ぬらりひょんの孫ー陰陽物語   作:ヤマタノオロチ

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鬼棲む山に紅き梅は咲く

東北・十六夜の祠ーーー

 

 

 

 

 

「奴良組だと・・・?」

 

「はい。関東任侠妖怪総元締の極道一家で、奴らのために失敗してしまいました」

 

 

奴良組との抗争から逃亡した女郎蜘蛛達は東北へ向かい、ヤマタノオロチが新たに根城にしている『新・十六夜の祠』に帰還して事の成り行きをヤマタノオロチに報告していた。

その左右一歩前にはオロチを守るように赤カブトと蛟がいた。

 

 

「ぎゃははは!女郎蜘蛛姉さんにしては随分とアッサリ尻尾を巻いて逃げたもんだな~~~?」

 

「・・・・・何か考えがあったからか、女郎蜘蛛?」

 

 

刀を砥石で研ぎながら報告を聞いていた赤カブトは面白そうに笑い、蛟は冷静な目で女郎蜘蛛を見つめながら質問した。

 

 

「よく分かったね蛟。奴良組の三代目総大将・奴良リクオが少し面白い奴と思ってね♪」

 

「面白いだと?詳しく聞かせろ女郎蜘蛛」

 

「はいオロチ様。実は・・・・・」

 

 

女郎蜘蛛の話を聞いた後ヤマタノオロチは三人を下がらせて、静かになった広間で薄く笑い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴良組本家ーーー

 

 

 

「大丈夫ですか、リクオ様?」

 

「う~~~頭が痛い・・・」

 

 

昨日の出入りの後、リクオは風邪をひいてしまって今日学校を休んでいた。

チビテラスはリクオの看病をするため、一緒に学校を休んでいる。

 

 

「まだ少し熱がありますね。もうしばらく安静にしててくださいね」

 

 

体温計を見ながら毛倡妓がそう言った時、障子が開いて鴆が入ってきた。

 

 

「ホラよ。薬持ってきてやったぞ」

 

「ありがとうございます鴆様」

 

 

薬を渡した後、鴆はリクオを不満そうに見つめながら側にドカッと座った。

 

 

「情けねーのな昼のおめーはよ。ちょっと気負いすぎて発熱か」

 

「・・・・・鴆君に言われたくないよ」

 

「今はおめーの方が重病だろーが。テラ様を助け出したんだからって、そんくらいさっさと治せよなーーーまったくよ」

 

 

長く説教が続きそうな感じだったので、チビテラスと毛倡妓が止めにかかった。

 

 

「鴆様!リクオ様はまだ安静にしておかないといけない状態なのです。説教はまた今度にしてくれないでしょうか?」

 

「そうですよ。それにあなたこそ寝てなくていーんですか?」

 

「チッ、家が修理中で渡り鳥なのよ」

 

 

立ち上がって壁にかけてある時計の時間を見て鴆は会議が行われる部屋に行こうとした。それと同時に雪女が慌ただしく帰ってきて鴆を思いっきり突き飛ばした。

 

 

「若ーーー、すみません!!側近なのに!!若が学校に来てないのを知らずに普通に登校してましたー!!この雪女、いかなる罰も・・・」

 

 

鴆を突き飛ばした事に気がつかないまま、雪女はリクオの手を握った。

それを見たチビテラスは一瞬不機嫌な顔をしたが、リクオの熱で悲鳴を上げた雪女の声を聞いていつもと同じ優しい顔になって毛倡妓と一緒に雪女の世話もした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総会場所・広間ーーー

 

 

 

 

 

上座にぬらりひょんが中心となって右に鯉伴、左にアマテラス、後ろにカラス天狗が座っていて、下座では左右に奴良組最高幹部達が並んで座っていた。

 

 

「“回状を廻せ”という指示は・・・破門した組の者が言っても何の意味もない。おそらく旧鼠は誰かに飼われていたんでしょうな。アマテラス殿、あなたは黒幕が誰か知っておりますか?」

 

 

木魚達磨に言われてアマテラスは一旦目を閉じてゆっくりと開きながら言った。

 

 

「おそらく黒幕はヤマタノオロチに間違いないでしょう」

 

 

オロチと言う言葉を聞いて幹部達は騒ぎ出した。

ぬらりひょんはそれを静めながらアマテラスに理由を聞いた。

 

 

「あの戦いの時・・・女郎蜘蛛という妖怪がおりました。奴はオロチの部下であるので間違いないはずですが・・・」

 

「あの蜘蛛女か・・・あんな嫌な妖気放っていた妖怪は俺も初めて感じたぜ。けど何か浮かばない顔だなアマテラス」

 

「えぇ、少し不審に思うことがあるので・・・」

 

「不審じゃと?」

 

「今のオロチは東北を制圧中なので、関東に目をとどろかせることはできないはずです」

 

 

アマテラスの疑問に幹部達は頷く。そこに牛鬼組組長・牛鬼がゆっくりと語り出した。

 

 

「もしやオロチは最初から関東に手を出すつもりはなかったのでは?」

 

「どういう事だ牛鬼?」

 

「おそらく今回の件は旧鼠の独断だと思います自分にはオロチと言う強い妖怪がついている。奴良組を潰せるのは今しかないと思ったのでしょう」

 

「成程のぅ~。しかしリクオが妖怪の記憶を残るようになり、三代目を目指して修行中である時に厄介な奴が出しゃばってきたもんじゃ」

 

 

ぬらりひょんが困った顔をしながら溜息をつく。話を聞いていた幹部達はヒソヒソと近くにいた者と話し出した。

 

 

「けどそいつら・・・よく入ってこられたもんだな」

 

「誰かが招き入れたかもしれませんぞ」

 

「ぎゃははは、また来るようなことがあればその時に潰せばいいさ!」

 

 

様々な異論が響く中、ぬらりひょんは隣にいた木魚達磨に身を寄せて口元を扇で隠しながら小声で話し出した。

 

 

「いずれにせよリクオの三代目の件・・・早めたほうがいいな」

 

「はい総大将。組の立て直しと強化のためにも」

 

 

そして総会が終わって幹部達が帰っていく中でぬらりひょんは鯉伴、アマテラス、カラス天狗、牛鬼を残させた。

 

 

「総大将・・・私に何の用ですかな?」

 

「実はお前さんに頼みたいことがあるんじゃよ」

 

 

その場にいた者全員がぬらりひょんの頼みを聞いて苦笑しながら承諾した。

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