Infinite Stratos~Full Throttle of MACH~   作:朝陽祭

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一夏の変身回にして第一章最終回です。
次回からは第ニ章として色々キャラが動いていく予定です。


第七話 点火するエンジンは誰のものなのか

 

 

 

「真影局長!避難をお願い致します!」

 

「私のことは後でいい。どうやら、あの未確認機(アンノウン)はアリーナの代表候補生達が時間をかせぐようだ。その間に学園スタッフと連携し観客席の避難を優先させなさい。これは命令だよ」

 

「し、しかし!」

 

「おいよせ!……承知致しました!」

 

「では、しっかりと頼むよ」

 

『はっ!』

 

 

 IS学園のアリーナに備えられたVIP来賓室。そこでは、未確認機(アンノウン)と鈴と一夏の戦いを写しだしたモニターを背にしながら、冷静に護衛へ指示を伝えている男性が居た。

 

 彼の名は『真影 壮一(まかげ そういち)』。国家防衛局長にして参議院議員を務めている。

 

 

 なぜ彼がこの場に来ているのかといえば、結論から言えば一夏と箒が原因である。

 

 世界唯一の男性IS装着者かつ、世界最強の一画を個人で担っている千冬の弟である一夏と、世界のIS事情をフルスロットルで過去のものにした唯一の『第四世代IS』所持者かつISを世界にもたらした束の妹である箒。

 

 表に出てないとはいえ対暗部用暗部『更識家』の当主でありながら、自由国籍権を取得しロシア代表となった、世界にバレたら首脳陣の胃と首が消滅しかねない更識 楯無(ばくだん)という前例があるが故に。

 

 下手に扱えば超弩級の爆弾へと変貌しかねないこの二人をどうにか日本国内に留めておく為に首脳陣から依頼された真影は彼らと接触する機会を作る為、企業等も観覧に来るこのタイミングでIS学園を訪れていたのだった。

 

 

 護衛達が指示を受けて退室したのを確認した真影は、モニターに映し出される未確認機(アンノウン)――ISを纏ったロイミュードを、訝しげな目で見つめた。

 

 

「……ロイミュードと融合させることで、コアのないISを無理やり制御下に置いたか。篠ノ之束の技術を自分のものにしたというアピールのようだが、却って滑稽な様だね『蛮野 天十郎』?」

 

 

 そして、真影はソファーに座りこむとテーブルの上に置いていたスマートパッドを操作し、いくつかの情報を表示する。

 

 以前に色々と便宜を図った、現警視庁捜査一課課長『仁良 光秀(にら みつひで)』から送られてきた『警視庁特殊状況下事件捜査課』の設立とそこに配備された人員の名簿。

 

 現在ロイミュードと交戦している、鈴のプロフィール。その中には『12年前に発生した銀行強盗事件に巻き込まれ、偶然居合わせた『泊 英介(とまり えいすけ)』警部補が錯乱した犯人の発砲から彼女を庇い殉職。』という記述がある。

 

 

 それらを一瞥しながら、真影は何も表情に示さないまま再びモニターへと視線を向ける。そこには、必死にロイミュードと戦う一夏達の姿が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、ここでアリーナへと焦点を戻してみよう。

 

 結論から言えば、一夏達は善戦している方だった。

 

 近距離で一夏が瞬時加速(イグニッション・ブースト)を交え撹乱しつつ零落白夜を的確に当て、中距離を鈴が衝撃砲を利用しつつ埋めていく。

 

 即席タッグにも関わらず、阿吽の呼吸で的確に攻撃を加えていくそれは、人間が装着したISならば撃破できていたことだろう。

 

 ――そう、『相手が人間ならば』。

 

 

 

 

 

「ッ!鈴、危ねぇっ!」

 

「っ!?ちょっと、何よ今の人体を無視した動きは!?ありがと一夏!」

 

 

 一夏が攻撃を加えた瞬間、ロイミュードの腕関節が『人間ならば曲がらないような角度』で鈴の方向を向き、ビームを放ってくる。

 

 追撃の衝撃砲を放とうとした鈴はとっさに瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い回避し、同じく距離を取った一夏の傍に戻るが、その顔には疲労の色が浮かんでいた。

 

 

「……まだ、5分ほどってところかしら?避難は順調のようだけど思ったより長いわね」

 

「それだけじゃない。こっちのシールドエネルギーは減るばかりだってのにあっちは一向に減る様子が見えねぇ……何より、あの野郎『遊んでやがる』。これ以上長引かせるとこっちがやばい」

 

「なんでそんなことが分かるのかはひとまず置いておくとして、まずいわねそれは……それにしても見覚えあるのよねあれ……?似たようなのを昔見たような気が……」

 

 

 一夏の言葉に疑問を覚えながらも、敵であるロイミュードの姿をまじまじと眺める。記憶の底にうっすらと浮かんでいるのだが、それがどこでなのか、なぜみたのかが浮かんでこない。

 

 一方一夏はというと、焦りを覚えていた。敵が『遊んでいる』と判断した理由はただひとつ。ロイミュードが標準的に備えている『重加速現象』を発生させていないからに他ならない。

 

 『グローバルフリーズ』と呼ばれる、世界的に起きた怪現象。その中で確認されたのが、『重加速現象の範囲内で稼働するISは絶対防御やシールドバリア―が無効化される』という事象だ。

 

 ただでさえ重加速現象発生中は通常の物理法則を無視した状態となり、ロイミュードや対策を施した存在以外はろくに動くことができなくなる。

 

 そんな状況でISの防御力の根幹である絶対防御やシールドバリア―が無効化されるということは、ISが既存の兵器に対して優位性を誇っていた点が一転して最悪のデメリットになるのである。

 

 事実、突如として行われたロイミュードの凶行に対応しようとした各軍のISは壊滅的な被害を受けているが、超兵器たるISの存在意義を揺るがす事態である為世間には秘匿されているのだ。

 

 ロイミュードの暗躍を阻止するべく動いていた一夏はその事実をISの開発者である束から直々に聞かされ、対策の一つである『シフトカーホルダー』を『グローバルフリーズ』後も装着していた。

 

 これはクリム・シュタインベルトが対ロイミュード用として開発したユニット『シフトカー』や『シグナルバイク』を装着することで重加速現象の影響を無効化できる代物で、これにより例え重加速現象が発生しても『一夏』だけならば対応は可能だ。

 

 

 

(問題は、あのロイミュードが重加速現象を発動させたら俺は鈴を庇いながら戦わなきゃいけないってことだ。ただでさえ白式は継戦能力が低いってのに、消耗も激しい。何より、ISだけじゃロイミュードのコアは破壊できない。変身さえできれば――)

 

 

 

 現在の状況を分析しつつ、一夏は歯を軋ませる。何故ならば、一夏がロイミュード達と戦う為に用いた武装……その根幹を成すユニット『マッハドライバー炎』が手元にないからだ。

 

 理由としては『グローバルフリーズ』においてあるロイミュードと戦った際、未完成だった武装を無理やり使用したことで修復が必要となり、開発者であるハーレー博士に預けたからだ。

 

 白式を受領した際に渡されなかったので恐らく修理が終わってないのだろうと判断した一夏は、特にそのことを追求することなく過ごしていた。

 

 戦いたくない訳ではなかったが、協力者であるクリムの『平和な学園生活を過ごして欲しい』という願いを無下にするのもどうかと思い、ロイミュードとの戦いをクリムと零路(プロトドライブ)に任せたのだ。

 

 

(くそっ!こんなことなら、あの時せめて修理がどれだけ終わってるのか確認しとけばよかった……っ!)

 

「一夏、敵が動くわよ!」

 

 

 一夏が自分の行動に後悔していると、ロイミュードの動きを注視していた鈴が叫ぶ。それと同時、ロイミュードが全身に纏ったISの背部ユニットを展開し、顕になった隙間からミサイルの弾頭が露出する。

 

 

「はっ!その程度で止めれると思ったら――」

 

「!?いや、待て鈴!これは――」

 

 

 鈴がミサイルが発射される前に接近しようとし、それを一夏が止めようとしたその瞬間。ロイミュードから衝撃波――『重加速現象』が発生する時に生じるエネルギー波が放出され、一夏達の動きが鈍くなる。

 

 

『……なっ!?』

 

「くっ!?鈴ぃぃぃぃんっっっ!」

 

 

 それは、余りにも長く致命的な『一瞬』だった。どこからともなく飛び出してきたシグナルバイクが一夏の腰に装着されたシフトカーホルダーに装填され、一夏が重加速現象の影響から逃れ瞬時加速(イグニッション・ブースト)したその時。

 

 既にロイミュードから無数のミサイルが放たれ――鈴の目前へと迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しゃらくさい!」

 

「お行きなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

 

 ――だが、そのミサイルの群れは降り注ぐ光の雨と斬撃によって破壊され、それによって生じた爆炎が鈴を包み込む寸前に、上空から現れたセシリアが鈴を抱え離脱する。

 

 

「箒!セシリア!悪い、助かった!」

 

「お礼は後ですわ!まったく、これが噂の『どんより』ですか……厄介なものですわね!」

 

「待ってろ一夏、すぐに回復してやる!『絢爛舞踏』、発動!」

 

「……えっ、ちょっと何なの!?何が起きてるの!?」

 

「話は後ですわ!今は、この状況を切り抜けないと……」

 

 

 一夏が救援に駆けつけた箒とセシリアに礼を言おうとするとセシリアはその言葉を制止し、鈴の腰にもう一つのシフトカーホルダーを装着し、箒は紅椿の『絢爛舞踏』を発動させ、白式と甲龍のエネルギーを回復させる。

 

 重加速現象から解放されるも状況がまだ飲み込めていない鈴をよそに、箒とセシリアはそれぞれの遠距離武装を一斉に放ちながらロイミュードの動きを止める。

 

 

 

『HISSATU!FULL-THROTTLE!SPEED!』

 

「――はああああっっっ!」

 

 

 

 続けて、ピットガレージから飛び出し空中へと舞い上がったプロトドライブが、必殺の一撃(ライダーキック)をロイミュードめがけて放つ。

 

 しかし、その一撃はロイミュードが纏うISの『絶対防御』によって防がれてしまい、ロイミュードがなぎ払うように振るった腕によってプロトドライブは吹き飛ばされてしまう。

 

 

「ちっ……セシリア、鈴!一夏、お前はクリム達を!」

 

「承知しましたわ!」

 

「わかったわ!」

 

「おうよ!」

 

 

 プロトドライブが吹き飛ばされたのを目撃すると、すぐさま遠距離手段を持つ女子三名による波状攻撃が行われる。その隙に一夏は加速すると、吹き飛ばされてアリーナの壁へ叩きつけられたプロトドライブの元へ駆けつける。

 

 

「クリム、零路!大丈夫か!?」

 

『あぁ、なんとかね……やはり、ロイミュードの『コア・ドライビア』によってIS自体の出力も上昇しているか。こんな形で性能を目の当たりにするとは、開発者としては複雑だよ』

 

「どうする、クリム。あのロイミュードを倒すには、『アレ』しかない」

 

『……仕方ない。一夏、『マッハ』に変身するんだ!』

 

「はっ!?何言ってんだクリム!今の俺にはベルトがないぞっ!?」

 

『いや、ベルトなら白式の中にある。零落白夜が想像以上に厄介な代物でね、ベルトを内部機構として搭載するのに時間がかかってしまったんだ。コールサインは『マッハドライバー、イグニッション』!さぁ、叫んでみたまえ!』

 

 

 プロトドライブの言葉にクリムは数瞬だけ思案すると、やがて覚悟を決めたかのように一夏へと話しかけ、ベルトの場所を告げる。

 

 その言葉が一瞬理解できずに目を白黒させていた一夏だったが……やがて、目を輝かせた一夏は笑みを浮かべ、プロトドライブの背中を叩いた。

 

 

「――ったく、秘密主義も大概にしとけってんだ!それじゃいくぞ白式!『マッハドライバー、イグニッション』!」

 

 

 一夏がそう叫ぶと、白式の展開が一時的に解除され、代わりに腰部に青と銀の装飾が目立つベルト『マッハドライバー炎』が装着される。

 

 そして、軽快な音楽が鳴り響くのと共にどこからともなく取り出した白いバイク状のユニット『シグナルバイク:シグナルマッハ』を、バックル右部のパネルを上部に展開することで露出するスロットに装填する。

 

 

『SIGNALBIKE!RIDER!』

 

 

 マッハドライバー炎から音声が響くと、一夏は顔の傍で右腕を構え、空手の型のように腕を回転させ、掛け声と共に決めポーズを取る。

 

 

「レッツ……変身!」

 

『――MACH!』

 

 

 そして、再びバックルを操作すると、一夏の体がモトクロスレーサーを思わせるスーツと右肩にタイヤの意匠が施された白い装甲に包まれていき、首元からマフラーがたなびく。

 

 

「一夏さんが――」

 

「――変身した!?」

 

「――追跡!」

 

 

 その様子を見てセシリアと鈴が驚くのをよそに、一夏はロイミュードへと指を指す。

 

 

「――撲滅!」

 

 

 続いて、その場で一回転すると左拳を右掌に叩きつける。

 

 

「――いずれも、マッハァ!」

 

「「……はい?」」

 

 

 そして、片手を上げたかと思うと胸の前で手を叩き、両手を掲げる。その様子に、セシリアと鈴は首を傾げる。

 

 

 

「仮面ライダー……マッ、ハァ!」

 

『……アメイジングサーカス、何をやっているんだね君は』

 

 

 腕をぐるぐると回し、ビシッ!という効果音が聞こえるかのごとく決めポーズを取るとなぜか背後で爆発が起きる。

 

 その後ろでクリムが呆れた声を出している所から判断すると、どうやらシフトカーの一つ『アメイジングサーカス』による演出のようだ。

 

 

「……一夏、満足したか?」

 

「おい!なんだその可哀想なものを見るような目は!?まぁ、それはともかくだ……ここからは、俺のステージだ!」

 

「待て、一夏」

 

「ぐえっ!?おいこらマフラー掴むんじゃねぇよっ!?」

 

『さっき我々の攻撃が弾かれたのを見てなかったのかね!?今のあれは、ISの『絶対防御』をコア・ドライビアで増幅しているんだ!』

 

「じゃあどうしろってんだよ!?逆に言えば、ISの装備だとコア・ドライビアでシールドエネルギーが減らないから対応できないってことじゃねぇか!」

 

 

 箒達が温かい視線を向けるのにいたたまれなくなった一夏ことマッハはロイミュードに向かって駆け出そうとするが、なびいたマフラーをプロトドライブが掴んだことで首が変な音を鳴らす。

 

 マッハが抗議している横で箒達が時間稼ぎをしている中、クリムによるロイミュードの分析が行われ、一夏が叫び声をあげる。

 

 

『だからこそ、君しかいないんだよ一夏。シールドエネルギーを無効化できる『零落白夜』と、ロイミュードのコアを破壊できる『仮面ライダー』、二つの要素を併せ持つ君にしかあのロイミュードは倒せない!』

 

「っ!そういうことか!白式……ひとっ走り、付き合えよ!」

 

『LINK-UP!INFINITE-STRATOS『BYAKU-SHIKI』!START-OUR-ENGINE!』

 

 

 クリムの言葉に頷くと、マッハは右手を掲げ高らかにそう叫ぶ。すると、マッハドライバー炎から電子音声が鳴り響き、エネルギーフィールドと共に展開された白式の装甲がマッハのスーツに装着されていく。

 

 

「さぁ!今度こそ、いくぜええええ!」

 

 

 そして、右手で白式の武装である雪片弐型を、左手でISサイズに大型化されたマッハの武装『ゼンリンシューター』を装備したマッハは、ブースターを全開にしロイミュードへと接近する。

 

 急速に接近するマッハを最大の脅威と認識したのか、ロイミュードは腕部に装着されたビーム砲を展開しマッハへと向ける。

 

 

「ロイミュードだってんなら……遠慮はいらねぇよなああああっっっっ!」

 

 

 ――だが、その砲塔からビームが放たれるその瞬間。

 

 白式のブースターによる瞬時加速(イグニッション・ブースト)とマッハに搭載されている高速移動機能を併用した複雑な軌道による急加速でロイミュードの頭上を取ったマッハは、回転しながら雪片弐型を振るう。

 

 それによりロイミュードの腕ごとビーム砲が叩き切られ、行き場を失ったエネルギーが暴走し爆発を引き起こす。

 

 続けて、左手のゼンリンシューターに装着されたタイヤ状のユニットがエネルギーを纏いつつ急速に回転を始め、マッハはそれをアッパーカットのように振るうと、ロイミュードを空中へ吹き飛ばす。

 

 

「トドメだあああああっっっっっっ!!!!!」

 

『HISSATU!FULL-THROTTLE!INFINITE-STRATOS!MACH!』

 

 

 マッハがベルトを展開しベルト上部のボタンを押しこむ。すると、ベルトがけたたましい音楽と共に7色に発光するのと同時に、雪片弐型の刀身がより激しさを増して光り輝く。

 

 空中で体勢を立て直し攻撃を仕掛けてくるロイミュードを追ってマッハもまた空中へと舞い上がると、すれ違いざまに雪片弐型を横薙ぎに振るい更に上昇、急降下の加速と共に唐竹割りの要領でロイミュードを頭から両断する。

 

 そして、地面に着地したマッハが露払いをするかのように雪片弐型を振るうと――4つに分断されたロイミュードのボディがコアごと爆発を引き起こし、残骸が煙を上げながらアリーナへと落ちてくる。

 

 

 

『OTUKA-RE!』

 

「……ふぃー。どうにか、なったな」

 

「一夏、大丈夫か!」

 

「ちょっと!ちゃんと説明しなさいよね!」

 

「全部、話してもらいますからね!」

 

 

 重加速現象が解除されるのと同時に変身を解除した一夏は、こちらへと駆け寄ってくる箒達に笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

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「なんとかロイミュードは撃破できたが……後始末が大変だな、これは」

 

 

 一夏に箒達が駆け寄るのをモニターで眺めながら、千冬は深い溜息をつく。

 

 ひとまず脅威となるロイミュードは撃破出来た。しかし、未確認機(アンノウン)としてISを纏ったロイミュードが乱入したことや、重加速現象の発生は隠しきれることではない。

 

 

「確か、進之介は【特状課】へ異勤になったと言っていたな。あまり首を突っ込んでほしくはないんだが……いや、いまさらか。既に生徒を巻き込んでいるのだからな私は。だが、今は……」

 

 

 そんなことを呟きながら、千冬は通信機器を取り出しながら巡回を行っていた真耶や緊急事態に対応しようとしていた上級生達に指示をいれていく。

 

 

 こうして、後に『ロイミュード事変』の始まりとして語られる戦いはようやく終わりを迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

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 ――ドイツ

 

 

 

 

「IS学園への出向命令か……やれやれ、また面倒なものを押し付けられたものだな」

 

「現在、IS学園では世界各国どこよりも先駆けて『第4世代IS』の研究が行われています。イギリスと中国が代表候補生を通じて情報を得ようとしている以上、乗り遅れる訳にはいかないのでしょう」

 

「最新鋭の第3世代ISを開発したと豪語した矢先にこれだ。上の意向もわからなくはないが……クラリッサ。私は今まで学生生活などしたことがないぞ、どうしろというのだ?」

 

「問題ありません隊長。我々『シュヴァルツェ・ハーゼ』の総力を挙げて、隊長が素敵なキャンパスライフを送れるようサポート致します」

 

「そうか、頼りにしているぞ」

 

 

 

 とある一室で、ソファーに腰掛けながら銀髪で左目に眼帯を装着した少女が、その手に持った資料を背後に立っていたこれまた眼帯を装着した水色の髪の女性に渡しながら、そんな会話を交える。

 

 その少女は軽く背伸びをすると立ち上がり、壁を見つめる。そこには、今より少しだけ若く見える千冬と少女が映った写真や、状況から見て隠し撮りされたと思われる一夏の写真が貼り付けられていた。

 

 

 

 

 

 

「今回ばかりはこの代表候補生という身分も役立ったことだし、上には感謝しておこう。私の目的を果たしやすくなったのだからな……」

 

 

 

 様々な思いが渦巻くその右目で写真を見つめながら、その少女――【ラウラ・ボーデヴィッヒ】は、微かに聞こえる程度の声でそう呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~To Be Continued~

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