Fate/Living god 現人神として転生したんだが好き勝手しても良いよな?   作:妖牙

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 今回は戦闘シーンメインです。突っ込みどころ満載ですが見て頂ければ幸いです。
 
 あと、漸く主人公の名前が登場します。(どうでもいい後付け)


第四話

 とある荒野に佇む二つの人影。一つの人影は黄金の鎧を身に纏う、金色の髪を天に向けて逆立たせた赤い瞳の男。もう一つの人影は黒目黒髪の口元が酷く歪んだ男のもの。

 

 今この二人が、荒野の真ん中にて相対している。

 

「何故攻撃してこないのかと思えば、我を此処まで誘導していたというわけか。」

 

 そう、二人はあの後すぐさま戦闘し始めたのだが、八雲がひたすら逃げに徹し続けていた為に、このような場所にまでやってきていたのだ。

 

 その戦闘風景は最早鬼ごっこの様相を呈していたのだが、彼等が通った場所には無数の破壊の痕跡が痛々しく残されており、如何に苛烈な逃走劇であったかを物語っている。

 

 因みに、エルキドゥは城で留守番中である。ギルガメッシュの意向と、城が手薄になるのを見過ごすわけにはいかないという事情が絡み合わなければ、十中八九彼もこの場に居た筈である。

 

「あそこで戦うのは色々と迷惑だろ?だから場所を変えようとしたんだが、気に食わなかったか?」

 

 申し訳なさそうな表情で後頭部を掻きながら、ギルガメッシュの機嫌を窺うように言葉を紡ぐ黒目黒髪の男。そんな男の言葉を、澄ました顔をしつつ鼻で笑うギルガメッシュ。

 

「ふん。この我に戦いを挑むばかりか、このようなみすぼらしい場所に呼び出すとは、つくづく不愉快だ。だが、先程までの余興の中で貴様の正体が見えてきたぞ。」

 

「俺の正体?俺は只の人間なんだけどなぁ。」

 

 ギルガメッシュの言葉に、飽く迄もシラを切ろうとする男であったが、それもまたギルガメッシュの発言によって無意味と化す。

 

「惚けても無駄だ。最初に我の前で見せた姿を消す道具。あれは神々から貸し与えられたものだと思っていたが、よくよく考えてみればあれ程のものを神々がそう容易く只の人間などに与える筈が無い。だとすれば貴様自身が生み出したものか、貴様が神の血を引く存在であると考えるのが妥当であろう。そして貴様の身体から感じられる神の気配と、先程の余興の中で見せていた力や人間とは似て異なる強靭な肉体。それらを踏まえて結論付けるなら、貴様は人でありながら神の力を宿している・・・いや、違うな。人としての肉体を持った神か。所謂現人神という存在だと見たぞ。」

 

 そのギルガメッシュの言葉に、男は只々目を見開きながら驚いていた。確かに自分の力を見せはしたが、それも僅かな時間だけ。ヒントも少ない状況でよく見破ったものだと、男は只管にギルガメッシュへの称賛を込めて拍手をする。

 

「ご明察。まさか僅かな時間だけで俺の正体を見破るなんてな。」

 

「たわけ、我の目を甘く見るでない。しかし、貴様が現人神だと言うのであればこれ程珍しい物はあるまい。雑種ではなく珍種、いや希少種と呼ぶべきか。喜ぶがいい。天より人を見定めるべきこの我が、貴様に価値を見出してやったのだからな。希少種よ、特別に我の前で名を名乗ることを許そう。名乗るが良い。」

 

 またもや男の目に驚愕の色が映った。まさか自らの価値を認められたばかりか、名前を名乗れとまで言われたのだ。流石にそこまで言われるとは思っていなかった。

 

(現人神ってのは、そんなに珍しいんだな。)

 

「それじゃあ、お言葉に甘えまして。天藤八雲。八雲が名前で、天藤が名字だ。」

 

 男――――八雲が自らの名を名乗ると同時に、ギルガメッシュは強い興味が宿った目を向ける。

 

「ふむ、ヤクモか。お前に興味が湧いてきたぞ。我の臣下となれヤクモよ。」

 

 先程から驚かされてばかりの八雲であったが、今度の言葉には絶句するしかなかった。

 

(ギルガメッシュ直々に勧誘かよ。全く予想してなかったな。)

 

 八雲自身、下手すれば自分など見向きもされないとばかり思っていた為に、ここまで言われるとは露ほども予想していなかった。

 

 英雄王直々の誘い。殆ど命令に近い言葉ではあったが、それでも身に余る光栄だと言えるだろう。八雲は少しだけ考えるそぶりを見せてから、返答の言葉を絞り出す。

 

「・・・身に余る光栄だ、英雄王。だが、それは受けられない。俺は手助けをすることはあっても、誰かの下に付く気はないんだ。だが、どうしても欲しいというのなら―――――」

 

 瞬間。一気に膨れ上がる殺気と神々しさを感じさせる金色の魔力。そして、八雲の身体を金色の光が覆い隠していく。

 

 光が晴れて行くと、そこに居たのは白銀の鎧に身を包んだ一人の騎士だった。何処までも清らかで美しい光沢を放つその鎧と、その騎士の周りに漂う金色の魔力が見事に調和しており、見る者を圧倒させる神々しさを醸し出していた。

 

 その鎧を纏う騎士――――八雲は、何度か手を握ったり開いたりした後、ギルガメッシュの方へと向き直り、殺気と共に言葉を発した。

 

「――――俺に勝って、服従させてみせろ。」

 

 兜ごしであるにも関わらず、肉声と何ら変わらないほどの非常に透き通った声でそう紡ぐ八雲。

 

「ククク、そうか。ならば我が手ずからお前の全てを奪ってやることにしよう――――ヤクモ。」

 

「全力で抗わせてもらうぜ――――ギルガメッシュ。」

 

 最早言葉は不要だとお互いが口を閉じ、広大な荒野を静寂が包む。そして、僅かに聞こえた風の音が戦闘開始を告げる合図となった。

 

 次の瞬間、一気に姿が掻き消えたのは白銀の鎧を纏った八雲であった。

 

 常人の目では到底捉えきれないような早さで駆ける彼は、一気にギルガメッシュのいる所へと距離を詰めて行く。

 

 一方のギルガメッシュは、その場から動かず、背後から出現させた自慢の宝具を八雲に向けて射出し始める。

 

 一気に懐へと飛び込もうとする八雲に対し、迎撃の構えを見せるギルガメッシュ。白銀の騎士が大地を縦横無尽に駆け回り、黄金の王が放つ容赦のない砲撃の合間を掻い潜りながら隙を窺う。たった一機の戦闘機が超大型戦艦の苛烈な対空砲火の中を、隔絶した速度と技術で避けて行くかのような様相を見せる戦い。

 

 まだ戦いは始まったばかり。お互いに小手調べ程度にしか思っていない中で、ついに動きが見える。

 

(このままじゃ埒が明かん・・・アレを試すか。)

 

 八雲は超人的な動きをしつつ、自らが纏う鎧の左腕に取り付けられた盾に触れた。すると、盾が形状を変化させ始め、やがて弓の形となる。そして、金色の魔力によって形作られた弦と矢が付け加えられ弓矢としての形態変化を完了させた。

 

(起動完了。『白銀の騎士甲冑・射手形態』(アルギュロス・ガンナーフォーム)。)

 

 これこそが八雲の生み出した神器の中でも強力な力を持つ、複合型神器と呼ばれる物のうちの一つ『白銀の騎士甲冑』(アルギュロス)の能力である。

 

 『白銀の騎士甲冑』の能力は大きく分けて三つ。一つは装着者の身体能力と防御力の向上。二つ目は神器や魔術などといった魔力を媒介とする技や武器の攻撃力や打撃力などの向上である。

 

 そして最後の一つは、状況に応じて装備や性能を変化させ、更にあらゆるものを取り込んで自らの力とする高度な適応力と換装能力である。

 

 今この場で、左腕に備え付けられていた盾が変化したのも三つ目の能力の恩恵である。

 

 八雲は変形が完了した弓を前方へと突き出し、魔力を注ぎ込む。すると、既に番えられていた金色の矢の大きさが変化し、先程よりも大きな矢が現れた。

 

(狙うのは後方。行け!)

 

 八雲の飛んで行けという思念だけで弓の弦が一瞬で限界まで引き絞られ、特大の光の矢を前へと吐き出す。凄まじい速度で飛び出してきたソレは、一定の距離まで飛ぶと瞬時に数十の光の矢となってギルガメッシュへと襲いかかった。

 

 ギルガメッシュも負けじと宝具を射出して相殺しようとしたが、その矢に触れた宝具は悉く破壊され、寧ろ矢の威力を引き上げてしまった。数は全く減っていない。寧ろ僅かにではあるが増えてしまっている。

 

(我の宝具を食らって力を増しただと!小癪な矢め!)

 

 眼前にまで迫りかけてきた数十の矢を、投擲物に関して高い防御力を誇る宝具を目の前に配置することで防御する。しかし、矢はそんなものが如何したと言わんばかりにその勢いを衰えさせることは無く、次第に防御用に展開されていた宝具を貫通し始める。

 

(馬鹿な!これ程の宝具を持ってしても防げんと言うのか!?)

 

 これには流石のギルガメッシュも驚愕を露わにする。今目の前に存在するのは自分の所有する宝具の中でも、最上位に位置するものが多い。それらがあれば大抵の攻撃は容易く防げていた筈なのだ。だが、それすら通用しないとなれば驚くのも無理はないだろう。

 

 どちらにせよ、このままでいれば確実にやられる。それを感じたギルガメッシュは宝具をそのままに、その場を速やかに離れた。そして同時に、宝具による防御壁を食い破った光の矢が一斉に誰も居ない大地へと突き刺さった。

 

 轟音。爆音。閃光。灼熱。地震。それらが一気に大地を襲い、蹂躙していく。煙が晴れ、光の矢が突き刺さった筈の大地をギルガメッシュは見やる。

 

 そこにはあったのは巨大な黒い窪み。所々が赤く、ドロドロとしていることからかなりの高温で熱せられ、今も尚その熱を帯びているのだと理解できる。

 

(たった数十の矢でこれ程とはな。流石は現人神といったところか。)

 

 たった数十の矢によって引き起こされた惨状を目の当たりにして、ギルガメッシュは戦慄すると同時により八雲への興味を強めてゆく。

 

(これ程の力。益々お前が欲しくなったぞ、ヤクモ!)

 

「見事なものだ。有象無象の雑種如きにはこのような真似は出来ぬ。お前が望めば、この世界を容易く手中に収められるであろうな。」

 

「いや、面倒臭いからやらんよ。自由気ままな俺の人生が窮屈になっちまう。」

 

 冗談と本気が半分ずつ含まれたギルガメッシュの言葉に、酷く面倒臭そうな声色で返答する八雲。その八雲の返答にギルガメッシュは笑いの声を上げる。

 

「フハハハ!確実に手中に収められる世界の覇権を、まさか面倒などという言葉であしらうとはな!お前は余程の大馬鹿者よな!」

 

「馬鹿で結構!そんなことよりも暢気に話してて良いのか、よ!」

 

 今は戦いの最中。話し合いなど只の隙でしかない。それを理解している八雲は、会話を打ち切ると同時にギルガメッシュに肉薄し、己の拳で彼の顔面を打ち抜かんと拳を振う。だが、それも瞬時に現れた盾によって遮られて不発に終わる。

 

「常に隙を窺い、好機が来ればすかさず攻め込むのは定石。お前のその手が読めぬと思うたか?」

 

「いや、全く。寧ろ受けてたら幻滅してたな。」

 

 ギルガメッシュの言葉に、冷淡な声で答える八雲。その拳がギルガメッシュの顔面に叩きつけられていたら、確実にギルガメッシュに幻滅していただろう。

 

「ふん。お前が現人神であると確信した時点で既に慢心は捨てた。今後は幼稚な手は効かぬものと知るがいい。」

 

 ギルガメッシュがそう語り終わると同時に、八雲の頭上から凄まじい数の宝具が降り注いでくる。当然、常軌を逸した早さで動ける八雲からすれば当たる筈のない攻撃である。八雲は逃げようとすぐに身体を動かす―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何!?」

 

「言った筈であろう。慢心は捨てたとな。」

 

 

 ――――――ことはできなかった。その身体を縛り付ける黄金の鎖によって彼の動きは殺され、迫りくる宝具の数々へとその身を差し出される。

 

 八雲は現人神だ。神の力を持つが、それと同時に人としての肉体を持った類稀なる存在だ。神殺しの武器による一撃死などは八雲には起こり得ない。そしてそれは神を律する力を持った天の鎖(エルキドゥ)にも同じことが言える。神の力は確かに持っている。だが彼は人としての肉体も持ち合わせている。神でありながら神に非ず、神を超える可能性を秘めた八雲には、天の鎖など只頑丈なだけの鎖でしかないのだ。

 

 ギルガメッシュもそのことは分かっていた。それでも彼は八雲にその鎖を使った。特に意味は無い。只一瞬でも動きを止められれば良かったのだ。そしてその目論見は見事に的中した。

 

 僅かな一瞬。だがそれは彼等の戦いの中においては致命的な隙であった。

 

 動きを一瞬封じられた八雲に、凄まじい数の宝具が群がっていく。剣が、槍が、短刀が、まるで血肉に飢えた猛獣の如く八雲の身を貪ろうと次々に飛び出していく。

 

 大地を抉り、凄まじい砂塵を引き起こしながら投下されていた宝具達はギルガメッシュが投下を止めることで遂にその勢いが沈黙した。

 

(さて、普通ならば死んでいるだろうが・・・。)

 

 普通ならば確実に死んでいるであろう攻撃だった。だがそれでもギルガメッシュは確信していた。

 

「簡単に命を散らす存在ではあるまい?ヤクモよ!」

 

 あの現人神は――――八雲はこのような攻撃で死にはしないと。そしてそれは、土煙の中に存在する人影によって証明された。

 

 土煙が晴れ、視界が開けて行く。そこに、無傷とまでは行かなくとも、まだまだ戦うことができるであろう八雲の姿を確認したギルガメッシュは只々笑うだけだった。

 

(そう、それでこそ我が欲した男よ!)

 

「―――――当たり前だ。ギルガメッシュ!」

 

 左腕の弓は壊れ、所々に傷と焦げた跡を見せながらも真っ直ぐに仁王立ちをしてみせる八雲。戦意も余力も互いに十二分。

 

 

 

 

 

 ――――――――彼等の戦いはまだ終わらない。

 

 

 

 

 




 すまんのう。戦闘パートが後もうちょっとだけ続くんじゃよ。

 ・・・すいません、調子に乗りました。次のお話もすぐに投稿できるように努力しますので、どうかお許しください(切実)

 ・・・感想とか評価とか荒れたらどうしよう(遠い目)



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