Fate/Living god 現人神として転生したんだが好き勝手しても良いよな? 作:妖牙
ギリシャ神話、ケルト神話、アーサー王伝説、オルレアンの聖処女・・・。
うっは、夢が広がりんぐ。\(^q^)/
注意・今回のお話にはアブノーマルな描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。
ギリシャ神話Ⅰ
高く、立派に成長した一つの木の影で、身体を絡み合わせている者達が居た。
絡み合っている人物達の内の地面に組み伏せられている片方は、まだ女と呼ぶには若すぎる容姿を持った乙女と呼ぶべき少女であり、少なくとも傍から見れば「アウトォォォォ!」とも言うべきこのような営みのことを知ってはいても、経験まではしたことが無い筈だ。
もう片方の少女に覆い被さっている人物はと言えば、正に女神と呼ぶに相応しい整った美貌と豊満な肉体を持った女性にしか見えないが、女性にはあってはならない筈の男の象徴とも言うべき『アレ』が付いてしまっていた。
傍から見れば、仲の良い女同士が絡み合っているようにしか見えない―――――それでもアブノーマルな関係ではあるのだが―――――が、この場で起きていることはあまりにも異常過ぎる。
「恐れることは無いカリストよ。お前に処女の身には味わうことの出来ぬ快楽を教えてやる。」
女性としての肉体を持ちながら男の象徴を屹立させている女―――――いや、女の皮を被った『誰か』は少女の名前を呼びながら言葉を言い放つ。
カリスト―――――ギリシャ神話において、処女神アルテミスの側仕えをしていたニュンペーと呼ばれる精霊の娘であり、後におおくま座となった存在であるとされている。そんな彼女は、敬愛するアルテミスの姿へと変身したオリンポスの主神である天空神ゼウスに誑かされて妊娠してしまい、その結果アルテミスの側を追われ、更にはゼウスの妻であるヘラの怒りで心は乙女のまま身体は熊に変えられてしまうという悲惨な運命を辿らされる羽目となる。
ゼウスの数多い浮気相手の中でもトップクラスの薄幸度が籠った逸話を持つ彼女と同じ名前が、女の皮を被った『誰か』の口から呟かれる。だとすれば、彼女の名を呟いた女の皮を被った『誰か』が最早何者であるのかは簡単に予想が出来るだろう。
(ああ、これから私は穢されてしまうのですね・・・。)
自らが敬愛する主である処女神の容姿へと転じてまで自らの元へと現れた主神へと視線を向けながら、抗うことすら出来ずにこの場で純潔を散らされてしまうだろうという恐怖を感じながら、只々早く全てが終わって欲しいと身体から全ての力を抜きながら願うしかないカリスト。
このまま行けば、きっと彼女は近い将来悲惨な運命を辿ってしまうことになるだろう。それが逃れられぬ
――――――だが、本当それで良いのだろうか?本当に決められた運命からは逃れられないのだろうか?その答えは条件付きではあるが、否である。何故ならば――――――
「――――――いい加減にしねぇと去勢しちまうぞ!この色ボケ野郎がァァァァァァァ!!」
「ぐおぉぉぉぉ!?」
――――――此処に、こんな理不尽を認めはしない
何処からともなく現れた八雲の不意打ちを食らったゼウスは勢い良く吹き飛んでいき、その場に残されたカリストに関しては、八雲の懐から取り出した衣服を上から被せられて外に晒されていた素肌を隠していた。
「怖かったろう、これを身に着けると良い。」
「あ、貴方は一体・・・?」
「ん?現人神ですが何か?」
「は、はあ・・・。」
呆然とした表情を浮かべながらカリストが呟いた言葉にあっさりと返事をする八雲と、八雲の返事に対して困惑の表情を浮かべるカリスト。
そんなやり取りをしている間に、吹き飛ばされていたゼウスが戻ってきていた。いつの間にか、アルテミスの姿ではなく本来の男としての容姿になっていたが。
「また貴様か!幾度となく儂の邪魔をしおって!」
怒り心頭といった様子で八雲に怒声を浴びせるゼウスだが、肝心の八雲は耳に指を突っ込みながらゼウスの怒声をあっさりと受け流している。その八雲の態度に、ゼウスの怒りが跳ね上がることになるのだが、こんなやり取りをもう何度も繰り返してきた八雲としては心底ウンザリとした気持ちと面倒臭さを抱えているのだった。
「ヘラさんみたいな美人の奥さんがいるのに浮気してるお前が全面的に悪いぞ。まあそんなことはさておき、ゼウス君や。こんな所で油を売っている君に、熱いラブコールをお届けだZE☆」
ゼウスの言葉に対して、妙に高いテンションとウインクを添えた言葉で返した後、何かをゼウスに向かって放り投げていた。
いきなり自分に向かって投げられてきた物を警戒しつつ、あっさりとキャッチするゼウス。掌に納まった何故か震え続けている四角い形の『何か』を見て訝しげな表情を浮かべる。
「これをどうしろと?」
「青いボタンを押した後で、耳に当てれば良い。」
使い方を聞いてきたゼウスに対して、苦笑を浮かべつつ説明をする八雲。八雲がゼウスに渡したのは早い話が携帯電話だ。尤も、この時代にある筈がないので、ゼウスが使い方を知る訳がない。因みに、八雲が作った神器の一つである。
八雲の説明を聞いたゼウスは、言われた通りに青いボタンを押した後、震えが止まったのを確認した後で自分の耳へと神器を持っていく。
『貴方――――――またですか。』
「ヘ、ヘラ!?な、な、何故お前が!?」
神器越しに聞こえてきた声は、幾度となく聞いてきた自分の妻であるヘラのものだった。その事実に只々驚愕し、困惑せざるを得ないゼウスであった。
『兎に角、今すぐに帰って来て下さい。良いですね?』
「な、何を言っているのだヘラ!わ、儂はまだ―――――」
「あ、大丈夫っす。俺が力づくで連れて行きますんで。」
ヘラの言葉に対して、駄々を捏ねる様に反論をするゼウスだが、その反論は八雲に神器を奪われてしまったことで封じられてしまった。ついでに自らの身体も光の輪のような物で封じられてしまったが。
『そうですか、では主人をよろしくお願いしますね。』
「分かりました。すぐそっちに送りますんで。」
それだけ会話を済ませると、神器を懐へと仕舞い込み、何もない場所に手を翳した。その瞬間、何もなかった筈の場所に大きな『穴』が生まれた。
――――――
八雲の特典の一つであり、文字通り『次元を越えて万物を繋ぎ転移させる力』である。どんな場所であろうと、どんな物質であろうと関係なく転移させる事ができ、更に世界や時間の境界すら越えて自由自在に行き来することも可能という規格外過ぎる力である。
本来ならば、『穴』――――――即ち
『門』を開いた八雲は、身動きが取れずにいるゼウスをあっさり持ち上げると、ゆっくりとだが確実に『門』へと近付いて行った。
「ま、待て!まさか貴様――――――」
「それじゃあ、逝ってらっしゃいっと!」
ゼウスの言葉に耳を貸すことなく、ポイッと『門』の中へとゼウスを放り込み、手を払う動作をしながら開いていた『門』を閉じた。
――――――『門』を閉じる途中で、『違うのだヘラ、儂は別に疾しい気持ちなど――――――ぐおぁぁぁぁぁあぁぁ!!』という悲鳴交じりの弁明が聞こえたのはどうでもいい余談である。
「うっし、やることは済んだし帰るか。」
ゼウスの確保&転送という任務を終えたことに喜びの声を上げつつ、この場を立ち去ろうとする八雲だったが。
「あの、宜しければ貴方のお名前を教えて頂けませんか?」
その場に響いたカリストの言葉に足を止めて、彼女に向き直った。
「ん?別に構わないけど、どうして俺の名前を聞きたがるのさ?」
「あのまま貴方に助けられなければこの身は穢され、私はアルテミス様の寵愛を失っていたでしょう。その悪夢が現実のものとなる前に、私を救って下さった恩人の方のお名前をお伺いするのは当然のことだと思いますが。」
真剣な表情で紡がれたカリストの言葉に、若干苦笑を浮かべながら八雲は口を開く。
「天藤八雲だ。天藤が名字で、八雲が名前。まあ、好きなように呼ぶと良いさ。それじゃあ、俺はそろそろ行くよ。アルテミスによろしく伝えといてくれ。」
それだけ言った後で、八雲はヒラヒラと手を振った後、最初からそこには居なかったかのように姿を掻き消してその場を後にした。
「またお会い出来る時をお待ちしております――――――ヤクモ様。」
薄らと赤みが差した顔をしながらそう呟くカリスト。彼女が抱く思いは本当に只の恩なのか、それとは別の感情なのかは分からない。
只一つだけ言えることは、辿られる筈だった悲惨な運命が一柱の現人神によって捻じ曲げられたという事実のみである。
やあ、綺麗な奥さんが居るくせに浮気に走りやがった
いやぁ~、あの野郎は何度も痛い目に合っているのに性懲りもなく他の美人な女性に向かってアプローチしに行きやがるから本当に手を焼かされるよ。おまけに人妻にまで平気で手を出しやがるから余計に性質が悪い。あれはもう本気で去勢したほうが良いんじゃないですかねぇ。(真顔)
まあ、何はともあれこんなイタチごっこを俺とアイツは続けてるって訳だ。ん?ちゃんとゼウスの浮気は防ぎ切れてるのかって?HAHAHA~、出来る訳ねえだろ。流石に全ての行動を予測するのは不可能だし、仮に予測することが出来ても既に事が終わった後でした~なんてこともあってな。兎に角、俺が防いでいるとは言え被害を被った女性は少なからず居るって訳なんだよ・・・。
ん?その女性達にヘラの怒りが炸裂しないのかだって?しないよ?だって俺が長い時間を掛けて説得したもん。いやぁ~、説得には苦労したよ。何せ最初の頃は全くと言って良い程に此方の話を聞かなかったし、仕方なく強硬手段と荒療治で何とか俺の話を聞いてもらえるようにして、後は根気強く説得していくだけだった。
まあ、その説得のお陰もあってか、ヘラさんはすっかりマトモな性格になって、ゼウスによって被害を被った女性達にはちゃんと謝罪とかをしたりするようになったんだぜ。
ついでに言うと、生まれてきた子供に関しても狂気を植え付けようとしたり、殺そうとしたりとかもしない性格になっていた。お陰でディオニュソスも発狂したりしないでちゃんとした生活を送れているし、俺のやってきたことは間違ってはいなかったと改めて実感させられたよ。
まあ、性格が全く変わらん奴らも居たけどな。主に
やっぱり、オリンポスの神々は何処か可笑しいわ。俺こんな面子の中でちゃんとやれるか心配になって来たわ・・・。
「まあ、暗い気持ちだけ抱いていたって仕方ないか。」
こうなりゃとことんまでやってやる!そんな思いを馳せながら、今日も俺はこの世界を生きて行く。
――――――様々な神話や伝承が生まれ落ちることになるヨーロッパの大地に、一柱の現人神が舞い降りた。
彼という存在が果たしてこの大地に刻まれていく
『申し訳ありません。実はまた
「・・・・・・マジか。」
それは、神々にも分からない――――――――
今回は新章のプロローグ的なお話ということで短めにしました。知る人は知っているであろうカリストのお話を今回は書かせて頂きました。
基本的にギリシャ神話は何となく理不尽な描写が多かったので、それを改変させてみたいなと思ってこの話を書きました。(特にこのカリストの逸話は作者が『ヘラさん、理不尽過ぎワロタ・・・。』とドン引きしたお話だったので・・・。)
次回もギリシャ神話関連のお話を書く予定です。恐らくあの魔女さんも近いうちに出るかも。(もしかしたら触れずに終わってしまうかも・・・。)
次回もまた見て頂けると幸いです。
それと、(まだ当分先のことになりますが・・・)聖杯戦争のことについてのアンケートを行うつもりなので活動報告にも目を通して頂けると嬉しいです。