Fate/Living god 現人神として転生したんだが好き勝手しても良いよな? 作:妖牙
やあ、転生したと思ったら現人神になっていた元人間の俺だ。まだ文明が出来上がっていなかったあの時からもう数百年程が経ち、漸くちらほらと文明の営みが見えてきたところだ。
あれから暫くは、この世界を生み出して幅を利かせていた他の神々から色々と接触されたり、排除されそうになって返り討ちにしたり、いきなり戦神やら脳筋の神々から決闘を受けさせられて戦いに明け暮れたり、此方から殴り込みに行って複数の神々とドンパチやらかしたりといったかなり濃厚な時間を過ごしていたが、やっと文明が出来たと知ってとても喜んだのを覚えている。
まあ文明が出来たと言ってもまだ古代だ。文化レベルは言うまでもないが現代に比べると低い。だけど俺は不満はないし、寧ろ感動していると言ってもいい。元々歴史好きで、歴史学関係の学問を専攻していた俺からすれば過去の人々の営みを間近で体験できるというのは非常に興奮するし、嬉しいのだ。
自由に大地を渡り歩きながら、時には料理とは呼べないような料理を食べ、人々の仕事を手伝ったりして交流を深め、所々で作られる建築物や芸術を眺める。タイムマシーンが無ければ見られないだろう風景が、記録が、人々の営みがこの目でしっかりと見ることが出来る。これ程の贅沢は無いんじゃないだろうか。普通の人からはそれが何?くらいにしか思われないだろうが、少なくとも考古学者とか歴史ファンならきっと羨むだろう。
まあでも、楽しいことばかりかと聞かれたら否と答える。文明が出来たということは当然争いが生まれるということでもある。数々の戦争を体験してきたし、盗賊に襲われていた村を救うために一人で立ち向かったこともあった。面倒ではあったが、これもまた経験かなと思いつつ理不尽に虐げられている人々を救いながら過ごしてきたのを覚えている。
そんな自由気ままな一人旅をしている俺だが、今はとある場所で旅の疲れを癒している。疲れとはほぼ無縁の身体となってしまった俺が休む必要はないが、とある目的があってここに滞在することにしたのだ。
目的はずばり―――――――その場所を治める王の姿を拝むためだ。
王を名乗る人物は今までに何人もいたし、その全てを一度はこの目に焼き付けている。要は歴史の偉人達の姿を拝めたらいいなぁ程度のミーハーな考えからである。
それでも、今回の王は今まで見てきた人物達とは比べ物にならない超大物だ。何せ彼を描いた物語は後の世に出回る神話や伝説の原典になったと言われ、世界中の財宝の全てを手に入れたとされる。
神と人の血を受け継ぎし半神半人にして世界最古の王。その王の名は―――――――――英雄王ギルガメッシュ。
そう、あの金ピカ慢心王様だ。
つまり俺が今滞在しているのはシュメール初期王朝時代のウルク第1王朝の頃の古代メソポタミアなのだ。外を見やればまあメソポタミア文明特有の楔形文字や壁画で溢れかえっている。この様子を写真にでも収めれば現代の教科書に載るんじゃないかなと思える。
そしてギルガメッシュが本当に金ピカだったかどうかは定かじゃないが、十中八九あの金ピカの鎧を纏っているに違いない。多分ここは型月世界だから、きっとあの姿だ。一番当たって欲しくなかった型月世界なのではという予想が大方確定しちゃったよ。まあ、ワンチャンで別の世界じゃないかという希望もあるかもしれないので、それを確かめるために彼の姿を拝みに行くというのもある。
何はともあれ、ギルガメッシュの生きる姿を一度は拝んでおきたい。例え性格が傲慢で、人類最強のジャイアニストだったとしてもだ。
だが彼は王だ。故に何の身分も持たない俺如きが彼の姿を拝むことなど正攻法では不可能。遠目からでも拝めればいいが、彼が城から一歩も外に出なかったらそれでアウトだ。正攻法では無理。なら別の方法を用いるまでのこと。ここで俺の特典の一つが役に立つ。
その特典の名は
簡単に言えば、自分好みの神器を生み出せるアイテム創造系の力だ。神器っていうのは神の力によって生み出された武器とか道具のことで所謂宝具と同じもの。宝具との違いは、威力と神の血を引いている者にしか使えないという点くらいか。元々は『何でも生み出せる能力』を求めたんだが、『何でも』というのがかなりの曲者だったらしく、そのままだと神の道具とかもバンバン生み出せて結果人間の俺が使うと生命力不足で死んじゃうらしい。他の特典もそんなのばっかだから、神様に魔改造されたんだ。
説明も程々にして、そんな特典で一体何をするつもりなのかということに関してだが。要は俺の目的はギルガメッシュの姿が拝めればいいのであって、話がしたいとかそんなつもりは無いのだ。つまり俺の姿が見られないようにして城に潜入すれば目的が達成できるんじゃね?ということだ。
既にそのための神器は作成済みだ。後は準備を整えるだけだ。因みに言うとこの方法を用いたのは今回が初めてじゃない。今までも何度かこの方法で偉人たちの姿を拝んできたのだ。そして今の一度も俺の姿を見られたことはないという実績もある。全て問題ない。バレれば間者として処刑されるかもしれないが、その時は大暴れして逃げるしかあるまい。尤も、あの金ピカ慢心王の攻撃に耐えられるかは非常に怪しいが・・・。
ま、まあ大丈夫だろ。仮にも天空の神々とドンパチやってきた訳だし、場数はしっかりと踏んできたからそうそうやられはしない。多分。
それに俺の信条は『自由気ままに好き勝手やる』というものなんだし、神になっちゃった以上今更人の細かい常識とかは気にしない。細かいことをそう気にしていては埒が明かんのだ。
「まあ、何かあったらその時はその時だ。」
準備は整った。いざ行こう、ギルガメッシュの居城へ。
俺は懐から取り出した腕輪を装着し、その腕輪に魔力を流し込む。すると身体全体がぼやけ始め次第に見えなくなってきた。俺は目を凝らせば見えなくもないが、他の人間には絶対に見えることはない。しっかりと腕輪の効果が発動したのを確認して、俺は城に向けて一気に大地を蹴った。
―――――――一つの風が古代メソポタミアに吹き込む。果たしてその風はどのような影響を及ぼすのだろうか。一柱の現人神と半神半人の英雄王。彼等の出逢いの時は近い。
今回はここまでです。主人公が色々といけないことをしていますが、そこは目を瞑って頂けるとありがたいです。主人公の名前はもう暫くは出ませんのでご了承ください。次回も早めに投稿できるのだろうか。(遠い目)