「かっこいい!」
小さな少年が一人、食い入る様にテレビを見ていた。
少年を夢中にさせているのは、ヒーローものの特撮番組である。
内容は悪の限りを尽くす怪人に、勇気ある正義の味方が果敢に挑むという、何処にでもありふれた子ども向けのものだった。
「強いなー…凄いなー…かっこいいなー…
俺もいつか、ジャスティスマンみたいになりたい」
しかしそんな、何処にでもありふれた子ども向けのヒーローだからこそ…正義感の高い勇気のある絵に描いたようなヒーロー…そんなヒーローだからこそ、この純粋な少年は心から憧れたのだろう。
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「削板さん?」
上条の呼びかけにより、削板は我に返った。
「え…⁉︎あ…悪い、ぼーっとしてた。
でもなんでさん付けなんだ?」
「いや…一応上条さんの恩人なもので」
と、上条が削板の背で眠っている御坂を見ながら言った。
「さんはいらねぇよ、同い年だろ?」
「…うーん…まぁそうだよな…じゃあ次からは削板って呼ぶよ、よろしくな」
上条が笑ながら手を差し出したので、削板は応えるようにその手を握った。
何度か出会ったことがあるのだが、こうして面と向かって会話をしたことは一度もなかった。
と、削板は今更ながら思った。
「…と、話してる場合じゃねぇよな」
「あぁ、俺達はこれから、激しい戦いを繰り広げなくちゃいけないからな」
削板と上条がお互いの顔を見ながら笑いあった。
その顔は実に爽やかであったが、同時に、確かな緊張感に満ちていた。
そう、ここは戦場だ、今はお互いが敵どうしである。
もちろん、お互い協力し合い、戦友とも呼べる関係でいたいととは思ってはいる…そう思うのだが、所詮は他人、相手のことは二の次だ。
残酷かもしれないが、誰だって自分が一番可愛いのだ、これも仕方ないことなのだろう。
だから双方…、相手にしてやれることは精々、言葉をかけることくらいだった。
「勝ち取れよ」
「そっちこそ」
上条は拳をギュッと握り、削板は気絶した御坂を壁に寄りかけさせ、互いに並ぶように一歩前に進み出た。
目の前には至高の宝が、自分に取ってくれとばかりに輝いている。
もちろん幻聴だ、宝は平等…誰のためにでも存在する。要はそれ程までに魅力的だということだ。
凍えそうな程に冷たい箱の中に眠る、鮮やか赤色…そして霜の様に飛び散る美しき白い模様…あぁ、今すぐにでもてにいれたい。
しかしあれを手にするのはそうそう容易いことではない、ここに集まっている殆どの者達の目的が“あれ”なのだ。
ここはスーパー…
そして今日は…お肉安売りデーである。
迫り来る
えーと、本当は削板の過去について少し書こうとも思っていたのですが、やっぱもう少し後にしようと思い、何故かこんな話になってしまいました。