Fate/Living god 現人神として転生したんだが好き勝手しても良いよな? 作:妖牙
今回も突っ込みどころや不快に思われる点があるとは思いますが、見て頂ければ幸いです。
やあ、エルキドゥを救って神々とドンパチしてきた俺だ。色々と疲れる出来事がてんこ盛りだったが、何とかエルキドゥを助けることができたぜ。ギルと友達になった以上、アイツが悲しむのは見たくないし、エルキドゥにも生きていてもらいたいものな。
とまあ、それはさておき。今俺はギルとエルキドゥと共にウルクの王城の一室に居た。なんでそんなところに居るのかと言うと、お別れの挨拶を言いに来たんだよ。ほら、俺って自由に生きるのがモットーですし。もうそろそろ旅に出るよってギルに言ってあったし。元々エルキドゥを助けたらすぐに出発するつもりだったんだが、思いの外ダメージが残っていたんで、暫く療養する羽目になっちまって今日まで延びちまった。
「ヤクモ、本当に行ってしまうのかい?」
寂しそうな表情を浮かべながらエルキドゥがそんな一言を呟く。何故だろう、エルキドゥのその一言に少し罪悪感を感じてしまう。
「ああ。もう決めたことだからな。ここでやりたかったことは一通りやり終えたし。」
「そうか・・・。」
俺の一言に残念そうな表情を浮かべながら相槌を打つエルキドゥ。まあ、人生なんて一期一会。出会いは偶然、別れは必然だからな。いずれ、俺達は別れなきゃいけないんだ。それが早くなるか、遅くなるかの違いでしかない。
「エルキドゥよ、そう気を落とすな。何もこれが今生の別れではあるまい?会いたいと思うのであれば、また会いにいけば良いだけのことだ。」
「その通りだ。一応此処からは去るけど、また何かあれば此処に立ち寄るつもりでいる。だから、そんな面すんな。」
「うん、そうだね。」
ギルガメッシュと俺の言葉で、エルキドゥの表情も明るい物へと変わった。うん、やっぱりお前は明るい表情が一番だぜ。
「さてと、そろそろ俺は行くが。その前にお前らに渡しておきたい物がある。」
俺のその一言に、ギルガメッシュは興味津々な眼差しを、エルキドゥは疑問に満ちた眼差しを送ってくる。まあ、今までの迷惑料兼居候代みたいなものだ。俺なりのケジメでもある。
「それじゃあ、
いつも通り、神器を呼び出す際の掛け声と共に二人へと手渡すための品をこの場に召喚する。見慣れた光の中から現れたのは、赤い宝石が目を引く首飾りと、蒼く宝石のように透き通った刀身を持った一振りの剣だ。
「ほう、どちらも見事なものだ。」
ギルガメッシュの目が鋭く光り、口元からは感嘆の言葉が飛び出す。幾つもの至宝をその目に焼き付けてきたギルガメッシュが、見事と言ってくれたことに思わず笑みが零れそうになるが此処は我慢だ。
「まずエルキドゥにはこれだ。」
エルキドゥへと手渡すのは、赤い宝石が煌めく首飾りだ。見てくれは、只の首飾りにしか見えないだろうが、こいつも神器だ。まあ、エルキドゥの身体を作り変えた際に、エルキドゥが俺の作った神器っぽい扱いになっているお陰で、エルキドゥも俺が作った神器を使える様になったのだ。これは思わぬ副産物だったな。
ん?ギルはどうなのって?元々ギルは半神半人の存在だから、神性は持ってるんだよ。だから、神器を使おうと思えば使えるよ。まあ、二人には独自に調整したものを渡すわけだから、使えない筈がないんだけどね。
「これは?見たところ首飾りにしか見えないけど。」
俺の手渡した首飾りを訝しげに眺めるエルキドゥ。まあ、いきなり手渡されても何が何だか分からんよな。
「そいつは、俺の作った神器の一つでな。一種の結界のようなものを身に付けている間ずっと展開してくれて、ありとあらゆる干渉から対象を保護してくれる。因みに、一瞬でも自分の身体から手放せば効果は失われちまうからな。そこは気を付けてくれよ。」
「それは凄い。でも、何故こんなものを僕に?」
俺の説明を聞いて一通り納得したのか、今度はそう聞いて来るエルキドゥ。まあ、理由ならちゃんとあるよ。
「お前は、あの神々によって一度滅ぼされかけた。何とか俺がお前の身体を作り変えたことで事無きを得たが、今後も向こうが干渉してこないとは限らない。俺が居なくなった後も油断ができなくなる以上、此処で一応保険をかけておきたいんだよ。」
「成程、確かにこれからも干渉が無いとは限らないか。そういうことなら、有り難く受け取っておくよ。」
俺の説明に納得したのか、真剣な表情を浮かべながら首飾りを握り締めるエルキドゥ。まあ、エルキドゥからすれば自分の身に危険が降りかかるかもしれないのだ。真剣な表情になるのは仕方がない。
さてと、エルキドゥに渡すべきものは渡したし、後はギルだけだな。自分の手元に、先程呼び出した剣を持ってからギルの前へと歩み寄る。
「遅くなって申し訳ない、英雄王よ。我らの友情とこれまでの感謝の証、どうか受け取って欲しい。」
真面目な表情を浮かべつつ、両手でギルの目の前へと剣を差し出す。ギルは此方に目を向けつつ、俺の両手に乗せられた剣を片手で持ち上げる。
「お前の想い、確かに受け取ったぞ。ヤクモよ。」
満足気な表情でそう告げるギル。どうやらかなりお気に召したらしい。
「断空剣をお気に召して頂けたようで何より。」
俺がそう呟くと、手渡した剣―――――断空剣に視線を向けていたギルが此方に向けてその視線を持ってきた。
「ふむ、断空剣か。ヤクモよ、この剣自体に名はあるのか?」
「ん?それって
「そうだ。」
いきなり何を言い出すのかと思えばそんなことを言い出すとは。何故そんな事を気にするのやら。
「いや、名前は決まってない。今の段階じゃ、まだ無銘の剣だよ。」
俺のその一言を聞いて、少しも考える素振りを見せずに口を開くギル。
「では、この剣の名はヤクモとする。構わぬな?」
ニヤリと、悪戯が成功したかのような笑みを浮かべながらそう言うギル。思わずポカンとしてしまったが、最初からその名前にするつもりだったのだろうと考えると、思わずため息が出た。
「ま、お好きにどうぞ。」
自分の肩を竦めつつ、呆れと自分の名前が武器に付けられてしまった恥ずかしさを半分ずつ込めた声でそう言っておく。
まあ、どんな名前を付けようが個人の勝手ですしな。それが例え自分自身の名前だったとしてもね。
ギルが断空剣を一通り鑑賞し終えたタイミングを見計らって、俺は立ち上がり二人に向かい合う。もう少しじゃれあっていたかったけど、もう行かなきゃな。
「さてと、渡すものは渡した。そろそろ行くとするか。」
俺のその言葉にエルキドゥは一瞬悲しそうな表情をしたが、すぐに笑顔を見せてくれた。うん、やっぱり最後は笑いながらのお別れじゃなきゃな。
ギルは、相変わらずの態度と表情だったが、何処か寂しそうな雰囲気を醸し出していた。まあ、常人にはその変化を見分けることは不可能だろうけど。
このまま旅立つのも悪くないが、折角の機会だ。最後は神様っぽく予言みたいなことをしておくか。
「それじゃあ最後に英雄王。俺からお前にちょっとした予言を一つ送るから心して聞けよ。」
「良かろう、申すが良い。」
俺の言葉に、ギルが真剣な表情で頷いて続きを促す。エルキドゥも気になるのか此方に意識を向けているようだ。
二人の態度を見た俺は、神気を身体全体から放ちながら真面目な表情を作って口を開く。
「―――――今よりも遥かな未来、魔術に長けた者達の手によって英雄同士の戦がとある島国にて起こる。そこに汝は弓兵の階級を得て再び現世に降臨するだろう。」
俺の口から飛び出た言葉を静かに聞いたギルガメッシュとエルキドゥ。ぶっちゃけた話が未来に起こるだろう聖杯戦争のことだ。もしかしたら起こらないかもしれないけど、多分高確率で起こる筈だ。今この場で予言として言っておいても悪くは無い筈だ。
「俄かには信じられぬが、お前の言葉だ。信じようではないか。」
口元を吊り上げながらそう言葉を紡ぐギル。まあ、正直信じられるわけがない程に馬鹿げた話だろう。それでも信じてくれると言ってくれたギルの言葉に嬉しさが込み上げてくる。
「信じてくれるとは有り難い。俺の予言が確実に当たるかどうか、期待しながら待っておくといいさ。」
俺のその言葉に鼻を鳴らすことで返事をして来るギルに少し苦笑した後、腰を90度近く曲げながら口を開く。
「長い間大変お世話になりました!二人とも、今まで本当に有り難うございました!」
そう大声で言った後、俺は踵を返して部屋の出口まで歩いていく。部屋の中から転移しても良かったが、それでは態々別れを告げた意味が無い。
俺はこれまでの日々のことを走馬灯のように思い出しながら悠々と歩き、二人が居る部屋を後にした。
「――――――達者でな、ヤクモよ。」
部屋を出る直前に偶然にも俺の耳が拾ってしまった、誰かがポツリと呟いた一言に片手を上げることで返事をしながら。
さてと、お次は何処に向かいましょうかね?エジプトか、日本か。それとも中国か?やべぇ、わくわくしてきたぜ。
次に向かう候補地に思いを馳せながら、視界が霞む中で転移を行いウルクを後にした。
「行ったか。」
「みたいだね。」
城の主が住まう一室にて、二人の人物がそう呟いた。一人は玉座に腰を掛けながら、手元に宝石のような刀身を持つ剣を持っている金髪の男。もう一人は首元に赤い宝石がついた首飾りを身に付けた、男にも女にも見えてしまう程の中性的な美貌を持った者。
彼等がこの場に集まったのは他でもない。この城を―――――いや
「ふん、これで漸く奴の生意気な戯言を聞かずに済む。」
心底清々したと言わんばかりにそう吐き捨てる金髪の男―――――ギルガメッシュであるが、その言葉とは裏腹に彼の瞳には僅かにではあったが寂しさが宿っていた。
常人にはとても見抜くことは出来ない感情の変化ではあったが、長い間彼の傍に居続けている理解者とも言うべきエルキドゥにはそれを見抜かれていた。故にエルキドゥも、彼の言葉に苦笑いこそ浮かべるものの、咎めるような真似はしなかった。
(それにしても不思議なものだね。最初は敵だと思っていたのに、何時の間にか友と呼びあえる仲にまでなっていたんだから。)
最初は敵意と殺意を持って相対していた筈だった。だが、あの現人神は自らの朋友であるギルガメッシュを打ち負かして実力を認めさせ、彼の懐へと潜り込んでしまった。
そして気が付けば自分もあの現人神の人柄に心を許し、全幅の信頼を寄せるようになってしまっていた。でなければ、あの自分の肉体を挿げ替える等と言う妄言にも近い彼の提案に乗る訳が無い。
いつの間にか自分達と共に友情を育んでしまっていたという摩訶不思議なこれまでの時間は、今更になっても不思議であると感じてしまうエルキドゥだった。
一方のギルガメッシュはと言えば、八雲が去って行った方角に未だ目を向けながら、八雲が残して言った予言を反芻していた。
(あの予言、只の戯言にしては確信があるようだった。ならば確実に予言が当たるだろう。奴め、もしや予言で触れた戦でこの我の敵となるつもりなのか。それとも・・・。)
予言にあった戦で八雲が敵になろうがなるまいが関係はない。どちらにせよ、未来にて八雲と出会う可能性が非常に高いことが分かっただけで十分だった。
(もしその時が来れば、精々楽しませてもらうぞ。お前にその時会うのが楽しみだ。)
僅かに口角を吊り上げた後、ジッと遥か彼方を見据えるように視線を上げてギルガメッシュは口を開いた。
「また会おう―――――
再会を願う言葉を口にしたギルガメッシュ。その言葉が、まだ見ぬ遥か先の未来で起こる戦争での出会いか、それとも生きて再び再会することを願っての言葉なのかは定かではない。
―――――――本来在るべきだった歴史が悉く歪められた古代メソポタミアのウルクから一柱の現人神が旅立ち、新天地へとその足を向けた。次に訪れる出会いに果たしてどのような結末が齎されるのか。
それはまだ誰にも分からない―――――――
今回の話を持ちまして、ギルガメシュ叙事詩の話を終わらせて頂きます。此処までご覧下さった皆様には心から感謝を申し上げます。
今回は、まさかのギルガメッシュ&エルキドゥに強化フラグが立ちましたが、どんな変化を遂げたのかは恐らく聖杯戦争で触れることになるかもしれません。(もしかしたら触れずに終わるかも・・・。)
次回以降から新しい章に突入していきます。舞台は既に決めてあるので、後はシナリオを描くだけです。
それでは、また次回も宜しくお願いします。