんて残ってない。

 

「…だれ…か」

 

無駄だとわかっていたながらも声を絞り出し助けを求める。

 

だが、無慈悲にも化け物に口が目の前に迫る。

 

これは死んだな。

 

意識が薄れゆく中、諦めたその時、

 

ひゅっ。

 

風切り音が聞こえたかと思うと僕に迫っていた化け物の体が視界から消えた。

 

見れば、化け物は、壁を突き破り全身から鮮血を吹き出しながら隣の部屋の壁に激突していた。

 

「貴様、死ぬ覚悟はできているな」

 

僕の隣を女性が通り過ぎてゆく。

 

黄金を溶かしたかのような綺麗な金髪に僕が昨日買った服。

 

「……アル…ト…リ…ア?」

 

アルトリアは、体中から寒気がするぐらいの殺気を放ちながら無言で化け物に近づいていき、手に持った風?を壁にめり込んで身動きができないでいる化け物に容赦なく振り下ろした。

 

「グァァァァァァァァァッッッ!」

 

上半身と下半身が分かれ悲鳴をあげる化け物。

 

さらにアルトリアは化け物の頭を片手で掴み軽々と床に叩きつける。

 

その表情は怖いほど無表情で動かなくなった化け物の頭を踏みつぶした。

 

途端、さっきまでの怖いアルトリアとは一変、泣きそうな表情で駆け寄ってきた。

 

「シドー、しっかりしてください」

 

「…ぁ」

 

だが、僕の意識が持ったのはここまでだった。

 

 




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