のほほ~んとダンジョンに行くのは間違っているだろうか   作:takubon

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 相変わらずのゆるゆるですはい


十一話 のほほんとふらりと

「ふぁぁぁ~・・・・・んむ、ねむねむだねぇ」

『なんだ、昨日は眠れなかったのか?』

「うんとね、みんなに遅くまでもふもふされちゃって~。あとでるるん、今日はちょっと臭うよぉ?」

『どっかの誰かさんが、食糧庫のニンニクの傍に置いてったお蔭でな・・・・・んで、さっきの話詳しく』

 

 ロキ・ファミリアの宴会があった翌朝、デルフリンガーを背中に背負った本音はあくびを噛みしめながら、多くの人で溢れるメインストリートを歩いていた。

 都市の中央にそびえ立つ白亜の塔に向かう中、道沿いでは開店の準備をしていたり、早速営業を開始している売店の者達が道行く冒険者達に元気よく声を掛けている。

 

「それでね~、クロにゃんったら私のお尻をずっと触ってて、りゅんりゅんに成敗されたの。それでそれで───」

『あぁー、食糧庫まで響いて来たあの音の正体はそれか』

「────その後ぐったりしちゃったクロにゃんを、シルルンが後ろから抱っこのまま海老ぞりで頭から床に・・・・・」

『え”っ、ちょっと待てっ』

 

 卑猥から物騒なものまで。随分幅のある会話をしつつも、辿り着いた摩天楼(バベル)周辺の広場には、各メインストリートから集まって来た冒険者達が、最後の荷物や武器の確認をしていた。

 人々の合間を縫う様に躱し、摩天楼の中に入って行く――――途中、上から感じた視線に朝の挨拶をするのも忘れずに。

 

 魔石で動くエレベーターに乗って上へと昇り、目的の階で降りるとそこは豪華な装飾がされたフロアだった。

 通路の左右にあるショーウィンドーには、素人目に見ても性能が高いと分かる武具の数々が煌びやかに飾られており、その傍にはいくつもの並んだ数字の記されたプレートが。中には普通に家や、オラリオ一等地でお屋敷が買えてしまう様なものもある。

 

 そんな武具達を軽く眺めながら、本音は目的地である主神のいる部屋へと鼻歌交じりに向かう。

 

『・・・・・相棒、こっちじゃなくてさっきの所を左だ』

「およよ? 場所変わったんだねぇ」

『最初から全く変わってねぇって』

「ありゃ・・・・?」

 

 ・・・・・。まぁ、本音だから

 

 

 ○ ● ○ :*:・。,☆゚’・:*:・。ヽ( ´∀`)ノ

 

 

 ~執務室~

 

「あら、本音じゃない。また朝帰り?」

「うん、そうだよぉ~。シルルン達が中々寝かせてくれなくって~」

「そうなの、若いからってあんまりやり過ぎちゃダメよ?健康に良くないから」

「はーい」

『オメェ等紛らわしい会話やめい。人が聞いたら勘違いするだろうが』

「「なにが?」」

『相棒はしゃーないが、おめぇさんは絶対分かっててやってるだろ』

「あら、今日は随分と辛辣な物言いね。機嫌悪いの?」

 

 ふふっ、と上品に、それでいて小悪魔チックな微笑みを浮かべるヘファイストスに、デルフリンガーは「にんにくのせいでな」と返して小さく嘆息する。

 

「それで本音、前に私が言った事覚えてるかしら?」

「ぅん?・・・・・あぁっ、『貴方の傍にいさせて』の続編ならまだ売られてないよぉ?」

 

 本音が言う『貴方の傍にいさせて』とは、この迷宮都市オラリオだけでなく世界中の女性達の間で人気の恋愛小説だ。

 内容は主人公の冒険者である少女が、他のファミリアの少年に恋している姿を時に甘酸っぱく、時に笑いあり、時に悲しく切ないというもので、発行からもうすぐ十年を迎えるロングセラーの大名作となっている。

 ちなみに最新刊では、強大な敵を前に傷つき、力尽きようとする彼に止めを刺そうとする一撃を、主人公がその身を挺して庇った所で終わっている。

 ヘファイストス同様、気になる方は来週近くの書店まで★

 

「そ、そっちじゃなくて、神の宴の方よ。ほら、御者のお願いをしていたでしょ?」

「あぁー。うん、ちゃんと覚えてるよぉ~。確か今日だったよね?」

「そうそう、それでいつもの時間に馬車をこの下に回してくれるかしら?もしかしたらちょっと待ってもらう事になるかもしれないけど」

「おっけーい、おまかせあれ~」

『恋愛小説・・・・・乙女・・・・・ぶふぅ!? だ、ダメだ、我慢出来ねぇ! ぶっわはははははッ!?』

「・・・・・本音、今日は他にも用事があるんでしょ?私がちょっと阿羅(あら)っておくから、行ってきなさいな」

『ふぁっ!? 字が違うぅ!?』

「おぉ~、わかったぁ。じゃぁでるるん、ファイたん様、また後でねぇ~(^_-)-☆」

 

 ひらひらと手を振った本音は、デルフリンガーを置いてそのまま執務室を出て行く。本音はとても空気の読める子なのだ。

 

『え、ま、待ってくれ、ください相棒!俺を置いて行かないで!?ねぇ!お願いだからぁッ!!』

「さぁて、デルフ?さっきの事についてちょーっとオハナシしましょうか?その後は誰かに頼んで・・・トロールかミノタウロスの臀部に刺してもらうかしら♪」

『───────────』

 

 その日、バベル全体に響く程の悲鳴が聞こえ、多くの者を震え上がらせたそうな。

 

 

 ◇ ◆ ◇ ♪~~ヾ(*・ω・)ノ

 

 

「ふん、ふふ~ん♪らんらんらん♪」

 

 バベルを出た本音。るんるん♪ と上機嫌にスキップしながら、大分賑やかになってきたメインストリートを進む。

 やがて人の多いメインストリートから外れ、細い道をいくつも経由し、慣れた足取りで奥へ奥へと進んでいくと、目的地が姿を現した。

 

「着いたー」

 

 本音が立ち止まったのは、居住区から少し外れた場所にある小さな教会の前。

 朝の澄んだ空気と、日光に照らされるその教会は、壁や屋根に多少罅やクスミが入っているものの、つい最近修繕した所もみられる等それなりに綺麗にされており、神聖な雰囲気を漂わせていた。

 

「おじゃましま~す! ティアっちー、いるー?」 

 

 木製の扉を開けて中に入った本音が声を掛けるも、ステンドグラスの光が降り注ぐ教会内は静けさに包まれていて、人の気配は感じられない。

 不思議に思った本音が祭壇横の扉から地下の居住部屋へ降りてみるも、そこにも誰もいなかった。

 

「ありゃりゃー、ティアっち留守なのかぁ・・・・・うー、でもあのティアっちが朝早くからどこに行ったのかなぁ?」

 

 本音が思い起こすのは会いに来た神物(じんぶつ)である女神の事。

 主神であるヘファイストスの神友という事と、天界から地上に降りて来て間もないという事から、ファミリアに居候していた彼女だったが、日を追に酷くなっていくあまりの怠惰ぶりにとうとうヘファイストスの堪忍袋の緒が切れ、追い出されてしまったのだ。

 しかし、流石に身一つで投げ出す事は可哀想だった為、いくらかのお金と働き口の紹介、そしてファミリアが所有するこの小さな教会を住処として貸し与えたという経緯がある。

 それを手配する様に命じた自分の主神は、なんだかんだ言ってはいるがこうした世話を焼く等、彼女の事を人一倍気にかけていて、時折様子を見に行って報告するように遠回しに言われていた。でるるん曰く、ツンデレ乙。

 まぁ、ここ一か月程は本音自身も仕事が忙しかったり、遠征があったのでそれも無理だったのだが。

 

 ともかく、留守ではどうしようもないのでまた後日尋ねるという書置きを残し、本音は教会を出た。

 

「えぇっと、次はー・・・・・おぉ、思い出した。ミアハ様とナァーなんの所だったね。昨日の事も伝えてあげなくっちゃねぇ~」

 

 喜んでくれるかな~?と笑みを浮かべながら、次なる目的地に向かって再び歩き出した。

 

 

 ◆ ◇ ◆  ○=(○≧ω≦)ノ

 

 

「────と、いう訳で【やる気元気いっぱい君】の買い手がまた増えたんだよぉ~。親方もとっても喜んでて、注文したいって言ってくれたの~」

「そっか・・・・・ありがとうね、本音」

 

 所変わって、先程の教会と同じく入り組んだ小道の奥にひっそりと開いている、小さな店。その店頭のカウンターで本音は、店番をしている眠たげな眼差しの犬人(シアン・スロープ)の少女に、嬉しそうに身振り手振りを交えて報告を行っていた。

 

 五体満足の人の体が記されたエンブレムを掲げるこの店こそが、回復薬などを専門に営んでいる【ミアハ・ファミリア】のホームだ。

 今のファミリアからは想像も出来ないが、かつてはアミッドが所属している【ディアンケヒト・ファミリア】と並ぶほどの規模を誇っていた。しかし、とある事情によりその規模を縮小するほどの借金を抱え、現在では犬人の少女───ナァーザ・エリスイスがただ一人の団員となってしまった。

 そんな現状と膨大な借金をなんとかする為にも、日々新しい新薬の開発に勤しんでおり、今回の【やる気元気いっぱい君】もその一つだ。ちなみに、命名は本音だったりする。

 

「やっぱり、ミアハ様とナァーなんの作るお薬はすごいよね~。それに、今ナァーなんが新しく作ってるお薬も完成したら、きっとみんながたくさん買いに来る事間違いなしだよ~」

「・・・・・本音、それはちょっと違う」

「うゅ?」

 

 思っていたのと違った言葉が返って来た事に本音は首を傾げた。

 なにが違うのかなぁ? と思っていると、本音に少し似た眠たげな垂れ目に、真剣な色を灯したナァーザが口を開く。

 

「あの薬は、私やミアハ様だけで作ったんじゃない。本音の協力がなかったら、出来なかった。だから、本音も一緒に作ったのも同義」

「ナァーなんっ・・・・・」

 

 ナァーザの言葉に瞳をうるわせ感激した様子の本音。そんな本音に小さく笑みを浮かべたナァーザは、袖から数本の液体の入った瓶を取り出した。

 

「・・・という訳で、そのお礼に今ならいつもより安くしとくよ?」

「ミ( ノ_ _)ノ=3 ズコ!ズコー」

 

 まさかの返しに盛大にこける本音。冗談、と言うナァーザだったが、中々お茶目が効いていた。流石の本音もビックリな程だ。

 起き上がった本音は少し頬を膨らませ「私、不服気です」というポーズだったが、お詫びにハイ・ポーションをいくつかと、禁止令が解けたら一品スイーツを奢るという約束で一気に上機嫌になった。割合的には1:9と言った所か。のほほんめっちゃチョロイ。そしてここでも禁止令が知られている件について。

 

 それから軽く話した本音はナァーザに別れを告げ、次なる目的地へと向かう事に。天下ののほほんこと本音は、何気に忙しいのだった。

 

 

 ◇!ステップ!ジャンプ!⌒v⌒v⌒v⌒ミ(ノ´∀`)ノ♪◇

 

 

 時は流れ夕方。摩天楼にはダンジョンから戻って来た冒険者達の姿が多く見られるが、その冒険者達が出入りする丁度裏側には豪華な装飾がなされた箱馬車が何台が止まっている。その内一つには、本音が御者として己が主神の到着を待っていた。

 

 この白亜の摩天楼には、ギルドの公共施設や換金所、ヘファイストス・ファミリアの店舗等の上にオラリオでも有数のファミリアの神々が住み着いている「神様達の領域(プライベートルーム)」となっている。その神達が出入り専用の通路が、この裏側だ。

 余談だが、本音達の主神であるヘファイストスも、一応ここに部屋を持ってはいる。けれど、殆ど利用はしていなかったりする。なんでも本人曰く、質素な生活に慣れた為、豪華すぎて落ち着かないとか。

 

 ちなみに今の本音の服装は普段のものと違い、和服、もとい巫女の様な衣装(簪・作)に身を包んでいた。丁度死角に位置する場所に立っていなければちょっとした騒ぎになっていたかもしれない。そして袖が余るのはご愛嬌。

 

「今日もよろしくね~シューちゃん」

「ブルルル・・・・・」

「わわっ、くすぐったいよぉ~」

 

 思いのほかヘファイストスが遅れている様で、本音は愛馬、というよりは友達である引馬と戯れていた。ちなみに、シューちゃんという名は、体の色がシュークリームと同じ色だからとか。

 そうこうしている内に、日は西の城壁に隠れていき、摩天楼の下で待っている馬車は本音達だけとなる。比較的暖かい季節と言えども、日が落ちればそれなりに肌寒い。シューに身を寄せ暖を取りつつもまだかな~? と待ち人ならぬ待ち神を思っていた丁度その時、その神物が若干小走り気味に本音達の前に姿を現した。

 

「―――ごめんなさい本音。大分待たせちゃったわね」

「うーうん、私も今来た所だよ~。なんちゃって(。・ ω<)ゞテヘ☆」

 

 本音の気遣いに小さく微笑みを浮かべるヘファイストス。今の彼女はいつもの男装の麗人という恰好とは違い、その髪や瞳と同じく真紅いドレスに身を包んでいた。常人ならば誰もが見惚れてしまう程、美しかった。

 そんな彼女の姿に、本音は心底嬉しそうにはにかんだ。

 

「わぁ~、久しぶりに見たけど、やっぱりドレス姿も綺麗だねぇ~ファイたん様」

「ふふっ、ありがとう。でも、おだてても何も出ないわよ?」

 

 口元に指を添え、上品に笑うヘファイストスに「これが見れたから十分だよぉ」と返す本音。

 こやつ、意外とやりよる。

 

────あら、まるで恋人同士みたいなやり取りね。妬けちゃうわ

 

 まるで音色の様な美しい声が聞こえた。見れば、いつの間にか2人の傍にローブに身を包んだ1人の女神がいる。2人だけに見えるようにフードを上げた拍子に輝く銀髪が零れ、それと同時に全てを魅了するオーラと魂までもが痺れる様な甘い香りが漏れ出す。

 

「おりょ? ふっぴー様?」

 

 ふっぴー様と呼ばれたこの女性こそが、迷宮都市オラリオ随一と名高い【ロキ・ファミリア】と双璧を成す【フレイヤ・ファミリア】主神、美の女神フレイヤ。

 近づいて来た事に気が付けなかったのより、本音は彼女がここにいる事の方が少し驚きだった。

 普段、この白亜の塔の最上階から滅多に出てこないフレイヤ。そんな彼女が何故? と頭にいくつもの疑問符を浮かべていると、その様子にクスリと笑った美の女神は、自分も宴に参加するという事と、一緒に馬車で送って欲しいという旨を簡単に伝えると、すぐに快諾した本音。そして元から聞いていたヘファイストスと共に馬車に乗り込んだ。

 

「それじゃぁシューちゃん、レッツゴー♪」

「ヒヒーン」

 

 そして本音の言葉に従って、馬車は目的地へと動き出した。

 

 その途中、白亜の塔から喧しく騒ぐどこぞの剣の悲痛な叫び声が聞こえたような聞こえなかったような。

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ εε(*・ω・)ノ

 

 

「ふぁ~・・・・・にしてもホントに凄い建物っスね。」

 

 すっかり日も暮れてしまった頃、馬車の傍で一人そう呟いた青年、ラウルは異彩を放つ建造物に目を向けた。

 塀に囲まれた広い敷地の中心に、像の頭を持つ巨人像が胡坐をかいてデン、と座っていて、無数の魔石灯でライトアップされている。

 この摩訶不思議なものが今回の宴の会場であり、主催している【ガネーシャ・ファミリア】の本拠なのだから、もう色々と言葉がない。

 なにをとち狂ったか、主神ガネーシャがファミリアの貯金を叩いて作ったらしいが、団員達には同情の念を抱かざるを得ない。ちなみに、出入り口は胡坐をかいた股間の辺りと言う所等、止めを刺しに来ているとしか思えない。

 神の趣味というものはよく分からない。本気で。

 

「ロキ様は今頃宴の最中・・・・・まぁ、パーティーッスから、飲みすぎるって事はないと思うっスけど。介抱するのはホントに大変っスから」

 

 何度か酒に酔ったロキの介抱をした過去を思い出し、深い溜息を吐くラウル。ロキ・ファミリアで1・2を争う程気苦労が絶えないとは誰が言った言葉だったか。下手をしたら次回の二つ名がそれになるんじゃないかと若干心配してたりする。

 

 軽く見渡してみると、待機している自分の他にも、自身の主神の御者を務めている者達が多くいる。会話をして暇を潰している等が殆ど。が、いつもの様に自分の所は周りから若干距離を取られていて、話しかける素振り、というか関わろうとする者はほぼ見えない。

 一体どうしてなのか? それは単純に、ラウルが天下に名高いロキ・ファミリアの者だからだ。

 もし、万が一にも眷属同士が何かトラブルを起こしてしまえば、最悪の場合戦争まで発展してしまう事態になる場合もある。特にそこまで規模が大きくないファミリア等は、ロキ・ファミリアからしてみれば吹けば飛んでしまう為その限りだった。

 

「こういう時、本音がいたら助かるんスけどね~」

 

 などと思っていた時、こちらへ向かって来る一台の馬車が目に入った。見れば、その御者は丁度独り言で出て来た本音だった。

 敷かれたレッドカーペットの前でピタリと馬車が止まり、本音は御者台から降りると扉を開けて手を差し出す。馬車の中から白い二の腕まである手袋に包まれた手が伸ばされ、本音の手を借りて彼の主神・ヘファイストスが降り立った。

 

「はぁぁ、綺麗っすね~・・・・・ロキ様も黙ってれbゲフンゲフン」

 

 感嘆の息と一緒に、つい心の声が表に出てしまって慌てて取り繕うラウル。感のいい主神にバレでもしたら後が怖い。

 と、ラウルは次の瞬間何かを感じて視線を向け、呼吸が止まった。何故ならその視線の先には、圧倒的な『美』が存在していたからだ。

 

 新雪を思わせるような白い肌。金の刺繍が施されたドレスに包まれた体は、黄金律という概念がここから生まれたと言っても過言ではないプロポーションと全てを魅了する色香を漂わせている。

 睫毛は儚く長く、切れ長の瞳は直視されれば立っていられる自信はない。

 どんな人形師や造形師も決して再現する事の出来ない相貌と美貌。

 

 ()()()()()()()()、フレイヤ

 

 ヘファイストスと同じく、本音の手を借りて美の女神がレッドカーペットに降り立った。

 その拍子に長い銀髪が揺れ、ほぅ・・・っと息が漏れる。それは自分だったのかもしれないし、他の者だったのかもしれない。動悸は煩い位に鳴り、思考は女神の事で埋め尽くされていく。

 やがて二言三言話したかと思うとフレイヤは身を少し屈め、本音の頬に口づけを落とした後、呆れた表情のヘファイストスに何か小言を言われながらカーペットの上を歩いて中へ入って行った。

 

「―――‐ぃ、mぉしもーし、ラウルーん!」

「わひゃぁっ!?」

 

 茫然としていた自身の目の前に、急に現れた本音に驚いて変な声を上げてしまった。

 

「ふふふ~、ラウルん「わひゃぁっ!?」だって~(* ´艸`)クスクス」

「あ、いや・・・・・わ、忘れてくださいッス!?」

「えぇー、どうしよっかなぁ~?」

「うぐっ」

 

 珍しく悪戯っぽい笑みを浮かべている本音。だが、そんな彼?のお蔭で先程のふわふわした感覚はなくなっていた。けれど、自分以外はそうではなかったようで、未だに放心したように建物の入り口の方を見続けていた。ここで繰り返すが、出入り口は股間である。少々アレな光景になってしまっていた。

 

「そ、それよりも!なんであのフレイヤ様も一緒だったんスかっ?」

「うにゅ?えっとねぇ、ふっぴー様が「一緒に行こー」って言って「良いよ~」ってなったからかなぁ?」

「すごい軽いっス。で、でも、あの最後のやつはどうなんスかっ?」

「? あぁー、あれはお礼だって~。私チュウされちゃったぁ、きゃっ♡」

「・・・・・なんか、色々とマジで尊敬するッス」

 

 考えただけでも、とても自分じゃ意識を保てそうにない。それなのに目の前で頬に手を添えていやんいやんしている本音はいつもと変わらないままだ。そう言う所は本音らしい、と言えるのだろう。

 

 それから何故か肩を怒らせ絶賛不機嫌、というか泣いて帰って来たロキが帰って来るまで本音と談笑をして時間を潰していたラウルだった。

 

「ラウルー!今日はとことんウチに付き合うんや!もう飲まなやってられんわッ!!あんのドチビめぇぇぇぇ!!」

「・・・・・完全に貧乏くじっス」

 

 デルフリンガーに続く不憫担当は間違いなく彼だろう。頑張れラウル、負けるなラウル。

 

 

 




 次回は神の宴になるのかな?また次回に(^_^)/~
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