羽衣狐side
「ようやくついたか。随分と時間がかかってしまったのぅ・・・」
あの神社から京都までの道のりは大変だった。
いつもならもっと早く着けるはずだったが、今の妾は幼い少女じゃ。そのために体力があまりなく、所々休む必要があったからのう。
「フェフェフェ、まもなく家に着きますぞ羽衣狐様。そこでゆっくり休んでください」
部下の鏖地蔵は遠くに見える大きな屋敷を指さしながら言い、妾もそれを見て頷き、再び歩こうとした時に森の中から何やら心地よい気配を感じた。
「・・・・・これは、妾と同じ妖気?」
妙に思いながら森の中に入り、妖気がする方に向かうとそこには妾と同じ九本の尻尾があり、背中に異様な形をした剣を背負っており、狐の面をかぶっている巨大な狐が寝そべっておった。
「誰だ・・・我の眠りを邪魔する奴は?」
巨大な狐はゆっくり体を起して、赤く眼を光らせて警戒しながら妾を見つめてきおった。
こういう者にはなるべく優しい感じで話してみないといかんな。
「妾の名は羽衣狐。この京を支配する者よ」
「羽衣狐?聞いたことのない名前だ。やはりここは我のいた世界とは違うようだな」
違うじゃと?この妖怪は何を言っておるのだ。
「どういう意味かはさておき、そろそろお主が何者か教えてもらおうか」
「我か?我は妖魔王キュウビ。この世界とは違う世界よりやって来た大妖怪よ」
「ほう、異世界から来た妖怪とは興味深いのぅ。どうじゃ、妾の屋敷でもっと詳しく話してくれないか?ほれ、あそこに見える屋敷よ」
「ふん・・・あの人間臭い屋敷は貴様の物か。我は人間がキライだ。人間なんかと暮らす貴様の屋敷なんかに行きたくないわ」
ますます妾と似ている感じだ。妖気や姿だけでなく、心までもが妾とそっくりじゃ!
心のどこかで妾は嬉しく、心地よい気持ちになり、スカートから尻尾を出してキュウビの体や尻尾にゆっくり優しく巻きつかせ、顔を撫でながら言った。
「別に妾は人間と仲が良いわけではないぞ。今はあやつらが必要なだけで、用がすめば消すだけだから安心せい」
「・・・・・いいだろう。貴様を信じてみるとしよう。それに我もいいかげん草の上で寝るのが嫌になってきたところだ。案内しておくれ羽衣狐」
それを聞いて妾は笑った。今までとは違った・・・本当に嬉しい気持ちで笑った。
キュウビside
今日不思議な妖怪と出会った。その妖怪の名前は“羽衣狐”
我と同じ狐の妖怪で、体は小娘のくせに我と同等な妖気を感じる。今我は羽衣狐を乗せながら彼女の暮らす屋敷に向かっている。後ろからどこか気に食わない老人の妖怪が付いてきている。
屋敷の門に近づくと羽衣狐が話しかけてきた。
「ところでキュウビお主は人に化けることが出来ないのか?」
「いや、少し待っておれ」
羽衣狐を降ろしてその場で一回転した。もちろん姿は我のいた世界で化けていた尼僧の姿だ。
そして屋敷の扉を開けると中は緑色の毒の霧が一面に漂っていた。中に入るとこの屋敷の人間共が苦しそうに呻き声をあげていたり、気を失っておった。この毒の霧はあいつの仕業か・・・
「慌てる必要はないぞ羽衣狐。これは我の相棒の仕業だ」
羽衣狐にそう言って我は霧にむかって声を上げた。
「出てこいエキビョウ!我を忘れたとは言わせないぞ!!」
我の声に反応して毒の霧が目の前に集まっていき、そこに無数の刀と矢が刺さって、手に妖刀を持っている武者の姿をした妖怪が現れた。ただ少し変わったところは以前に比べて体が大きくなっていた。
「久しぶりだなエキビョウ」
「キュウビカ・・・オ主モココニイルトハ思ワナカッタ。デ?後ロノ奴ラハ何者ダ?」
「彼女は羽衣狐。この地の支配者で、我の妹だ。もう一匹はその部下だ」
これは先程我と羽衣狐の間で決めたことだ。
「エキビョウとか申したのう。妾はこの地にて姉上とともに世界を闇で覆い付くす。お主もそれに手を貸してくれぬか?」
「キュウビハ俺ノ相棒・・・ヨカロウ貴殿二力ヲ貸スゾ」
「フフフ、これからが楽しみよのぅ」
ここにおいて、妖魔・羽衣狐連合軍が誕生したのだった。