問題児と銃使い(?)が異世界から来るそうですよ? 作:ただの遊び人外
「おんしらが望むのは“挑戦”か―――もしくは、“決闘”か?」
白夜叉がそう言った瞬間、世界が変わった。先ほどまでいた和風な感じの部屋ではなく、白い雪原と凍る湖畔―――そして、水平に太陽が廻る世界だった。
「・・・なっ・・・!?」
余りに異常さに十六夜達は全員息を呑む。
薄明の空にある星は只一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみ。
唖然としている四人に、白夜叉は今一度問いかける。
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への“挑戦”か? それとも対等な“決闘”か?」
魔王・白夜叉。少女の笑みとは思えぬ凄みに、再度息を呑む四人。
十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じながら、白夜叉を睨んで笑う。
「水平に廻る太陽と・・・そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現しているってことか」
「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」
「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤・・・!?」
「如何にも。して、おんしらの返答か?“挑戦”であるならば、手慰み程度に遊んでやる。――だがしかし“決闘”を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」
「・・・っ」
誰も即答することが出来なかった。
「参った、やられたよ。降参だ。白夜叉。」
「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受ける、ということかの?」
「ああ。これだけのゲーム盤を用意することが出来るんだからな。アンタには資格がある。―――いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」
苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を白夜叉は堪え切れず高らかと笑い飛ばした。
「く、くく・・・して、他の童達も同じか?」
「・・・ええ。私も、試されてあげてもいいわ」
「右に同じ」
飛鳥と耀が答える中、殊牙だけが答えなかった。
「おんしはどうだ?」
「どちらでもいい」
白夜叉の問いに殊牙が答えた瞬間辺りが静まりかえった。
「どちらでもいい、とは?」
「その通りの意味だ。あんたが魔王というのなら俺たちにそもそも選択肢などないのだろう?」
だから勝手に決めろ、言ってはいないがそう聞こえた。
「・・・本音をいえば?」
「どちらかと言えば戦いたくない、が戦えというのならそれまでだ」
殊牙は銃をホルダーから取り出し右手に持つ。
「だから逆に問おう。あんたからして俺はあんたと決闘するに値するのか?」
白夜叉に銃身を向けて言う。
その殊牙の物言いに白夜叉は高らかと笑いながら、
「く、くく。なるほどな!確かに魔王相手なら選ぶ権利はないの!よかろう、その問いに答えよう。と、言ってもお主自身もわかってるのだろう?お主の力では私には及んでいないことを」
白夜叉は遠回しに値しない、と言っている
「・・・じゃあ、俺もおとなしく試練にしとくよ。あんたとはまだ戦いたくない」
「
「
殊牙の台詞に満足そうに声を上げる白夜叉。一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギはホッと胸をなでおろす。
「も、もう!お互いに相手を選んでください!“階層支配者”に喧嘩を売る新人に、新人に売られた喧嘩を買う“階層支配者”なんて冗談にしても寒すぎます!」
黒ウサギが言い終わると同時に彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。
「何、今の鳴き声。聞いたことない」
「ふむ・・・あやつか。まあ、おんしらを試すには打って付けかもしれんの」
白夜叉が山脈に向けてチョイチョイと手招きをする。そこから来たのは
「グリフォン・・・嘘、本物!?」
来たのは鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣——グリフォンだった。
「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。“力”“知恵“”勇気”の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」
白夜叉が手招きをするとグリフォンが白夜叉の元に降り立ちた。
「さて、肝心の試練だが・・・こういうのはどうじゃ?」
『ギフトゲーム名 “鷲獅子の手綱”
プレイヤー一覧 逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。
・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、
ギフトゲームを開催します。
“サウザンドアイズ”印』
「俺の名前がないのはイジメですか」
「おんしにはあとで違うゲームをしてもらう。しばしの間待っておれ」
「まあ、いいけど」
殊牙が頷いたあと白夜叉はゲームの進行を見るのだった。
〜〜〜原作と同じ展開なためカット〜〜〜
結論から言えば耀が挑戦し無事に勝った。
「さて、待たせたの。おんしへの試練はこれだ」
『ギフトゲーム名 “白夜叉への一撃”
プレイヤー一覧 殊牙 跳斗
・クリア条件 白夜叉にダメージを与える。
・敗北条件 降参した場合のみ。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、
ギフトゲームを開催します。
“サウザンドアイズ”印』
「・・・あれ?俺、決闘って言ったっけ」
「勘違いするでない。私からは攻撃せんよ」
あくまで殊牙の実力を測るため、と言い切る。
「そうか・・・なら始めるか」
殊牙は銃を構え、
ドンッ!
と音を立てて白夜叉に肉薄する殊牙。そのまま殊牙は白夜叉の顔に蹴りを入れようとする。
しかし、
「チィッ!」
躱されてしまう。殊牙は白夜叉の前でしゃがむと
「!」
殊牙の後ろから銃弾が飛んでくる。先ほどの突撃するタイミングと同時に撃っていたようだ。
しかしそれも白夜叉が持っていた扇によって防がれる。
「——!」
殊牙は弾かれた銃弾に向けて弾を放った。
白夜叉の視線が一瞬、ほんの一瞬外れた瞬間に殊牙は距離をとる。
「ふう」
殊牙は一息つく。
「どうした?もう終わりか?」
白夜叉が殊牙を挑発する。
「切り札・・・切るか」
殊牙は水色の銃弾を取り出し銃に込める。
「・・・」
殊牙は無言で白夜叉に銃身を向ける。そして
パァン!と音を立てて銃弾が発射された。
白夜叉は先ほどと同じように扇で弾こうとするが
「何ッ!」
銃弾を受け止めた扇が凍ってしまった
白夜叉が驚いた瞬間に肉薄し、白夜叉の無防備な脇腹に蹴りを入れる。
「ぐっ!」
無事に殊牙は白夜叉に一撃を決めることができたのだった。
殊牙が銃を直していると白夜叉がやって来て、
「いやはや、予想外の一撃だったぞ。おんしの能力は氷関係のものか?」
「・・・さあな」
殊牙は白夜叉の質問をはぐらかし黒ウサギたちの元に向かっていった。
「ふむ、まあ対戦相手だった相手にギフトを伝えるのが怖いか。で、黒ウサギはなんのためにここを訪ねてきたのだ?」
「ギフトの鑑定をお願いしようかと」
黒ウサギの言葉に白夜叉は気まずそうな顔をする。
「よりによってギフト鑑定ときたか。専門外どころがまったくの無関係もいいとこなのだが」
「ならいい」
殊牙は断るが、
「いや、何にしても“主催者”として、星霊として、試練をクリアしたおんしらには“恩恵”を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝としては丁度良かろう」
白夜叉がパンパン、と柏手を打つと四人の前に光輝くカードが現れた。そこには
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜
ギフトネーム“
ワインレッドのカードに久遠飛鳥
ギフトネーム“
パールエメラルドのカードに春日部耀
ギフトネーム“
真っ白なカードが殊牙の前に。
それらを見た黒ウサギが驚いたように
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「・・・」
「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が合ってるのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「だからなんで適当に聞き流すんですか?あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」
「そのギフトカードは、正式名称“ラプラスの紙片”、即ち全知の力の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定はできなくともそれを見れば大体のギフトは分かるはずだ」
「へえ?じゃあ俺のはレアケースってわけだ?」
ん?と白夜叉が十六夜のカードを覗き込む。
そこには確かに“正体不明”の文字が刻まれている。ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉の表情は劇的に変化した。
「“正体不明”だと・・・?いいやありえん、全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」
「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」
パシッと白夜叉からギフトカードを取り上げる。だが白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。
「で殊牙はどんなんだったんだ?」
十六夜が殊牙に近づいていくと殊牙はギフトカードを懐にしまい、
「さあな」
と言って銃の手入れをし始めた。
「さあな、ってお前な」
殊牙は言わなかったのではない。言えなかったのだ。何故なら殊牙が貰ったギフトカードにはなにも書かれていなかったのだから・・・。
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