仮面ライダーLYRICAL A’s to StrikerS 作:(MINA)
いかがお過ごしでしょうか?
このたび 第三部の要望が思った以上にありましたのでこちらで掲載することにしました。
それでは第三部開始です。
第一話 「青い仮面ライダー」
新暦0071年。
これはミッドチルダの暦である。
『新』と名がつくという事は一応『旧』もあるということだろうが、今はさしたる問題ではないので取り上げない。
『闇の書事件』及び『ネガタロスの逆襲』から六年が経過した世界。
それでも時間は等しく時を刻んでいる。
*
『時の列車』
それを手にした者はある事を決断しなければならない。
『普通』の生活を捨てるという事を。
*
空は快晴であり、心地よい風が吹く季節。
時刻は『午後』に差し迫っていた。
市立聖祥大付属中学校あと一時限受ければ学生達にとっては憩いとなる『昼休み』になるのだが、集合時間が迫っているので早退しなければならない。
『三年二組』の教室をフェイト・T・ハラオウンが出ようとしていた。
「じゃフェイト。いってらっしゃい。授業のノート取っとくからね」
「うん。ありがとうアリサ。あといつものでいいんだよね?」
フェイトは学生生活のケアをしてくれているアリサ・バニングスに感謝しながら代償はいつものものでいいのか確認を取る。
「そうそう。報酬は翠屋のケーキセットでいいわよ」
「わかった」
フェイトは笑みを浮かべて鞄を持って教室を出ていく。
このやり取りだが、最初はアリサが冗談半分で言ったものだがフェイトはそれを本気で受け止めて、『自分達の学生生活があるのはアリサやすずかのお陰』という感謝の意を込めて返した事から始まっている。
学生生活が守られる代償がケーキセットというのは、正直破格な取引といってもいいだろう。
「なのはも!気をつけてね!」
「はぁーい!」
アリサがフェイトと同じ目的を早退しようとする高町なのはにも声をかける。
無論彼女もフェイト同様に学生生活のケアの代価として翠屋のケーキをご馳走するようになっている。
自分のお小遣いで買っているので、やましい事は何一つない。
フェイトを追うようにして、なのはも教室を出た。
『三年六組』でも同じ様なやり取りが行われていた。
「ほんなら、すずかちゃん。また月曜にな。お礼は例の物でええんよね?」
「うん。いつもありがとう。はやてちゃんも気をつけてね」
「何言ってんの。私等がこうして学生できるんもみーんなすずかちゃん、アリサちゃんのお陰なんやで。もうありがたくてありがたくて」
八神はやてが仏様を拝むようにしてすずかに手を合わせて拝む。
「は、はやてちゃん!?もうそれはやめてって……」
ちなみにこんなやり取りも日常的に行われているため、クラスメイト達は温かい目で見ていたりする。
はやてが早退し、残りの授業の面倒を月村すずかに頼んでから教室に出ると廊下にはフェイトが歩いていた。
「はやて」
「フェイトちゃん。なのはちゃんは?」
「後から来るから大丈夫だよ」
「そか」
フェイトとはやてが他愛のないやり取りをしていると、
「フェイトちゃーん。はやてちゃーん」
遅れてなのはが走ってきた。
はやてとフェイトは互いに顔を合わせて笑っていた。
三人は人目のつかない学校の屋上に移動していた。
既に授業が開始しているのか、屋上には三人しかいない。
『三人とも準備は出来てる?忘れ物はない?』
三人が持っているデバイスを介して、エイミィ・リミエッタが確認するように言う。
「はい!大丈夫です!」
「私も大丈夫だよ」
「問題ありません」
なのは、フェイト、はやてはそれぞれ返事をする。
『それじゃ、いつもの場所に転送ポートを開くね』
エイミィの言葉に三人は頷き、それぞれ待機状態になっている相棒を掌にとって翳す。
「レイジングハート!」
『イエス。マイマスター』
主の声に紅い珠---レイジングハート・エクセリオンが返す。
「バルディッシュ!」
『イエッサー』
野上良太郎から貰った懐中時計と同じくらいもしかしたら比べてはいけないくらいに大切な物---バルディッシュ・アサルトに声をかけ、相棒は即座に返す。
「リィンフォース!」
かつて自らの信念と思いを貫いて消えたリィンフォースが残した金色の首飾りを掌に取る。
「はい!マイスターはやて!」
リィンフォースと酷似した容姿をしながらも、青い瞳に愛嬌のある雰囲気でリィンフォースと違い子供な体型をしている掌サイズの少女が出現した。
少女---リィンフォースⅡ
ツヴァイ
(以後:リィン)である。
「「「セーットアーップ!!」」」
三人が同時に翳した。
その直後に校舎の屋上には三人の姿はなくなった。
なのは、フェイトはバリアジャケットを纏い、はやては騎士服を纏っていた。
リィンははやての左肩に乗っかっている。
足場を空に移して互いに顔を見合わせてから、
「「「ゴォォォォォ!!」」」
と第162観測指定世界の空を駆けた。
*
第162観測指定世界の衛星軌道上に佇んでいる次元航行艦アースラ。
「じゃ改めて今日の任務の説明ね。そこの世界にある遺跡発掘先を二つ回って発見されたロストロギアを確保。最寄の基地で詳しい場所を聞いてモノを受け取って、アースラに戻って本局までの護送!」
エイミィが第162観測指定世界の空を飛んでいる四人(リィン含む)に告げた。
『平和な任務ですねぇ』
飛行の心地よさと任務が血腥くない事になのはは安堵し、どこか平和な声色を出していた。
「まぁモノがロストロギアだから油断は禁物だけど、なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃんの三人が揃っててもう一箇所にはシグナムとザフィーラがいるわけだから、まぁ多少の天変地異くらいならなんとかしちゃうよね」
エイミィは信頼を込めて言う。
「よろしく頼む。あと今更君達に説明をする必要はないが一応言っておく。イマジンに出くわしたら迷わずに撤退する事。人命第一だからね」
エイミィの後ろにいるアースラ艦長であるクロノ・ハラオウンが現場にいる面々に一言言う。
了解と声が聞こえた。
今日、時空管理局はイマジンに対しては常に後手に回り肝を嘗めさせられている。
イマジン一体と戦うのに何十人の武装局員を用いて戦わなければならないという事実だ。
しかもそれで勝てればいいのだが、現実問題としては十回イマジンと戦って勝てるのは一、二回である。
結果は『快勝』でも『楽勝』でもない『辛勝』なのだ。
個人対個人ならばその結果でもいいだろう。
だが、一部隊対個人の戦いでその結果はあまりに情けないというのが組織の上に立つ者達の意見でもあり、世間の評価でもある。
「彼等の存在が今になって肌身に染みるなんてな……」
「本当だね。良太郎君と初めて会った時に言われたんだよね?イマジンは決してそんなに甘い相手ではないって」
「ああ。あの時は単純な過大評価だと思っていたが、こうして仮面ライダー
彼等
がいない時にイマジンと対峙してみてそれが決して誇張とかではないと理解したよ」
「仮面ライダーっていえばクロノ君。聞いたことない?『青い戦士』とか『青い仮面ライダー』の話」
「何度かは聞いたことあるよ。正体不明で神出鬼没。ここ最近になってからか。この話が飛び交うようになったのは……」
クロノは腕を組んで正体を考えるが、思い当たる節がない。
エイミィにしても同じだった。
いつまでも雲を掴むような噂話をするよりも任務を遂行している面々の事に話題を切り替えることにした。
「みんな最近忙しいし立場も固まってきちゃったから、こーやって同じ任務に関われるのもあと何回あるのかなぁ」
エイミィとしては皆が個々に羽ばたいていく事は悪いとは思っていない。
だが寂しさがあるのもまた否定できないのだ。
「そうだな」
クロノとて表情には出さないが、複雑といえば複雑だったりする。
いつも当たり前と思っていた事が変わっていく。
経験がないわけではないが、正直慣れないし順応する努力をしなければならないのは常だ。
「あの子達の研修期間が懐かしいやー。あの頃は本当艦内も賑やかでさぁ」
「僕は騒々しくてかなわなかったがな」
エイミィとクロノが研修期間の頃を思い出しながら素直な意見を述べていた。
「ま、今日は楽しい同窓会的任務。終わったら賑やかにやりましょ」
「まぁ仕方ないな」
二人は一通りの談話を終えると、仕事に集中する事にした。
たとえ内容が楽でも気を抜いていいという理由にはならないからだ。
*
北部定置観測基地に向かう中で四人はある話題が飛び交っていた。
現在手ぶらだし、ただ目的地に向って飛んでいくだけでは味気ないので誰からともなく話をする事になったのだ。
「『青い仮面ライダー』の正体か……。良太郎達じゃないことは確かだよ」
フェイトが噂の人物がチームデンライナーではないと断言した。
「侑斗さんやデネブちゃんでもあらへんね」
はやてもチームゼロライナーではないと即断する。
「どうしてなんですかぁ?マイスターはやて」
はやての左肩に乗っているリィンはフェイトと自分の主があっさりと言い切ることがわからない。
彼女は実をいうと『仮面ライダー電王』や『仮面ライダーゼロノス』の事は聞かされているが、実物を見たことがないので今ひとつピンとこなかったりしていた。
「リィンも実物を見たら私とフェイトちゃんがあっさりと違うと言い切れるんもわかるんやけどね」
写真一つ残っていない現在では彼等がこちらに赴いてくれない限り不可能な事だ。
「そうだよねぇ。口で細かく言うよりも実際の電王さんやゼロノスさんを見てもらったほうが早いもんね」
なのはも笑みを浮かべながら、はやての意見に賛同する。
「リィン。電王さんはね、赤、青、金、紫とか色々形態を持ってるんだよ。そしてゼロノスさんは緑色と錆びた感じの赤色の二つの色を持ってるんだ」
なのはがリィンに電王とゼロノスの装飾しているカラーリングについて説明した。
「でもでもそれだとゼロノスさんには当てはまらなくても電王さんには当てはまっちゃうですよ?」
「リィン。噂の仮面ライダーの色はきっと青色がメインカラーだと思うよ。それに電王にとって青色はあるけどメインじゃないんだよ」
フェイトが補足するようにリィンに告げる。
「ふええ~。そうなんですかぁ」
リィンは感心していた。
「それで話を戻すけどな。なのはちゃん的には青い仮面ライダーについてどない思う?」
「私?」
「うん。私も聞きたいな」
はやてが話題を戻してなのはにふっかけ、フェイトも意見を求めていた。
「正体不明に神出鬼没。個人でイマジンと戦う戦闘力。私達が出動する前に解決してしまう手際のよさからして変身者は変身していなくても相当強いと思うよ」
なのはは戦技教導官として言う。
「短時間でイマジンを倒せるって事はそれだけイマジンの生態を知っているという事になるし、相当場慣れしていなきゃできない事だよ」
そして戦技教導隊で明らかになっている事実を話し始めた。
なのはは戦技教導隊入りした際に、上司に訊ねた事がある。
「魔導師何人がかりでイマジンを倒せますか?」と。
すると上司はこのように答えた。
「イマジン一体倒すのに魔導師ランクがC-からA+の魔導師が五十人がかりで三十分以内に仕留めなければ負けは確定。AA-からAA+なら四十人がかりで三十分以内に仕留めなければ負けは確定。AAA-からAAA+までなら十人がかりで二十分以内に仕留めなければ負けは確定。S-からSSS+までの場合、単体で挑むなら五分以内に仕留めなければ負けは確定」と言われた。
この上司の言葉は定義づけられている魔導師ランクの実力。魔法を使用するのが人間である事を踏まえての事である。
元々、身体機能が人間よりもはるかに優れているイマジンと戦うのだ。多少のズルはやむなしとしてもこれほどの差があるとは思わなかったくらいだ。
「改めて聞かされると……」
「良太郎達が凄いって思わせられるね」
なのはの説明にはやてとフェイトは素直な感想を述べた。
「あ、目的地ですぅ」
リィンが指差す方向に北部定置観測基地があった。
目的地に到着すると、三人はバリアジャケットを解除して管理局御用達の制服になる。
「さて基地の方はと……」
なのはが周囲を見回すと、男女一組の管理局員が敬礼していた。
知的なイメージがある眼鏡をかけた男性と穏やかな雰囲気を持った眼鏡女性だ。
「遠路お疲れ様です。本局管理補佐官グリフィス・ロウランです!」
「シャリオ・フィニーノ通信士です!」
「ありがとう」
なのはは眼鏡男性---グリフィスと眼鏡女性---シャリオに感謝の言葉と敬礼で返す。
「ご休憩の準備をしてありますのでこちらへどうぞ」
「あ、平気だよ。すぐに出るから」
グリフィスが三人を休憩室へ案内しようとするが、なのははやんわりと断った。
「私等、これくらいの飛行じゃ疲れたりせーへんよ。グリフィス君は知ってるやろ?」
はやてはグリフィスと面識があるのか慣れしたんだ感じだ。
「はい……。存じ上げてはいるのですが……」
グリフィスは重々わかっているが、それでも形式的なことなので引くに引けない。
はやてとグリフィスのやり取りになのはとフェイトは頭上に疑問符を浮かべる。
「ああ、二人は会った事なかったんやったね。こちらの彼はグリフィス君。レティ提督の息子さんやで」
はやてが簡潔にグリフィスの紹介をした。
紹介を聞いた二人は「ああ、なるほどぉ」とか「確かに似てる」というコメントを返した。
「フィニーノ通信士とは初めてだよね?」
フェイトもなのはもはやても初対面だ。
「はい!でも皆さんの事はすごーく知っています!!」
シャリオの表情はアイドルや芸能人を見て酔っている一般市民の表情に似ていた。
「本局次元航行部隊のエリート魔導師。フェイト・T・ハラオウン執務官!」
シャリオが憧憬の眼差しをフェイトに向ける。
「いくつもの事件を解決に導いた本局地上部隊の切り札。八神はやて特別捜査官!」
次に同じ眼差しをはやてに向けた。
「武装隊のトップ、航空戦技教導隊所属。不屈のエース。高町なのは二等空尉!」
最後になのはに向けてきた。
「陸海空の若手トップエースの皆さんとお会いできるなんて光栄ですぅ~!!」
シャリオが三人を前に頭が落ちてしまうのではないかというほどの勢いで頭を下げていた。
三人はそのように誇張されるのはいつまで経っても慣れていないので苦笑いを浮かべるしかない。
「リィンフォースさんの事も聞いていますよー。とっても優秀なデバイスだって」
「ありがとうございますぅ」
シャリオはリィンと握手するために右手の人差し指を出す。
リィンは人差し指を両手で握った。
握手が一応成立したのだ。
「シャーリー。失礼だろう」
「あ、いけない。つい……」
グリフィスはテンション高めな状態になっているシャリオを窘める。
「シャーリーって呼んでるんだ?仲良し?」
フェイトがグリフィスにシャリオとの関係を訊ねる。
「す、すみません。子供の頃から家が近所で……」
グリフィスがどのように答えたらいいのかわからない。
「幼馴染だ!」
なのはが二人の関係を言い当てる。
「いいね。私達も幼馴染だよ」
フェイトも自分達の間柄を打ち明ける。
「幼馴染の友達は貴重なんだから。大切にしてね」
「「はいっ!」」
なのはが幼馴染と言う間柄を持つ先輩として後輩二人に指導した。
*
時空管理局本局に『無限書庫』がある。
デジタルが主流ではあるが、ここだけはアナログであったりする。
日々書物が増え続けるので整理が難しくなるのが特色だ。
何せ一日に書物化して棚に入るのは一冊ではないのだから。
それが日々続くのだから、常人なら発狂しかねないだろう。
なお武装局員に無限書庫の業務をさせた場合。このような感想が返ってきた。
「出口のない迷路にいるみたいだ。気が変になりそうになる」
「これなら現場で犯罪者を追い掛け回した方がいい」
「本当に適正不適正が問われる場所」
などである。
上司が聞き分けのない部下に対して、「無限書庫に放り込むぞ」という脅し文句があったりする。
なおこの脅し文句を聞いた部下は素直に上司に従うというエピソードがあったりする。
現在も無限書庫には管理局の制服を着た司書達が数名、本棚や本と睨めっこをしていた。
『ユーノ。そっちのデータはどうだ?』
クロノが宙にモニターを展開して訊ねてきた。
その中で私服姿の少年がいた。
無限書庫司書長のユーノ・スクライアである。
「もう解析を進めている。なのは達が戻る頃には出揃うよ」
『そうか』
ユーノの返答にクロノは満足していた。
「はいよ。ユーノ」
アルフに似た容姿をした幼女が数冊の本を持ってユーノに渡してきた。
「ありがとう。アルフ」
アルフに似た容姿をした幼女。コレが現在のアルフの姿である。
「アルフもすっかりその姿が定着しちゃったね」
「あぁまーねー」
ユーノの台詞にアルフは感慨深く思う。
「フェイトの魔力を食わない状態を追求していったらこーなっちゃてねぇ」
アルフは腕を組んで思い出す。
フェイトの魔力を食わないために試行錯誤した日々をだ。
「あたしはフェイトを守るフェイトの使い魔だけどさ、フェイトはもう十分強いし一人じゃないしね。そばにいて守るだけが守り方じゃないしさ。家の中のことをやったりするのも結構楽しいし、来年にはクロノとエイミィも結婚する予定だし子供とか生まれたらもっと忙しくなるしね」
『アールーフー!!その話はまだ秘密だって!!』
「えー、まぁいーじゃん」
モニターにはエイミィが映し出されて、顔を紅くしていた。
後ろにいるクロノも紅くなっていた。
「ええと。おめでとうございます。クロノもやっと決心したんだね……」
いきなり暴露されたエイミィに同情しながらもユーノは祝福の言葉を送った。
『うう……ありがとう。それよりユーノ君はなのはちゃんと何ともないわけ!?』
エイミィが仕返しとばかりになのはとユーノの関係を訊ねてきた。
「なのはは僕の恩人で大切な幼馴染ですよ。それだけですよ。本当に」
ユーノは即答した。
『この二人はまだ先に進みそうにないか……』
エイミィは苦笑しながらもモニターを閉じた。
「よし!モニター閉じたね。もう解いていいよ」
アルフの声と共にユーノの姿が光りだす。
やがてユーノから男性司書へと姿が変わった。
「ふうー。疲れましたぁ。司書長の姿に化けてハラオウン提督と会話するのってこんなに緊張するんですね」
「まぁ相手がクロノ達だからね。一見さんなら簡単には見破れやしないさ」
アルフが変身魔法を用いていた司書に労いの言葉を送る。
「アルフさん。司書長、大丈夫でしょうか?」
女性司書がユーノの心配をする。
「アイツが考案したプランAZを無事に成し遂げるのがあたし達がユーノにできる事だしね。後はアイツが無事に帰ってくるのを祈るしかないからねぇ」
アルフが天井を見上げて言った。
*
第162観測指定世界に私服姿のユーノと左肩に乗っている白い毛並みに青いメッシュの入ったフェレット---ロッキーがいた。
眼前にはこおろぎ型のイマジンであるクリケットイマジンがいた。
目的が何なのかはわからないが、イマジンが単体で動く時は『契約者の望み』か『はぐれイマジン』の場合は自分の意思と相場が決まっている。
「そこをどけぇ。俺は今からロストロギアを探すんだからよぉ」
その言葉からして契約者持ちのイマジンだとユーノは推測できた。
「ロストロギアの盗掘が違法だってわかっててやってるんだね?君の契約者は……」
となると契約者は裏のブラックマーケットでロストロギアを売ろうとする『死の商人』といった所だろう。
契約を履行させてしまえば『時の運行』だけでなく、罪のない人間が泣きを見るのは確実だろう。
「残念だけど契約者さんの望みは叶わないんです!」
ロッキーがユーノの方から降りて左前脚を出して宣言する。
「あん?何でだよ」
「僕達が君を倒すからだ!」
訝しげな表情を浮かべているクリケットイマジンに対して、ユーノとロッキーは真剣な表情になっていた。
「ユノさん!僕、本当の姿に戻ってもいいんですよね?」
「もちろん。思いっきり暴れていいよ。プロキオン!」
「はい!」
ロッキーが確認するように訊ねると、ユーノは二つ返事で肯定する。
それからユーノは自らの身体エネルギーを用いてベルトを出現させて腰に巻きつけた。
カチリと音がする。
そのベルトはデンオウベルトではなく、ゼロノスベルトに酷似しておりクロスディスク部分は青色と白色になっていた。
ユーノはパーカーのポケットから黒いケースを取り出して、中身を取り出す。
それは黒い素体に青色のカラーが施されているカードだった。ちなみに裏面は白色のカラーが施されている。
バイオリンで奏でているようなミュージックフォーンが流れ出す。
「変身!!」
ゼロノスベルトのバックル上部にあるチェンジレバーを右にスライドさせてからカードを挿入した。
『ベテルギウスフォーム』
電子音声で発すると、ユーノの身体に仮面ライダーゼロノスと酷似したオーラスキンに纏われていく。
青色が目立つオーラアーマーが装着され、両肩、両下腕、両ふくらはぎに二センチほどの刃のような突起が出現する。
そして、頭部にはトリケラトプスの系統であるネドケラトプスを髣髴した電仮面が銀色のデンレールを走り、形状を象って装着される。
「はぁ!!」
叫ぶと同時に右手で薙ぎ払うような仕種をする。
ブオンという音が鳴って、クリケットイマジンを仰け反らせた。
ロッキーが全身を輝きだし、見る見るうちに大きくなっていく。
身長は横にいる戦士より若干高いくらいになっていた。
フェレットと仮面ライダーのイメージが混濁して誕生したフェレット型のイマジンであるプロキオンである。
ちなみにロッキーとは愛称であって本名ではない。
「お、お前!仮面ライダーゼロノスか!?」
クリケットイマジンは興奮気味に叫ぶ。
別世界側のイマジンでもこのくらいの知識は有している。
「違いますよ。我が主は仮面ライダーゼロノスではありません」
プロキオンが即座に否定する。
戦士はゆっくりと歩きながらクリケットイマジンに告げる。
「もう一つのゼロノス。ANOTHER
アナザー
ゼロノスだ」
この時、この場に仮面ライダーANOTHERゼロノス(以後:Aゼロノス)が降臨した。
次回予告
Aゼロノス降臨!
その戦闘力はいかに?
同窓会的任務にも怪しい兆しが見え始める。
第二話 「部隊表と舞台裏」