のほほ~んとダンジョンに行くのは間違っているだろうか 作:takubon
自分プロセットなんて作った事がなくって毎回思い付きと勢いですから(;^ω^)
迷宮都市オラリオには、ダンジョンの管理機関『ギルド』と呼ばれる組織がある。ダンジョンとそれに関わる全ての管理を一手に担うギルドは、冒険者登録・魔石の換金・ダンジョンの知識情報の公開など、冒険者達にとっては必要不可欠な所だ
都市にある八本のメインストリートの一つ、北西のメインストリートは通称『冒険者通り』とも呼ばれ、白い柱で作られた万神殿の様なギルドの本部もこの道沿いに建てられている
多くの冒険者で溢れ返るこの場所も時間帯故なのか、今はまばらにしかいない
「エイナさん大好きーッ!」
「えうっ!?」
「ありがとーーッ!」
そんなギルドから恥ずかし気な言葉と共に飛び出す少年と、言われて顔を赤くさせる女性の姿があった。少年の方はそのまま雑踏へと走り去っていく
「もう・・・ちょっと、甘かったかな?ひゃぁ!?」
「だーれだ?」
突然視界が真っ暗になり、小さく悲鳴を漏らす女性。が、自身の傍で問いかけるその声を聞いて苦笑と共に落ち着きを取り戻す
「お帰り、のほほん君」
「ただいまぁチュールん!」
パッと視界が戻り振り向けばいつものニコニコ笑顔の本音がそこにいた
本音に目隠しをされた女性はギルドの窓口受付嬢、エイナ・チュール。ほっそりと尖った耳と眼鏡の奥の澄んだエメラルド色の瞳にセミロングのブラウンの髪を持ち、ギルドの制服に身を包んだエルフとヒューマンのハーフの彼女は、本音の担当アドバイザーでもある
先程まで自分が使っていたロビーの小さな個室に本音を伴ってテーブルを挟む形で座ると、エイナから口を開く
「まずは遠征お疲れ様、無事で何よりだよ」
「ありがとーチュールん。私も他の皆も元気いっぱいだよぉ、ぶいぶい~!」
腕をぶんぶんと振って、体全体で表現する様にエイナの頬も緩む。本音はエイナが初めて担当した冒険者で、結構な付き合いがあり、かなり親密な関係と言っていいだろう。エイナ自身が世話焼きな性格で、いつものほほんとしている本音の事を人一倍ほっとなかった事もあり、そんな二人の姿を姉妹に見られる事も多かった・・・まぁ、今も結構はらはらとさせる事が後を絶えなかったりするが
「あっ、そうだチュールん。私、チュールんにちょっと聞きたい事があるの・・・」
「ん?どうしたの?」
さっきまでの元気な様子と違い、少ししおらしく聞いて来る本音。無意識に保護欲と母性を全力で擽ってくる本音に、内心の悶えを表に出さずに答えられた自分をちょっと褒めたいエイナだった
「えっとね、さっきチュールんと話してた兎君なんだけどね・・・」
兎君と聞いて真っ先に思い浮かぶのは半月まえから担当している新米冒険者のベル・クラネルだった。紅い瞳に真っ白な髪のまさに兎を連想させる少年は、夢見がちでおとなしい顔をしている割に無茶をするという、つい最近できたのエイナの悩みの種の一つだった
本音の話によると、今日のミノタウロスの一件は遠征帰りだった本音達が関わっており、最後の一体を撃破した、つまりベル・クラネルを救ったのがアイズ・ヴァレンシュタインと本音だったそうで、声をかけたら脱兎の勢いで逃げられてしまったそうだ。助けた相手に悲鳴を上げられ全力逃亡されるなど初めてで、かなり落ち込みながら説明する本音を抱きしめたい衝動を何とか押し込める。ホントに凄い
「チュールん・・・私、怖かったのかなぁ」
「そ、そんな事はないと思うよっ」
しょんぼりしながら聞いて来る本音に、そろそろ自制心が限界に達して来ているエイナは若干上擦りながらも何とか言葉を絞り出す事に成功した。彼女の中ではそんな自分に対する拍手喝采のBGMが流れる
「ベル君は別にのほほん君やヴァレンシュタイン氏の事が怖くて逃げだしたんじゃなくて、ミノタウロスに追いかけ回された恐怖と緊張が、助かった安堵で一気に溢れてごちゃごちゃで訳が分からなくなっちゃっただけだよ。その証拠にベル君も助けられた事にとっても感謝してたから」
「・・・ほんとう?」
「ホントホント!」
本当はアイズの情報などを聞かれたりだったが、言葉の節々から感謝の思いも感じられたので嘘は言っていない。というかベルはあの時アイズの事しか目に入ってなかったりする
「・・・そっかぁ、良かったぁ。でも危ない目に合わせちゃったのは私達のせいだから、ちゃんと謝りに行かなきゃね」
いつもの明るい表情を見せる本音。さて、そろそろ我慢の限界が近いようだ。準備はいいか?
「ありがとうねチュールん。えへへ、私もチュールん大好きだよぉー!」
パァン!?
既に臨界状態だったエイナの自制心は本音の
それからかなり時間が経った後、正気に戻ったエイナは膝に乗る本音の頭を撫でている自分の行為にその白い肌を一気に真っ赤に染め、ここが防音性の個室だったことに安堵するのだった
・・・その前には抱きついたり、赤ちゃん語で話しかけたりとしている事を知っているのは、された本音しか知らない
◇ ◆ ◇
「あぅ~、結構時間かかっちゃったなぁ」
エイナから解放され本音は、すっかり日も暮れたメインストリートを歩いていた。足取りは疲れているからなのか、少しよたよたとしていて覚束ない。そして辿り着いたのは今いる北西のメインストリート沿いにある一つのお店。道路に面したショーウィンドウには素人目に見ても一級品と分かる武器が並べられており、店の大きな看板にはファミリアのロゴである【Hφαιστοs】の文字書かれていた
この武具店こそが、本音の所属する【ヘファイストス・ファミリア】の本拠兼本店だ。店仕舞をしている団員達に挨拶をし、本音は奥の方へと進んで行く
「ファイたん様、ただいまぁ~」
立派な装飾がされた扉を開ければそこは執務室で、奥にある机の向こうには一人の女性がいた。まず目に入ったのは鮮やかな赤い髪。部屋の明かりを浴びて輝くその髪はとても綺麗だった。次いで目に入るのは右目を隠すのには大きめの黒い眼帯。反対の目は髪と同じ色をしており、若干呆れの色が入った視線を本音に向けて来る
「ノック位しなさい本音」
「ごめんなさーい」
あっさりと謝る本音に、苦笑を零すヘファイストス。彼女は鍛冶の神として追随を許さない程の腕前を持ち、そのファミリアの生み出す数々のヘファイストス・ブランドの武具は冒険者達からの信頼が高い
「随分遅かったじゃない。何かあったの?」
「うんとね、アイアイ達に頼まれてロキりんを足止めして、チュールんに質問をしたらちょっと前までギュッってされてナデナデされてた~」
「相変わらずの理由だった訳か・・・」
はぁ、と今度は大きく嘆息する。本音はファミリアに入った時から変わらないなぁ、と同時に
「あ、それと椿と簪から聞いたわよ。また随分とやらかしたみたいね」
「うぇ!?ち、違うんだよぉ~。私は皆に安心してもらう為に・・・
「でも、それ以外にも理由があるのよね?」
・・・あい、ちょっとはしゃいじゃいました」
「なら、罰則を受けても当然よね?」
「おっしゃる通りですぅ・・・」
でも一週間もお菓子抜きなんて・・・私死んじゃうよぉ、と執務机に突っ伏す本音。オラリオでも有名なお菓子大好きっ子の本音が一週間もお菓子を食べられないと本当にそうなりそうな気がして来たヘファイストスだった。しかしそこで妙案を思いついた。落ち込んでいる本音に、彼女は魔法の言葉をささやいた
「でも本音、一週間お菓子抜きっていう事は一週間過ぎれば思う存分食べられるって事じゃないかしら?」
「思う、存分・・・?」
おっ、反応あり。ピクリと肩を揺らしたその姿を見て、笑みが浮かぶのを自覚しながら更に続ける
「そうよ、思う存分。どんなものでも好きな放題食べられるのよ。しかも、一週間ぶりに食べるお菓子と言ったら普段の何倍も美味しく感じるんじゃないかしら?それこそ今まで本音が食べてきたどんなお菓子よりも」
「今までで、一番・・・いつもの何倍も・・・」
自分の言葉を反復し、その事を想像しているのだろうか?未だ突っ伏したままだが、声にはしっかりとした力が込められている様に聞こえた
「わかった!私、一週間お菓子我慢するね!」
「そう。ならしっかりと頑張りなさい」
「うぃ!」
バッと顔を上げ、無駄に真剣な顔で宣言する本音。務めて普通に返したヘファイストスだったが、内心ではあまりにもわかりやすく素直な子供の様な本音に声を上げて笑ってしまいたい程だった
「さっ、じゃぁあなたも【ステイタス】の更新をしちゃいましょうか。そこの台にうつ伏せになってちょうだい」
「あいあいさぁ~。あっ、ファイたん様脱ぐの手伝ってぇ~」
「はいはい、じゃぁバンザイして」
「ばんざぁ~い」
ポンチョの様に頭から被るタイプの服を脱がすのを手伝うヘファイストス。もし第三者がこの場にいたのなら、子供の世話をしている母親に見えていた事だろう
スポンッと服が脱げると、本音の上半身が露わになる。一応、多分、恐らく男性であるはずの本音の体は線が細く、肌も白くきめ細やかで一見すると少女にしか見えない
「きゃぁー、ファイたん様に脱がされちゃった♪」
「はいはい、それと毎度言ってるけどそれ絶対に他の誰かにしちゃダメよ。大変な事になるから」
さらに、体を隠す様に腕で体を抱くその姿は完全に男性には見えないといっていいだろう。そしてヘファイストスが危惧する表情は何故かかなり真剣なものだった
「だいじょーぶ、私が肌を許すのはファイたん様達だけだから~」
「その台詞でどれだけの神が暴走した事か、はぁ・・・さ、そこの台に寝てちょうだい」
過去にあった事件を思い出し頭痛がした頭を押さえ台座に本音を寝かすと、持ち出した針を自らの指の腹に刺した。ぷっくりと浮き出した赤い血を本音の背中に垂らすと弾け、光の波紋が広がっていく。そして何も描かれていなかった背中に交差する2本の槌に火山のエンブレムとびっしりと
人々はファミリアに入る事でそのファミリアの神から『
やがて【ステイタス】の更新が終わると、用紙に
「出来たわよ、はい」
「おー、おー?おぉ~」
「よくわからない反応ね。まぁ、分かるけど」
渡された用紙に記された本音の【ステイタス】は───
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のほとけ・本音
Lv.4
力:A849→853
耐久:C623→624
器用:S998→???
敏捷:S992→???
魔力:E436→436
【のほほん】:SSS+
【鍛冶補佐】:G
【耐異常】:G
《魔法》
【真名解放】
・詠唱例文
《あなたの本当の名。其は___》
《スキル》
【情愛】
・自身の近くにいる者の精神力(マインド)を自動回復
・触れている、または密着していると効果上昇
【ポケットビスケット】
・着衣しているポケットに収納出来る数・量の増加
・自分より大きな物はポケットに一つまで収納可能
【
・武器を装備する事によりステイタスの上方補正
・特定の武器により効果上昇
・ステイタスの限界突破可能
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「まぁ、伸びはいつもと変わらないわね。というか器用と敏捷はとうとう限界突破したけど」
「ん~・・・?」
「本音?どうかしたの?」
「ううん、気のせいだったみた~い。あっ、そろそろかんちゃん達の所に行かなきゃだねー」
着替え終えて【ステイタス】の用紙をポケットに仕舞うと、本音はヘファイストスに抱き付いてお礼と挨拶を述べて部屋を出て行った。その姿を見送ると、ヘファイストスは椅子に深く腰掛け、天井を仰いだ
「やっぱり鋭いわね、あの子は」
ヘファイストスは先程見た本音の【ステイタス】を思い出す。用紙にも記されておらず、まだ【ステイタス】にも反映していない発現した新しいスキル。恐らく、いや絶対そうだろう。本音の
「一体何よ、【お菓子渇望】って・・・」
あまりにも本音らしいスキルに頭痛がして来た頭を抱えるヘファイストス。頭痛薬か、癒しの為に本音を抱きしめたい気持ちになる女神がここにいた
「はっ!チュールんにどこのファミリアか聞くの忘れてた」
そしてやっぱり本音は本音だった
ちょこっとプロフィール
のほとけ・本音
種族・ヒューマン
年齢・15歳
性別・のほほん君♪
出身・極東
【お菓子渇望】ステイタスに加えるか否か・・・うーん、どうしようかな?次回更新日未定!