Fate/Living god 現人神として転生したんだが好き勝手しても良いよな?   作:妖牙

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戦闘パートの後半です。
突っ込みどころ満載ですが、ご覧になって頂ければ幸いです。

注意・今回の話では、主人公が滅茶苦茶やらかします。技名も何個か別作品のものがあるのでチート系が嫌だという方、パクリなんて見たくないという方は閲覧をお控えください。


第五話

 

「それにしても、よくもやってくれたな。白銀の騎士甲冑(コイツ)が無かったら死んでたぞ。」

 

 凄まじい宝具の猛攻を耐え抜いた白銀の騎士こと八雲は、心底ほっとしたと言わんばかりの声色でそう語る。

 

 先程の猛攻も、実は左手の弓を盾に戻して防御したことで何とか凌いだのだ。尤も、突然の出来事であったが為に盾を失うことになってしまったが。

 

「ふん。お前ならばそのような鎧など無くとも生きていそうなものだがな。」

 

 しかし、ギルガメッシュは八雲の言葉を嫌味か皮肉だと感じたのか、苛立った表情でそう語る。

 

 八雲からしてみれば、本気で死にかけたのだが、それを信じてもらえなかったようである。実際、深いダメージを受けていないのだから、死にかけたなどと言われても信じられないだろうが。

 

「いや、あれはマジでヤバかった。良い線いってたよ。」

 

 八雲はダメ押しだと言わんばかりに言葉を口にするが、ギルガメッシュは鼻で笑うだけだった。

 

「どちらにせよ、まだ戦いを終わらせるつもりは毛頭ない。戦えるというのならば、遠慮はせん。」

 

 それだけ言うと、最早何も語らないと言わんばかりに口を閉ざし、殺気に満ちた視線を送ってくるギルガメッシュ。

 

(もうおしゃべりはここまでか。)

 

「ああ。俺もやられっぱなしってのは性に合わねえ。手痛い反撃って奴をさせてもらおうか!」

 

 八雲はそう言うと、一気に距離を詰める。ダメージが有るのか、先程よりは幾分か遅いが、それでも超人的な早さであることに変わりはない。

 

(さて、さっきのダメージで射手形態(ガンナーフォーム)は使用不可。ならお次はアレで行くか。)

 

 先程は左手にあった盾が変形したが、今度は両手の拳と両脚が変化し始めた。

 

「ほう、また形態を変えるか。面白い、来るがいい!」

 

 変化が終わり、新たな姿が晒される。その拳と脚は先ほどよりも大きく、そして武骨で機械的な意匠が凝らされていた。

 

(起動完了。『白銀の騎士甲冑・拳闘形態』(アルギュロス・グラップラーフォーム)

 

 『白銀の騎士甲冑』に与えられた第二の形態。その名の通り拳と脚による強烈な一撃を与えることを前提として生み出されたその姿は、最早騎士のような華やかなものではなくなり、見る者全てに威圧感を与える荒々しい姿となっている。

 

(一気に行くぞ!まずはあの技からだ!)

 

 どのような技を繰り出すのかを決めた八雲は、その強靭な右脚を勢いよく振り上げ、丁度自分の真上辺りで一度止める。

 

 僅かな時間で呼吸を整え、一気にその踵を振り下ろす。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 遥か遠くに居るギルガメッシュに踵落とし自体は当たらなかった。だが、極限まで強化された強靭な脚力によって、音速をも凌駕する速度で繰り出された踵落としによって引き起こされた風圧の威力は、並みの宝具による一撃などあっさりと凌駕してしまった。

 

 荒野に凄まじい速度で迸る鋭く、巨大な鎌鼬はあっという間に過ぎ去ってゆき、気が付けば大地には深々と刻まれた巨大な斬撃の跡が残り、その遥か先にあった山はその殆どが跡形もなく消し飛んでいた。空の方を見れば、先程まで存在していた鉛色の雲が刃物で切り分けたかのように綺麗に分断されている。

 

 只脚を振るう。たったそれだけで大地を裂き、山をも破砕したその一撃は、後の世に築かれていくであろう名城の数々を一度で陥落させることも容易い程の強烈な威力を示して見せた。

 

(くっそー!外した!)

 

 だが、肝心のギルガメッシュには全くかすりもしておらず、只無関係な山を消し飛ばすことしかできなかったことに内心で悔しがる八雲。

 

 ・・・本来は山を踵落としで消し飛ばすなど、到底実現することは不可能な技である筈なのだが、それに彼が気付くことは恐らくないだろう。

 

 一方のギルガメッシュといえば、そのあまりにも強力な威力の前に只々顔を歪める。

 

(まさかこれ程の攻撃を手足でとはな。最早あの神々では手も足も出まい。)

 

 あまりの威力に、少し考え込んでしまうギルガメッシュ。そしてそれを好機と見た八雲はひたすらに前進する。そのスピードは、この形態による強化の恩恵か先程よりも速くなっていた。

 

(もらったぜ!ギルガメッシュ!)

 

 再度懐に飛び込むが、またもや盾と思しき宝具が合計数百程並んでいた。それも、ギルガメッシュが持つ宝具の中でも最高峰の等級と性能を持つ選りすぐりの逸品ばかりである。本来ならば余程のことが無い限り他人に見せる事のない宝具ばかりがそこにある。先程の踵落としが余程応えたのか、一個人の攻撃に対するものとしては過剰とも言うべき防御である。

 

 だが、そんなものは八雲には通じない。

 

(今こそあの技を使うとき!)

 

 眼前に見える数百の宝具を睨みながら、胸の前へと拳を掲げ魔力を注ぎ込む。すると、右手が赤く染まり始め、高熱を帯びてゆく。その手に宿りし熱はかなりの温度なのか、その右手の周りの空気が蜃気楼のように歪んでいる。

 

「俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!!」

 

 その一言で、より激しさを増してゆく右手の赤みと熱。早く解放しろと言わんばかりに溢れ出るその膨大な出力は先程の踵落としによる一撃など比べることは到底出来ないものであると推察できる。

 

 その赤く燃え滾り、周りの空気すらも歪めてしまう程の熱を帯びたその右手はまるで、勝利を渇望する執念と自らの身を焦がす程に沸き上がらせた神の怒りを体現しているようにも感じられる。

 

 激情を宿したその右手の熱は、今か今かと解放の時を待望しながら、掌の上で暴れ狂う。

 

「ばぁぁぁくねつ!」

 

 数百の宝具は目と鼻の先。その激情を叩きつける存在は既に目の前にある。ならばあとは解放し、叩きつけるのみ。

 

 今こそ見せよう、神の一撃を。その技の名は―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――赤く燃え滾る神の指(ゴッドフィンガー)ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一撃は文字通り全てを薙ぎ払う。その膨大な熱量と紅蓮の火柱は目の前にあった数百の宝具の全てを一瞬で消し炭にし、放った際の余波として起こった熱波が大地に存在する全てを吹き飛ばし、焼き払っていく。

 

 後に残ったのは、木炭の如き黒さを持った焦土と成り果てた大地と、恐らくは宝具かそこに生えていた植物であっただろう黒いナニカだ。

 

 最高峰クラスの宝具数百を一瞬で消滅させ、更に宝具によって威力が減衰させられていたのにも関わらず、大地を焼き払ったのを見れば、筆舌に尽くしがたい威力であったことは容易に想像ができる。

 

 それほどの一撃を受けて、ギルガメッシュ自身も流石に無事では済まず、残っていた防御用の宝具全てを総動員して漸く軽度の火傷で済んだ。とはいえ、その代償として防御に使用していた宝具の殆どが使用不可能となってしまったが。

 

 本来ならば、敵のみを焼き尽くす筈の業火の拳だった。しかし、戦場を見ればその技の余波によって大地は焼かれ焦土と化している。これ程の事態になるとは、技を放った八雲本人も想像すらしていなかった。

 

(あ、あれ?四割位しか解放してないんだが、こんなに威力強かったっけ?)

 

 そう、これで全体の四割程度の出力。思いがけない出力に、技を放った八雲自身が戦慄する。

 

(まあでも、威力が上がったんだし気にする必要は無いか。)

 

 尤も、すぐにいつものペースに戻ってしまったが。

 

「これが本当の―――――神の指(ゴッドフィンガー)というものだ。」

 

 技を―――――いや、圧倒的な暴力を放ち終えた八雲は、その右手を勝者の如く天へと掲げる。まるで自らの力を誇示しているかのようだが、実際は膨大な熱を上空に排熱するためにこのようなポーズを取っているだけで、それ以外の意味は無い。

 

 しかし、それ以外の人物―――――ギルガメッシュからしてみれば、自らに対する挑発と死刑宣告にしか見えなかった。

 

(我の宝具による防御を掻き消した上に、その余波で大地を焼き払うなど尋常ではない!)

 

 自らの自慢の宝具があっさりと破られたことへの怒りと屈辱、そして戦慄と恐怖がギルガメッシュの心を満たしていく。

 

(最早、防御用の宝具は尽きた。並大抵の宝具では奴に手傷すら与えられまい。)

 

 ここまで圧倒的な力を見せられれば、もう認めるしかない。だが、膝を屈するつもりもない。覚悟を決めたギルガメッシュは、手元に現れた虚空からゆっくりとナニカを取り出した。

 

 取り出されたのは鍵の形をした剣―――――鍵剣ハヴ・イル

 

 それは彼のみが持つ、宝物庫の最奥に眠る『世界を切り裂いた最強の剣』を呼び寄せるための触媒。ギルガメッシュは、手元に取り出したその鍵を握り締め、錠前を開ける様にゆっくりと手首を捻った。

 

 次の瞬間、空に向かって無数の赤い線が走査状になって広がっていき、やがてギルガメッシュの元へと集束されていった。

 

 ギルガメッシュの手元を見れば、先程まであった鍵剣は既に無く、代わりに赤い光を放つ球体から徐々に棒状の様なものが現れ始める。

 

 そしてギルガメッシュの手元に納まると同時に、その物体の全容が明らかとなる。

 

 三つの円柱によって構成され、表面に幾何学模様が刻まれた刀身を持つ珍妙な形状をした棒状の物体。一見すると掘削機にしか見えないそれは、世界を切り裂いた最強の剣にしてギルガメッシュのみが持つ宝具。彼が認めた相手だけにしか見せないその究極の剣の名は―――――――

 

「乖離剣エア、か。まさかそれを引っ張り出して来るなんてな。」

 

 八雲は乖離剣が出てきたことに心底驚いたといった声色で言葉を口にし、ギルガメッシュは八雲が乖離剣の名を知っていたことに感心するように目を細めた。

 

「ほう、この剣の名を知っていたか。ならば説明は不要か。」

 

「俺としちゃあ、それ程のものを拝めるのは嬉しいぜ。だけど良いのか?俺なんかに見せちまっても?」

 

「ふん、我の宝具を悉く破壊しておいて良く言えたものだ。あれ程の力を見せたのだ、ならば此方もそれに相応しいもので相手をしてやるのが道理であろう。」

 

「そうか。それじゃあ俺もとっておきの奴で相手をしなくちゃな!」

 

 そう八雲は言うと、自らの身体を覆っていた『白銀の騎士甲冑』を解除し、いつも通りの服装へと戻っていた。

 

「自ら鎧を脱ぐとは、我を愚弄しているのか?」

 

「違う。これから見せるものに白銀の騎士甲冑(アレ)はもう必要ないんだよ。だから脱いだんだ。」

 

 怒りを見せるギルガメッシュに、鎧を脱いだ理由を話した八雲の身体には凄まじい金色の魔力が漂い始める。

 

(準備は整った。やるか!)

 

「さてと、英雄王様。大変長らくお待たせしたが、これからお前に俺のとっておきの奴を見せてやるぜ。」

 

 そう言うと同時に、指を鳴らす。世界に心地の良い音が響く。だが、それと同時に世界が揺れを起こし始め、大地が徐々に裂けてゆく。世界が崩れゆく姿を眺める者達の視界を凄まじい閃光が襲い、世界を白く染め上げて行った。

 

 気が付けばそこは別世界であった。最早先程まで存在していた荒野は最初からそこには存在などしていないかのように消え失せ、あるのは見たことも無いような草木が生い茂る広大な大地ばかり。空を見やれば、まだ夜ですらないというのに星達が爛々と宝石の如く輝いている。

 

 そして極めつけは、雲一つ無い青空に浮かぶ三つの太陽(・・・・・)

 

 元から存在していた世界を塗り替え、自分の手によって新たな世界を創り出す。それこそまさに、現人神の力の証明である『奇跡』と呼べるであろう。

 

「如何かな、英雄王。俺の創り出した世界は。」

 

 自慢げな顔をしながら感想を聞く八雲。そしてギルガメッシュはといえば感心か、それとも驚愕かは定かではないが、目を見開きながらその世界を見定め、暫しの時を経てから口を開いた。

 

「固有結界、ではないな。まさか完全な一つの異世界、いや異次元か?どちらにせよそれを生み出すとは、成程その力は見事だと言っておこう。だが、それだけだ。幾ら世界を創り出したところで、この世界で一体何ができるというのだ。」

 

 世界を生み出した力を認めはしたが、これが何の役に立つのかという疑問をぶつけるギルガメッシュ。一方の八雲はその言葉に、口元を歪ませる。

 

 まるでその言葉を待ってました!と言わんばかりの無邪気な子供のような笑みである。

 

「そう急かすなよ、まだこれは下拵えなんだ。これからがお楽しみだぜ。」

 

「ほう、これ程のことをしておきながらまだ下拵えだと申すか。面白い、見せてもらおうではないか。」

 

「ああ。それじゃあ始めるか――――――――召喚(サモン)。」

 

 そう語ると同時に、手元に何かを召喚する。金色の光と共に現れたのは一振りの剣。細身でありながらも、何処か力強さすら感じられるその剣を八雲は天高くに掲げ、空を突き刺すが如く突き上げる。

 

「今此処において最後の封印を解く。終末剣エンドよ!今こそ光となりて天を駆け、終末を齎す災厄をこの場に誘え!」

 

 その言葉と共に、膨大な魔力と共に神力が合わさった巨大な金色の光が柱となって天を貫き、空の遥か彼方へと向かって伸びてゆく。その様子をただ静かに見守るギルガメッシュは、その様子を見て即座に悟った。あの光は、そしてあの光と共に訪れるモノは途轍もなく危険であると。

 

 ギルガメッシュは躊躇することなく、自らの手元に握られている乖離剣エアの矛先を八雲へと向ける。今行われている儀式を止めなければならないと、本能がそうさせていた。

 

 ―――――――――だがもう遅い。既に賽は投げられた。確信は現実となってその身に降りかかる。

 

「時は満ちた。終末の時は間もなく訪れる。覚悟せよ。」

 

 そう紡ぐと同時に、徐々に巨大な影が落ち始め、やがて世界は薄暗い闇に包まれた。何事かと思い、天に立つべき自分が天を仰ぎ見なければならないのかと強く憤りつつ、ギルガメッシュは空を見る。だが、その怒りも忽ち消え失せる。

 

 その圧倒的な、見る者全てを恐怖のどん底へと叩き落とす強大な存在によって。

 

「何、だと?」

 

 呆然とした表情で、絞り出すようにそう声を出したのはギルガメッシュ。エアを握る右手が震え、今にもエアを取り零してしまいそうになっていることにも気付かず、只々その空に浮かぶモノを見ていた。

 

 その頭上に存在するのは、天を覆い尽くす『巨大な』という言葉で表現することすらおこがましい程の大きさの隕石であった。いや、隕石と言うよりは最早一つの惑星と言っても過言ではない大きさだ。

 

 ギルガメッシュは今まで様々なものをその目に焼き付けてきた。財宝は勿論のこと、人々が起こしてきた争いを、人々の心の奥底に眠る醜い欲望を、そして天災とも言うべき大災害を。

 

 それら全てを見てきた彼に恐れるものなどないと、そしてこれから自分を恐れさせるようなものはこれから先現れる筈がないと思っていた。

 

 だが、現実はどうだ。今自分は目の前にある強大な力の前にこうして呆然とし、言葉すら満足にふるえないではないか。次元が違う。格が違う。その言葉を吐いてきた自分が今、目の前で佇む人物にそれらの言葉を抱く。

 

 今までの彼を支えてきた全てが音を立てて崩れ去っていくのを自分で感じながら、ギルガメッシュは只呆然と立つのみであった。

 

「どうだ、中々迫力があるだろ?降参するなら今のうちだぜ?」

 

 自分の中のナニカが崩れかけてゆく中で、ギルガメッシュは自分の耳に聞こえてきた『降参』という言葉によってすぐに立ち直った。

 

(何を怯える必要がある!我は王だぞ!たかが石ころ如き、恐れるに足らんわ!)

 

 自らは王だ。その誇りとプライドが彼を再び立ち上がらせ、屈強な心を再構築してゆく。最早、眼前の星を見せられるだけでは彼の膝は折れない。

 

「フフハハハハ!確かに見応えはある。だが、所詮はただ大きいだけの石ころに過ぎぬ。この程度で王たるこの我が臆する筈が無かろう。」

 

 そう言葉を返したギルガメッシュを見て、八雲は口元の笑みをより深くする。

 

(そう!そうこなくちゃな!それでこそだよ!)

 

「つまり降参する意思は無いと?」

 

「愚問だな。この我がたかが石ころ如きで膝を屈するとでも思うたか?この我を甘く見るでないわ!」

 

 ギルガメッシュのその言葉と共に、、エアの刀身が回転し始め、辺りの空気を巻き込み始めた。それは最強クラスの威力を持つ、地獄であったこの星の原初の姿を再現する風を呼び醒ますための予兆。

 

 世界を切り裂いた最強の剣にて、自らの頭上にある星を切り裂こうとしている。

 

 そのことに八雲は只々歓喜する。まだ彼は自分に立ち向かってきてくれる。それがたまらなく嬉しかった。

 

「そうか。それじゃあ仕方が無いな―――――――覚悟を決めろよ、英雄王。」

 

「そのような石ころ如き、我の剣(エア)にて断ち切ってくれるわ!」

 

 それが最後の会話だった。お互いに次の一撃によって決着が着くだろうと覚悟を決める。ギルガメッシュの持つエアの風圧が極限に達したのを合図に、二人の全てがぶつかり合う――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終末を告げし暴虐の星(アルマゲドン)!」

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――天より墜ちてきた巨大な星が、終末を告げながら大地へと赤色の炎を纏いつつゆっくりと迫っていく。それを迎え撃つのは、世界を切り裂いた剣より放たれる地獄の風。

 

 それらが、ぶつかり合うと同時に凄まじい風圧と衝撃波が、世界中の全てを蹂躙し薙ぎ払っていく。

 

 大地は一気に裂けて削れていき、草木はその悉くが天高くに吹き飛ばされて鋭い暴風による鎌鼬によって細切れとなっていく。人が住むことはおろか立つことさえも難しい、というよりもどの生物であったとしても最早存続などできないだろう死の世界へと一気に変わり果てて行く。

 

 終末を告げる破壊の星を、地獄の風が少しずつ削りながら押しとどめてはいるが果たして全てを削り切れるだろうか。それとも、地獄の風を押し退けて大地へと星が墜ちるのだろうか。

 

 その決着が着くと同時に、遂に世界が崩壊の時を迎える。大地が崩落し、空が歪んでいき、世界を再び眩い閃光が覆い尽くす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が晴れればそこは、先程まで居た世界に来る前の荒野だった。途轍もない破壊の跡が残ってはいるものの、やはりあの荒野である。

 

 そしてその荒野に鎧が砕けて傷だらけになった無防備な姿で横たわる男と、そしてその横たわった人物を見下ろす此方も傷だらけになりながらも立っている男がいた。

 

 どちらが勝者であるかは言うまでもないだろう。

 

 その戦いの勝者は――――――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の勝ちで良いんだよな―――――ギルガメッシュ。」

 

「ああ。お前の勝ちだ――――――ヤクモ。」

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――勝者は八雲だった。

 

 現人神として、人よりもずば抜けた強靭な肉体と膨大な魔力のお陰で、あの最後の一撃の余波を耐えることができた八雲と、乖離剣による一撃を放った後の僅かな隙によって余波を凌ぐことができなかったギルガメッシュ。

 

 それら以外にも様々な要因が絡み合った結果、八雲の勝利という形で決着が着いたのだ。

 

「見事だった。まさかあのようなモノを隠し持っていたとは思わなかったぞ。」

 

「まあ、一応奥の手だしな。にしてもまさか、アレを相殺されるなんて思ってなかったぜ。」

 

 八雲の言葉に含まれるのは純粋な称賛と敬意。あの一撃を生き延びたギルガメッシュへの最大級の賛辞が込められていた。

 

「完全に相殺はできず、今はこのような無様な醜態を晒している以上どのような言葉で言い繕おうとも我の負けだ。さあ、ヤクモよ。後はお前の好きにするがいい。」

 

 しかしギルガメッシュはその称賛すらも跳ね除けて、最後の始末を八雲へと託した。

 

 ギルガメッシュの言葉を聞いた八雲は、少し考えた後に言葉を紡ぎだす。

 

「じゃあさ、ここは一つ勝者である俺からのお願いを聞いてくれないか?」

 

 その八雲の言葉を聞いたギルガメッシュは静かに思考する。一体どんな無理難題を押し付けてくるだろうか、果たして何を言い出すのかを予想しつつ、口を開く。

 

「この我に何を求めるつもりだ?我が宝物庫の財か?それとも我の国か?」

 

 ギルガメッシュは自分の思いつく限りの予想を口にするが、返って来たのは苦笑いと首を横に振るジェスチャーだけだった。

 

「違う違う。そんなものじゃないさ。もっとシンプルで、簡単なお願いだよ。」

 

「我が財でも国でもないだと?ではお前の求めるものとは何だ?」

 

 大抵の人間ならば欲するであろうものを要らぬと言い切った八雲の答えに対し、ギルガメッシュは混乱して求めるものが何なのかを問いただす。

 

 八雲はその様子を見て、無邪気な笑顔と共に自らの願いを口にした。

 

「俺と――――――友達になってくれ。」

 

 その言葉に今度こそギルガメッシュは訳が分からなくなり、身体の動作が止まる。

 

 自らが集めた至高の財宝でも、自らが治める国でもなく、只自らと友になりたいという願い。

 

(そんな願いを我に求めると言うのか?何故?理解が出来ん。)

 

 自らの中に現れた疑問を押しとどめつつ、改めて確認する為にギルガメッシュは口を開いた。

 

「―――――友、だと?この我と朋友になりたいと?それがお前の我に対する願いだと申すのか?」

 

「ああ、お前と友達になりたいんだ。」

 

 八雲のその言葉に呆けた表情をしながら、黙り込んでしまうギルガメッシュ。八雲は少しの間時間をおいた後で、再びを口を開く。

 

「それで、お返事は?」

 

 八雲の言葉を聞いたギルガメッシュは考える。最初は只の雑種でしかないと思っていたが、それは短時間の内に覆され、結果として自分を打ち負かす程の実力を見せた。

 

(悪くは無いかもしれん。)

 

 そう思っていたことに対し、もう答えは出ているのだと気付き、口を開いた。

 

「良かろう。お前は今この時より我が朋友だ。泣いて喜ぶがいい、ヤクモ。」

 

「ああ。よろしく頼むぜ、ギルガメッシュ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――彼のギルガメシュ叙事詩において、ギルガメッシュの朋友であったとされるのはエルキドゥ只一人であった。だが、その歴史と記述は本来の歴史を外れ、新たな物語を紡ぎだし始める。

 

 今ここに、後世の神話や歴史において『救世の現人神』と崇められるようになる男の名前が、歴史の表舞台へと立つことになった。

 

 彼がギルガメッシュの数少ない朋友の一人となったことで、図らずも歴史は狂い、異なる運命(Fate)を歩み始めることとなる。

 

 

「ヤクモよ。今回は負けたが、次は負けん。覚えておけ。」

 

「ああ。いつでもかかってこい。返り討ちにしてやる。」

 

 

 

 

 

 ―――――――彼の紡ぐ新たなる神話が、ここから始まる。

 

 

 

 

 

 




・・・どうしよう。叩かれそうで怖い。(冷や汗&遠い目)
次回から主人公視点の日常?回に戻るので暫くは本格的な戦闘シーンは無いかもです。
次回も早めに投稿できるように努力させていただきます。


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