しばらくの間、大神の妖怪達の出番はないかも・・・
先陣の風、西の方より
捩目山の騒動から二日後、リクオは総会にて全員ではないが幹部達に認められて正式に三代目候補になった。その日の夜、本家では盛大な宴が行われた。妖怪達が騒いでいる中、リクオとチビテラスは途中で抜け出して庭に咲いてある桜の木の上に座り込んで夜空に輝いている月を眺めた。
「綺麗ですねリクオ様」
「ああ、そう言えば今日の総会に狒々の奴いなかったな」
「狒々様ですか?そう言われれば確かに・・・」
不安に思って考え込むチビテラスを見てリクオは彼女の頭を優しく撫でた。
「まぁ、あとで三羽鴉に様子を見に行くようにカラス天狗に頼んでおくからお前は心配するな」
微笑して言うリクオだったが、先程まで輝いていた月に黒い雲が覆いかぶさっている事に気が付くと再び不審に思うのであった。
同時刻・狒々の屋敷---
静かな屋敷の中で三人の者達が話し合っていた。
「大幹部とはいえこの程度か。弱体してるってのは本当みてぇだな」
「こりゃ一週間もかかんねーーーんじゃね?」
青年は薄く笑いながら手に持っていた紙を落とした。その紙には狒々の絵が描かれており、大きく✕印がしてあった。
そして紙は無残に切り裂かれた狒々の死体の上に落ちた。更に三人の近くには大量の死体が転がっていた。これら全て・・・狒々の部下の妖怪達だった。
「奴良組は今、もろい。“頭”を失えば、すぐに崩壊する」
「頭?」
「そうーーー奴良組総大将ぬらりひょんは、四国八十八鬼夜行が殺るよ」
ぬらりひょんの絵を持った青年が言う。彼の名は玉章・・・四国八十八鬼夜行の総大将である。玉章は二人を連れて狒々の屋敷を出ていった。
リクオの命により様子を見に行った三羽鴉が狒々の死を知るのは、それから数時間後であった。
狒々が殺された次の日、奴良組本家は慌ただしい雰囲気が漂っていた。
幹部はそわそわと警戒しながら出ていき、本家の妖怪達もおろおろと廊下を走っていた。
「ふん。なんだよこの騒ぎは・・・」
桜の木の上に座っている牛頭丸と馬頭丸がおろおろしている本家の妖怪達を見下ろしていた。
「こーいうナメた空気が嫌なんだよ本家はよーー」
「そーおー!?僕は好きだけどな。楽しい感じがしてさぁ!!」
「ったく、おめぇはよぉ。俺は大物の護衛しかやられねからな」
ポカッ
「痛い!何で殴るの?」
二人が話し合っている時、近くの廊下をぬらりひょんと鯉伴、カラス天狗が歩いていた。
「総大将と鯉伴様には特に強力な護衛をつけなくてはなりません」
「いらんいらん。うっとしい・・・」
「そうだぜカラス。俺達にそんなものはいらねぇよ」
「そうは言わずに!しかし青も黒も若とテラ様の方に行っとるしなぁ」
「ならば私が付きましょうか?」
誰を護衛にさせようか迷っていたカラス天狗の前にアマテラスが名乗り出た。いつもの和服姿ではなく、袖が銀色で薄赤色の洋服と白いスカートを着た姿だった。その姿はとても美しく、三人は呆然としていた。
「どうしたんだそれは?」
「若菜さんが私に着かせてくれたのです。たまには洋服という物もいいと・・・」
「そうだったのか。それならアマテラス殿にはわしの護衛をしてもらうかの」
「おい親父ずるいぞ!アマテラスにはおr「分かりました。ではぬらりひょんさん行きましょう」なっ・・・!」
驚く鯉伴を置き去りにしてぬらりひょんは高笑いしながらアマテラスと一緒に屋敷を出ていった。柱に頭をつけて落ち込む鯉伴をカラス天狗が必死に慰めた。
ちなみに鯉伴の護衛に牛頭丸と馬頭丸が選ばれたのは言うまでもない。
今回はちょっと短いです。
次回は戦闘シーンを入れ、リクオと玉章の出会いを書くつもりです。