「むっ・・・こ、凍り・・・・!?」
刀が凍っていることに驚いている玉章の隙をみて、チビテラスと氷麗はリクオを抱えて後ろに下がった。
「リクオ様!しっかりしてください!!」
「ワン!」
「・・・氷麗と・・・テラか?余計なことをするんじゃねぇよ。お前はテラを守っていろ」
氷麗を押しのけて、リクオは再び玉章に立ち向かう。
「ちょ、ちょっとリクオ様!?お下がりください。私がお守りしますから・・・ね?って嫌だ!目に何かされているじゃーないですか」
「のけ!下がってr「ワン!!」っ痛!!?」
そう言った瞬間、チビテラスが神器でリクオの頭を強く叩き、氷麗の怒号が響いた。
「何カッコつけてるのーーー!あなたは私やテラ様が助けなかったらやられていたの!!勝手に一人でつっこんでもーーー!!」
「えっ?」
あまりの激しさにリクオは何も言えず、チビテラスも普段見ない氷麗の怒りに呆気にとられていた。
説教をした後、氷麗は玉章に立ち向かう。止めようとするリクオだがチビテラスに羽織を強く銜えられていて動けない。
「分かってます隠神刑部狸!!刀だけの武器なら私に分があr「違う!!夜雀だ!!」えっ!?」
リクオの時と同じように気付いた時には夜雀は氷麗の真上にいて、翼を広げて羽を散らかせた。羽が目に入らぬよう氷麗は両手で顔を隠すが風で吹き飛ばされてしまった。
「う、うぅ・・・」
「氷麗・・・大丈夫か?」
氷麗の目はリクオと同じで見えなくなっていた。それを見て玉章は鼻で笑いながら夜雀に近寄る。
「フフフ・・・夜雀。お前は本当に役に立つ女だ。だが・・・勘違いするなよ。お前はあくまで僕の下僕なんだ・・・。さぁ側近としての違いを見せろ!その役立たずを始末しろ!!」
命令を受けて夜雀は薙刀を持って近づこうとした。
「ワン!」
「!?」
その時目の前にチビテラスが現れて神器を振りかざした。上から来る神器を夜雀は薙刀で防ぎ、そのまま押し合う形なる。
「(何故だ!?さっき夜雀の羽はそこら中に散って、周りにいた者ほとんどが目が見えなくなった。仮にその時奴が防いだとしても今は防ぐことはできないはず。一体どうやって・・・)」
チビテラスの目が無事であることに玉章は疑問に思った。そして戦いの最中に舞った夜雀の羽がチビテラスに近づいた瞬間、羽が塵となって消えたのに気がついた。
「(そういえば大神は太陽神であると聞いたことがある。そのために夜雀の羽は効かないというのか!?)それならば・・・」
ザシュッ!!
「!キャン」
動けずにいたチビテラスに向けて玉章は刀で斬ろうとした。いち早く気がついたが体を少し斬られてしまった。
「君には消えてもらうよ。今後のためにね(ニヤッ)」
冷たい目で見つめながら玉章は夜雀と共に襲いかかった。いかにチビテラスでも彼らが相手では避けるのが精一杯だった。
『氷麗さん・・・。氷麗さん聞こえますか?』
「え!?誰・・・」
『私ですチビテラスです!』
「え~~テラ様!?」
大きな声を出す氷麗にチビテラスは慌てて静かにするように言う。落ち着いたところでチビテラスは今の状況を伝える。
『今から一瞬だけ彼らの動きを止めます。そしたら氷麗さんは夜雀を倒してください』
「わ、私がですか・・・(汗)」
『もはや私が倒されるのも時間の問題です。あなただけにしか頼めないのです!!』
「・・・・・分かりました。お任せください」
そう言って氷麗は立ち上がる。それを見てチビテラスは筆業・光明を放った。本来なら空にしか書けない業だが、自分の神器に書くことで光だけを出すことが出来るのだ。
「うぐっ!」
眩しい光を受けて玉章と夜雀は手で顔を隠す。その時夜雀はすぐ後ろから感じる妖気に気が付き、振り向くと凄まじい冷気を纏わせている氷麗がいた。よく見ると左目が氷で覆われていた。
「闇に白く輝け!凍てつく風に畏れおののけ!!呪いの吹雪・風声鶴麗ーー!!」
ヒョオオオォォォォォ!!!
猛吹雪によって夜雀は氷漬けになった。
「わっわっ!やりましたリクオ様!!テラ様!!私やりましたよーーー!!」
「ワン!!」
喜び声を上げる氷麗をチビテラスは褒め称えるように吠える。夜雀が倒れたことで目は元に戻り、リクオは玉章を斬つける。
「・・・よくやってくれたぜ氷麗。さんざん人の側近を見下しやがって・・・玉章よ、てめぇの下僕の方が下じゃねぇか」
「・・・・・」
その頃、幹部同士の戦いも奴良組が圧勝していた。これで戦いは終わると思ったが・・・
「どいつもこいつも・・・役に立たない奴らだね。ま、関係ないけどさ・・・」
白く長い髪の毛で玉章は刀を抜いて周りにいた味方を斬りだした。そしてさらに髪を長く伸ばして刀を振り回し、敵味方関係なく次々に妖怪達を切り刻んだ。
「何しているんだあいつは!?」
「・・・味方を斬っているのか!?」
目の前の光景を見て幹部達は驚く。そこへ四国の幹部・針女が止めようと駆け出した。
「お止め下さい玉章様!!仲間になにを・・・」
「危ねぇ!!」
玉章の刀が針女を斬ろうとしたがビルの上で見守っていた鯉伴が素早く彼女を助けた。
「ふぅ~危機一髪だったな」
「あ、あんたは・・・?」
「うん?俺の名は奴良鯉伴。奴良組二代目総大将さ。それより・・・何だい、あの刀?」
「・・・あれは四国に伝わる神宝・魔王の小槌。天下を取れると言われた刀で玉章はあの刀を手にして変わったんだ・・・」
「何・・・?」
抱えていた針女を安全な所に下ろしながら鯉伴は再び戦場を見る。
周りにいた妖怪達を一掃した玉章からは今まで以上に強大な妖気が放たれていた。
「待てそこの妖怪!!人を害する事はこの私が許さんで!!貪狼!!禄存!!いくで・・・全式神出動やーーー!!」
周りにいた人間達が玉章を見て騒いでいる中、目の前に現れたゆらが玉章に向けて式神を出そうとした。だが玉章が刀を一振りしただけで全ての式神が消し去った。
「何のつもりだ?ん・・・?」
玉章はそのまま刀をゆらの口の中に突っ込んだがリクオが素早く刀で玉章の顔を斬りつける。それによって玉章の仮面の一部が欠けた。リクオはゆらに人間達を守るように言って玉章と対峙する。
「玉章・・・それがてめぇの百鬼夜行ってのかい」
「そうだよリクオ君。素敵だろう?僕の百鬼夜行は・・・」
「魑魅魍魎の主は・・・躯を背負う輩の事じゃねーんだよ!」
リクオの刀と玉章の刀が交わる。しかし玉章の力の方が強くリクオは後ろに飛ばされたが、咄嗟に鯉伴が走り出して抱きとめた。
「おっとと・・・」
「・・・・・親父?」
「俺がいてよかったなリクオ。まだいけるかい?」
「はっ!大将は体を張ってこそだろ!!」
リクオはすぐに鯉伴から離れて刀を構えなおして玉章に突っ込む。しかしそのたびに玉章に殴られたり斬られたりした。氷麗やチビテラス達は悲痛を上げて悔しがる。
その時空が明るくなってリクオの体から煙が出て人間の姿に戻り始めた。
「この街に来て一瞬間・・・この玉章の“畏れ”が奴良組総大将の畏れを凌駕したのだ!!」
「「「「「リクオ様から離れろぉお~~~!!」」」」」
首無を先頭に側近達がそれぞれ攻撃してきた。しかし玉章の刀の一振りにより全員振り払われた。
「何故・・・・・貴様達はこんな弱い奴についていく・・・?」
「ああ?当たり前だろ」
玉章の言葉を聞いて全員が睨みつけながら答える。
「玉章・・・てめぇの言うその“畏れ”・・・俺達はテメェのどこに感じろってんだ?てめーは刀におどらされているだけで、てめー自身は・・・器じゃねーんだよ」
「・・・・・っ!」
「僕がおじーちゃんに感じた怖さとは違う。強くて、カッコよくて、でもどこか憎めない。だから皆ついていくーーー“あこがれ”なんだよ。畏れってのは」
「(リクオ様・・・?)」
「(今の状態は・・・昼と夜が混ざっている状態・・・?)」
リクオの言動に側近達やチビテラスは驚く。
「そんなじーちゃんが作ったこの奴良組・・・。カラス天狗がいて、お父さんやテラ、牛鬼が、皆がいるこの組を守りたいんだ。僕は気付いた。それが百鬼夜行を背負うということだ!!仲間をおろそかにする奴の畏れなんて・・・誰もついていきゃしねーんだよ!!」
「黙れ!!」
玉章がリクオ目掛けて刀を振り下ろし、リクオを真っ二つにするが斬られても倒れずにいて姿が揺らめいているだけだった。
「(何だ!?今確かに斬った・・・はず?だが手ごたえがない。“畏れ”の発動か・・・?いや・・・違う。姿は見えるぞ!?何だ、今のはーー!?)」
突然リクオが玉章の頭上に現れて刀を振り下ろした。