Infinite Stratos~Full Throttle of MACH~   作:朝陽祭

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ようやく入学初日の出来事が終わった……次回はセシリア戦の予定です。
それと今回の話及び今後の展開に伴い、少しばかりプロローグと紹介文を修正しました。


第ニ話 なぜ、決闘は行われることになったのか~後編~

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、どうしたもんだこりゃ。まずい、非常にまずいぞこれは?」

 

 

 

 ――放課後、クラス代表決定戦に向けての準備を行う為、一夏は全速力で訓練用のアリーナとISの利用申請を行う為に受付へと向かった。

 

 なお、箒も一緒に誘ったのだが彼女は剣道部へ用事があるとのことで別行動となったのだが、それはひとまず置いておくとする。

 

 とにかく、受付へと向かった一夏を待ち受けていたのは……ちょうど、クラス代表決定戦が行われる1週間後まで、訓練用ISが全て予約で埋まっているという事実だった。

 

 訓練用アリーナ自体は使用できるとのことだが、それもISを利用してのことなのでISがない現状ではなんら意味をなさない。

 

 つまり、『入学当初から専用機を所持している』か『先輩達と交渉できるもしくはコネがある』人間でなければ、この期間にISの訓練を行うことは難しいのだ。

 

 ――後日、この状況は先輩達との交流を結ばせることで人脈を作り出す為の愛のムチであることが判明するのだが、IS学園唯一の男子生徒ということで注目を集めており、下手に動くと要らぬ混乱を引き起こす可能性がある為迂闊に動けない一夏には関係のないことだった。

 

 次に一夏が次に取った行動は、倉持技研に一夏が使用する予定の専用機をすぐにでも使用できないかという交渉を行うことだった。しかし、こちらもまた調整が難航している為すぐに使用することはできないという返答を貰ってしまい(幸い、クラス代表戦には間に合わせるという言質は取れたのだが)、校庭に設置されたベンチに腰掛けると一夏は大きなため息を付きながら頭を抱えてしまうのであった。

 

 

「どーすんだよ、八方塞がりじゃねぇか……最悪、誰か適当な先輩にでも声をかけるか?いや、同級生の雰囲気から考えると上級生も愉快な面々が集ってる可能性は否定出来ないし、噂に尾ひれがつきまくって大事になる予感しか……」

 

「あ、いたいた!織斑君、探しましたよ~?」

 

「……あれ、どうしたんすか山田先生?」

 

 

 頭を抱えて一夏が呻いていると、1組の副担任である真耶が息を切らしてこちらへと走ってきた。その驚異的な胸部装甲が激しく自己主張をしていたが気を使って意識しないようにした一夏が用件を尋ねると、深呼吸をして呼吸を整えた真耶はゆっくりと喋り出した。

 

 

「はい……学生寮の空きがない為、しばらくは自宅からの通学になるという連絡が事前にあったはずですね?」

 

「あー、確かそうっすね。そもそも女子寮に野郎が一人だけって問題が起きた場合色々とやばそうですもんね。」

 

「織斑君、問題起こす気なんですかっ!?」

 

「もののたとえですよっ!?ただでさえ居心地が悪いのにそんなことしたら社会的に死にますって俺っ!?」

 

「ほっ、よかったぁ……実は寮の空きを無理やり作ったので、織斑君には当初の予定を変更して寮から通ってもらうことについさっき決まったんですよ。」

 

「待って、ちょっと待って。そんな急に言われても荷物とか準備してないんですけど俺っ!?」

 

 

 しれっと真耶から告げられた決定に、思わず一夏はツッコミを入れてしまうが、首をかしげた真耶は更なる爆弾を投入した。

 

 

「あれ?でも織斑先生が荷物の手配をすると言ってさっきでかけたはずなんですが……あ、駄目ですよ織斑君どこにいくんですかっ!?」

 

「離してください山田先生!あの私生活ダメダメ人間が荷物の準備とか絶対に家が荒れてしまうんですよっ!」

 

「少しはお姉さんを信頼してあげてくださいっ!?」

 

「駄目な方向にしか信頼できないんですがっ!?」

 

「とにかく落ち着いてください!?織斑君にはこれから副管理人さんに会ってもらう必要があるんですからぁ!?」

 

「……副管理人?」

 

 慌てて飛び出そうとした一夏が動きを止めたのを確認すると、動きを止める為に抱きついていた真耶は体を離し、笑顔を見せながら説明を行った。

 

 

「はい!実は、IS学園初の男子生徒である織斑君が入学する際にあたって色々不便な点があるだろうという配慮から、春休みから寮の副管理人として男性の方が入られているんですよ。」

 

「あー、確かに色々困ることあるかもしれないですしね。」

 

「そうですよね、織斑君も男の子ですしね……という訳で、副管理人の元へ案内するので私についてきてください!」

 

 

 

 

 

 

 

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 こうして、真耶に連れられて1年生が入寮する施設(余談ではあるが、管理人は千冬であると説明を受けた一夏はこの世の終わりのような表情をしたという)へと連れてこられた一夏は、副管理人室へと赴いていた。

 

 しかし、副管理人の顔を見た瞬間、一夏は顔を思いっきりひきつらせたのだった。

 

 

「はい、では紹介しますね織斑君!こちらが、1年生用学生寮の副管理人を務めます『音無 零路(おとなし れいじ)』さんです!」

 

「…………音無、零路だ。よろしく頼む。」

 

「オリムラ、イチカデス。コチラコソヨロシクオネガイシマス。」

 

「はい!では、私は別の仕事が残っていますので、後はお願いしてもよろしいですか音無さん?」

 

「任せろ。」

 

「では織斑君、また明日!あ、何か困ったことがあったらいつでも頼ってくださいね!」

 

 

 紫づくめの着こなすには相当のセンスが必要だと思われる服を着こなした、零路と呼ばれた男が無愛想なまま一夏に向かって礼をすると、片言になりつつ一夏も礼を返す。

 

 その様子を見た真耶が用事の為副管理人室を後にしたのを確認すると、一夏はジト目で零路を見つめた。

 

 

「…………で、なんでお前が居るんだよ『プロトゼロ』?クリムと一緒にフランスに行ってたんじゃなかったのか?あとその姿はなんだよっ!?」

 

「フランスからはついこの間、帰ってきた。この姿は、人間社会でも動きやすくする為にモデルとなった人間の情報をベースに擬態した姿だ。クリムや千冬から聞いてなかったのか?」

 

「……ジーザス、またクリムの秘密主義かよっ!?千冬ねぇも面白そうだからって黙ってやがったなこれはっ!?」

 

「一夏、静かにしろ。寮の中では騒がないようにするのが寮生に定められたルールではないのか?それと、人前では音無さん、もしくは零路さんと呼べ。」

 

「うっせぇなぁっ!?んなこたぁわかってんだよっ!」

 

「一夏、言葉遣いは正しく使え。」

 

「真面目かっ!?つーかお前元の姿の時から更にクソ真面目になってないかっ!?」

 

 

 

 一夏に『プロトゼロ』と呼ばれた零路――その正体は人間ではなく、クリムがロイミュードに対抗する為開発した『サイバロイド プロトゼロ』という存在である――が淡々と状況を告げると、一夏は頭を掻き毟りながら叫びだす。

 

 そんな一夏に対し淡々と零路が指摘を入れると、一夏は更に叫び声をあげた。

 

 

「……まぁいい。一夏、ついてこい。」

 

「いや、ここからどこに行く気だよ?」

 

「……」

 

「無視かよっ!?」

 

 

 

 そういうと、零路は一夏の疑問を意に介さないかのようにおもむろに立ち上がり、壁に手をかざす。すると、何もなかったはずの壁から光が放たれ零路の掌をまるでスキャンするかのように上から下へと流れていく。

 

 その後、重々しい起動音と共に副管理人室の奥にある畳間の壁が奥に引っ込んだかと思うとせり上がっていき、その先に地下へ続いているだろうと思われる階段が現れた。

 

 

「ちょっと待て……いったい誰がこんなビックリドッキリ機能作ったっ!?秘密基地かよここはっ!?学園どころか政府も知ってんのかこれ?」

 

「政府は知るはずがないだろう。このルートはIS学園に関する国際規約を逆手にとり、束が密かに開発したものだ。それにIS学園学園長はクリムの協力者だと聞いている。」

 

「そういうことは入学前に教えろよ!?」

 

「……聞かれなかった、からだ。クリムの秘密主義は、お前も知っているはずだが?」

 

「くそぉっ!?ただでさえ頭がパンクしそうな状況なのにどんどん新情報が入ってきやがる!」

 

「話は、下に降りてからだ……行くぞ。」

 

「あ、おい待てよっ!?」

 

 

 そんなやりとりを他所に地下へと降りていく零路を追って、一夏もまた階段を降りて地下へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

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「おいおい、マジかよこりゃ……」

 

 

 

 地下に降りた一夏を待っていたのは、整備格納庫と呼ぶにふさわしい空間だった。

 

 部屋の中央にはターンテーブルを備えたゲートのようなものが配置されて、更にゲートの下には黒を基調としたスポーツカーのようなデザインの車が鎮座していた。

 

 天井から伸びた整備用アームはせわしなく動いており、空間に映しだされたモニターを見るにスポーツカーの調整を行っているようだ。

 

 

『ん……?やぁ、よく来たね一夏!どうだいこのドライブピットは!ナイスな雰囲気だろう?それと、IS学園への入学おめでとう!どうだい?女の園に男子一人だけという状況は?』

 

 

 すると、空間にモニターを映し出していた赤い機械から音声が響いたかと思うと、まるで一夏に気がついたかのように反転し、タイヤを回転させて一夏へと近づいてくる。よく見れば、赤い機械には銀色の装置が備えられており、その中央部にある丸いモニターには、赤いラインが人の顔のような模様を映しだしていた。

 

 一夏はため息をつくと、壁際にあった椅子の背もたれに肘をつくようにして座り、機械へ向かって話しかけた。

 

 

「いや、クリム……驚いたってもんじゃねぇよ。いつの間にフランスから帰ってきたんだ?つかなんだよこの場所は。あと学園の状況については勘弁してくれ、色々ありすぎて困ってんだ。」

 

『ふむ……まぁ、私の方も積もる話がある。ひとつひとつ順をおって説明していくとしよう。』

 

 

 そう言うと、赤い機械に装着された銀色の機械――『ドライブドライバー』に自らの意識をダウンロードした天才科学者『クリム・シュタインベルト』は、モニターの表情を笑顔から真剣な表情へと変えて、口を開いた。

 

 

『まず、この場所はドライブピットという。ロイミュードとの戦闘に備え、いくつか私が確保していた拠点の一つだ。一夏がIS学園に入学したということもあって、協力者である学園長の力を借りて本格的に準備を整えたと言う訳だ。ここならばある程度政府からの隠蔽も可能だからね。』

 

「まぁ、形骸化してるとはいえ一応は中立地帯だからな……どの国からも干渉されないって考えると都合がいいのか。」

 

『その通りだ。そして、なぜここの準備を整えたのかというと――これを見てくれ。」

 

 

 そう言うと、クリムは空間にモニターを映し出す。そこには異形のロボット『ロイミュード』の顔写真が108枚用意されており、その多くはモノクロかつ顔の中央に重なるよう赤いバツ印がつけられていた。

 

 

『先のグローバルフリーズにおいて我々は決起したロイミュード達との激闘を繰り広げ、101体のロイミュードを撃破した。残すロイミュードは後7体……と言いたい所だが、つい先日フランスにて重加速現象が確認された。私とプロトゼロがフランスへ赴いたのはその為だ。』

 

「……で、その原因は?『蛮野』の仕業だったのか?」

 

 

 クリムのその言葉を聞き、一夏はチラリと壁際に腕を組んでもたれかかっている零路へと視線を向けた。零路は一夏が視線を向けたことに気がつくと見つめ返すが、一夏はバツが悪そうに視線を逸らし、クリムへと問いかけた。

 

 

『結論から言うと、半分は正解だ。一夏、私は春休みにキミにISの知識を叩き込んだね?ならば、フランス、ISと聞いて思い当たるものは?』

 

「フランスって言うと、デュノア社だろ?ISの開発企業だけど、ここ最近は新世代ISの開発が遅れて経営危機に陥っているってはな……まさか!?」

 

『そう、それは表向きの話だ。実際は【ナンバーが刻印されていないロイミュード】がデュノア社の社長に融合し、【蛮野博士】へと資金提供を行っていたようだ。ご丁寧に社員全員にマインドコントロールを行い、経営難に疑問を抱かせないようにしているという念の入れようだった。彼もまた、ロイミュード達の動きを隠れ蓑に人知れず行動していたという訳だ。』

 

「あの野郎……どこまで人を食い物にすれば気が済むんだ……っ!」

 

『一夏……』

 

 

 クリムの言葉を聞き、歯を食いしばりながら拳を握りしめる一夏に対し、クリムは困ったような表情を見せる。その様子を見て、沈黙を保っていた零路が口を開いた。

 

 

「それだけではない……クリム、『奴』についても話すべきだ。」

 

「奴……?」

 

『……一夏、私は先程キミの問いに対し半分は正解だと言ったろう?実は、フランスで起きた重加速現象は――とある存在が私達をおびき寄せる為にわざと行われたものだったんだ。その存在の名は【仮面ライダールパン】、かつて【アルティメットルパン】を名乗り全世界を騒がせた、伝説の怪盗だ。』

 

「はぁ!?なんだって怪盗が重加速現象を使えるんだよっ!?何か重加速現象を発生させる機械が盗まれでもしたのかっ!?」

 

「クリムが対ロイミュード用として開発したものの、あまりのパワーにクリムの精神が保たず封印していた、俺の発展型である『サイバロイドZZZ(スリーゼット)』だ。」

 

「おい、クリムッ!?」

 

 

 零路の言葉に、声を荒げた一夏がクリムを睨む。すると、クリムは困った表情をモニターに浮かべながら、器用にキャスターを後退させながらしどろもどろに弁明し始めた。

 

 

『いや、私だってセキュリティは万全にした上に、束の力も借りて厳重に保管してたんだよ!?だけど、それすらもルパンは突破していったんだっ!アンビリーバボーすぎるよ彼は!』

 

「束さんのセキュリティを突破ってどんだけだよ……まぁ、それは置いとくとして。で、そのルパンって奴の目的は?」

 

『詳しい理由は分からないが、少なくとも蛮野と敵対していることだけは確かだ。彼もまたデュノア社に潜入していたロイミュードを破壊しようとしていたからね。問題は、我々とも協力する気がないということだけだ。』

 

「はぁ……つまり、敵が増えたってことか。次から次へと厄介事が舞い込んでくるなおい。」

 

『済まないね一夏……本当ならキミには戦いの道から離れて、平穏な暮らしを送って欲しかったのだが。』

 

 

 そのクリムの言葉に一夏は上を向いて少しばかり物思いに耽ると、笑顔を浮かべて言葉を放った。

 

 

「気にすんなよクリム、これは俺がやりたくて、やるって決めたことなんだ。どんなことが待ってようが、頑張ってやるさ。」

 

「戦いに関して覚悟を持つのは勝手だが、勉学にも励めよ一夏。特殊な事情とはいえ、お前の身分は学生なのだからな。」

 

「え?ちふ……がふっ!?」

 

 

 ふと、後ろからかけられた声に一夏が振り向いた瞬間、大きめのスポーツバッグが顔にめがけて投げられた。赤くなった顔面を抑えつつ一夏が目を開けると、そこにはため息をついた千冬が一夏達が降りてきた階段の傍に立っていた。

 

 

「一週間分の着替えと、携帯の充電器は入れてある。それだけあればひとまずは持つだろう。それ以外の私物については適宜相談しろ。」

 

「もうちょい穏便な渡し方はなかったんですかねぇっ!?というか、家の方はちゃんと片付けてきたんだよなっ!?着替えを準備するついでになんか家探しとかしてないよなっ?」

 

「…………やかましい。それと、お前の部屋は1025号室だ。用が済んだなら部屋に向かえ。わかったな?」

 

「何その有無を言わさないじょうき……あ、はいすいませんお願いですからげんこつの構えはやめてください吹き飛んでしまいます……そんじゃクリム、またな。」

 

『あぁ、気が向いたらいつでも来たまえ。その時は歓迎するよ!』

 

 

 千冬に催促されると、一夏はクリムに対し挨拶を交わしながら、千冬の横を通りすぎて階段を登っていく。その様子を眺めながら千冬は再びため息をつき、クリムへと語りかけた。

 

 

「世界初の男性IS操縦者に、仮面ライダー……なぜあいつは『平穏な人生』というものに無縁な存在となってしまったんだろうな、クリム?」

 

『巻き込んでしまった私が言うのもおこがましいとは思うのだが……彼は、そういう運命にあった、としか言うしかあるまい。科学者としては非常にナンセンスな言葉なのだがね。』

 

「……お互い、ままならないものだな。」

 

『だが、だからこそ……彼を支えていく必要がある。それが、巻き込んでしまった我々の責任だと思うよ千冬。』

 

「そうだな……」

 

『……あんまりしんみりしてもしょうがない、話題を変えよう。そういえば、一夏の部屋は一人部屋なのかい?』

 

「いや、規則の都合上女子と一緒だ。まぁ、箒を相部屋にしておいたから他の女子よりは気楽になるだろう。一夏や箒にも山田先生から説明が行われているはずだ。」

 

 

 

 

 

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「ほぇ~、そこいらのビジネスホテルとは比べ物にならないなぁ……おぉ、ベッドもいいもん使ってやがる。」

 

 

 副管理人室を後にして寮の自室となる1025号室へと向かった一夏は、内装をのんびりと眺めながら部屋の中を進んでいった。

 

 すると、部屋にはベッドや机等が2つ備えられており、ちょうどドア側に近いベッドの傍には、竹刀やバッグなどの荷物が傍に置いてあった。

 

 

「……ベッドが2つあるってことは同居人が居るってことだよな?え、女子とひとつ屋根の下で暮らすの?弾の奴が聞いたら血の涙流しそうだな……ま、荷物が置いてある所をみると一旦出かけてまだ戻ってきてないみたいだし説明と交渉は後にするか。」

 

 

 荷物などを眺めてそう判断した一夏は、奥の方にあるベッドの傍に荷物を置くと、ベッドの上に雪崩れ込む。実家にあるベッドとは違う心地よさに、一夏はベッドの上で体の向きを変えたりしてその肌触り等を堪能していた。

 

 

 

 

 

 

 

 ――初日で色々あったが故に知らず知らずのうちに疲れが溜まっていたのか、部屋の入口すぐ脇にあったシャワー室のドアが閉め切られているにも関わらず電気がついており、微かにだが水が滴る音が聞こえることに一夏はまだ気がついていなかった。

 

 

「ん?誰か居るのか……あぁ、同室の者か。こんな格好ですまないな。私は篠ノ之箒と言う。一年間よろしくたの……」

 

 

 そして、そんな声と共にドアが開かれると、白い湯気と共に――バスタオルを体に巻き付け、髪をかわかしている途中の箒が中から出てきた為、一夏と箒はお互いの顔を見合わせつつ硬直してしまう。

 

 色々あるとはいえ、一夏も男の子だ。幼馴染とは言え同年代の無防備な女子のお風呂あがりの姿を見てはいけないと思いつつも視線がその濡れているせいでボディラインを隠しきれず、逆に艶やかさを醸し出している箒を眺めてしまい、ゴクリとつばを飲み込む。

 

 一方の箒はと言うと、一夏が居ることをまだ理解できていなかったようで首を傾げていたが、やがて合点がいったかのように手を叩いた。

 

 

「一夏……夜這いに来るには少しばかり時間が早くないか?まだ陽が沈みきっていないぞ。」

 

「そこは恥じらう所だよなぁっ!?というかお願いだから服を来てくださいさっさと!?」

 

「ここで着替えろと言うのか。一夏……お前はちゃんと女の子に興味があったんだなぁ。」

 

「ねぇなにその風評被害っ!?ホロリと涙を流す場面がちげぇよっ!?それと着替えるのはここじゃなくて脱衣所でだよっ!?」

 

 

 

 

 

 ――こうして、よくも悪くも平常運転な幼馴染に振り回されつつ、一夏のIS学園での初日が、終わりを告げようとしていたのだった。

 

 

 

  ~To Be Continued~

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