正義のヒーローナンバーセブン   作:無想転生

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やっと完成しました。
約二週間遅れのクリスマスストーリー。


では楽しんでいって下さい。


《番外編》メリーコワシマス(下)

自分の家に帰ってきたところで、削板はようやくあることに気がついた。

 

「服…返すの忘れてた…」

その場の雰囲気でそのまま去ってしまったが、よくよく思い出せば、このサンタ服は借り物だったのだ。

 

「あぁー…やべぇな…今から返しにいくか?

でも今は後片付けとか大変だろうしなぁ…」

因みに報酬の方は前もって送られているので問題はない。

 

「明日から無くなるんだよなー…

迷惑かもしれないけど、夜中に返しに行くか」

杉原の話では、今日いっぱいで児童養護施設ひまわりは閉鎖されるとのことだ。

できれば今日中には返しておきたい。

 

 

そして時間は夜の十時。

 

「流石に遅過ぎたか?あのくらいの子どもなら寝てるかもしれないな…」

とはいえ返さないわけにはいかないので、そのまま行くことにした。

 

 

返しに行く途中、削板はある場所に寄り道した。

昼間から一度行ってみたいと思っていた場所だ。

 

「おぉ、流石だな」

削板は街を眺めていた。

正確に言うならば、至る場所に取り付けられたイルミネーションを眺めていた。

 

「昼間ここに来た時からちょっと気になってたんだよな」

そう思ってここに来たのは削板だけではないらしい、もう既に完全下校時間を過ぎているというのに、いたるところに学生の姿が見える。

 

警備員(アンチスキル)も今日だけは大目に見ているのだろう。

しかし、度が過ぎる行動をとる者がいないか、警戒している姿も見られる。

 

(まぁ、俺は年中夜でも歩き回ってるけどな)

…と、そんなことを考えていると、突然背後から激しい光が放たれた。

 

「ん?なんだ?」

光の出所は、昼間も見た巨大なクリスマスツリーだ。

ツリーから巨大な立体映像が街中に映し出されている。

 

光で作られたサンタクロースが、トナカイの引くソリに乗って街中を駆け回り、偽物の雪が降り積もる。

積もった雪からは巨大な雪だるまが生まれ、やがてそれが全て溶けて水になり、再び凍りついて今度は氷の城が作り出された。

氷の城からは美しい姫が現れ、逞しい王子と共に歌を歌い、ダンスを踊る。

 

街は一瞬にして、煌びやかで幻想的な世界に包まれた。

 

立体的に見えるがもちろん全ては映像…偽物だ。

手で触れても全てすり抜ける、温度も感じることはできない。

しかし本当に景色だけは、まるでその世界に入り込んだかのように鮮明でリアルだった。

 

「見に来て正解だったな」

削板はその美しい景色を眺めながら、楽しそうに一人そう呟いた。

 

 

ついつい光のアートに見入ってしまい、時間が経つのを忘れていた削板。

現在は夜半0時頃…既に子ども達は眠っているだろう。

園長である杉原まで眠っていないことを祈るが、時間が時間だ、眠っていてもおかしくない。

 

削板は静かに“ひまわり”の入り口に向かったが、様子がおかしいことに気づき、その足を止めた。

 

“ひまわり”の前に、怪しいトラックが停車している。

それにまるで、人目を避けるかのような、明かり一つ無い真っ暗闇だ。

 

「何してるんだ?あいつら」

殆ど何も見えない暗闇だが、削板の目には全てはっきりと見えていた。

 

「〜〜〜‼︎」

 

「〜〜〜‼︎」

二人の男が言い争っているのが見える、一人は杉原…もう一人は…顔を隠していてよくわからない。

 

「ぐあっ…‼︎」

杉原が謎の男に突き飛ばされた。

 

謎の男は部下に命じて何かを運ばせている…

削板はそれをじっと見つめた。

 

あれは…

 

静かに眠っている“ひまわり”の子ども達だ。

 

「そこで何をしている!」

削板の背後から声が聞こえていた。

あの男達の仲間だろうか、近くで覗き見をしていた削板を警戒している。

 

「答えろ‼︎そこで何をしていた‼︎場合によっては貴様をーー」

 

「お前ちょっとだまれ」

騒がしいので、削板は即座に気絶させた。

 

幸い向こうにいる謎の男達には何も聞こえなかった様だ。

男達は“ひまわり”の子ども達を全員運び終えた後、トラックに乗って子ども達と共に走り去って行った。

 

 

「なんだったんだ?」

何が起こったのかはよくわからなかったが、子ども達が攫われたのだ。ほっとくわけにはいかない。

とりあえず削板は事情も全部知ってそうな人物…杉原の方へ駆け寄った。

 

「おい大丈夫か?ここで何があったんだ?」

 

「‼︎…君は、削板君⁉︎

……何も無いさ、気にする様なことは何もね…」

何故か削板から目を逸らす杉原。

その反応から、何かを隠そうとしているのは明らかだ。

 

「何も無いわけねぇだろ、さっきのやつらは何だ?」

 

「今日ここを閉めると言っただろう?

子ども達は別の施設へ移されただけだ」

あくまでも誤魔化そうとする杉原に、削板は胸ぐらを掴んで詰め寄った。

 

「そんなんじゃ無いってことくらい俺でも分かる。

本当のこと言えよ」

 

「・・・・・」

杉原は黙り込んだ。

本当のことを言うか言わないか迷っているようだ。

 

「…本当のことを言っても、君には何もできやしないさ。

ならばいっそ、最初から知らない方がいい」

 

「そんなの勝手に決めんな」

 

「………分かった、だったら話そう。

聞いても後悔しないでくれよ?」

杉原は軽く息を吐いて、削板の要求に承知した。

 

「・・・・・」

削板は胸ぐらを掴んでいた手をパッと離し、その場で黙って聞き耳を立てた。

 

「…あの子たちは元々、とある実験の為にこの施設に預けられた被験体だ」

 

「⁉︎」

被験体…削板にも馴染みある言葉だ。

その印象は決していいとは言えない、むしろ最悪である。

 

置き去り(チャイルドエラー)の子ども達には親がいないからね、何をしても文句を言われない。

何よりいざとなれば、存在自体を簡単に抹消できるからね」

一応学園都市には置き去りを保護する制度が存在するのだが、それを逆手に取り非人道的な実験を行う連中が後を絶たない。

あの子ども達も、そんな非道な大人の勝手に巻き込まれた、被害者達の一部なのだろう。

 

「あんたは最初から全部知ってたのか?」

 

「途中から知った、“ひまわり”自体は、最初からこの実験の為だけに作られた施設みたいだけどね…

…ははは…笑えるだろう?良心を絵に描いたような私の仕事の実態は、人間を食用の家畜みたいに扱う、クズ以下の汚れ作業だったのさ」

杉原は生気の感じられない目で、まったく心から笑えていない、乾いた笑みを顔に浮かべていた。

 

「何であんたにあいつらが預けられたんだ?」

削板は表情に影のかかった顔で、杉原に冷たく問いた。

 

「健康な被験体が欲しかったんだろうね、そういう分野においては、私はプロだ」

彼自身、こんなことをする為に今まで勉強してきたわけではないのだろう。

その事を、彼の悔しそうな表情が語っている。

 

「…このままだと、あいつらはどうなるんだ?」

 

「私は科学者ではないから…実験の内容はよくわからない…

だけど、無事ではすまないことは確かだろうね…わざわざ置き去り(チャイルドエラー)の子ども達を使ってまでやろうというのだから」

 

杉原の答えに、削板は「そうか」とだけ返した。

 

「何をしてるんだ?」

突然サンタの服装に着替え始めた削板を見て、杉原は不安気な顔で尋ねた。

 

「サンタってのは主に、クリスマスイヴとクリスマスの間…子どもの寝てる時間に動くもんだろ?」

 

「!!…一体何を…!するつもりなんだ…⁉︎」

杉原は声を荒々しくして削板を睨みつけた。

怒りを向けているわけではない、削板を心配してのことだ。

 

対する削板はまるで買い物にでも行ってくるかの様な、軽い口調でこう言った。

「ちょっと行ってくる」

 

「まて‼︎」

杉原が削板に食ってかかった。

 

「行くって言うのは…あの子達を助けに行くという意味か⁉︎」

 

「あぁ、今の話を聞いてほっとくわけにはいかないからな」

険しい顔をする杉原とは打って変わって、平然とした顔で話を続ける削板。

 

「駄目だ‼︎行けば君自身まで危険に晒すことになるんだぞ‼︎」

力の限り削板に掴みかかる杉原、必死に削板を睨む彼の目は、打ちのめされ、縋りついて懇願しているかのようにも見えた。

 

「君がどんなに強くても!相手はそれ以上に強くて大きい‼︎

例え勝てたとしても!君はこれからもっと大きなものを敵に回すことになるんだぞッ!!!」

杉原の言葉を聞いて削板は思った。

子ども達を連れ去った組織は、この街の闇に触れる程根深い組織なのだろうと…

 

かつて地獄をたらい回しにされてきた削板は、この街の闇についても知っていた。

それを敵に回すという事が、どんな事なのかも…全て知っている。

 

だが、そんな事は削板には関係無い。

 

「じゃあお前は…本当にこのままでいいと思ってるのか?」

削板が冷たい声で言った。

 

「言い訳がないだろう‼︎私だって…!助けられるものならばあの子達を助けたい!!!

だけど私には…!それをできるだけの力は無いんだよ…!

世の中には…!どう足掻いても不可能な事柄だってあるんだ!!!」

助けたいのは本心だ。

心の底から求めている願いだ。

もしこれが叶うのなら、自分の命を投げ売ってもいい覚悟だってある。

 

だが…それでも届かないのだ。

 

何をしても叶うことない、虚しい願いなのだ。

 

「…その不可能な事柄ってのを、可能にするのがヒーローだ」

そう短く応え、削板は自分の口に白い付け髭を付けて、赤い帽子を深く被った。

 

「あいつらにとってサンタはヒーローみたいなもんなんだろ?

だったら俺が行くしかないだろ、俺はあいつらにとっての、サンタクロースってことになってんだから」

 

「不可能だ…君まで死にに行くことはない」

 

「根性と正義の味方に、不可能なんてねぇ」

 

そう…彼には…削板軍覇には敵が誰だろうと関係無かった。

 

例え相手がどれだけ強くても…例え相手がどれだけ強大でも…関係ない。

 

今まさに、目の前で闇に飲み込まれそうな者がいるのなら、根性を持って救い出さなくてはならない。

 

何故なら彼は…ヒーローだから。

 

「正義は絶対勝つからな」

削板は太陽の様な笑みで、根性を携え前に進み出た。

 

 

 

 

 

 

 

正義執行

 

 

 

 

 

 

 

ここはとある研究所。

表向きは遺伝子研究による品種改良を名目としているが、裏では動物実験…または非人道的な人体実験が行われている。

 

「例の被験体は届いたのか?」

 

「はい、博士」

 

「そうか…

ククク…これで新人類計画もまた一歩前進するだろう…」

この研究施設のトップと思われる眼鏡をかけた男が、上機嫌で笑っている。

その背後には、グロテスクな肉の塊が水槽の中に浮かんでいる。あの子ども達もこれらの仲間になるかもしれない…考えたくもないことである。

 

「実験は明朝行うとしよう…

皆、各自休んでいてくれ」

眼鏡の男が研究員達に休憩を言い渡した。

正直今すぐにでも、手に入ったばかりのクリスマスプレゼントで研究を進めたかったが、研究員達の疲れも溜まっている、ここで下手に働かせて、せっかくの玩具を無駄に壊されでもしたらたまらない。

 

名残惜しいが、ここで少しの時間を置くことにしよう。

たった数時間だ、睡眠でもとればすぐに経過する。

 

そう思い目を瞑ろうとした矢先、耳に巨大な爆発音が響き渡った。

「!!?…何だ⁉︎」

 

眼鏡の男は目を見開いた。

そして驚愕した、装甲車でも破壊できない強固な壁に、見るも無残な大穴が空いていたのだ。

 

破壊された破片が粉に変わり、粉塵となって空中を煙の様に覆っている、それにより姿は見えないが…しかし、敵は確かにそこにいた。

 

ジャリ…ジャリ…と、石ころの様に粉々になった壁を踏みつける足音が聞こえてくる。

 

粉塵の煙の中から人影が見えた。

人影はゆらりゆらりと形を変え、粉塵の吹き払い、その姿を現した。

 

赤い服に赤い帽子…そして白い付け髭…

 

「サンタクロース!!?

…ふざけているのか‼︎誰だお前は‼︎」

 

「俺か…?

俺は趣味でサンタをやってる者だ」

壁の大穴を背に、削板は堂々と答えた。

 

「趣味だと…⁉︎

ふざけるな‼︎一体何が目的だ‼︎」

自身の研究所を破壊され、憤怒の感情を表に出す眼鏡の男。

直ぐにでも削板に襲いかかりそうなほど、その目は怒りに燃えている。

 

「お前らが盗っていったものを返して貰いに来た。

サンタは子どもの味方だからな」

 

「返して貰う…?子どもだと…?

あぁ、あの実験体達のことか」

 

「よく分かってんじゃん、だったらさっさと返せよ」

 

「返せと言われて、大人しく返すわけがないだろう。

あれらは私にとっても大事なモルモットなんだからな」

 

「そっか、じゃあ力づくで返して貰う」

削板は拳を硬く握って、足を一歩前に進めた。

 

「ふん…いつ見ても滑稽なものだな、偽善者の馬鹿というのは…

やれ危険思想だとか、やれ非人道的だとか…科学のかの字も知らんくせに私のやり方に口を出すとは、実に愚かだ」

口元に笑みを浮かべる眼鏡の男、しかしその目には依然と変わらず怒気が含まれている。

 

「今まで自分達がどれほどの恩恵を受けてきたか…それも知らずに、知ったかぶりで正論を述べたつもりでいる…!実に吐き気がする!

いいか!これまでの科学の発達は!お前達の言う、危険を冒してまでつき進んだ結果によるものだ‼︎それも分からん凡人が、新たな人類の進化を…人間をより完璧な存在に近づける私の研究に‼︎口を挟んでくるんじゃない‼︎」

 

「新たな人類の進化…?」

 

「そうだ‼︎人類はまだまだひ弱で頭も悪い‼︎だからこそこれ以上の進化が必要なのだ‼︎

人類には完璧になれる可能性がある!私の研究が成功すれば、限りなくそれに近づける‼︎

現人類よりも遥かに優れた存在、それらが世に溢れれば、きっと世の中は素晴らしいものに生まれ変わる‼︎

逆に成長をやめた人間こそ!消えるにふさわしいものなのだ‼︎」

人類の人工的な進化…それが彼の最終目的であるらしい。

口先だけでは無い、彼にはそれを実現させるだけの頭脳が備わっている。

 

しかしその為ならば、人の命も軽いと考える彼の思想…

それを、正義感の強い削板は何を思って聞いていたのか…どんな顔をして聞いているのか。

 

「あっそー…」

答えはそう、興味すら持ってないと言うのが正しいだろう…緊張感など欠片も無い気の抜けた顔で、興味のなさそうに聞き流していた。

 

「まぁあれだ…人類の進化だとか、難しい話はあんまりわかんねぇけどさ…そんなもんやりたいなら勝手にやってればいいし、別に俺は邪魔なんかしねぇ」

削板は意外にも、眼鏡の男の思想に非難も軽蔑も示さなかった。

 

「だけど…あいつらまでその研究に巻き込もうってのなら、俺は許さねぇ」

削板は眼鏡の男をまっすぐ睨みつけた。

 

「お前の勝手な研究のために、他人まで巻き込んでんじゃねぇよ!

やりたければお前一人でやれ!」

 

「一人でやれ…か、私も最初はそのつもりだった。

だから私は自分のクローンを造りだした。この研究所の職員だって8割が私のクローンだ。

だがクローンと本物の人間とでは、説明のつかない差があるのだ。かつて行われた、第三位のクローンによる超能力者(Level5)量産実験が失敗したようにな。

だからこそ、本物の人間を使った実験が必要なのだ」

 

「そんなもん知るか」

 

「別に知ってもらわなくても結構だ…お前はここで死ぬ、障害物は潰して進むのが一番だろう?」

眼鏡の男が右手で合図を送った。

 

それを引き金に、削板の周りを、眼鏡の男と同じ顔をした集団が取り囲んだ。

 

「全て私のクローンだ。

能力を植え付けた者…人体を機械に変えたサイボーグの者…遺伝子操作によって、人間の能力を超えた者だっている。

その上学園都市製の武器で武装している!一人一人が大能力者(Level4)クラスの戦闘能力を誇る!

お前にこれが!突破できるかっ‼︎」

眼鏡の男のクローン達が一斉に削板に襲いかかった。

強力な重火器、Levelでいえば3に相当する能力による攻撃が飛んでくる。

 

雨の様に降り注ぐ弾丸、炎、電撃。

嵐のような猛攻を前に、削板はただ、天高く右手を突き上げているだけだった。

 

しかしその瞬間…右手を突き上げる削板の中心から、カラフルな煙を伴う広範囲の爆発が巻き起こった。

 

「かっ!!?」

眼鏡の男は戦慄した。

武器は粉々に破壊され、クローン達の攻撃は全て掻き消された。

 

たった一度の攻撃で、二十人はいたはずのクローン軍団が全滅していた。

 

「あっ…ありえんッ‼︎そんなバカなことがッ…!」

混乱する眼鏡の男。

額からは滝の様に汗が吹き出し、目を見開いたまま、無茶苦茶に髪をかき乱していた。

 

「サンタってのはな…良い子の味方で、悪い子に厳しいんだ」

 

「ひっ!」

削板と目を合わせてしまった眼鏡の男は、あまりの恐怖に足を滑らせ尻餅をついた。

 

「だからお前のこの研究所、俺が全部ぶっ壊してやる。

今夜は“メリー・クリスマス”改め…“メリー・コワシマス”だ!」

 

 

 

 

 

朝になって日が登り。

児童養護施設“ひまわり”にも日の光がさし始めた。

 

しかし明るくなる施設内とは相反し、杉原の心はまるで、谷底にいるかのように暗く沈んでいた。

 

子ども達を見殺しにして…それを助けに行った心優しい少年も見殺しにしたのだ。

杉原の頭の中は何もできない自分自身への、軽蔑や失望の念でいっぱいになっていた。

 

「私は何て…情けないんだ」

いくら自分を責めても責めたりない…杉原の心はどんどん暗がりへと沈んで行った。

 

「!!?」

杉原は驚いて飛び跳ねた。

近くからズゥンという、何か大きな物が落ちてきたかのような、鈍い衝撃音が響いてきたからだ。

 

杉原は急いで原因を確かめに外へ出た。

そこにあったのは、杉原をもっと驚かせる光景だった。

 

「よぉ、全部取り返してきたぞ」

子ども達を連れ去って行った、あのトラックが再び目の前に停車していた。

そしてその隣では、削板がこちらに笑いかけている。

 

「流石に全員抱えて来るのは大変だから、このトラックの中に全員入れて連れてきた。

まぁ運転できないから持ち上げて持ってきたんだけどな」

 

「君は…一体…」

杉原は上手く言葉にできなかった。

驚きと嬉しさで、頭の中がごちゃごちゃになっているからだ。

 

「もう失わないようにしろよ、お前にとって大事なやつらなんだろ?」

そう言って、後ろを向いて立ち去ろうとする削板。

 

「ま…待ってくれ‼︎」

立ち去ろうとする削板の背後から、杉原が大きな声で呼び止めた。

 

「御礼をさせてくれ!何をしても足りないかもしれないが…それでは私の気が収まらない!」

 

「礼なんかいらねぇよ…

もう“既に”貰ってるからな」

 

削板は振り返らずに笑った。

その手に子ども達から貰った、手作りのクリスマスプレゼントを持ちながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これで長かったクリスマス編は終わりです。
っていうか一話目から本編より長いぞ、どうなってんだ?

まぁ、本編がまだ二話しか無いのでしょうがないかもしれませんが…

因みに、クローン軍団一人一人がLevel4クラスの戦闘能力と言ってましたが、それはあくまで一般学生のLevel4であって、絹旗や黒子や結標みたいな戦闘慣れしたLevel4には勝てません。

次回は正月ネタをやろうと思います。

ではまた
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