のほほ~んとダンジョンに行くのは間違っているだろうか 作:takubon
現在、遠征帰りの【ロキ・ファミリア】+本音達。50層でのイレギュラー撃破後、団長であるフィンの判断により今回は未到達階層の進出を諦め、六日かけて中層17階層まで戻ってきていた
「うぅ・・・か、かんちゃん?」
「・・・ダメ」
「あぅ・・・こ、こるるん」
「ダメだ」
「あぅ~、あぅ~」
「「ダメ」」
「ぁぅ・・・」
二人同時にダメだしをもらい、頭を垂れる本音。まさにショボーン(´;ω;`)という感じだ
「(や、やばいティオネ。落ち込んでるのほほん君が可愛すぎるんだけどっ!なんかあたしの胸がキュンキュンしてるよ!)」
「(落ち着きなさいよティオナ、ってあぁもう揺らすんじゃないわよ!)」
「(・・・・・・はっ、いかんいかん)」
「(リヴェリア様・・・?)」
「はっ、ウルセェ野郎だ」
「・・・撫でたいな」ウズウズ
「「アイズゥ(さん)!?」」
18階層で最後の
イレギュラーとの戦闘での暴挙?によるバツとして、本音には地上に戻ってから一週間のお菓子抜きという判決が下った。この六日間ずっと二人に弁解し、判決の撤回を求めていた本音だったが結局聞き入れてはもらえなかったばかりか、残酷にも遠征に持って来ていたお菓子も没収されてしまったのだ
ちなみに、相棒のデルフリンガーも今回ばかりは味方をしてはくれなかった。一応一番の被害者?であったためだろう。今も本音の背中で寝続けている
そんな中、隣を歩いている荷物を運搬するサポーターのヒューマンの少女リーネに、アイズは運搬の手伝いを申し出るが滅相もないと断られる。幹部であり、第一級冒険者であるアイズに荷物持ちなどさせられないと
そこへベートが割り込む
″そいつ等雑魚に構うな″
″弱ぇ奴等に構うだけ時間の無駄だ、間違っても手を貸すんじゃねぇ″
″精々見下してろ″
典型的な実力主義者の発言だった
「つまりね~リーネン、ローロ―は・・・「例え辛くても、ここでアイズが手伝って楽をする事は
「おい間延び野郎!てめぇなに曲解してやがる!」
「え~、だってそうでしょ?ローローはツンデレさんだからね~」
「だ・れ・が・だゴラァァァァァァ!!」
『ヴォォォォォォォォォォッッ!!』
いつのまにか復活していた本音とローロゲフンゲフン・・・ベートがじゃれ合っていると、通路の向こうから体の芯まで響くような咆哮が響く。次いで姿を現したのは、盛り上がった筋肉の鎧に二本の角をもつ牛頭人体のモンスター、ミノタウロス
「あーぁー、ローローが大きな声出すから集まって来ちゃったよぉ」
「関係ねえだろっ。ちっ、馬鹿みてえに群れやがって」
続々と現したミノタウロス達は広めの空間にいる本音達を取り囲む様に輪を作る。本来ならば下の団員に【経験値】を稼がせる為に第一級冒険者達は戦わないのが【ロキ・ファミリア】の規則だが、今回は数が非常に多い為に第一級冒険者も参戦することになった・・・・・・のだが、予想外の事が起こった
『ヴォォォォォォォォッッ!!』
第一級冒険者達の参戦により、あっという間にミノタウロス達は半数まで殲滅した
『ヴォォォォォォォォッッ!!?』
そしたら残りのミノタウロス達が一斉に逃げ出した
『はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』
これには全員が驚愕した。「ま、待ってよぉミノタン~!」と誰かが声をかけるも、ミノタウロス達は16層に繋がる階段を駆け上がって行ってしまった
「いかん!追え、お前達!」
リヴェリアの号令に固まっていたアイズ達は弾かれたように駆け出す
「遠征の帰りだって言うのに~・・・!」
「あの、私白兵戦は苦手で・・・!?」
「
「待ってぇ~ミノターン!」
「何だその名は・・・」
「・・・さっさと、追う」
追いかけながら次々とミノタウロスを撃破していく一向だが、ミノタウロスは各々出鱈目に逃げ回って散り散りとなる事で追跡を困難にしていった
さらに悲運な事に、ミノタウロス達は上の階層に上がる階段を見つけてドンドン昇って行き一人、また一人追跡隊も散らばっていく
中層を超え、既に上層6階層。ダンジョンは下の階層に行けば行くほどモンスター達も強くなり、逆に上の階層に近い程弱い種類のモンスターしかいない。その為、新米やレベルの低い冒険者の狩り場となっている。そんな所へ中層に出現するミノタウロスが現れようものなら、彼等に太刀打する術はない。被害が及ぶ前に、一刻も早く始末しなければならない
「(どこ・・・!)」
目の前にいた一体を撃破するが、残る一体を見失ってしまったアイズ。乏しい表情の下に焦燥が渦巻く
「あっち!」
「・・・!」
近くにいた本音の後に続いて通路を突き進めば、見覚えのあるミノタウロスの背中が見えた。二人がスピードを上げるも、上層への逃走を許してしまった
5階層に上がって見渡すが姿は見えない。二人揃って耳を澄ますと・・・
『ヴヴォォォォォォォォォォォォォォッ!!』
「ほぁああああああああああああああっ!?」
声が聞こえた
「「っ!」」
二人は一気に駆け出す。聞こえた咆哮を辿って通路を疾走する。そして見た、通路の隅に追い込まれ震えている真っ白な髪の少年に、今にもその剛腕を振り下ろそうとするミノタウロスを
視線の先の光景に向かって更に加速するアイズ。しかし距離が在った為にこのままでは僅かに間に合わない
ヒュンッ
そう思っていたアイズの横を、高速で銀の閃光が通り過ぎて行った
『ヴォ?』
「え?」
呆けた声を上げる少年とモンスター。今まさに振り下ろされそうになっていたその腕が止められた。その訳は腕に深々と突き刺さった銀の閃光の正体であるデルフリンガー。貫通したそれは、ミノタウロスの腕を壁に縫い付けていた。そして動きが止まった事で時間は稼げた
『ヴ、ヴォォォォォォォーーッ!?』
体に次々と入る無数の閃光。間を置いて斬り裂かれ
「流石アイアイ、間一髪だったねぇ」
「ううん、本音のお蔭だよ」
遅れて追いついた本音がホッとした表情を見せる。アイズは剣を仕舞うと座り込んでしまっている少年に目を向ける。呆然とした表情のままピクリとも動かない。真っ白な髪はまともに血飛沫を浴びてしまったお蔭で真っ赤に染まっており、傍から見ると惨劇にしか見えない
「・・・・・・大丈夫ですか?」
「うわぁ、真っ赤っかだぁ。ちょっと待ってて~えっと、ハンカチーハンカチー・・・あれーどこかなぁ?」
アイズが声をかけるも、少年は微動だにしない。本音は血まみれの少年を何とかする為にポケットをまさぐっていた
「あの・・・大丈夫ですか?」
「あっ、あったあったぁ!」
反応のない少年に、少し戸惑った様にもう一度訪ねるアイズ。目当ての物を見つけた本音は少年の近くに膝を着いて血を拭おうとしたところでようやく少年に反応が見えた
「だ・・・」
「「だ?」」
「だぁああああああああああああああああああ!?」
二人が首を傾げた次の瞬間、少年は脱兎の如き勢いで走り去っていってしまった
「・・・」「ふぇ・・・?」
ぽかんと立ちつくしてしまうアイズと、ハンカチを持ったまま固まる本音
「・・・っ、・・・っっ、・・・っくくっ!」
そんな二人の耳に聞こえてくる笑い声。見れば、震えながら腹を抱えるベートが、必死に笑いを堪えている姿が見えた
『・・・・・・んぁ?・・・なんだこの状況?って何で俺は壁に刺さってんだよ!?』
◇ ◆ ◇
「やっと帰って来れたぁ・・・」
最後までアクシデント続きだったが、ようやく帰って来れた一同。迷宮都市オラリオの北部に位置する高層の塔がいくつも重なって出来た館。中央の一番高い塔の頂点には道化師のエンブレムが描かれた旗が揺らめいている
ここが【ロキ・ファミリア】の本拠、黄昏の館
三十人規模の団員達がそれぞれの物資を抱えて門の前に到着すると、門番の二人が彼らに敬礼を送った。そしてフィンの言葉に門が開けられると、真っ先に飛び出してくる者があった
「おっかえりぃいいいいいいいいいっ!みんな無事やったかー!?うぉーっ、寂しかったでー!」
朱色の髪を揺らしながら走って来る一人の女性は、男性陣には目もくれずアイズ達女性陣の元に真っ直ぐに向かって来る
「へい、ロキりん!かも~ん!」
「っ!よっしゃぁー!」
と、途中で進路を変えて呼びかけられた方、本音へと飛びついた。抱き付いた勢いでクルクルと回った後、二人そろって倒れ込む
「ロキりん久しぶりだね~」
「のほほんも元気そうで何よりやわぁ。んー、にしても相変わらず抱き心地最高やな~。ぐへへ・・・」
「わー、もうっ、ロキりんのえっちぃ」
「ぐほらっ!?・・・~~~っ、のほほん可愛すぎやろぉぉぉぉ!?」
恥ずかしそうに袖で顔を隠す本音に、吐血し天を仰ぐ。本音にロキりんと呼ばれた朱色の髪の女性こそが、天界から刺激を求めて下界に降りてきた気まぐれな超越存在の神の一人であり、フィン達と契りを交わしたファミリアの主神だ。糸目は弓なりに曲り、神特有の整った顔立ちと雰囲気を漂わせているが、今の鼻息荒く、厭らしく歪んだ顔が台無しにしている
そんな二人に団長のフィンが歩み寄った
「ロキ、今回の遠征で犠牲者は無しだよ。訳あって到達階層も増やせなかったけどね、詳細は後程説明するよ」
「すぅ、はぁー・・・了解や。お帰りぃ、フィン」
「あぁ、ただいまロキ」
大きく深呼吸を取ったロキはフィンを含め、自分の
帰還した団員達から荷物を受け取る居残り組の団員達からお帰りなさいと声をかけられ、何故か違うファミリアの本音も普通に迎え入れられていた
館の中に入ると女性陣達から入浴を済ませるように指示され、暗黙の内にアイズやティオナ達に先を譲られる
「お風呂やー!皆の背中流したるでぇー!。ぐふふふ、アイズたんの柔肌を蹂躙し放題やーッ!!」
『・・・・・・』
手をワキワキと動かし、厭らしい顔でテンション全快のロキに、嫌な顔を隠せないティオナ達。あまり表情の変わらないアイズも嫌そうな雰囲気を漂わせている
ロキは女性だが、美少女美女好きというオヤジの様な嗜好の持ち主なのだ。その為、ファミリアには女性団員の割合が高い
「おっとぉ、そうはさせないぜぃロキりん。何故なら私がここに来たのはロキりんへの報告よりも、アイアイ達のお風呂の邪魔をさせないようにするためなのだ~」
「な、なんやてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
アイズ達とロキの間に割り込んだ本音の言葉に、ロキが驚愕の悲鳴を上げる
「な、なんでそないな事に・・・はっ!ま、まさか!?」
バッと視線を向ければ、先ほどとは違いどこか勝ち誇った様な笑みを浮かべている女性陣が
「そのまさかなのだぁ~」
「私達がのほほん君に頼んだのよ」
「最後まで色々あって結構疲れたしねー」
『うんうん』
「ああああああ、アイズさんのお背中は私がやりますのでっ!!」
「?別に、大丈夫だよ?」
「と、いう訳でロキりんは私に任せて皆はいってらっしゃーい」
「は、離してぇぇぇぇぇ!うちも一緒にお風呂入るんやぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
「はぁ・・・全く、こいつは」
ロキの絶叫とリヴェリアの呆れる呟きをBGMに、アイズ達はさっさと浴室へと向かって行った。神ロキ、敬う要素皆無だった
次回は【ステイタス】発表だ~。でも名前決まってなーい(;´д⊂)