仮面ライダーLYRICAL A’s to StrikerS   作:(MINA)

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第九話 「0067年の決意と挫折」

新暦0067年。

 

僕はある『決意』をした。

 

だが僕は『挫折』を味わった。

 

 

ユーノ・スクライアは制服局員に案内されるまま、ICU(集中治療室)の前に足を運んでいた。

そこには先にフェイト・T・ハラオウン、アルフ(人型)、八神はやて、シグナム、ザフィーラ(獣)、クロノ・ハラオウン、エイミィ・リミエッタ、リンディ・ハラオウン、レティ・ロウラン、そして高町なのはと同じ任務に就いていたヴィータである。

誰もがICUのドアを睨んでいた。

ちなみにシャマルはICUの中でなのはの治療に当たっていた。

ユーノはICUのドアを一瞥してから、なのはと同じ任務に就いていたヴィータを見る。

普段の強気な表情はなく、俯き加減で暗かった。

「ヴィータ……」

そんな状態の人間に起こった出来事を蒸し返すような事はできるだけしたくないが、事実をキチンと知る為にユーノは訊ねる事にした。

「……ユーノ。なのはの事か……」

ヴィータも粗方の検討はついていたのか、特に表情を変えずにユーノを見る。

「……何があったの?」

ユーノとて感情が揺れないわけがない。

でも、ここで揺れて感情の赴くままに行動すればヴィータはなお自分を責めるだろうと察したため感情を必死に抑えていた。

「ユーノ君。その……なるべく……な?」

はやてが車椅子ではなく、杖を突きながら穏便に終わらせるように頼んでくる。

彼女は歩けるようになったのだが、長時間というのはまだ無理なため杖を使っている。

「わかってる……」

ユーノは首を縦に振ってからヴィータに顔を向ける。

「……なのははあたしを庇って堕ちたんだ……。あたしがしっかりしてりゃこんな事にはならなかったのに……」

ヴィータは全身を震わせながらも口を開き始めた。

「なのは、言うんだよ。大丈夫?ってさ。堕ちてからも自分の事よりもあたしの事ばっかり心配してさ……。たまんねーよ……」

ヴィータはその時の事を思い出したのか、両手で頭を抱えていた。

「あたしが悪いんだ……。あたしが……」

ヴィータは壁に背を凭れさせながらずるずると座り込んでしまった。

「ヴィータの責任じゃないよ……」

ユーノの言葉にヴィータは顔を上げ、他の面々もユーノを見ていた。

 

「なのはを魔法の世界に引き込ませた僕の責任だよ……」

 

ユーノは両拳を震わせながら呟く。

「それを言ってしまえばリーゼ達に本局の細部を案内し、なのはに魔導師としての進路しかないように導く結果になってしまった僕にも責任がある。君やヴィータの責任じゃないよ」

クロノがユーノとヴィータがこれ以上責めないように、自身にも責任がある事を告げあえて貧乏くじを引こうとする。

「クロノ君……」

エイミィも不安げな表情でクロノを見る。

「今は誰のせいでそうなったのかを糾弾するのは後にしましょう。そんな事をしても、なのはさんは喜ばないわ」

リンディが下手をすればフェイトやはやても自分の責任だと言いかねないと判断し、その場にいる全員に打ち切るようにした。

「とにかく、もう夜も遅くなってるからあなた達は帰りなさい。私とリンディが残っておくから」

レティがICUにいる全員に変えるように促す。

だが、それで変えるわけがないというのも確かだ。

「といってもそれで素直に帰れるわけないものね……」

レティも予想の範疇内だったため、さして驚く様子はなかった。

ICUの照明が消えたのはそれから六時間後の事だった。

 

 

空は雲がチラチラと泳いではいるが、太陽は顔を出している。

リンディ、ユーノ、ヴィータ、フェイトの四人は現在海鳴市に来ていた。

高町家の面々は、なのはが重傷に遭い入院しているという事を知ってはいる。

昨日にリンディが連絡したからだ。

今でもその時の高町夫妻の声の低さは忘れられない。

まるでこの世の終わりが訪れたかのように低い声色だった。

「ユーノ君、ヴィータさん。貴方達までついてくる事はないのに……」

リンディとしてみればユーノとヴィータが責任を感じているという事は重々承知している。

「いえ……。やっぱり……」

「あたしのせいですし……」

ユーノもヴィータも俯き加減ながらも告げる。

(責任感が強いというのも正直考えものよね……)

二人の長所を穢すつもりはないので、リンディは内に秘める事にした。

責任感が強いというのは時に長所となり、短所にもなる。

特にこういう仕事に就いているとなると尚の事だろう。

今回は短所の部分が表に出ている。

恐らく、一生纏わりつく因縁になるだろうとリンディは予測していた。

(こればっかりは外からのケアは無効になっちゃうものね……)

外的なものでなく、心的なものである以上克服するのは当人達次第なのだから。

(フェイト)

(はい義母さん。どうしたんですか?)

リンディは念話の回線を開いて、フェイトを呼びかける。

(今からなのはさんのご両親との対面になるけど、ユーノ君とヴィータさんが少しでも妙な行動を取ったら力ずくでいいから止めてほしいの)

(あの、妙な行動って……、たとえば……)

フェイトはあたふたしながらリンディを見る。

(そうねぇ。ユーノ君もヴィータさんも海鳴のいえ、日本の知識を有しているから『切腹』なんて事を考えてなければいいのだけど……)

(せ、切腹!?)

リンディの一言に更にフェイトはあたふたする。

フェイトとて日本に生活して二年近く経過しているので、一応『切腹』というものは知っている。

日本の古い風習で主に不祥事などを犯した際にその責任をとるかたちで用いられるものである。

なお切腹にも概念はひとつではなく、主君の後を追う際に用いる『追い腹』や無念の際にやむなく用いる『無念腹』というものがある。

不祥事などの責任を取る際に用いる切腹を『詰め腹』という。

(いくらなんでもそれはないと思いますけど……)

フェイトはリンディの予想が杞憂だろうと思いながら、件の二人を見る。

『切腹』しそうな雰囲気を十分に纏っていた。

(……わかりました)

フェイトは腹を括る事にした。

 

高町家に入って、フェイトが早速感じた事は今までと違う空気が漂っていた事だ。

今まで入り慣れた高町家が初対面の家に感じるほどにだ。

リビングには八人が正座していた。

(ユーノとヴィータは……)

フェイトは切腹候補生ともいうべき、ユーノとヴィータを見る。

全身から『なのはの重傷は自分の責任』というオーラが噴き出ていた。

(義母さん。本当に力ずくで止めていいんですか?)

フェイトが念話の回線を開いて、リンディに訊ねる。

(穏便に済めばそれでいいけど罪の意識を感じている二人ですもの。何をしでかすか正直わからないわ。そういう兆しを貴女が感じたら止めてほしいの。責任は私が持つわ)

(わかりました……)

フェイトはリンディから『承認』を貰っても表情は決して晴れなかった。

リンディとユーノとヴィータは深々と頭下げて謝罪する。

正座状態から深々と下げているので、土下座状態になっていた。

(やっぱり怒ってるよね……)

フェイトも三人に遅れながら頭を下げながら、高町家の面々の心理状況を推測する。

「頭を上げてください」

士郎が四人に声をかける。

その声色は普段のような明るいものではなかった。

娘が重傷に遭っているのに明るい声を出すと言うのも無理なものだが、ユーノとヴィータが何かを思い誤った行動を取るには十分な材料になるだろう。

フェイトはユーノとヴィータを見る。

二人とも、ポケットなどから光物(刃物)を出す気配はない。

(大丈夫……。大丈夫……)

フェイトは念じる。

「なのはもこの仕事をすることになった以上、このような目に遭う事は覚悟はしていたと思います。人を助けるというのは決してきれいな事だけでは片付かないものですからね」

士郎の指摘は管理局もとい命の危険に晒されるものには至極当然に背負わなければならない事だ。

桃子、恭也、美由希も黙って聞いている。

「リンディさん。なのはは今の仕事をやめたいと言っていましたか?」

桃子がリンディに訊ねる。

「いえ。まだ麻酔が効いている状態なのでわかりません」

リンディが正直に告げる。

「もし、なのはが意識を回復して今の仕事に対して『やめたい』と言わなければ覚悟を決めていると思います。もし覚悟を決めていないならば……」

「言うかもしれない、という事ですか……」

桃子は首を縦に振る。

その後、高町家ではなのはの見舞いの際の手続きなどが綿密に話し込まれていた。

リンディとフェイトの考えは杞憂で終わった。

だがフェイトは気付いていなかった。

ユーノの拳が震えていたという事を。

 

 

高町なのはが入院してから一週間が経過した。

 

 

ユーノは業務を終えてから、時間さえあればなのはの元に顔を出していた。

ベッドから離れるにはまだまだ時間がかかるらしく、寝たきり状態になっていた。

意識はハッキリとしているらしく、自分が訪れた際には笑顔を向けてくれた。

普通の状態なら、そんな笑顔を見て心が休まるのだが今は違う。

ただただこちらを気遣わせないように取り繕っているように思えて、痛々しいとしか言いようがなかった。

ユーノは近くにある椅子に座る。

「今日は僕以外に誰か来た?」

「ヴィータちゃんとはやてちゃんが来てくれたよ」

酸素マスクをつけたままだがきちんと話せるし、その声を聞く事はできる。

(参ったな……。なのはの姿を見るたびに突きつけられるよ……)

自分が無力である事を嫌でも知らされる事になる。

今のままで言いわけがないと考えさせられる。

その度に拳を震わせ、唇をかみ締める事になる。

「ねぇユーノ君」

「ん、なに?」

「わたしね、こんな大怪我に遭って、初めて自分の限界がわかったような気がするんだ……」

「自分の限界?」

「うん。魔法があれば何でもできるって思ってたんだよ。今まで自分ができなかった事が魔法を使ってできるようになったり、魔法を使ってわたしにしかできない事があるって思ったんだ……」

なのはは魔法に関わる以前は高町家にいながらもどこか居場所のなかった存在だという。

末っ子の利点である『ワガママ放題』を得られなかったらしい。

なのはが魔法を知り、それで今まで到底できなかった事ができるようになった時の感動は恐らく自分が考えている以上のものだろう。

なのはとて人間。知らない間にその感動が『快楽』に溺れる事はごく自然の流れとってもよいだろう。

快楽に溺れるといずれはツケを支払わなくてはならなくなるのもまた自然の『掟』ともいえる。

「ユーノ君。だからね。このケガはわたしのせいだからユーノ君が自分を責めることはないんだよ」

恐らくヴィータにも似たような事を言ったのだろう。

「……そうだね」

ユーノはなのはの言葉に応じた。

しかし、それが表面上のものであることは誰から見てもわかる事だった。

病室を出て、ユーノは拳を強く握り締めながら廊下を歩いていた。

『強くなりたい』

その気持ちがふつふつと奥底から湧き上がっているのが実感できた。

「強くなる……。絶対に……」

ポケットの中から携帯電話を取り出して、ユーノは通話状態に連絡を取った。

 

時空管理局本局の自然が満ち溢れている区画。

そこにいたのはアルフ(人型)、ザフィーラ(人型)の二人だ。

「あれ?アンタも呼ばれたのかい?」

「ああ」

アルフは自分以外も呼ばれた人物が意外な人物なので目を丸くしていた。

「スクライアは一体なにが目的で我等を?」

「さあねぇ。ただ電話越しからだけどユーノ、おかしくなかったかい?」

アルフは電話越しのユーノの声色から推測を始める。

「それは感じたな」

ザフィーラは腕を組んで、先程自分にかかってきた電話でのやり取りを思い出す。

「すいません二人とも。呼びつけておいて遅れてしまって」

二人を呼びつけたユーノが歩いてきた。

「「!?」」

ユーノの表情を見てアルフとザフィーラは目を大きく開く。

それは今までに見た事がない表情だった。

『後悔』、『怒り』、『嫉妬』、『悲しみ』が入り混じり覚悟を決めた『決意』をした現在の表情をしていた。

「ユーノ!?アンタ一体……」

「スクライア……」

二人は何故ユーノが今のような表情に至るまでになったのかの原因はおおよその見当がついていた。

「今日は二人にお願いがあって呼んだんです」

普段ユーノはアルフとは気兼ねない言葉遣いをするが、ザフィーラに対しては同姓であり明らかに見た目的に年長であるためか丁寧語になってしまう。

だからこの二人がいるときは大抵丁寧語を活用してしまうのだ。

両手両膝を地に付けてユーノは深々と頭を下げる。

 

「お願いします!僕を……僕を強くしてください!!」

 

土下座をしながら懇願した。

「ユーノ。アンタ……」

「………」

アルフとザフィーラはいきなりの行動に面食らってしまう。

「頭を上げてくれ」

ザフィーラが土下座を解くようにユーノに告げる。

ユーノはその体勢のまま、顔だけ上げる。

「じゃあ……」

了承してくれたのかとユーノは解釈する。

「一つ聞きたい。何故我等だ?強くなりたいのなら高町やテスタロッサやハラオウン執務官など他にもいるだろう」

「あー、ユーノはアンタが挙げた奴等には絶対に頼まないと思うよ」

「何故だ?」

こういう機微はどちらかというとザフィーラよりアルフの方が長けていたりする。

「まぁ単純になのはやフェイトには絶対頼まないだろうねぇ。男のプライドが許さないだろうし。同姓だけどクロノに頼むってこともありえないしねぇ……」

アルフは手を顎に当てて訳知り顔で言う。

「なるほど……」

ザフィーラはアルフの解説に頷いている。

「だが我等は魔力等ではお前とさほど変わりはないぞ」

「お願いします。魔力もですけど、僕は力が欲しいんです!!単純に『暴力』という『力』が!!」

「ユーノ……」

アルフは初めてユーノの悲痛な叫びを聞いた。

「奴等を見ていたからその結論に達したのか……」

ザフィーラの言う『奴等』はユーノにも隣にいるアルフにも理解できた。

奴等---チームデンライナー、ゼロライナーだ。

二年前、彼等は現れ自分達が到底解決できない出来事を力づくで解決した。

極めれば純粋な『暴力』を用いているといっても過言ではない。

当時九歳の少年がその光景を見せられれば『魅せられる』のは自然の流れと言ってもいいかもしれない。

「でもさユーノ。アンタは魔導師だからその……、どんなに頑張っても良太郎達にはなれないよ」

アルフは申し訳なさそうに、現実を打ち明ける。

「それでも僕は強くなりたいんです!!たとえたとえ……」

ユーノが再び俯く。

 

「悪魔と契約を交わす事になっても!!」

 

再び顔を上げる。

その双眸には迷いがない。

先程言った事をやりかねないとこちらが感じてしまうほどに。

「どうしよっか……」

「………」

アルフが最終決定権をザフィーラに委ねる。

「条件がある。お前のこれからする鍛錬にシャマルを同伴させる」

回復係のシャマルを巻き込むという事はそれだけ苛烈な内容になるのだろうとそこにいる誰もが理解できた。

「ありがとうございます!よろしくお願いします!」

ユーノは深々と頭を下げた。

 

 

それからユーノは通常の業務と、なのはの見舞い、そして秘密裏の鍛錬という大人でも正直悲鳴を上げるような苛烈な生活を送る事になった。

しかしユーノは弱音を吐くことなく、日々時間を刻んでいた。

身体に節々に小さな傷ができ、目の下にクマができるがそれでも彼は前を向いて歩いていた。

妙な話だが、自分が自分の為に『生きている』と実感できているのだ。

『強くなる』と決めたのはいいが、目標もなく漠然と励むのは決して賢いとはいえない。

人は目の前に目標が『ある』と『ない』では取り組む姿勢が全く違うという。

ユーノも『強くなる』と目標を立てた以上、漠然と取り組む気はない。

今の目標は近々行われる『魔導師ランク試験』である。

そこで現在登録されているランクを上回る事が現在の目標だ。

「ユーノ君。大丈夫?」

辛うじて起き上がったなのはに心配されていた。

「え?大丈夫大丈夫。最近仕事とか忙しくてね」

笑いながらも、なのはには自分が鍛錬している事を隠している。

打ち明けてもよかったのだが、理由を聞かれるのは必至だ。

そこで行き詰るのはわかりきっている事だった。

「なのははどう?リハビリとかは?」

「来週辺りから始まるんだって。元の状態に戻るには一年くらいのリハビリが必要だって」

なのはは強い瞳をユーノに向けていた。

(なのはは立ち上がる。諦めていないんだ。もう一度空を飛ぶ事を……)

ユーノにしてみればそれは『励み』になった。

「ありがとう。なのは」

「ふえ?」

いきなり礼を言われたのだから、なのはでなくても首を傾げたくなるものだ。

 

 

魔導師ランク試験会場にはユーノを始め、当日の受験者やその同伴者などで賑わっていた。

ユーノの同伴者としてアルフ、ザフィーラ、シャマルの三人がいた。

彼がこの試験に受ける事は他の面々は知らない。

「それでは受験者の皆さんはこちらにお願いします」

試験官が拡声器を持って、案内する。

「それじゃ行ってきます」

「気をつけなよ」

「健闘を祈る」

「頑張ってね。ユーノ君」

三者三様に応援してくれた。

こうしてユーノの『力』への探求の最初の試練が始まった。

 

それから四時間後。

 

魔導師ランク試験も運転免許試験のように即日に結果が発表される事もある。

しかも魔導師ランク試験の場合、合格、不合格関係なく理由までわざわざ通知してくれるのだ。

合格者にとってはそのような通知は特に関係ないが、不合格者にとってはほとんど『死』の宣告に匹敵するものだったりする。

「受験番号19944989の方!」

試験官が拡声器を持って、呼びつけてきた。

「はい!」

ユーノは試験官の前に立って、封筒を受け取る。

封筒の中に入っている一枚の用紙を広げる。

 

 受験番号:19944989 

   氏名:ユーノ・スクライア 

   年齢:十一       

   結果:不合格

   理由:貴方は防御や補助という分野には秀でています。しかしその反面、魔法による攻撃に関して      は平均以下となっています。今取得しているランクより上を目指すには避けては通れない部分です。

傾向と対策:貴方が今後、再受験をするのならば止めはしませんが今以上に魔力が向上する事はありません。今貴方の魔力はピークを迎えています。魔導師の魔力のピークには年齢は関係ありませんので気を落とさないように。

 

「………」

不合格通知を握ったまま、ユーノは硬直していた。

アルフ、ザフィーラ、シャマルが背後から不合格通知の内容を覗き見る。

「「「………」」」

(コレ、どうする?)

(何とも言えん。シャマル、何とかならんか?)

(無茶言わないで。今の状態のユーノ君に何を言えっての!?)

念話の中でアルフ、ザフィーラ、シャマルは励ましの言葉をかけるべきか否かを会議していた。

正直、下手な事を言えば確実にユーノは立ち直れなくなるだろう。

十一歳の少年は『魔導師としての寿命を既に迎えている』と言われているのだ。

いわば彼が求める『強さ』の道が閉ざされた事になる。

「参ったな……。魔導師としてはもう強くなれないって……」

乾いた笑みを浮かべながらユーノは茜色の空を見上げていた。

 

ユーノ・スクライアへの『力』を得る道は『挫折』から始まった。

 

 

揺らぐ炎を見ながらユーノは右拳を見ていた。

(アレから四年になるんだ……)

今の自分にしてみれば些細な出来事だと受け止める事ができる。

「どうしたんですか?ユノさん」

「ん?」

隣に座っているプロキオン(イマジン)が心配してくれる。

「君と出会う前の事を思い出してたんだ」

ユーノは空になったマグカップに酒を注ぐ。

 

魔導師として、これ以上は強くなれないといわれた僕だけどそれでも『強くなる』っていう気持ちが衰える事はなかったんだ。

 

夜は長い。




次回予告

   断たれた魔導師としての成長への道。

   しかし、少年は自らの牙を研ぐ事をやめない。

   少女はもう一度翼を広げる。

   第十話 「0068年 復活の翼」
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