仮面ライダーLYRICAL A’s to StrikerS   作:(MINA)

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第十七話 「0070年 ANOTHER Birth」

時間にして正午。

遺跡世界の天気はこれから起こることとは正反対に晴れ晴れとしていた。

ソルプレーザは武器を持って、村に向かっていく。

ロケットランチャーを持っている者達は一斉に構えて引き金を絞る。

ロケット弾が発射されて、村に向かって飛んでいく。

地面に着弾して爆発して、爆煙が立つ。

それだけで戦闘の素人である村人達は恐れ慄いている。

その証拠に武器を握っている手はカタカタと震えていた。

それでも眼前に襲い掛かってくる者がいれば殺されてやるわけにはいかないのが本音だ。

ソルプレーザらしき者達が視界に入ると、震えながらも前進する。

ただがむしゃらに突っ込んでいく。

 

うおおおおおおおおお!!

 

村人とドロール一家の構成員が駆けていく。

「撃てええ!!」

ソルプレーザの幹部が声を上げる。

その直後に一斉に銃器類を構えた者達が前列に並んで一斉に引き金を絞る。

銃口から弾丸が一斉に飛んでいく。

村人と構成員が悲鳴を上げながら前に後ろに倒れていく。

銃声に武器と武器がぶつかる金属音に、その武器によって倒れていく際の人達の声が飛び交っている。

「ええい!全然歯が立たねぇ!!」

ドロールが自前の拳銃で迎撃しながらも毒づく。

その間に構成員二人が倒れた。

「ボ、ボス!」

構成員の一人が血相変えて駆け寄ってきた。

「何だよ!?テメェ持ち場に戻れ!」

「俺の持ち場はさっき滅んじまいましたよ!!二匹の化け物に!!」

構成員は自身の持ち場を壊滅した原因を報告する。

「二匹の化け物だあ?まさか……グラン爺!!」

もたらした情報の内容が自分の予想通りならば、自分達がこの戦いに勝つ見込みは万に一つもないという事になる。

「間違いなくイマジンじゃ……」

グランベールも手にしている拳銃で迎撃しながらもドロールと同じ様に自分達の末路が見えていた。

このままでは確実に全滅だという事を。

ソルプレーザ構成員が真っ二つに分かれて、列を作る。

その中央から二体の異形な怪人が堂々と歩き出す。

オオアリクイ型のイマジンのアントイーターイマジンと、カワウソ型のイマジンであるオッターイマジンが歩いてきた。

ただ歩いてきているだけなのだが、敵対するこちら側としては恐怖心をあおるには十分なものだった。

 

 

その光景をモニターで眺めている男がいた。

ペーシモである。

「くっそぉ!何だってんだ!?あの化け物は!?」

戦場の中を散歩でもするかのように足を踏み入れている怪人二体を見て狼狽を隠す事はできなかった。

いくら武器を持ち込んでも恐らく倒す事はできないだろう。

「このままじゃ村も……俺が手に入れた全てもなくなっちまう……」

ペーシモはモニターを睨みながら、我が身の事を思い返していた。

マフィアという『力』こそがすべての世界の中で彼はあまりにも平凡と言えば平凡だった。

腕っ節が強いわけでもないし、絶対的なカリスマ性があるわけでもい。

背も高くないし、もちろん容姿もよくはない。

ドロールと並んでも似たり寄ったりの体型だが、何故か彼の方が村人やマフィア社会では信頼されていた。

同じ事をしても自分がドロール以上になる事はないと確信したのもこの時だった。

それからはドロールの部下として働いて彼の信頼を買い、頃合を見計らって何もかもを奪い取った。

ソレを基盤にして現在の地位まで築き上げたのである。

ゼロから作り上げたわけではないが、それなりに苦労はしている。

ソレを新興勢力にわざわざ丸ごと奪われてやるわけにはいかない。

自分がしている事を棚に上げている事などは彼は他者に指摘されるまでは考えもしないだろう。

「くっそぉ!誰でもいいから何とかしやがれ!」

ペーシモは気付かない。

ゆっくりとゆっくりと自分の喉下に光物を突きつける存在が向かっている事を。

 

 

戦火が舞って人が倒れている中、ユーノ・スクライアとイマジンは外に出ていた。

「もう始まってますね……」

イマジンは燃えている家等を見て、抗争が始まっていると確信する。

「ん?イマジンの臭いがします」

イマジンがモモタロス同様に鼻をクンクンさせてから言う。

「君、モモタロスさんみたいな事できるの?」

ユーノはイマジンの隠れた能力を訊ねる。

「ももたろす?」

「君の前に知り合ったイマジンだよ。仮面ライダー電王に変身して戦うんだよ」

ユーノが簡単にモモタロスの説明をした。

「かめんらいだー?」

イマジンが聞きなれない単語に首を傾げる。

「これから僕達が目指すものだよ」

「ぼくたち?僕も行っていいんですか!?」

イマジンは自分が含まれていることに驚きを隠さなかった。

「もちろん。それとも嫌かい?」

イマジンは激しく首を横に振る。

「そんな!僕も連れてってください!」

イマジンは乗り気だった。

「じゃあ、僕と契約してくれる?」

「喜んで!それで内容は?」

ユーノは、はしゃいでいるイマジンを見て微笑みながら真面目な表情になる。

「それじゃ言うよ」

「はい!」

 

「僕が死ぬまでずっと一緒に戦ってほしいんだ」

 

ユーノの短くもあるが嘘偽りのない言葉を聞いたイマジンはというと……。

白い身体で上半身と下半身が逆転していたからだが一つになり、『人型』としての完全体の位置になっていく。

白かった身体は乳白色となっていき、要所要所に青色が入っている。

仮面ライダーとフェレットのイメージが混濁した身体が実体化した。

両腕を×時に構えてからその場に跪く。

 

「貴方の願い。しかと聞きました」

 

イマジンはそのよう告げてから、立ち上がる。

「よし!」

カードケースを開けて、ゼロノスカードを取り出す。

青色のカラーが入っている側を表にする。

バイオリンで奏でているようなミュージックフォーンが流れ出す。

 

「変身!!」

 

バイオリンで奏でているようなミュージックフォーンが流れる。

ゼロノスベルトのバックル上部にあるチェンジレバーを右にスライドさせてからカードを挿入した。

『ベテルギウスフォーム』

電子音声で発すると、ユーノの身体に仮面ライダーゼロノスと酷似したオーラスキンに纏われていく。

青色が目立つオーラアーマーが装着され、両肩、両下腕、両ふくらはぎに二センチほどの刃のような突起が出現する。

そして、頭部にはトリケラトプスの系統であるネドケラトプスを髣髴した電仮面が銀色のデンレールを走り、形状を象って装着される。

電仮面が青く光る。

「はあっ!!」

右手で薙ぎ払う。

ぶあっと風が舞って土煙が生じる。

仮面ライダーANOTHERゼロノスが遺跡世界に降臨した。

Aゼロノスはイマジンを見る。

イマジンは目を丸くしてポカンとしていた。

「そういえば君の名前、まだ決めてなかったね。君は今日からプロキオンだよ」

「ぷろきおん?」

「この姿の名前がベテルギウスだから多分あるとするならシリウスとプロキオンなんだよ。カードの裏面は白色でSを表記していたからプロキオンを君の名前にしたんだ。不満?」

Aゼロノスの言うとおり、彼のゼロノスカードには表には青色でBetelgeuseの頭文字であるBが施され、裏面には白色でSiriusの頭文字であるSが施されている。

「そんな、ありがとうございます!僕は今日からプロキオンなんですね!」

イマジン---プロキオンははしゃいでおり、その場を行ったりきたりしていた。

「行くよ!プロキオン!!」

「はい!」

Aゼロノスとプロキオンは駆け出した。

 

ドォンバコォンと爆発音が飛び交っていた。

戦況はアントイーターイマジンとオッターイマジンによってドロール一家&村人連合軍(以後:連合軍)が圧倒的に不利になっていた。

「このままじゃ僕達、ただの犬死になっちゃうの!?」

フィリオが恐怖に駆られながらも、自身の『死』が迫っているのを実感していた。

「俺達が戦っている間はスクライア君は無事なんだ。決して犬死なんかじゃない!」

ファーティが娘に激励を飛ばすが、それでも恐怖がないわけではない。

爆発が発生して爆煙が噴き出る中、誰もが『死』を予感した。

自分達はこの二体の怪人に殺されると。

「ぐわぁ」

「ぎゃあああ」

悲鳴を上げながら村人とドロール一家構成員が地に伏していく。

そのような声が耳に入ってくるたびに連合軍は戦意を喪失していく。

(助けて……。誰か助けて……)

フィリオも例外ではなく、もはや誰かに祈るしかなかった。

アントイーターイマジンとオッターイマジンを中心にソルプレーザがゆっくりと恐怖心をあおらせるようにして前進している。

その時一直線に数本の光線が走り、アントイーターイマジンとオッターイマジンが後方へと仰け反った。

「だ、誰だ!?」

ソルプレーザ構成員の一人が、叫んでから連合軍の背後の爆煙から二つの影が見えるのが視界に入った。

影はゆっくりと姿を現した。

Aゼロノスとプロキオンだった。

「まさか、あやつ……。なりおったのか……」

グランベールにしてみればかつての我が姿である。

変身者が誰なのかはすぐにわかる。

この時間帯ではいるわけがない少年だ。

その横にいるイマジンは彼の横にいるところからして契約したイマジンなのだろう。

「あれってグラン爺がかつて変身してた姿じゃねぇか……」

ドロールも面識があるので驚いていた。

「みなさん。下がっていてください」

Aゼロノスが戦意を喪失しかけている村人全員の前に立って告げる。

「その声、スクライア君?」

フィリオの問いにAゼロノスは背を向けて歩き出した。

 

Aゼロノスとプロキオンの前にはズラッと数百人以上のソルプレーザ構成員と先ほど仰け反らしたイマジン二体がいた。

「テメェかあ!?俺達を吹っ飛ばすなんて生意気な事をしやがったヤツは!?」

オッターイマジンがAゼロノスを睨みつける。

「だったら?」

「ぶっ殺す!!」

その言葉が合図になったのかソルプレーザ構成員が武器を構えて突っ込んできた。

「プロキオン!」

「はい!」

Aゼロノスの言葉に従うようにして、プロキオンは両腕を×字にしてから両手からフリーエネルギーで構築された三本の爪を出現させる。

「レッツゴー・バトル、です!!」

そう告げると同時にプロキオンは大群の中に突っ込んでいった。

構成員達が銃を構えて引き金を絞るが、プロキオンは高く跳躍して落下と同時に蹴りを繰り出して一人を倒してからもう一度跳躍して、右跳び回し蹴りを放って構成員四名を一気に倒す。

刀剣を持っている構成員の攻撃を爪---プロキオンクローで受け止めてから、腹部に狙いをつけて前蹴りを放つ。

一人ではなくその背後にいる数人を一気にドミノ倒しにして倒す。

「こ、こいつ強ぇぞ!」

「固まるな!固まったら一気に潰されるぞ!」

構成員の一人が慄き、構成員の一人が対策を皆に告げる。

「遅いです!」

プロキオンが全速で駆けると、一人が吹き飛ばされた。

「調子に乗ってんじゃねぇ!!」

オッターイマジンがプロキオンに殴りかかるが、プロキオンは構成員を蹴飛ばして飛ばす。

「邪魔だ!!」

押しのけるがそこにプロキオンの姿はない。

「どこに行きやがった!?」

「ここです」

オッターイマジンが背後へ振り向きながら同時に右裏拳を放つが、プロキオンは予想していたのかしゃがんで避ける。

「あっぱー!!」

技名を告げると同時に、飛び上がると同時に右拳をオッターイマジンの顎に向かって放つ。

プロキオンクローがオッターイマジンの顎に刺さる。

素早く引き抜いてから、右足を上げる。

そして腰の捻りを加えて右上段回し蹴りを放つ。

「ぶほぉっ!」

オッターイマジンから初めて『痛み』ととれる声を発する事に成功した。

あお向けになって倒れるオッターイマジンを見てソルプレーザ構成員達は動揺を隠す事はできなかった。

「ぶっ!」

別の方向から一人の構成員が飛んで倒れていた。

右拳で殴り飛ばしたAゼロノスだ。

銃を構えたり刀剣を構えたりしている者達が襲い掛かる。

Aゼロノス両腰に収まっているDガッシャーのグリップパーツを先端パーツに縦連結してからバレットモード時のグリップ(以後:バレットグリップ)を握ってから引き抜く。

そしてざっと見回してから狙いを定めて、引き金を絞る。

二丁のDバレットからフリーエネルギーの光線が数本発射される。

光線は全て構成員達が持っている武器に狙いが定まっており的確に武器の機能を不能にしていく。

「やあああああ!」

それでも撃ちもらしているものはあるので、刀剣を上段に構えて襲い掛かってくる。

右手をバレットグリップから離れて、九十度の位置にあるダガーモード時のグリップ(以後:ダガーグリップ)を逆手に持って受け止める。

ガキンと音が鳴るが、人間と仮面ライダーでは元の能力に大きな差が開いているのでAゼロノスが力負けする事はない。

右手のDダガーをDバレットに持ち替えて、左右同時に引き金を絞る。

光線が発射されて、手にしている武器を無効化していく。

「スクライア君!うしろ!」

フィリオの声に反応して、Aゼロノスが振り向くとそこにはアントイーターイマジンが拳を振り上げて襲い掛かろうとしていた。

(まずい!!この銃の一発は明らかにイマジンに対して決定打には持ち込めない……)

Aゼロノスは武器の特性や使い方は初めて変身した際に解説が脳に自動的に入り込んでいた。

それはもちろん、長所と短所も含まれる。

Dバレットをもう一度見る。

正確にはDバレットの先端をだ。

(そうか!!)

AゼロノスはそのままDバレットをアントイーターイマジンに向けて突く。

先端はアントイーターイマジンの胸部に突き刺さる。

これはDバレットの先端が両刃状の剣になっているからだ。

そして引き金を絞る。

「行けええ!!」

Dバレットから光線が発射され、アントイーターイマジンの胸部を貫いた。

「ぐおおおおおっ!!」

どんなに攻撃力の低い武器でも至近距離からならば十分に致命傷を与える事ができる。

殆ど賭けに近い状態だが、上手くいってよかったと心底Aゼロノスは思っている。

「貴様、何者だぁ!?まさか仮面ライダー電王、いやゼロノスか!?」

アントイーターイマジンは自分の命が風前の灯であるという事を予期にしているのか、自分を葬ろうとしている者の名を訊ねる。

「どちらでもないよ。僕は……」

Aゼロノスは思案する。

『仮面ライダー』と呼ぶほど自分は立派ではない。

『ゼロノス』ではあるが、自分が知るゼロノスは一人しかいない。

だが自分が変身している姿もまた『ゼロノス』であることに変わりはない。

 

「もう一人のゼロノス。ANOTHERゼロノスだ」

 

そう告げると同時に、アントイーターイマジンは爆発した。

 

 

ペーシモの屋敷の私室でもAゼロノスがモニターに映し出されていた。

「よし!やれ!やっちまえ!そんな奴等みんな殺しちまえ!!」

形勢が逆転しつつあるのかペーシモは舞い上がっていた。

「随分と賑やかだな」

私室のドアが開く。

「あぁん。誰だぁ?」

ペーシモがダルそうに振り向くと、そこには長髪長身の男が腕を組んでいた。

ソルプレーザの首領であるアンビシオンである。

「き、貴様!?どうやって……」

「お前が村に兵士を投入しているって事はつまりここは手薄って事だろ?だからだよ。ここの警備をしてる連中は俺にとっては足止めにすらならん」

彼の言葉に偽りはないだろう。

その証拠にアンビシオンの服には汚れ一つもない。

ペーシモは銃を構える。

「ん?何だソレ」

アンビシオンは怯えている素振りがまるでない。

「そんな銃で俺を殺せるとでも本気で思ってるのか?」

アンビシオンはたんたんと歩く。

反対にペーシモは椅子から飛びのいて、銃を構えながら後ろへと退がる。

構えている銃はカタカタと震えている。

「それだけ震えてりゃ、当たるものも当たらないぞ」

アンビシオンは短剣を鞘から抜く。

そして、構えてから駆けだした。

ペーシモの私室の床に赤い液体がぽたぽたと零れ落ちていた。

 

 

抗争が始まってから夕方になっていた。

Aゼロノスとプロキオンの力もあってかソルプレーザの殆どが戦闘不能になっていた。

「な、何て奴等だ!化け物か!?」

「頭が連れてきた化け物の一匹はやられちまったぜ!」

「どうする?逃げるか?」

「馬鹿言うな。バレたら殺されるぞ!」

「どっちにしたって殺されちまうよ!!」

構成員同士で揉めていた。

「慌てるな!我々には例のヤツがある!」

ソルプレーザの副長が動揺している部下達をたしなめながら恐らく最終兵器らしきものを使用しようとしていた。

それはこの戦いより一月前のことである。

おさげに眼鏡をかけて妙な服装をした少女を筆頭に似たような格好をした少女達がある物を買ってほしいと申し出てきた。

手足がなく身体を浮揚しており、中央に目玉のようなものが一個だけある機械兵器を二十体だった。

出来栄えからすれば根は張ると高を括っていたのだが、値段は破格の安さでありおまけというか当然というべきか『ある条件』がついていた。

だがその条件も変に考えなければ、何てこともない。

その条件とは『何が起きてもこちらは一切責任は負いません』との事だ。

元々裏社会における取引や売買においては利害関係のみで成り立っている者達において『責任』というものはないに等しい。

「よし!全機発進!!」

副長の指示の後に機械兵器がぞろぞろと出現して、Aゼロノスとプロキオンに向かっていった。

 

オッターイマジンと戦っているプロキオンの両耳に何かが向かってくる音が入ってきた。

「イマジンの臭いがしない……。何かが来ます!」

放たれる拳を巧みに避けながら、Aゼロノスに注意する。

「わかった!」

Aゼロノスはプロキオンの忠告を聞きながら、右に走りながらDバレットで狙いを定めて引き金を絞る。

武器をどんどん無力化していく。

「この裏切り者がぁ!!」

オッターイマジンが拳を左右交互に放ちながら、プロキオンに向かって罵声を放つ。

「裏切り者?ああ、僕がイマジンのやらなきゃいけない事をやろうとしてないからですか?」

反撃として、左右の拳を放ってからその場で左跳びまわし蹴りを放つが、オッターイマジンはしゃがんで避ける。

「そんなの僕には興味ありません!」

左足が地に着いたと同時に空いている右足を振り上げて、前蹴りを放つ。

「ぶうぅ!!」

先程のダメージが残っている顎に直撃する。

仰け反るが倒れようとはしない。

「行きます!」

両腕を広げてオッターイマジンに詰め寄る。

「やあああああ!!」

そして×字に両腕を振り下ろす。

オッターイマジンの胸部に×字の痕が浮かび上がり、その痕から火花が飛ぶ。

「お、お前わかってるのか……。こんな事をすればイマジン全部を敵に回すんだぞ……」

プロキオンはオッターイマジンを見据える。

「だったら戦います!」

プロキオンは後悔している素振りはなく、高らかに宣言する。

オッターイマジンがどのような文句を言うのか想像したが、その前に爆発した。

 

「何アレ?」

Aゼロノスはこちらに向かってくる妙な物体を見て思わず口に出してしまった。

明らかに人型ではない楕円型で中央に目玉のような物が一つだけで、宙を浮いている機械兵器だった。

「ざっと二十体かな……」

「うえ~。さすがに僕ももう嫌ですよ~」

イマジン二体に構成員を百人近く倒しているのだ。

正直戦闘狂でもない限り、『楽しい』という感情は湧いてこないだろう。

そしてこの一人と一体は戦闘狂ではないのでその感情はない。

あるのは『やらなければやられる』という生存を突きつけられているという自覚だけだ。

Aゼロノスはゼロノスベルトに挿入されているゼロノスカードを見る。

(もしかしたら……)

ゼロノスカードをゼロノスベルトから引き抜いてから、バックルのチェンジレバーを右にスライドさせる。

「ぶっつけ本番だけど……。やってみるか。プロキオン!」

「はい?」

いきなり呼ばれてプロキオンは首を傾げる。

「おいで!」

プロキオンは考えるより先にAゼロノスに駆け寄る。

ゼロノスカードを裏返して、白色が装飾されている面を表にする。

バイオリンが奏でるミュージックフォーンが流れる。

そして、ゼロノスベルトに挿入する。

『シリウスフォーム』

電子音声が発すると、プロキオンの身体がフリーエネルギー状に輝いてAゼロノスに入り込む。

電仮面が消えてから上半身に、白色がメインで裾に青色のポイントカラーがされている袖のないロングコート---プロキオンクロークが出現する。

両肩には三本の爪のような飾りが施され、両下腕にはプロキオンが用いていた武器であるプロキオンクローが装着されていた。

プロキオンクロークの背部にはプロキオンの顔が出現しているが、これはデネブ同様に『飾り』だったりする。

そして電仮面にはミサイルの弾頭部分がAゼロノスのデンレールを無視して、中央に走り出して停止すると回転しながら六芒星状に展開して電仮面となる。

「やああっ!!」

仮面ライダーANOTHERゼロノスシリウスフォームが遺跡世界に足を踏む。

Sゼロノスを中心にクレーターが生じる。

両掌や身体の節々をまじまじと見るSゼロノス。

次に顔を触る。

「僕が動かせてる?何で?どうしてなんですか?」

Sゼロノスは何故この姿になったのか理解できていないようだった。

(多分だけど、そうなるんじゃないかなぁって思って……。僕も根拠はなかったんだけどね)

深層意識のユーノが答える。

「コレ僕が動いていいんですか?」

(もちろん!目の前にいる機械兵器は任せたよ)

「はい!」

一通りの会話を終えると、Sゼロノスは駆け出した。

間合いを詰めて機械兵器の一体に右下段回し蹴りを放って、サッカーボールのように飛ばす。

ガシャアンという音が鳴り響いてからバチバチバチと火花が飛ぶ。

「てえええい!!」

右拳を振りかぶって、腰を入れて一直線に放つ。

ザクリとプロキオンクローが機械兵器の身体に刺さって火花が飛ぶ。

素早く引き抜いてから、跳躍して左足を突き出して一体を踏み潰す。

そのままもう一度跳躍して、密集している中に飛び込む。

機械兵器の目が集中するが、臆することなく手近にあった一体を両手で持ち上げる。

「りゃあああああ!!」

そのまま放り投げる。

放り投げた一体が誘爆して、周囲にいた四体を爆破した。

(残り十二体)

深層意識のユーノがカウントしていた。

機械兵器がまたこちらにやってくる。

腰元に収まっているDガッシャーを素早くDダガーに切り替えてから、二本を同時に投げつける。

ドスドスっと二体に突き刺さって火花を飛び散らせて機能停止する。

「残り十体!」

そのまま突き刺さっているDダガーを引き抜いて、左右から挟み撃ちを目論む機械兵器を同じタイミングでDダガーで突き刺す。

素早く引き抜いてから、背後から襲い掛かる一体を後ろ蹴りで吹っ飛ばす。

もう一体いたため、誘爆して二体とも爆発する。

(残り八体!)

カウントはどんどん減っていく。

Dダガー同士を立てに連結させてDランスにしてから、その場で跳躍して右手を大きく振りかぶって狙いを定めてから投げつける。

Dランスは縦回転から横回転に切り替えながらも横に並んでいる二体を真っ二つにする。

ゴトンガシャンと横に切断された上半身が地面に転がり落ちる。

Sゼロノスの足が地に着くと同時に投げつけたDランスは主の手へと戻る。

パシッとDランスを受け止めてから前後に攻めてくる二体を前方から一突き、後方に一突きと突き刺して機能停止させる。

(残り四体!気を抜かないで!)

「はい!!」

Sゼロノスを囲むように四体が四方向から同時に襲い掛かる。

Sゼロノスは動かない。

Dランスを構えて中腰になり、そのまま動かない。

距離がほぼゼロになりかけたときだ。

Sゼロノスは独楽のようにその場で回る。

一周が終わると同時に、Dランスを構える右肩にもたれさせる。

その直後に囲っていた四体の上半身がズルズルとずれてから地面にガシャアンと落ちた。

「終わりました……」

Sゼロノスがそう呟くと同時にソルプレーザの残党達は我先にと退散していった。

(守れたんだ……。ここにいる人達を……)

深層意識のユーノは達成感に包まれていた。

「よかったですね」

Sゼロノスはそんな主の満足いく感情が嬉しかった。

だが、ここにいる誰もが気付いてはいなかった。

 

破壊された機械兵器のあるモノが作動している事を。

 

 




次回予告

     戦いは終わった。

     連合軍が勝利したのだ。
 
     だが悪魔の洗礼がこれから始まろうとしている事を誰も知らない。

    第十八話 「0070年 闇の中にある光を掴むために」
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