正義のヒーローナンバーセブン   作:無想転生

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今回も少し短いです。


ビリビリ中学生

ヒーロー、削板軍覇は大事な決戦の為に備えていた。

 

削板はキリリと引き締まった表情で、今日を示す欄に○印の入ったカレンダーを眺めている。

その顔はまるで、戦前の武人のようだ。

 

そこまで真剣になってでも戦わなくてはならない理由が、削板にはあった。

 

理由はごく単純…金が無い。

 

そう、彼は万年金欠なのだ。

それも毎月の食費に困るほど、シャレにならないくらい金が無いのだ。

 

だから彼は戦わなくてはならない。

例え他者が得るはずだったものを独占しようとも、卑怯な手を使おうとも、彼は勝ち取らなくてはならないのだ。

 

彼は覚悟を決めて玄関のドアを開いた。

今から行くのは戦場だ…そう、“スーパー”という名の戦場に

 

何故なら今日は、“特売日”だからだ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ちょっと…早過ぎたかな…」

スーパーに向かう途中、削板は公園にある時計の前で立ち止まっていた。

そう、彼の言う通り家から出るのが早すぎたのだ。

張り切って早く出てても、まだ店が開いていないのなら意味がない。

なので削板は、公園のベンチで自分が買う商品を改めて品定めすることにした。

 

(今日は“お肉安売りデイ”の日だ。

最近はろくに肉なんか食ってないからな、今日は絶対に手に入れなくちゃ。

しかし献立はどうするかな…普通に生姜焼きなんかでもいいが、折角の機会だしもうちょっと豪華にいきたいしな…)

手持ちの金額で予算を決め…できるだけ安く食材を入手し…なおかつバランスのいい献立を考える、その姿はさながら、主婦である。

 

(よし、決めたぞ。今日はすき焼きにしよう!

この前タイムセールで買い過ぎた豆腐と白滝も残っているしな。

もやしも栽培してるから、文字通り腐る程ある)

などと考えている中、突然誰かの叫び声が聞こえてきた。

 

「不幸だぁぁぁ‼︎」

見ると、二人の学生が公園の中で騒いでいた。

 

一人は女子中学生…その制服から、この学園都市でも五本の指に入る名門校であり、世界有数のお嬢様学校である常盤台の生徒だということがうかがえる。

もう一人は男子高生、ウニのようなツンツン頭以外はこれといって特徴の無いごく普通の少年だ。

 

しかし不思議な事に、能力者である常盤台の少女が放った電撃…それも常盤台に在学という時点で最低でもLevel3以上のものを、あろうことかその男子高生は右腕一本で受け止めていた。

いや、受け止めているというより、電撃がその右腕に触れた瞬間、跡形も無く消滅している…と言った方が正しいだろう。

 

「私の電撃をこうも容易く防ぐなんて、相変わらずわけわかんない右腕よね…!」

 

「わけわかんないのはお前だろ!

毎度毎度出会い頭に電撃飛ばしやがって!」

右腕を構えながら常盤台の電撃少女から逃げ回る男子高生、その表情は一方的な追いかけっこに本気で迷惑している顔だ。

 

「こっちは生活に関わる重要な用事があるだよ。

だから今日は相手してやれないんだビリビリ」

 

「ビリビリいうなーっ‼︎」

ピシャッと、辺りに閃光が走った。

 

「・・・・・」

削板はこの二人を知っていた。何度も会ったことがあるからだ。

そして関わるのはどのくらいめんどくさいかも知っていた。

 

正直そのままスルーしたいが、辺り構わず放電しまくっている女をそのままにしておくわけにもいかないし、何より眩しい電光や騒ぎ声がうっとおしい。

仕方ないので、削板は注意することにした。

 

「おい、これ以上放電するのはやめろ。

近所迷惑だぞ」

やる気の無さそうな顔で二人の前に進み出る削板。

 

「あ!あんたは…!たまに上条さんをビリビリ中学生から救ってくれる…!ヒーロー‼︎」

 

「だからビリビリ言うなっての‼︎」

「助かった!」と、救いの手に感激の表情をする上条と名乗る少年と…

「ビリビリ」という単語に反応するビリビリ中学生。

 

「でもちょうどいいわ、あんたも私の標的の一人よ!

勝負しなさい!」

 

「嫌だ」

即答だ。

 

「勝負なんかしねぇよ。俺はただ注意しに来ただけだ。

…たく、所構わず放電しやがって…この前お前らが俺の家の近くで暴れてたせいでな!家が停電しちまったんだぞ!」

削板は思い出していた。この…目の前にいるビリビリ中学生の電撃のせいで、駄目になったコンビニ弁当を。

 

「私を止めたいんならいい方法があるわ」

 

「いい方法って?」

 

「私と勝負して、勝てばいいのよ!」

 

(あぁー…めんどくせえこいつ)

何が何でも削板と勝負しようとするビリビリに、削板は心の底からそう思った。

これだからあまり関わりたくないのだ、こうやって勝負を挑んでくるのはいつものことである。それがたまらなくめんどくさいのだ。

 

「…一応聞くけど、何でそんなに勝負したいわけ?」

 

「私は学園都市にも七人しかいない超能力者(Level5)の第三位、超電磁砲(レールガン)の御坂美琴よ?

その私の電撃を受けて無事な奴なんて、あんたとこいつくらいしかいないもん」

ビリビリこと御坂が削板と上条を指さして言った。

 

「そんな理由で付け狙われる、上条さん達の気持ちも考えてはくれませんかねぇ…」

上条がハッキリと聞こえるくらいの声量で愚痴り気味に言ったが、御坂は聞こえなかったかのように振舞った。

 

「というわけで、勝負しなさい!」

 

「というわけって、どういうわけ?」

 

「あんたに拒否権は無いわ」

問答無用とばかりに、体からバチバチと電気を発生させる御坂。完全に臨戦態勢だ。

 

「何でそうなんの?」

 

「この出力でもあんたなら死にはしないでしょ?

電極刺したカエルみたいに、ビクビク痙攣させてあげるわっ‼︎」

激しい雷光と共に、御坂の放つ強烈な電撃が削板に襲いかかった。

この威力は常人なら確実にアウトだ。

 

しかし…

 

「服焦げるだろ」

一撃。

襲いかかる電撃よりも素早く移動した削板は、一瞬にして御坂の背後に回り、後頭部にチョップを食らわせた。

 

まるで虫をはたき落とすかのようなチョップ…しかし見た目よりも遥かに威力の高いそのチョップは、御坂の体を地面に叩きつけ、一瞬で意識を吹き飛ばした。

 

「あんまり迷惑かけるなよな」

と言っても、既に御坂の耳には届いていないだろう。

気を失ったまま、電極刺したカエルのように、手足をピクピクとさせて地面に這いつくばっていた。

 

「あー…はははは…」

これにはもう笑うしかない。

完全に御坂が悪いのだが、上条はこの呆気なさ過ぎる光景を見て、何故か御坂が無性に可哀想に見えてきた。




ちょっと御坂の扱いがひどかったかな…?まぁ性格の方は禁書初期はわりとこんな感じだったような気もします。

御坂と削板のチョップのシーンは、サイタマのソニック瞬殺のシーンと同じイメージです。
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