仮面ライダーLYRICAL A’s to StrikerS   作:(MINA)

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第三話 「ファーストコンタクト」

『仮面ライダー』

 

力なき者達には『希望』となる。

 

力持つ悪には『恐怖』と『絶望』が降りかかる。

 

そして自身が名乗るのではなく、他者に呼ばれた時に初めて価値を持つ『称号』でもある。

 

 

第162観測指定世界定置観測基地。

「発掘員の方は観測隊が無事に確保しました」

グリフィス・ロウランがマイクを片手に状況を説明していた。

「なのはさ……高町二等空尉達護送隊は妨害を避けて運搬中です」

シャリオ・フィニーノがモニターを見ながらアースラへと報告していた。

「あと、別区域で出現したイマジンは一体がロストしています。恐らく青い仮面ライダーが倒したと思われます」

グリフィスが締めくくるようにAゼロノスの事も報告した。

 

 

観測指定世界の軌道上に佇んでいる次元航行艦アースラ。

「はい了解。現場とアースラは直通通信が通らなくなっているから、シャーリーとグリフィス君で管理管制をしっかりね」

エイミィ・リミエッタが報告を受けながらも、先輩としてアドバイスを送った。

『はい!』

グリフィスが即座に返事する。

『あ、現場の方にヴィータさん達が到着したようです』

そう言うと、モニターに映るシャリオの姿が消えた。

「クロノ君。どう思う?この仮面ライダーについて……」

エイミィがグリフィスが送ってきた映像データをモニターに映す。

それはAゼロノスとプロキオンがクリケットイマジンと戦闘している映像だった。

「明らかに良太郎やモモタロス達、桜井侑斗とは別人だな。自身の火力不足を熟知しながら的確にパートナーイマジンと連携して戦っている。あの二組にはない戦法だ」

クロノ・ハラオウンが手を顎に当てながら、映像を凝視しながら分析する。

「確かに良太郎君やモモタロス君達のような派手さはないよね。それに桜井君のような豪快さもないしね」

エイミィが映像を見て思った事を口に出す。

「ウチにスカウトするには極めて困難な存在だな。『電王』ではなく『ゼロノス』なんだからな」

クロノも六年前の際に仮面ライダーゼロノスを知っているため、映像に映っているのはタイプ的に『電王』ではなく『ゼロノス』に近いからそのように呼んでいる。

「さしずめ、『青いゼロノス』ってところ?」

エイミィが便宜上の呼称を決めた。

「そんなところだろうな……」

クロノはAゼロノスの変身者の心境を想像してみた。

変身するたびに周囲の人間が変身者を忘れていく事。

しかし変身者自身は周囲の人間を憶えているというズレ。

その恐怖に常に向き合わなければならない覚悟。

並の人間では到底できない事だろう。

仮にスカウトをしても時空管理局には『青いゼロノス』に見合う代価を払う事が出来ないのは事実だ。

金銭や権力程度では到底対価とは呼べないだろう。

「エイミィ」

「わかってるって。青いゼロノスについて分析してみるよ」

エイミィがモニターに映っているAゼロノスについて分析を始めた。

 

 

「ひでぇなこりゃ。完全に焼け野原だ」

騎士服姿のヴィータとシャマルがシグナムとザフィーラ(獣)と合流して、周囲を見回した。

彼女の言うように、巨大なクレーターが一つ出来上がっており建造物等はその機能を果たす事は永遠に叶わないくらいに破壊されていた。

「かなりの範囲に渡っているが、汚染物質の残留はない。典型的な魔力爆発だな」

シグナムがクレーターが出来た大まかな原因を告げた。

「ここまでの話を総合すると、聖王教会から報告・依頼を受けたクロノ提督がロストロギアの確保と護送を三人に要請」

シャマルが宙にモニターを表示して、シャリオとこれまでの出来事をおさらいを始める。

「平和な任務と思っていたらロストロギアを狙って行動しているらしい機械兵器が現れて、こちらのロストロギアは謎の爆発って流れで合ってるかしら?」

『はい!合ってます!』

シャマルが確認するように訊ね、シャリオが首を縦に振りながら肯定した。

「聖王教会といえば、主はやてのご友人の……」

「うん。多分騎士カリムからの依頼ね。クロノ提督ともお友達だし」

シグナムが『聖王教会』というフレーズから何かを思い出し、シャマルが補足した。

ザフィーラが現場をじっと見たまま動かないヴィータに気付く。

「ヴィータ。どうかしたか?」

「ザフィーラ。別に何でもねーよ。相変わらずこーゆー焼け跡とか好きになれねーだけさ」

ヴィータの表情はどこか憂いを秘めていた。

「戦いの跡はいつもこんな風景だったし……。あんまり思い出したくねぇことも思い出すしさ」

ヴィータの脳裏にはある出来事が甦っていた。

雪が降っている次元世界。

自分は瀕死の重傷になっている一人の魔導師を抱き上げて、必死に声をかけていた。

魔導師は息も絶え絶えになりながらも、自分の事を気遣ってくれていた。

普段なら鬱陶しいと思ってしまうが、この状況下でそんな風に思えるほど自分は非情ではなかったようだ。

主である八神はやて以外で涙目になったのはこれが初めてなのかもしれない。

白がメインカラーとなっているバリアジャケットは所々がくすんでいたり、血が赤いシミとなっていた。

その瀕死の重傷を負っている魔導師とは高町なのはだった。

「ヴィータ。何を怖い顔をしている」

シグナムが背を叩く事で、ヴィータは現実に戻った。

「リインが見たら心配するぞ」

シグナムはヴィータの頭を穏やかな表情で撫でながら気遣う。

それは『ヴォルケンリッターのリーダー』というよりは『八神家の家族の一員』という意味合いの方が強いと思われる。

「うるせーな。考え事だよ。あと撫でるな……」

ヴィータはぶすっとしながら返す。

「よし……。調査魔法陣展開!アースラと無限書庫に転送してね!」

『はい!』

シャマルはベルカ式の魔法陣を展開しながら、シャリオに送った。

 

 

護送隊飛行ルートの四名はというと。

寄り道せずに荷物であるロストロギアを持って、空を駆けていた。

「えーと。もう一度確認するです」

なのはの左肩に乗っかっているリインが『夜天の魔導書』に記していた。

「AMFというのはフィールド防御の一種なわけですよね?フィールド系というのは……」

「基本魔法防御四種の内の一つだね。状況に応じて使い分けたり組み合わせたり、あと私達のバリアジャケットやリインの騎士服もバリアやフィールドを複合発生させているんだよ」

なのはが追加説明した。

基本魔法防御には『バリア』、『シールド』、『フィールド』、『物理装甲』がある。

『バリア』は攻撃を防御膜で相殺して柔らかく受け止めることを旨とする最も汎用性の高い防御。

『シールド』は攻撃と相反する魔力で固く弾く・反らす事を旨とする防御。

『フィールド』は範囲内で発生する特定効果(温度変化等)の発生を阻害する事による防御で、通常は複数の種類を重ねバリアやシールドの補強として使用するものである。

『物理装甲』は素材強度による物理的防御。つまり魔法を用いずに直接防ぐものである。

リインはサラサラと『夜天の魔導書』に記していく。

「AMFはフィールド系ではかなり上位に入るけどね」

なのはの言うように、フィールド内に入った魔法を無効化にするのだから下位であるはずがない。

「魔力攻撃オンリーのミッド式魔導師は咄嗟に手も足も出ないだろうね」

「ベルカ式でも並の使い手なら威力増強は武器の魔力に頼っている部分が多いし、ただの刃物や鈍器やと潰すんは辛いんよ」

フェイトとはやてはミッド式魔法、ベルカ式魔法でもAMFを攻略するのは至難なものだと打ち明ける。

「でも、なのはさんやフェイトさんは簡単に……」

リインが両手を広げてドカーンとという表現をする。

「距離があったし、向こうのフィールドが狭かったからね」

なのはが先程の戦闘の事を思い出していた。

「さっきのやり方だと発動地点がフィールド外じゃないとダメなんだ」

先程の戦闘でなのはとフェイトは機械兵器が発生させたAMFの外で魔法を発動させていた。

「囲まれたりしてフィールド内に閉じ込められたら結構ピンチだね。AMF内で魔法を発動するのは難しいから」

仮に魔導師がAMF内にいた場合、フィールド内では魔法が結合しないため効果そのものを起こす事が出来なくなるのだ。

そうなると、魔導師の基礎体力で勝負になる。

「飛行や基礎防御もかなり妨害されちゃうし、やり方はあるけど高等技術なんだ。リインは気をつけないと大変な事になるよ」

なのはの説明にフェイトが補足しながらも、リインに忠告した。

「はうあ!?そうでした!リインは魔法がないと何もできないんです~」

リインがフェイトに忠告され、AMF内にいる自分を想像していた。

「いい機会だからその辺の対処と対策も覚えておこうね」

「はいです!あの、なのはさん」

「ん?なぁにリイン」

「電王さんやゼロノスさんだったらどうなるんでしょうか?」

リインが電王やゼロノスならばどのように対処するのか興味を持ったのか訊ねてきた。

「そうだねぇ。良太郎さん達なら私達みたいに変に考える必要はないから、はやてちゃんが言った刃物や鈍器で直接潰すだろうね」

「それってAMFの中でもですか?」

「うん。良太郎さん達は魔導師じゃないからAMFの事なんて関係なく戦えるからできるんだよ」

「良太郎達は魔法とは違うエネルギーで戦っているからAMFそのものが効果がないんだよ」

「私等が知る限りでは『最強』やいうてもおかしないね」

なのはとフェイトの説明をリインは聞きながら、『夜天の魔導書』にメモしていく。

「リイン。いい機会やから高町教導官に教えてもらうんやで」

「はいです!」

はやてが締めくくり、リインが元気よく返事をした。

 

 

ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラは飛行はせずに、足でその場を歩いて警戒していた。

現在の所は怪しい魔導師も機械兵器もイマジンも姿を現してはいなかった。

「そういやシグナム。一緒の任務って結構久し振りだな」

暇といえば失礼だが、無言でいる必要はないのでヴィータは口を開いた。

「そうだな。我々みな担当部署が離れてしまったからな」

シグナムはヴィータに言われるまで失念していた。

「あたしとシャマルは本局付きでザフィーラはもっぱらはやてかシャマルのボディガード。ま、家に帰れば顔を合わせるし関係ねーけどな」

「確かに。緊急任務がない限り休暇には皆揃うしな」

ヴィータは自分達の状況を言い、シグナムは首を縦に振って腕組をして納得していた。

「しかし来年には引越しか。海鳴のじーちゃん、ばーちゃんともお別れになるなぁ」

寂しそうにゲートボール仲間の老人達をヴィータは思い出す。

海鳴ではやて以外に出来た多分最初の『友達』だ。

「住所が変わるだけだ。今生の別れというわけではなかろう。会いたいと思えば会えるさ」

シグナムは前向きに考えるようにヴィータに諭し、ヴィータは黙って首を縦に振る。

「ちょっと間が開いたらもー変身魔法でも使わねーと会えねーな。育たねぇから心配される……。実年齢だけならじーちゃん達より上なんだけどな」

ヴィータは呟く。

「違いない」

シグナムも自身の掌を見ながら同意した。

ヴォルケンリッターは精神的に成長を遂げても外見が成長する事はない。

良い解釈をするならば『不老』ととれる。

ただし悪い解釈ならば『化け物』のレッテルを貼られても仕方がない。

実情を知る者ならばその手の事には触れたりはしない。

しかし、ヴィータの友達の老人達やシャマルの井戸端会議の主婦達、シグナムが講師を勤めている剣道場の同僚などがそのような事を知っているはずがない。

だからこそ時が経って海鳴に訪れた際には外見をある程度は変えておく必要がある。

「あら~、じゃあ私がちゃんと調整して可愛く育った外見に変身させてあげる♪」

シャマルが笑顔でヴィータにしてみれば出来るなら関わりたくない笑顔を向ける。

「……いい。自分でやる」

「私達は当分は服装や髪型程度で誤魔化せるだろうな」

ヴィータは否定し、シグナムは魔法を用いずに済む対策を言う。

「ザフィーラはいいよな。犬だから」

「……狼だ」

ヴィータはこの手の事を考えずに済むザフィーラを羨ましがる。

ヴィータは知らない。ザフィーラはザフィーラで苦労がある事を。

いつまでも子犬というのも怪しまれるため、微妙な大きさを考えておかなければならないのだ。

この手の事は先輩に当たるアルフに聞いてみようと考えていた。

「それにしてもミッドへの引越しは色々と不安も多いのよ。いい物件もまだ見つかっていないし……」

シャマルは左手を頬に当てながら、家庭関係で悩む主婦のような仕種をする。

家賃と部屋割り。

ご近所付き合い。

交通の便宜。

引越しの際に持っていく物等など。

「「その辺はお前に任せた」」

シグナムとヴィータは声を合わせて丸投げした。

「!!」

ザフィーラが何かを感じたのか、顔を上げた。

「ザフィーラ。どーした?」

「森が動いた。座標を伝える。シャマル調べてくれ」

「うん!」

ヴィータの問いにザフィーラが短く答えながらも、シャマルに指示を出した。

『こちら観測基地!先程と同系と思われる機械兵器を確認!地上付近で低空飛行しながら北西に移動中。高高度飛行能力があるかどうかは不明ですが、護送隊の進行方向に向っているようです!狙いはやはり……ロストロギアなのではないでしょうか?』

「そう考えるのが妥当だな。主はやてとテスタロッサ、なのはの三人が揃って機械兵器ごときに不覚を取ることは万に一つもないだろうが……」

「運んでいるものがアレだものね……」

シャリオの報告を聞きながら、シグナムとシャマルの表情は真剣なものになっていた。

「こっちで叩きましょう」

「ああ」

シャマルの提案にシグナムは異論を唱えなかった。

どこか気負っているような雰囲気を漂わせているヴィータがいた。

「観測基地!守護騎士から二名出撃する!シグナムとヴィータが迎え撃つ!」

シグナムがヴィータの背を叩きながら告げた。

「あに勝手に決めてんだよ」

「何だ?将の決定に不服があるのか?」

「……ねーけど」

我に返ったヴィータはシグナムを睨む。

「こっちは二人で大丈夫」

「危機あらば駆けつける」

シャマルは笑顔でザフィーラはいつもの表情でこれから出撃する二人を見送ろうとしていた。

「守るべきものを守るのが騎士の務めだ。行くぞ。その務めを果たしにだ」

「しゃーねーなぁ!!」

シグナムの言葉にヴィータは表面上は面倒臭そうに答えた。

「主はやて。シグナムです。邪魔者は地上付近で我々が撃墜します」

シグナムは、護送隊のはやてにこれからの事を告げる。

 

 

アースラ艦内のメインモニタールームでエイミィとクロノがAゼロノスの分析をしながらも、シグナムとヴィータの戦闘ぶりをモニターで見ていた。

「シグナムとヴィータはやっぱり凄いね。未確認でもモノともしない」

エイミィが無難な感想を述べた。

「合流地点までもう少しだし、そろそろアースラも回収の準備もしとこうか」

クロノは黙ったままだ。

「クロノ君。どうしたの?難しい顔をして」

「……ああ。この後のことを考えていた」

「あと?」

「それよりもこの青いゼロノスについて何かわかった事は?」

クロノは話題を切り替えてAゼロノスについての調査結果を聞く事にした。

「まずこの姿はバリアジャケットでも騎士服でもないね。正真正銘魔力以外のもので構築されてる。次にこのゼロノスの使っている武器は材質のサンプルでもあればもっとわかるんだろうけど、電王じゃなくてゼロノスが使っている武器と同じ材質と見ていいね」

電王、ゼロノスのデータがないためこれが初の『仮面ライダー』のデータとなる。

「AAAランクの魔導師と照合しても凄いという言葉しか出ないね。全く劣ってないもん」

「今のところはイマジンを倒すだけが目的みたいだが、今後どう出るかはわからないな……」

クロノは変身者が何かをやらかすのではないかと考える。

「でも何かをやらかすつもりなら既にやってるような気がするよ。このゼロノスだって『時の列車』持ってるはずだし」

「それもそうだな……」

エイミィの言うとおりだと納得したクロノは任務に集中する事にした。

 

 

護送隊の四人はというと、空を駆けたままだった。

「シグナム達は大丈夫そやね」

「うん」

「シグナムもヴィータちゃんもカッコいいです~」

「だね」

はやてとフェイトは現在戦っている二人の心配は無用だといい、リインはなのはと共にその二人の活躍ぶりを宙に出現させているモニターを見て喜んでいた。

「はやて。特別捜査官としてはどう見る?今回の事」

「んん?そうやなぁ。あのサイズのAMF発生兵器が多数存在してるゆーんが一番怖いなぁ。今回、この世界に出現してるんが全部であって欲しいけど……」

はやては話を振られるものの、冷静に的確に特別捜査官としての意見を告げる。

「そうでないなら規模の大きな事件に発展する可能性も十分にある。特に量産が可能だったりするとなぁ。執務官と教導官はどうなんやろ?」

はやてはひとしきり言い終えると、今度はなのはとフェイトに訊ねた。

「私はあの未確認がロストロギアを狙うように設定されているのが気になるよ。猟犬がいるって事は狩人がいるって事だもんね」

教導官としての、なのはの感想は機械兵器の後ろにはロストロギアを狙う誰かがいるという事だ。

機械兵器がニワトリのように卵からポコポコ生まれてくるわけではないので、必ず製作者がいると踏んでいるのだろう。

「ロストロギアを狙う犯罪者……。技術者型の広域犯罪者は一番危険だね」

フェイトが執務官としての感想を述べる。

それから五分後に護送隊はヴォルケンリッターと合流した。

 

 

アースラ艦内ではクロノとエイミィが今後の事を話し合っていた。

「そういった事件になると管理局でも対応できる部隊はどれくらいあるか、人や機材が揃ったとして動き出せるまでどれぐらいかかるのか、そんな状況を想像すると苦い顔にもなるさ……」

クロノは手を顎に当てて、難しい顔をしていた。

「なるほど。指揮官の頭の痛いトコだね」

エイミィがため息をついてしまう。

組織の体制からしてお先真っ暗なのかもしれないのだ。

「はやても指揮官研修の最中だからな。一緒に頭を悩ませる事になるよ……」

「でもまあ、今回の事件資料と残骸サンプルはそのテの準備の貴重な交渉材料でしょ。事件がどう転ぶかわかんないのなんていつもの事だし」

「それはそうなんだがな……」

「なんとかなるよ。『P・T事件』も『闇の書事件』もその後の色々な事件の後も、みんな何とかしてきてるんだもの」

頭を抱えているクロノに対して、エイミィは前向きに考えるように促した。

 

 

なのは、フェイト、はやて、リインはヴォルケンリッターと合流して喜び合っていた。

任務もほぼ完了して、第162管理世界転送ポートへと向おうとしていた時だ。

『こちら観測基地!転送ポートへと向う進行ルートに先程の未確認が出現。一つの箇所に集まろうとしています!その数五十いえ百、に、二百です!!』

シャリオの報告にその場にいる誰もが目を丸くしている。

自分達に向って襲い掛かってきたのでもせいぜい十体くらいだ。

その二十倍が一箇所に集まるなんて余程そこには何かがあるのだろうと考えるのは自然な事だった。

「そこには何かあるの?」

なのはが代表してシャリオに訊ねる。

『ちょっと待ってください……。あ、いました!多分ですけどその機械兵器は青い仮面ライダーを標的にしてるんじゃないかと思われます!!』

その単語にそこにいる誰もが心動かされたのはいうまでもないことだ。

正体不明にして神出鬼没。

イマジン現れる所必ず出現する謎の戦士。

『ハラオウン提督からです。その青い仮面ライダーの救援に向うようにとの事です』

 

了解!

 

その場にいる誰もがその命令に従った。

 

 

見渡す限りの機械兵器。

一つ目も二百あると気持ち悪い。

「うえ~。怖いですよ。ユノさ~ん」

プロキオンが機能停止した機械兵器を爪から引き抜いてから踏みつけると、Aゼロノスに何とかしてほしそうに訴える。

「流石にあんなにたくさん相手するとなると気が滅入ってきそうだね……」

そう言いながらもDランスを分離して、Dバレットに切り替えてからひたすら引き金を絞る。

銃口から放たれた無数の光線は機械兵器の腹部を貫いていく。

貫かれて機能停止した機械兵器はバタバタと倒れていく。

Dバレットは引き金を一回絞る事で五発の光線が発射される。

それらは確実に四発は命中しているので一回で四体は機能停止していることになる。

「よぉーし!僕もやります!!」

主が頑張っているのに自分が怠けるわけにはいかないと感じたプロキオンは中腰に構えて、機械兵器に向っていく。

殴る。蹴る。投げ飛ばすとこの三つでドォンともボォンとも音を立てて蹴散らしていく。

プロキオンの足元には機械兵器の残骸ばかりが落ちていく。

それでも前を見ると、減っていく気配がまるで感じない。

「!!ユノさん!なのさん達がこっちに向ってきます!!」

プロキオンはモモタロスとは違うモノを感知する嗅覚を持っている。

モモタロスがイマジンの臭いを探る事が出来るのに対して、プロキオンは魔導師の匂いを探る事が出来る。

「どのくらいで来るかわかる?」

Aゼロノスが至近距離なのでDバレットからDダガーへと切り替えて、機械兵器の腹部を突き刺す。

バチバチバチッと音を立てて機能停止する。

「匂いの距離からして二分後です!」

そう言いながらも迫ってくる機械兵器を倒していく事はやめない。

「二分か……」

Aゼロノスがプロキオンの報告を聞いて、思案する。

恐らくこの機械兵器の異常な数は伝わっているはずだ。

そして自分達が戦っている事もだ。

そうなると時空管理局の魔導師である以上、救援に向ってくるのは自然の流れといえる。

(正直救援してもらえるのはありがたいけど……)

Aゼロノスは本音としては救援はありがたいが、何かと面倒な事になる事も予測できていた。

(間違いなく職質(職務質問)を受ける事になるね……)

助けた見返りというわけでは間違いなく、そのような流れになるだろう。

プロキオンが爪で機械兵器を突き刺して、投げ飛ばして後方の機械兵器数体を誘爆させていた。

 

「そこの仮面ライダーさんとイマジンさーん!!」

 

上空から声がしたので、Aゼロノスは顔を上に向ける。

なのはを始めとする魔導師陣営だった。

「どうしましょう?」

プロキオンがAゼロノスの側まで寄る。

「こうなったら乱暴だけどこの手しかない!!」

Aゼロノスは左手に握られているDガッシャーをダガーからバレットへと切り替えて、空へと向ける。

そして引き金を絞る。

無数の光線が空を昇った。

 

「ひゃああ!!」

なのはは思わず、後方へと反射的に退がる。

救援に向おうとしたなのは達の前に一直線に無数の光が走ったのだ。

「なのは!大丈夫か!?」

ヴィータは気遣うと同時にAゼロノスを睨み、グラーフアイゼンを構えていた。

シグナムもレヴァンティンを抜剣しようとしていた。

「当てる気がない?」

「何でそう思うん?フェイトちゃん」

フェイトの呟きをはやてが聞き逃さなかった。

「あの位置からなら確実に当てる事はできたのに、そうしなかった。威嚇かもね」

「私達を現場に近寄らせないようにする事?」

シャマルの言葉にフェイトは首を縦に振る。

「でも、いきなり威嚇射撃ってのはどうかと思うけど……」

なのはは乱暴な手だと言う。

「拒む理由があるのかもしれんな……」

ザフィーラが推測する。

「それにしてもあの仮面ライダー……。ゼロノスに似てるなぁ。とりあえずいきなり撃ってくるところからして、私等の救援を望んでないって事になるからしばらく様子見やな」

はやてはAゼロノスを全体をしたから上へと舐め回すようにして見ながら感想を述べながら、その場で待機を選ぶように皆に伝える。

「うん。そうだね」

なのはも首を縦に振って、Aゼロノスとプロキオンの戦闘を凝視する事にした。

 

救援に向ってくるアースラチームに向けて『威嚇』目的で光線を放ったAゼロノスは宙で留まっている様子を見てから、すぐに正面へと視線を向けた。

その間にもプロキオンが機械兵器を持ち上げて、膝に向って下ろして『へ』の字にさせていた。

「残り百体くらいかな……」

「やりますか?」

プロキオンは、なのは達がいるのでAゼロノスを『ユノさん』とは呼ばない。

 

「おいで!プロキオン!!」

「はい!!」

 

Aゼロノスはゼロノスベルトのチェンジレバーを右にスライドさせてゼロノスカードを抜き取り、裏返す。

青色のカラーから白色のカラーの面に変えた。

バイオリンで奏でているミュージックフォーンが流れる。

そして、クロスディスクに向ってゼロノスカードをアプセットした。

『シリウスフォーム』

ベテルギウスフォームの電仮面が消え、プロキオンがフリーエネルギー体となってAゼロノスの体内へと入り込む。

上半身に、白色がメインで裾に青色のポイントカラーがされている袖のないロングコート---プロキオンクロークが出現する。

両肩には三本の爪のような飾りが施され、両下腕にはプロキオンが用いていた武器であるプロキオンクローが装着されていた。

プロキオンクロークの背部にはプロキオンの顔が出現しているが、これはデネブ同様に『飾り』だったりする。

そして電仮面にはミサイルの弾頭部分がAゼロノスのデンレールを無視して、中央に走り出して停止すると回転しながら六芒星状に展開して電仮面となる。

仮面ライダーANOTHERゼロノスシリウスフォーム(Sゼロノス)の完成である。

 

「はああっ!!」

 

Sゼロノスを中心に小さなクレーターが出来た。

タンタンタンとリズミカルに両足をその場で動かす。

そして……

 

「ゴォォォォォ!!」

 

プロキオンが主人格となっており、Sゼロノスはプロキオンクローを構えて機械兵器へと向かっていった。

 

「イマジンと一体化して戦うところまでゼロノスと同じなんて……」

はやては先程のフォームチェンジを目の当たりにして目を丸くしていた。

心なしかはやてはどこか落ち着かない様子だった。

「はやてちゃん。大丈夫?」

なのはがそんな様子のはやてを心配する。

「う、うん。大丈夫やよ。あのゼロノスは侑斗さんやデネブちゃんじゃないって事はわかってるて」

はやては笑みを浮かべて返すが、内心穏やかではない事をなのはは簡単に予測できた。

(はやてちゃんが一番気にしてるのは、ゼロノスの変身に必ず消費するゼロノスカードにおける変身者に対する記憶の消費……)

なのはは知っている。

桜井侑斗から貰った一枚のゼロノスカードを見るとき、『懐かしさ』や『恋しさ』と同時に『決意』のようなモノが表情に宿っている事を。

(もし私の知っている人達がゼロノスカードを使っていたとしたら……)

なのははもしもの事を想像し、正直ゾッとする結果だった。

『変身者に関する記憶』を周囲が忘れる事を承知で使う変身者は怖い。

『忘れてしまう』という事すら忘れてしまう自分も恐ろしく感じた。

ゼロノスカードを使用する事に関してはどちらもが被害者であり、加害者でもある。

(ユーノ君だったらどういう風な事言うかな……)

今起きている事をユーノ・スクライアに言えばどのような返答が出るかをなのははSゼロノスの戦闘を見ながら考えていた。

 

機械兵器を蹴飛ばし、踏みつけ、寄ってくる場合は回し蹴りで機能停止させていた。

眼前に迫ってくる場合はプロキオンクローで突き刺す。

「うりゃあああああああ!!」

これまでの戦闘でわかる事はSゼロノスは一度たりとも機械兵器に攻撃をさせていない。

攻撃を受ける前に全て機能停止させているのだ。

まさに『攻撃は最大の防御』という格言をやってのけているのだ。

(あと二十五体。踏ん張ってプロキオン!)

「はい!!」

深層意識のユーノがSゼロノスに励ます。

それから十分後に残り二十五体の機械兵器もみな地面に転がる事になった。

「終わりました~」

Sゼロノスはそう言いながら、チェンジレバーを右にスライドさせてゼロノスカードをまた裏返してベテルギウスフォームへと戻す。

プロキオンとAゼロノスへと分離する。

直後に空の一部が歪んで線路が敷設されていく。

空間からAゼロノスとプロキオンに向って三両編成の『時の列車』であるANOTHERライナー(以後:Aライナー)が停車した。

一両目であるAライナー・ミサイルのドアが開いていた。

乗り込もうとするAゼロノスとプロキオン。

「ま、待って下さい!」

なのはが呼び止めた。

プロキオンが先に乗り込み、Aゼロノスは足を止める。

「あの、貴方は一体誰なんですか?」

なのはが単刀直入に訊ねてきた。

「ANOTHERゼロノス」

「僕、プロキオンです!」

なのはの質問にAゼロノスとプロキオンは素直に答えた。

「艦に戻るまでが任務じゃないの?気を抜いちゃダメだよ」

Aゼロノスはからかうようにして、なのはに告げるとAライナーに乗り込んだ。

ドアが閉まり、車輪が回り始めて走り出した。

 

仮面ライダーANOTHERゼロノスと高町なのはのファーストコンタクトはこのようにして幕を閉じた。

 

なのはは知らない。

自分がフェイトやはやてのような運命に巻き込まれようとしている事を。

なのはは知らない。

Aゼロノスの正体が最も近しい存在である事を。




次回予告

第四話 「打ち上げ」
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