仮面ライダーLYRICAL A’s to StrikerS   作:(MINA)

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第十一話 「0070年 回りだす歯車」

新暦0069年。

高町なのはが念願の教導隊入りとなる。

彼女の夢の第一歩が叶った事なので、身内はそれを口実に盛大に盛り上がっていた。

ユーノ・スクライアも時間が空いていたので参加して我が事のように喜んだ。

だが、この時分から彼は自身の『強さ』というものに対して、悩みを抱くようになった。

それはあの怪人が出現するようになったからというのが大きな原因である。

その『悩み』は日増しに強くなり、やがて『苛立ち』へと変わるのにさほどの時間はかからなかった。

 

 

0070年。

今日もユーノはアルフ(人型)、ザフィーラ(人型)、シャマルの下で鍛錬に励んでいた。

「ユーノ君。イマジンが出現してから鬼気迫るものになってない?アルフ」

シャマルが隣に座っているアルフに訊ねる。

「まぁねぇ。イマジンが一回出てきた去年からユーノ、何かに取り憑かれたみたいに身体をいじめるようになっちゃってさ。正直止めても聞かないんだよねぇ」

アルフもユーノが明らかにオーバーワークをしている事を再三忠告したのだが、一向に聞き入れてはくれないとぼやく。

「ふっ!!」

ユーノの右正拳がザフィーラの顔面に狙いをつけるが、顔を傾けるだけであっさりと避けられる。

「スクライア。疲労がたまっているお前の拳では捉えられん」

ザフィーラが彼なりに気遣う言葉を送りながら、左掌を胸元に狙いつけて突き出す。

「!!」

ユーノは羽毛のようにふわりと後方へと飛ばされる。

両脚で踏ん張るが、土煙を立てながら下がっていくだけで効果がない。

「くぅ!!」

両手を地に着けてもズルズルと下がっていくが、やがて勢いは完全になくなって停まった。

「普段のお前なら難なく勢いを殺す事が出来たはずだ」

ザフィーラはユーノに自身の現状を理解させる為に攻撃を繰り出したのだ。

「………」

ユーノは四つんばい状態から起き上がる。

身体は重いし、思ったように動けない事を痛感させられたユーノは黙って頷くしかなかった。

「シャマル。手当てを」

「ええ。わかってます」

ザフィーラはシャマルにユーノの治癒をするように促すが、シャマルは既に準備を整えていた。

「ユーノ君。一つ忠告していいかしら?」

シャマルが治癒魔法を施しながら、真面目な表情で言う。

ユーノは首を縦に振る。

「この三年間の鍛錬でユーノ君は魔導師でありながら対魔導師戦においては、まず誰もが思いつくけどやらない方法を編み出して実戦レベルまで持ち込むまでになってるわ。それでも十分大したものよ。でも最近のユーノ君はどこか上の空よ。そんな状態じゃ徒に疲れるだけだし、ユーノ君自身のためにもならないわ」

「はい……」

シャマルの忠告はあまりに正しく、ユーノは反論する機会を失った。

 

ユーノは休憩室で一人、缶ジュースを飲んで天井を見上げて溜め息をついていた。

確かに昨年イマジンが出現して以来、自分は危機感からによる『焦り』が転じて、苛立っていた事は否定のしようがない事実だった。

そのため、なのはを始めとする身内とは極力会わないようにしていた。

ユーノが危機感を感じているイマジン事件とは通称『0069年の悪夢』といわれている。

概要としては昨年出現したイマジンの数は一体。

その討伐に向かった武装局員の数は五十人。

一対五十というと一見すると『勝って当然』の戦況だった。

だが結果は武装局員五十人を投与してもたった一体のイマジンを倒す事が出来ないという厳しい現実を突きつけられるものだった。

この時初めて人々は『イマジン』という怪人が存在することを知る事となり、そういった得体の知れないものを倒す事が出来ると思われていた時空管理局は目も当てられぬほどの大敗をした事で記憶に残っている。

今となってはこの別世界の住人にとって、イマジンは恐怖の対象となっていたりする。

(何とかしないと……。でもどうしたら……)

五年前に自分はイマジンと戦った事がある。

なのはと共に戦ったが、大ダメージを負わせるのがやっとで倒せなかった。

時空管理局所属の魔導師ではどんなに善戦に持ち込む事は出来ても『勝つ』事は出来ないだろう。

何故なら彼等は相手が極悪人でも命を奪わないからだ。

非殺傷設定という制限が設けられているためである。

殺傷設定に切り替える事は出来るが、そうなれば『管理局の仕事』ではなく『純粋な闘争』へとなってしまう。

模擬戦にしろ訓練にしろ、実戦を想定してはいるものの最終的には『命を奪う覚悟』という点には行き届いていないのが現実であったりする。

(僕が求める『強さ』もやっぱりそこに行き着いちゃうんだよなぁ)

ユーノが求める『強さ』も突き詰めてしまえば『命を奪う覚悟』が終着となってしまう。

(良太郎さんや侑斗さん、モモタロスさん達はどういう気持ちだったんだろ……)

イマジンと対等に戦える存在である者達はどのような気持ちで今まで数多のイマジンの命を屠ってきたのだろう。

当人達に聞いてみなければわからない事だし、その当人達はここにはいない。

だからわからない。

想像する事は出来るが、そこには自分の都合のいい脚色が施されている事も否定できないため敢えて想像しないようにしている。

「ユーノ君♪」

嬉しそうに自分の名を呼ぶ声がした。

顔を上げると、なのはがいた。

「なのは……。仕事の帰り?」

教導隊の仕事が終わった帰り道なのだろうと推測する。

「うん。ユーノ君は?」

「休憩」

短く答えて、缶ジュースの残りに手をつける。

なのはは時間に余裕があるらしく、向かいの席に腰掛けた。

「ん?なに?」

「ええとね。ユーノ君。またカップラーメンとかジャンクフードばっかり食べてるでしょ?」

なのははじーっとユーノの顔を見ながら、食生活を訊ねてきた。

「なのは。お医者さん?」

人の顔を見ただけで、食生活をほぼ確実に言い当てるのだから医者顔負けの診察眼である。

「そんなに鋭くないよ。ただ、ユーノ君ってお仕事と違って食事に関してはあまり気にかけてない部分があるからね」

なのはの言葉にユーノは苦笑いを浮かべるしかなかった。

「それでも食べてる方だよ。僕達の食生活が質素になっていくって事はそれだけ平和じゃないって事だしね」

「それって遠まわしに、私達のせいって言ってない?」

「そう聞こえる?」

「ユーノ君の意地悪~!」

なのはは頬を膨らませるが、本心で怒ってるわけではない。

ユーノはそんな、なのはの表情を見てついつい声を出して笑ってしまう。

復帰してから二年が経過しており、なのはは以前に重傷に遭っていたのか疑いたくなるくらいの健康ぶりだ。

「折角、お母さんからユーノ君を連れてくるようにって言われてるのにそんな意地悪するんだったらどうしようかな~」

今度は、なのはが反撃に切り出した。

「桃子さんからって事はもしかして、夕飯の招待?」

「そ。でもどうしよっかな~」

なのはは渋っている。

「それは困るよ。僕の楽しみを奪わないで。なのは」

ユーノにしてみれば、高町家の夕飯は数少ない楽しみの一つだった。

正直、高町家の人々の心の広さと優しさには今でも甘えている。

元々、両親を早くに亡くしてスクライアの部族が『家族』だ。

そして今の自分にとって高町家の人々は『第二の家族』といってもいいくらいだ。

なのはの重傷に遭った原因は自分にあると申告した時も、あの人達は自分を責めはしなかった。

「何故?」と訊ねた際には、

 

「きっかけは君かもしれない。でも、なのはは自分の意思で今まで歩いてきたんだ。だから、ここで変に君が責任を感じる事はなのはの意思を侮辱する事になる」

 

と高町士郎に静かに諭されたものだ。

その時は、その言葉が正しいと信じて首を縦に振った。

それでも日が経つにつれて、士郎の言葉が正しいのか責任は自分にあると考えるのが正しいのかはわからない状態になっている。

(イマジンまで現れるようになった以上、なのはを守る為に僕は更なる『力』が必要なんだ……)

内に秘めたる想いはは小火程度だがそれでもくすぶっている。

「ユーノ君。どうしたの?怖い顔してるよ」

向かいのなのはが心配げな表情でこちらを見ている。

「え?ううん。何でもないよ。それでいつ?」

ユーノは笑って誤魔化しながらスケジュールの調整のためにも日取りを訊ねる。

「ええとね。明日はどう?」

なのはが告げる予定をユーノは懐から取り出した手帳のページを捲っていく。

「うん。特に何もないから大丈夫だよ」

ユーノは快諾した。

「じゃあ、明日の夕方にね♪」

「うん」

なのはは立ち上がって、そのまま海鳴に戻るのか『転送ポート室』へと向かっていった。

その背中を見送っているユーノの表情に笑顔はなかった。

 

 

ユーノは眼前の慰霊碑と二つの墓標のうち、一番左端の墓標を見ていた。

(高町家へ招待されてからすぐだったよね……。マギリングヴァーリトゥード(以後:MV)が開催されたのは……)

自分のメンタル面に不安を感じたシャマルとアルフが無断でエントリーしたのだ。

ユーノの口元が小さく緩む。

「どうしたんですか?ユノさん」

横で自前の爪を缶きり代わりにして缶詰を開けているプロキオン(イマジン)が窺う。

「ん?いや一年前に開催された魔法戦技会に参加した時の事を思い出してね」

「僕と契約する前ですよね?それでどうだったんですか?」

プロキオンは知らされていないのか目を輝かせている。

「優勝したよ。武装隊を出し抜いての優勝だから結構後から色んな人達に目をつけられたけどね」

ユーノは苦笑しながらも語る。

一年前は煩わしいとか鬱憤晴らしとして、後から喧嘩をふっかけてきた局員達を片っ端から返り討ちにしたもんだ。

もっとも『苛立ち』が解消された事はなかったが。

「それからすぐだったよね……。あの出来事が起こったのは……」

MVに優勝してから一週間が経過した頃だ。

 

ユーノの運命が大きく動き出したのは。

 

 

MVが終了し、時空管理局全体はいわゆる『お祭りムード』が抜け切っていない者達もチラホラといるがそれでも通常の緊張感溢れる雰囲気が漂っていた。

彼の周りで変わった事といえば、今まで我が物顔で歩いていた武装局員達が自分と目を合わせずに廊下の端に移動して、極力目を合わせないようにしていた。

(何もこちらから喧嘩を売るようなマネはしないのに……)

売られた喧嘩は『降りかかった火の粉を払う』という名目で買うが、自身から売るような事はしない。

自分はそこまで好戦的ではないからだ。

『無限書庫』の扉を開いて、司書長室へと入る。

現段階では司書長室という部屋はあっても、『司書長』という役職に就いている人物はいない。

現在はちょっとした談話室扱いになっている。

そこには依頼主である中年の眼鏡をかけた学者風の男と、悪友であって『無限書庫』にとっては『疫病神』や『悪魔』、『人でなし』と言われて恐れられているクロノ・ハラオウンがいた。

(この人って確か……)

次元世界の考古学ではかなり有名な人物だと記憶している。

「呼び出してすまないな。実はこちらの方が君の論文を見て、いたく君に興味を沸いたらしくてね……」

ユーノは数ヶ月前に提出した論文の事を思い出した。

「ユーノ・スクライア君ですね?私はこういう者でして……」

ユーノは向かいのソファに座ってから、名刺を受け取る。

「あ、ど、どうも。こちらこそ初めまして、ユーノ・スクライアです。僕こそ高名な教授にお、お会いできてその……感激です!」

ユーノは起立してから深々と頭を下げる。

「いえいえ。スクライア君。席に着いてください」

「は、はい……」

ユーノにとって中年男---教授は一度は会いたくなり、また『憧れ』を抱いていた人物である。

「実はね。教授は君を今度の次元世界の発掘隊のメンバーとして参加してほしいそうなんだ」

「え?僕がですか!?」

クロノがこちらに訪れた動機を打ち明けているのだが、ユーノには左から右へとこぼれていた。

その斯界で高名な人物が直々に自分をスカウトしに来たというのだから舞い上がるのも当然だった。

「どうでしょう?スクライア君。君の素性は失礼かと思いましたが調べさせていただきました。スクライアといえば我々考古学を携わる者にとってはまさに誉れ高い部族なんですよ。今回の発掘の際にはぜひとも君の力を貸していただきたいのです」

教授はそう言うと、深々とユーノに向かって頭を下げる。

恐らく先にスクライアの部族にコンタクトを取ろうと試みたはずだ。

しかし、一つの場所に居を構えない性質のためか捕まる事は至難の業だとユーノは知っている。

その中で『スクライア』の姓を持って、一つの場所に留まっている自分にコンタクトをとるのは別段不自然な事ではない。

「はい!非力ではありますが、喜んで参加させていただきます!どうかよろしくお願いします!」

ユーノは気負っている部分もあるが、それでも自身の気持ちを教授に打ち明けながら快諾した。

 

ユーノは憧れの教授の発掘に参加できる事に純粋に喜びを感じていた。

『無限書庫』を出て、出発の際の支度をしようとしていた。

「あ、ユーノ君」

「何だか機嫌がいいね」

「何かええ事でもあったん?」

廊下を歩いていると、なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、リィンの四人と逢った。

「うん。尊敬している教授の発掘隊にメンバーとしてスカウトされたんだよ」

「よかったね。ユーノ君」

なのはは我が事のように喜んでくれた。

「だから普段のユーノからは考えられないくらいに落ち着きがないんだね」

フェイトもユーノがはしゃいでる姿というのは滅多に見れないので新鮮なものだと認識する。

「発掘となると、遺跡とかなん?」

「うん。どうやら今まで立ち寄ってない遺跡があってその中には現在の技術ではとても制作できないモノがあるらしいんで、その調査ってわけ」

はやての質問に、ユーノはわかる範囲で回答した。

「期間はどのくらいなの?」

「早くても三週間くらいかな。未知の遺跡の調査だからそれでも短いくらいだけどね」

なのはの質問にユーノは凡そで答える。

「フェイト。その間はクロノに請求はしないようにって言っておいてくれない?」

駄目押しでユーノはフェイトに頼んでみる。

「一応やってみるけど、あまり期待しないでね」

フェイトは確信はもてないが、やってくれるようだ。

「ユーノ君。何かお土産があるんやったらよろしくな♪」

「ユーノさん。頑張ってくださいです!」

はやてとリィンが彼女達なりの台詞で応援してくれた。

「ユーノ君。頑張るのはいいけど食事はちゃんと取るんだよ。あと食事っていってもカップラーメンとかばっかりは駄目だからね」

なのはが釘を刺すようにして、食生活の事を注意してきた。

「わかりました。なのは、何気にしつこいよ?」

「このくらいでいいの!」

ユーノの抗議になのはは即座に切り替えした。

 

 

現在ユーノは教授を始めとする数十人と共にある次元世界の遺跡の前に立っていた。

まずは拠点基地を作らなければならない。

テントを張って、その中に機材を設置する。

皆ベテランなため、テントを張る仕種や機材を設置する速度はこの手の事が生活習慣となっているスクライアとしても目を見張るものだった。

「速いですね。しかも正確です」

ユーノは失礼と思いながら、本音を口に出す。

「我々も年に何度も回っているからね。自然と慣れてしまうんだよ」

教授は短く答える。

基地が完成する頃には昼になっていた。

昼食は簡易にカップラーメンだった。

(なのはが見たら絶対に怒りそう……)

ラーメンの麺を口に含みながら、ユーノはミッドチルダもしくは海鳴市にいると思われる一人の少女が怒っている姿を想像していた。

昼食後、遺跡の調査が始まった。

古い遺跡には高確率で外部からの侵入を防ぐための罠が設けられている。

内部に侵入させないための罠もあるし、侵入できたとしても目的地とでもいうべき地点にまで到達させないように罠が仕掛けられている事も十分に考えられる。

日程としては今日は侵入防止のための罠の有無の調査となっている。

ユーノも魔法を用いて探査する。

(築数百年ってところだけど、造りからして今の技術に遠く及ばないという教授の言葉からは程遠いなぁ)

『発掘調査』といっても、広義では『試掘調査』、『確認調査』、『一般調査』と区別されている。

地表面からは確認できない遺構(過去の人物の不動産)の所在を確認するための『試掘調査』。

遺構の性格の概要までを把握する『確認調査』。

遺跡の有無を広域にわたって把握するために踏査を行なって遺物の表面採集を行なう『一般調査』。

現在ユーノが行っている調査は『確認調査』にあたるだろう。

スクライア出身であるユーノは罠を探りながらもどのくらいの遺跡なのかも同時に探っていた。

調査開始から六時間が経過した。

空の色は青から茜へと切り替わっており、日本ならカラスが鳴いていてもいい時間帯になっていた。

本日の作業は終了という事を表していた。

遺跡の中に入ることも可能ではあるが、罠があるかどうかもわからない場所を綿密な調査もせずに飛び込む行為はわざわざ自殺しにいく事は変わらないので、プロである彼等はそんな愚行は行わない。

というよりも、単純に空腹で作業に没頭できないというのが本音だろう。

「……昼間と全然違いますね」

ユーノがそのような感想をもたらすのも無理のないことだと思う。

昼間は質素なカップラーメンだったのに対して、現在は豪華なバーベキューである。

牛肉、鶏肉、豚肉を始め鹿肉、猪肉などと野菜よりも豊富だった。

メンバー達は皿を手に取り箸を構えて、我先に食していた。

ユーノは気後れしながらも、野菜から食していく。

ベジタリアンというわけではないが、アルフと食事をしている回数が多いためか一度肉を食すると取られないために根こそぎ皿の中に放り込むからだ。

この方法は気心が知れた者同士だから通じるが、会って間もない人達の前で披露できるものではない。

「どうですか?食は進んでいますか?スクライア君」

「ええ。美味しくいただいています。あの教授……」

「何ですか?」

「野菜や肉をこの場で食べれるのは嬉しいですけど、保存できるんですか?」

ユーノの尤もな質問に教授は更に乗っている豚肉を食べる。

噛んでからきちんと呑み込むと笑みを浮かべてユーノに向ける。

「その点なら大丈夫ですよ。発掘作業に必須のデバイスがあるんですよ」

教授はそう言いながら、指差す方向には野営地には相応しくないものが数台設置されていた。

相応しくないもの---冷蔵庫だ。

「ストレージデバイス、キュールシュランク。アウトドアの頼もしい味方ですよ。スクライアでは使わなかったのですか?」

「スクライアは現地調達なんです」

ユーノも過去を思い出しながら語る。

「薬草や毒草などの本で得た知識を正しく活かせるかどうか確かめられますし、動物等の狩りの際にはどのような罠が手早く捕まえられる事ができるかとか、結構学びましたからね」

「もし向かった次元世界に植物や動物がいなかったらどうなるんですか?」

今度は教授がスクライアの実体に興味を抱いていた。

「町や村があれば店で購入します。それもなければ非常食です」

「なるほど」

教授はユーノの体験談にうんうんと頷いていた。

発掘隊の一人が串に刺さっている肉を食べながら、そんな二人を見ていた。

帽子を深く被っており、素顔はわからないが彼の左手には陶器製のマグカップが握られていた。

マグカップには『良太郎ちゃん専用』とデザインされていた。

 

 

ユーノは揺らぐ炎を見ながら、パーカーのポケットに入っている黒いケースを取り出した。

カチャッという音を立てながらケースの上部分を開けると、ゼロノスカードが数枚入っていた。

カチンという音を立てて上部分を閉じる。

 

そして僕の歯車が……いや『時間』が動き出したんだ。




次回予告

    最深部に足を踏み入れた発掘隊。

    その中で少年は『時の列車』を目にする。

    その『時の列車』を強奪しようとイマジンが出現。

    一人の青年がイマジンに銃口を突きつけた。

    第十二話 「0070年 宝を守護する者」
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