また、旧鼠の話を牛鬼編に含ませます。
誘拐された巫女
次の日、奴良組本家では朝から宴の準備が行われていた。
カラス天狗が昨日の事を本家の妖怪達に伝え回ったからだ。アマテラスとチビテラスも早起きして台所で料理を作り、作った品を居間の食卓に運ぶ手伝いをしている。
チビテラスが最後の品を持って居間に入るとリクオが上座に座っていた。目を大きく開いて顔を青ざめながら側に座ったチビテラスに聞いた。
「ねぇ、テラ。これは・・・何?」
「昨日リクオ様が再び覚醒したことを祝うために用意した品です♪」
それを聞いてリクオは大きく溜息をついて「朝っぱらからこんな事しなくてもいいのに・・・」と呟いた。そこへカラス天狗が嬉し涙を流しながらやってきた。
「いやぁーーリクオ様!拙者感動いたしましたよ。ようやく奴良組に光明が見えたのだ。時代が変わる・・・戦慄さえ覚えましたぞ!そうでございましょうテラ様!!」
「はい!ではリクオ様遠慮なく召し上がってください」
「う、うん。いただきます」
リクオが目の前に置いてある品を食べ始めると本家の妖怪達がリクオが覚醒した事を聞いて居間へ集まってきた。
「おうカラス。若がとうとう目覚めたそうじゃなぁ!」
「ついにまた妖怪変化されたか!!」
「再び三代目を目指す宣言をなされたとか!!」
「うれしいのぅ!」
「いやぁーワシら本家一同これ程の喜びはないですぞ」
「拙僧感涙にむせび候!!」
「ささ!!宴を始めましょうかの~~~」
「待ちなさい!」
盛り上がっている妖怪達をアマテラスが止めた。
「どうなさいましたアマテラス殿?」
「盛り上がるのはいいですけど、リクオ君とテラはこれから学校に行くからお楽しみは夜に取っておきなさい!」
カラス天狗をはじめ、周りにいる妖怪全員が納得したように頷いた。
その後リクオとチビテラスは学校に行って、アマテラスは見回りに行き、他の妖怪達は先程よりは静かになったがそのまま宴を続けた。途中でぬらりひょんと鯉伴が入ってきてさらに盛り上がったのである。
夕方になっても宴は続いてどんちゃん騒ぎであった。見回りから帰って来たアマテラスも参加して料理を食べたり、ぬらりひょん達の酒の酌をしたりした。すると突然学校から帰って来たリクオとチビテラスが入ってきた。その表情は少し暗い感じで皆に片付けるように言い出した。
「どうしたのリクオ君、テラ?」
「お母様・・・日曜日に友達が遊びに来るんですが・・・」
「何か問題があるのテラ?」
「その中に・・・陰陽師がいるのです!」
陰陽師という言葉を聞いた瞬間、宴をしていた妖怪達(ぬらりひょんと鯉伴以外)は顔を青ざめてすぐさま片付けだした。
そして日曜日になると本家の妖怪達は一斉に隠れて、アマテラスとチビテラスは正体がばれないために陰陽師の娘・花開院ゆらが帰るまで二手に分かれて浮世絵町を見回りすることにした。
チビテラスside
お母様と別れた後、私は見回っている途中で悪さをしていた奴良組じゃない妖怪を滅しながら浮世絵町の『一番街』という所を歩いています。
周りはたくさんのお店の光で美しく煌めいています。
「キャウゥ~(まるで都みたいに綺麗な所。いつかリクオ様と一緒に行きたいな・・・)」
そんな風に思っていると突然血の臭いがした。
私は臭いがする方に向かうとそこに家長さんと陰陽師の子が倒れていて、周りを鼠の妖怪達が囲んでいた。
「お前ら、丁重にあつかえよ。こいつらは大事なエサだからな・・・・」
エサ?何のことなのかな?それよりも早く二人を助けないと!
ガっ!!!
「キャゥ・・・」
後ろから誰かに蹴られて壁に頭をぶつけてしまって私は意識を失った。
side end
第三者side
「旧鼠様。例の白い犬っころを見つけましたぜ!」
旧鼠の部下がチビテラスを乱暴に片手で持ちながら見せつけた。旧鼠はそれを見てスーツのポケットから一枚の紙を出した。紙には犬の絵とかなり高めの賞金額が書いてあった。
「どうやらこいつで間違いないみてぇだな。よし!この犬っころも牢にぶち込んでおけ。それから依頼主に見つけたと伝えておくんだ!」
旧鼠が命令すると周りにいた配下の鼠妖怪達は一斉にチビテラス達を運び連れて行った。周りに誰もいなくなった後旧鼠は喜びと欲望を抑えきれずに高笑いをするのであった。