正義のヒーローナンバーセブン   作:無想転生

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注意、タイトル詐欺


憧れ

「かっこいい!」

小さな少年が一人、食い入る様にテレビを見ていた。

 

少年を夢中にさせているのは、ヒーローものの特撮番組である。

内容は悪の限りを尽くす怪人に、勇気ある正義の味方が果敢に挑むという、何処にでもありふれた子ども向けのものだった。

 

「強いなー…凄いなー…かっこいいなー…

俺もいつか、ジャスティスマンみたいになりたい」

しかしそんな、何処にでもありふれた子ども向けのヒーローだからこそ…正義感の高い勇気のある絵に描いたようなヒーロー…そんなヒーローだからこそ、この純粋な少年は心から憧れたのだろう。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「削板さん?」

上条の呼びかけにより、削板は我に返った。

 

「え…⁉︎あ…悪い、ぼーっとしてた。

でもなんでさん付けなんだ?」

 

「いや…一応上条さんの恩人なもので」

と、上条が削板の背で眠っている御坂を見ながら言った。

 

「さんはいらねぇよ、同い年だろ?」

 

「…うーん…まぁそうだよな…じゃあ次からは削板って呼ぶよ、よろしくな」

上条が笑ながら手を差し出したので、削板は応えるようにその手を握った。

何度か出会ったことがあるのだが、こうして面と向かって会話をしたことは一度もなかった。

と、削板は今更ながら思った。

 

「…と、話してる場合じゃねぇよな」

 

「あぁ、俺達はこれから、激しい戦いを繰り広げなくちゃいけないからな」

削板と上条がお互いの顔を見ながら笑いあった。

 

その顔は実に爽やかであったが、同時に、確かな緊張感に満ちていた。

そう、ここは戦場だ、今はお互いが敵どうしである。

もちろん、お互い協力し合い、戦友とも呼べる関係でいたいととは思ってはいる…そう思うのだが、所詮は他人、相手のことは二の次だ。

残酷かもしれないが、誰だって自分が一番可愛いのだ、これも仕方ないことなのだろう。

 

だから双方…、相手にしてやれることは精々、言葉をかけることくらいだった。

「勝ち取れよ」

 

「そっちこそ」

 

上条は拳をギュッと握り、削板は気絶した御坂を壁に寄りかけさせ、互いに並ぶように一歩前に進み出た。

 

目の前には至高の宝が、自分に取ってくれとばかりに輝いている。

もちろん幻聴だ、宝は平等…誰のためにでも存在する。要はそれ程までに魅力的だということだ。

 

凍えそうな程に冷たい箱の中に眠る、鮮やか赤色…そして霜の様に飛び散る美しき白い模様…あぁ、今すぐにでもてにいれたい。

 

しかしあれを手にするのはそうそう容易いことではない、ここに集まっている殆どの者達の目的が“あれ”なのだ。

 

 

ここはスーパー…

 

そして今日は…お肉安売りデーである。

 

迫り来る猛者(主婦)達との戦いが今、始まった。

 

 

 

 

 

 




えーと、本当は削板の過去について少し書こうとも思っていたのですが、やっぱもう少し後にしようと思い、何故かこんな話になってしまいました。
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