浮世絵中学校ーーー
「あーー疲れた!随分長く語ってたね~~清継君」
「でも、それが清継君ではないですか」
「本当だね。日が長い季節でよかったよ」
怪奇探偵団の会議が終わって、リクオとチビテラス、カナ、氷麗、倉田という名の人間に化けた青田坊は一緒に帰り道を歩いていた。そして彼らから少し離れたところに毛倡妓、首無、河童の三人が護衛としてついていた。
「それにしても清継君の妖怪知識には参るよ・・・」
「けど、本当に勉強になるよ。知れば知るほど怖くなるけど、それが当たり前で魅力的・・・」
「(あれ?確かリクオ様が言うにはカナさんは妖怪嫌いだったはず・・・)」
カナが妖怪嫌いでなくなった理由は最近の事である。
学校にてカナを殺そうとした鏡の妖怪・雲外鏡を夜リクオが倒して、カナを助けたからである。さらに自分の事を知りたいと言うカナを怖がらせて近づけないようにするため、化け猫屋に連れて行って妖怪達と遊ばせたが逆効果になってしまい、このようになったのだ。
聞いていた話とは逆であることにチビテラスは不思議に思い、リクオは内心焦っていた。
「(マズいな~~テラには絶対にバレないようにしないと!!それにしても夜の僕はなんて馬鹿なんだーーー)」
心の中で叫んでいるリクオを雪女が冷たい吹雪を放ちながら背後から話しかけた。
「リクオ様・・・前から伺いたかったのですが、何があの晩、ございましたのでございましょうか?」
「な、何にもないよ氷麗」
「いいえ!乙女には分かるのです!あの女・・・家長カナ!先日から夜のリクオ様の事ばかり・・・あれは完全に夜のリクオ様に、“ホ”の字の~“レ”の字の~“タ”の字にございます!!」
いつの間にか氷麗の頭と両手にはホレタと書かれた旗が現れていた。
「えぇーーー!!何でそうなるのぉー!?」
「そうに決まっております!!さぁ~何したか白状してください!!テラ様に何も言われたくなければ!!」
「うぅ・・・」
二人がヒソヒソと話し合っているのをカナがジィーと見つめた。
「及川さん、家こっちなんだ・・・?」
「何にも知らないのね、家長さん」
女同士火花を散らしながら睨み合っている中で、テラだけは加わらずにただ不思議そうに見つめていた。それに気が付いたリクオはこっそり隣に近づいた。
「テラ・・・何も思わないの?」
「思うって、何がですか?」
「いや、その・・・昨日の事について」
頭をかきながら言うリクオを見てチビテラスはクスッと聞こえるか聞こえないくらいの声で笑い、笑顔になって言った。
「私は今、リクオ様がずっと私の事を見ていてくれるだけで、嬉しいのです」
まさに神の微笑みというくらいの笑顔にリクオは喜びと愛情が一変にあふれる気持ちになった。
ちょうどその時、二人の青年が話しかけた。
「リクオ君だよね?」
彼らは四国八十八鬼夜行の総大将・玉章と幹部の犬神であった。
「リクオ君・・・知り合い?」
「い、いや・・・」
カナの質問にリクオは否定しながらテラを自分の後ろに隠した。テラも隠れながら玉章の正体を探る。それを見て玉章は微笑しながら話す。
「いや・・・聞く必要はなかったか。こんなに似てるのだから・・・僕と君は。若く才能にあふれ、血を・・・継いでいる」
「(継いで・・・?!!そうか彼らはきっと妖怪!!)」
「だけど・・・君は最初から全てを掴んでいる。僕は、今から全てを掴む。僕もこの町でシノギをするから」
「え・・・?」
背を向けてそのまま話す。それと同時に木の葉が玉章の周りで舞った。
「まぁ見てて・・・僕の方がたくさん“畏”を集めて、大神を僕の物にするから」
「!!?」
そう言って玉章はカナに挨拶を済ませた犬神を連れて歩き出した。
「・・・・・」
「リクオ様・・・」
「・・・・・わ、若・・・」
「何で・・・何よ、アレ。今まであんなのいなかったのに・・・」
その場にいる全員が息をつめた。何故なら今までいなかったはずなのにいつの間にかいる七人。
突然の事に誰も気が付かなかった。
「着いたね・・・七人同行。いや、八十八鬼夜行の幹部達。やれるよ・・・僕らはこの地を奪い、大神を手に入れるから。昇って行くのは・・・僕らだよ」
玉章達が去った後、リクオは雪女と青田坊にカナを家に送るように命じて、自分はチビテラスの手を掴んで家に向かった。その表情はひどく焦っていて、それを見たチビテラスは悲しい気持であった。