のほほ~んとダンジョンに行くのは間違っているだろうか   作:takubon

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 ゆるゆるのほほんとな


第九話 のほほんと酒場でご褒美

 

 

 流石に先程の様に一〇〇〇万ヴァリスとまではいかないもののそれなりの額を鑑定され、遠征で消費した回復薬とその差額の代金と取引された。ちゃっかり禁止令が終わったら一緒にスイーツを食べに行こうという約束も一緒に。嬉しそうに微笑んだアミッドが印象的だった

 

「またのお越しをお待ちしております」

「またね~アミアミ~!」

 

 店を後にしたアイズ達一向は、メインストリートを歩きながら先ほどの事とこれからの事について話し合う・・・前に先程の事についてティオナがティオネに不満を漏らす

 

「もー、のほほん君のお蔭で最後はいい感じに終わったけど、やり過ぎだってティオネー」

「これくらい貰っておかないと割に合わないわよ。アミッドだってわかってるわ」

「でも、アミッドさんが知らない所でまた厄介なクエストを依頼してくるかもしれませんよ?」

「うわっ、それありそう!あそこの神様が腹いせにー!とか言って」

「じゃぁ私から止めるように言っておくねぇ~。それなら大丈夫でしょぉ?」

「「「流石のほほん君!・さん!私達に出来ない事を平然とやってのける!」」」

「え、えっと・・・(憧れる、痺れる)・・・」

「「「「お、おぉっ!!」」」」

 

 恥ずかしそうにぼそぼそと小さな声だったが、ステイタスにより強化された聴覚によりはっきりと4人の耳に入っていた

 

「あ、あのアイズが・・・!」

「これは・・・驚いたわ」

「あ、アイズさんがっ、自らネタを・・・!」

「アイアイ、ハイタッチハイタッチ!」

「えっと、う、うん」

 

 パチンッ!と元気よくハイタッチをするアイズと本音。ニコニコ笑顔の本音に対し、アイズは恥ずかしさから頬が赤い

 

「「「(ジーン)」」」

『娘っ子3人はなんでそんなに感動したみたいな空気になってんだよ・・・』

 

 若干不思議な空気になった後、一同は報酬を本拠に持ち帰る組と武器の整備をする組に分かれる事に

 

「じゃぁ、行くわよレフィーヤ」

「あ、はい。それじゃぁ皆さん、また後で」

「うぃ!2人も後でね~」

 

 万能薬(エリクサー)と金袋を抱えるティオネとレフィーヤを見送った残る3人と剣は、目的地に向かう事に

 

「あはは、こういうの久しぶりだなー。なんか楽しくなるね」  

「でしょでしょ~?アイアイも楽しい~?」

「・・・うん」

 

 3人仲良く手を繋いで

 

 

 

 

 

 

「そうだ、ちなみにさっきのアイアイのね、しびれるーあこがれるーが正解だよぉ?」

「あっ、それは私も思った」

「っ!」ガーン

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ 

 

 

「「着いたー」」「たー」

 

 3人がやって来たのは北と北西のメインストリートに挟まれた区画にある石造りの平屋だった

 路地裏の深くという事もあって、道も複雑で人通りも少なく、華やかな大通り沿いとは真逆だ

 いい聞こえで言えば知る人ぞ知る、有り体に言うと陰湿と言った所か

 

 扉の横に飾られているエンブレムには、3つの(つち)が刻まれているこの場所こそが【ゴブニュ・ファミリア】のホーム

 本音の所属する【ヘファイストス・ファミリア】と同じく、鍛冶を生業としているファミリアで知名度では劣るものの、作り出す武具の性能は勝るとも劣らない。質実剛健と言った所か

 

「ごめんくださーい」

「ください・・・」

「やっはろぉ~」

『邪魔すんぞー』

 

 ホーム、というよりは工房という言葉がしっくりくるような建物の中に入ると、炉の周りに陣取って作業をしている職人達が複数おり、入って来た3人に顔を向ける

 

「あぁ、いらっしゃぁい・・・って、げえぇっ!?【大切断(アマゾン)】!?」

「ティオナ・ヒリュテ!?」

「あのさぁ、2つ名で悲鳴上げるのやめて欲しいんだけど・・・」

『因果応報ってやつだな』

 

 ティオナの姿を見た団員達が慌ただしく狼狽する。彼女はそんな様子に酷く面白くなさそうな表情に

 

「お、親方ァー!壊し屋(クラッシャー)が現れましたー!?」

「くそっ、今日は何の用だ!?」

「また武器を作ってもらいに来たんだけど」

「ウ、ウルガはどうした!?馬鹿みたいな量の超硬金属(アダマンタイト)を俺達が一打入魂&不眠不休で鍛え上げた専用武器(オーダーメイド)だぞッ!?」

 

 必死に、まるで嫌な予感を振り払う様に大きな声を張り上げて言う親方。冷や汗が流れ、喉がカラカラに乾く。心臓も煩い程バクバクと音を立て、息が苦しい。そんな彼に・・・・・慈悲はなかった

 

「溶けちゃった」

「ノオォォォォォ―――ッッ!!?」

 

 可愛らしい笑顔で告げられた残酷な運命に、絶叫をを上げ親方は倒れ込んだ

 

「親方ーっ!」「親方ー!?」

 

 他の団員達がショックのあまり気絶した親方の周りに集まる。呼びかけるも、ピクピクと体を痙攣させて白目をむいている彼に届いている様子はない。というか傍から見てこれはヤバい

 アイズはそんな事を気にした様子もなく、用事を済ませる為奥にいる者の元へ向かって行った

 

『おいテメエ等、退いた退いた。相棒がお通りだぞ』

「じゃじゃぁ~ん、呼んだかなぁ?」

「っ!あなたは、のほほんさん!」

「キタ――(゚∀゚)――!!」

「本作メイン癒しキタ!」

「これで勝つる!」

「なんか私の時と違うー・・・」

 

 一部メタ発現をしたものの、皆歓声を上げて本音の登場を騒ぐ。モーセの様に左右に分かれ、道を譲る

 親方の傍に膝を着いた本音は、気絶している彼の上体を起こす

 

「まず~、親方の口を開けまーす」

「「「うんうん」」」

「次に~、私のポッケからこのお薬を取り出しまーす」

「「「ふむふむ」」」

「そしたらぁ、このお薬を一粒親方の口にぽいっ、します」

「「「ほぅほぅ」」」

「最後に親方の口を閉じて、動かないように押さえつけまーす」

「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?」

「「「「「えぇっ!?」」」」」

 

 気絶していた親方が奇声を上げながらバタバタと四股を振るわせる。体も先程よりもヤバい位痙攣していた

 見守っていた者達が驚きの声を上げる中、十秒ほどそうしていた親方はピタリと動きが止まり、力なく地面に横たわった

 明らかにやっちまったやつだ。二重の意味で

 

「「「「「・・・・・」」」」」

 

 あまりの出来事に誰も声を発せない中、親方の体を押さえつけていた本音がゆっくりと立ち上がる。そして腕で汗を拭う仕草を取った

 

「ふぃ~・・・・・いい仕事したなぁ」

「「「「「ちょっと待ってぇ!!?」」」」」

 

 ピッタリと全員の息が揃った。ティオナも一緒だ

 

「・・・っしゃぁおらぁぁぁぁぁぁ!!負けてたまっかこらぁぁぁぁぁぁ!!!」

「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」

 

 再び驚愕。さっきまで完全に逝っちゃってたと思った親方が、突然威勢のいい声と共に起き上がったのだ。全く意味が分からん。早急に説明求む

 

「親方ぁ~、おっはよ~」

「ん?おぉ!のんびり坊主じゃねぇか。なんだ来てたのか」

「ちょっちねぇ、それで親方はだいじょーぶー?」

「あぁ、なんか今までにない位ヤル気に満ち溢れてる感じだ・・・!」

「【やる気元気いっぱい君】のお蔭だねぇ。ミアハ様のとこのやつなんだぁ、よかったらいくつかお試し置いてくよぉ?」

「おぅ、ありがとな!オメェさんの紹介するもんなら安心出来るし。今度まとめていくつか買わせてもらうぞ」

「毎度あり~(*ゝω・*)ミアハ様やナァーなんも喜ぶよ~」

「あ、あのぉ、親方・・・?」

「なんだぁ?おい、なにぼさっとしてんだオメェ等!さっさと仕事に取り掛かるぞ!やる事はまだまだあんだからな!!」

「「「「「は、はい!」」」」」

「そういう訳で大切断、要件は分かったから一週間、いや、五日待ってくれ。以前より丈夫な得物を鍛え上げてやるからよ」

「え、あ、うん。よろしくお願いします」

 

 不敵な笑みを浮かべる親方の気迫に飲まれたティオナは、若干もどりながらも頷く。今の親方は第一級冒険者に勝るとも劣らない威圧感を放っていた。マジか

 

「よかったね~アーやん」

「色々言いたいことあるのに、頭こんがらがって何も言えない・・・」

「ただいま・・・どうしたの、ティオナ?」

「ん~・・・さぁ?」『おい』

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ 

 

 

 

 時間は流れ、すっかり日も傾きオラリオの西の空は茜色に染まっている

 遠征の後に盛大に宴会を開くのが【ロキ・ファミリア】の習慣となっていて、西のメインストリートには多くの酒場や宿屋が立ち並んでおり、今日の目的の店もここにある

 

「ミア母ちゃーん!来たでー!」

 

 主神ロキが先陣切って予約を入れたこの通りでも一番大きな店、『豊穣の女主人』の入口前で声を掛ける

 すると緑を基調とした給仕服のウェイトレスが2人が彼等を出迎えた。一人は金髪のエルフの女性、もう一人が・・・

 

「みんな~、いらっしゃぁ~い」

 

 のほほんと笑う本音だった。付け加えるなら、本音は袖の長さは違うがエルフの女性と全く同じ給仕服を着ている。つまり女性用の物を。完全にスカートだし。それでいて違和感どころか着こなしているのは本音だからと言った所か

 

「うっひょー!のほほん萌えぇぇぇぇぐはぁっ!?」

 

 某大泥棒ダイブを仕掛けたロキは、本音の隣にいたエルフの店員がいつの間にか持っていたモップに成敗された

 例え神であろうとも、この店ではそういった行為に慈悲は無い。成敗されたロキが軽く地面にめり込む程度の威力だった

 

「お席は店内と、こちらのテラスの方になります。また、既にご存じでしょうが当店では先程の様な行為は厳しく対処いたします。ご了承ください」

「あぁ、わかった。それとウチの馬鹿が度々すまん」

「でぃむなーん、ロキりんが泡吹いてるけどどうしよぉ?」

「はぁ・・・本音君、ロキの頭を少し撫でてもらえるかい?」

「りょーかーい。よーしよし、よーしよし」

「・・・ぐへへ~、給仕服ののほほんに撫でられるのもまた乙なものやなぁ」

「あっ、ロキりん起きた」

「「「「「(ほんとこの駄女神は・・・)」」」」」

 

 お分かりだろうが、この駄女神がこの店の店員がほぼ女性という事と、店員の制服が琴線に触れたからだ

 テラスに半分程の団員達が座り、復活したロキを含め残ったアイズ達は本音達の案内に従って中に入る

 

「「「いらっしゃいませー」」」

 

 中で給仕をしていた他のウェイトレス達も声を掛けられ一同は、満員である中の不自然な形空けられている予約席にそれぞれ着いていく

 天下の【ロキ・ファミリア】が入って来た事もあって、騒いでいた他の客達視線が集まり声を潜めき出すが、慣れた様子の彼らは特に気にも留めた様子もなく、そのままに

 すぐさま酒の入った木のジョッキと料理が運ばれてくる

 

「よっしゃぁ!ダンジョン遠征みんなご苦労さん!今日は宴やぁ、飲めぇッ!!」

『乾杯!!』

 

 ロキの音頭で始まった宴。遠征の時の事を語り合ったり、酒の飲み比べや料理に舌鼓を打つ者達。目麗しいウェイトレス達に顔を緩める男性陣とそれを見て冷めた目を向ける女性陣等々、種族の様に様々だった

 

「うおーッ!ガレス、ウチと飲み比べやー!?今日は負けんでー!」

「ふんっ、いいじゃろう、返り討ちにしてやるわい」

「おぉ~、ロキりんとロックンの対決だ~ぱきゅんぱきゅん!」

「ちなみに勝った方はリヴェリアのおっぱいを自由に出来る権利付きやァッ!」

『ッ!?』

「じ、自分もやるッス!?」

「俺もぉおおおお!」「俺もだ!」「私も!」

「ヒック、あ、じゃぁ僕も」

「団長ーッ!?」

「リ、リベリア様・・・」

「言わせておけ・・・馬鹿どもが」

「みんなめっちゃ乗り気やなー。ん~・・・そうや!ほなら一番がリヴェリアのおっぱい!二番がのほほんの尻やーっ!?」

『ッッ!!?』「ほえ?」

「私行きます!」「同じく!」「のほほん君のお尻!」

「・・・・・」

「リ、リヴェリア様?っ!、ひぃ!?つ、机が・・・!」

「・・・・・・」

「ちょっ!?アイズは飲んじゃダメだって!?って力強い!」

「離すにゃアーニャ!のほほんのお尻と聞いちゃぁ黙ってられないにゃん!私も参加する!」

「そっち!?何を言ってるにゃこの阿保は!」

「・・・・・あたっ!?」

「リュー、店で殺気を出すんじゃないよ!」

「・・・・・」

「あ、あのシルさん・・・!?」

 

 ロキの言葉に店内がかなりカオスと化した。一部で第一級並の殺気が吹き荒れ、レベルの低い冒険者達は顔を青くして震えている

 その要因の人物はというと・・・

 

「はいは~い、ミアお母さんのおすすめ料理とお酒の追加でーす」

 

 意外にもちゃんと給仕の仕事をしていた。一部、というかこの店の殆どのウェイトレス達が使い物にならなくなってしまったので、その分まで器用に頭や腕の上に乗せて若干フラフラしながらも運んでいる。ちょっとした曲芸に見えなくもない

 それを面白がった客がさらに注文を頼むので売れ行きは好調だ。しめしめである

 

 宴は盛り上がりを見せ、酒も料理も次々となくなり追加がどんどん運ばれてくる。そして勝負の決着も着いたようだ。勝者の権利はこういう形で行使される事になった

 

「・・・・・」

 

 いつもの凛とした表情のリヴェリア・・・ではなく若干表情は緩んでいる様に見える。結局酒は飲まなかったものの、何故かその雪の様に白い肌は淡い朱に染まっていて、どこか落ち着きがない

 

「ふにゃぁ~」

 

 そんなリヴェリアの膝に座り、頭を撫でられ蕩けた表情の本音。一体どうしてこうなったのか

 

「「ニヤニヤ」」

 

 それはムカつく笑みを浮かべているオヤジ共の仕業だった。飲み比べ勝負は一位ガレス・二位フィン・僅差で三位のロキに終わった。他の参加者達は軒並み酔い倒れてグロッキー状態だ。復活したウェイトレス達が水を配って回っている

 そして勝者の2人はその権利をリヴェリアと本音にそれぞれ譲渡し、両方の権利である好きに出来る、の平和的な行使方法だ。本人達も満足気なので良いだろう。お節介なオヤジ共はあとで殴られるかもしれないが

 

「ふぁぁぁ~・・・」

「そ、そんなに気持ちがいいのか・・・?」

「うぃ~、これは格別だよぉ~」

「そ、そうか」

「「ニヤニヤ(・∀・)ニヤニヤ」」

 

 ・・・確定。おまけに魔法も打ち込まれそうだ

 

 

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