もう予想ついている人もいるでしょうけど、楽しみに待っていてください。
感想待っています!!
しばらくして夕日が消えて辺りは闇に染まった。眠りから覚めた舌切りジジは夕食の支度をしている舌切りババに話しかけた。
「ばあさん。影犬の奴いつ来るんだ?」
「もうじき来るはずじゃよ。なにせこの籠に入っている大事な妹のためなんじゃからのぉ~イ~ッヒッヒッヒ!!」
そう言って舌切りババは背負っている籠を見る。その籠は時々動いて蓋を開けようと頑張っているような感じである。しかし蓋はしっかり固定しているので開かなかった。
「その犬っころはまだしぶとく生きているみたいじゃな」
「ヒッヒ~だけどそれも時間の問題だよ。今夜は月の光が現れないから力を抑えられて嬉しぃわい♪」
「まったくだ。金は手に入って美味いごちそうにもありつけられる・・・こんな幸せなことはないわ~♪」
どうやら二人はもとより約束を守るつもりはないようだ。二人が高い声で笑い合っていると・・・
「おい出てこい!!影犬だ!!約束の金を持ってきたぞ!!」
外から紅蓮の声が響いた。聞いた二人は嬉しそうに顔を見合わせながら家から出た。
「待っていたよ。約束通りの金額だろうね」
「この袋の中に入っている。自分達の目で確かめな」
持っていた重そうな袋を紅蓮は舌切りジジとババの少し目の前に投げ落とした。二人はゆっくり袋に近づいて中身を空ける。だが入っていたのは金ではなく、ただの石ころだった。
「な、何だこれは!?」
「ふざけた真似を!!妹の命は貰ったからね!!」
怒鳴り声を上げて舌切りババは籠を下ろして持っていた包丁で突き刺そうとした。その時井戸の方に隠れていたリクオ達が首無の紐を投げて籠に巻き付かせるともの凄い速さで引っ張った。
「あぁ、おい!」
「こ、こらっ!返せ!!」
二人が追いかけようとした時、曇っていた空が突然晴れて月の光が降り注いだ。アマテラスとチビテラスが筆業・月光を使ったからだ。
そのため妖気を抑えることができなくなった二人は本来の姿である鳥天狗になった。
「お母様あの妖怪は」
「鳥天狗と言って空を結構な速さで飛んであの長刀で攻撃してくるから気を付けて」
「鳥天狗・・・」
リクオは自分の知っているカラス天狗と比較する。
長い体、素早い速さで空を飛ぶ、長刀を使う。
「なんか・・・アイツらの方が立派だな・・・」
「確かにそうですね・・・」
「リクオ様、テラ様・・・(汗)」
「それは少しカラス天狗様に失礼だと思いますが・・・(汗)」
リクオの言葉に氷麗と首無は苦笑いしながら言う。しかし本人達も同様なことを思っていたのは余談である・・・
「オノレ~~許サンゾーー!!」
「オ前ラ全員殺ス。・・・・・殺シテ喰ウ!!」
二体の鳥天狗は空に飛び上がって紅蓮とリクオ達の二手に別れて向かって来た。
スパッ
「うおぉぉ!?」
「くっ!」
「「きゃああ!」」
「くそぉ!!」
悲鳴を上げながらリクオ達は刀の斬撃を避ける。しかし鳥天狗達は執拗に斬りつけてくる。
「危ねぇなあの刀!!」
「結構厄介ですね」
「しかも空高く飛んでいるから攻撃が当てにくいです」
「どうしますかリクオ様!?」
上からリクオ、チビテラス、氷麗、首無が身を隠しながら言う。
「近づいてきたら一閃で奴らの羽を切り落とせるけど・・・さすがにあの速さでは筆業を使う隙がないわ」
戦いの経験があるアマテラスさえも苦戦していた。そこへ紅蓮がアマテラスに近づいた。
「俺が奴らの攻撃を防いで動きを止める。その間に羽を切り落としてくれ」
「えっ!?ダメよそんな!!そんなことをしたらあなたが・・・」
あの斬撃の凄まじさをアマテラスは知っている。故に紅蓮の身を思って却下しようとする。
「安心してくれ。俺のこの爪にあることをすれば確実に止められる。それじゃ頼んだぞ!」
紅蓮はリクオ達から離れて広い場所に現れる。それを見て鳥天狗達はもの凄い速さで斬りかかってくる。リクオ達が助けようとした時、紅蓮の影から黒い妖気が出て紅蓮の爪に纏わりつくと先程より大きく鋭く長い爪になった。
ガッキイィィィン
「「ナ、ナニィーー!!?」」
攻撃を受け止められたことに鳥天狗達は驚愕のあまり動きを止めてしまった。
「今だーーー!!」
紅蓮が大声で合図をする。その瞬間、アマテラスとチビテラスが同時に筆業・一閃で羽を切り落とした。羽を切られたことにより鳥天狗達は地面に落ちた。リクオは刀を抜きながら氷麗と首無に命じる。
「氷麗は氷、首無は紐で奴らの動きを封じろ。その隙をついて俺が倒す」
「「はい!!」」
氷麗と首無はまだ体勢を立て直していない鳥天狗達に向けて吹雪と紐を放つ。
彼らは避けることができず、凍りつき、縛られて動けなくなった。
「止めだ!!」
その瞬間リクオは、凍りつけになっている方の鳥天狗に向かって駆け出し、刀を横に構えて斬りつけた。
「―――――!!?」
凍りつけ状態なので悲鳴を上げることもできないまま、鳥天狗は倒れて消滅した。
「ひ、ひぃぃぃぃーー!!」
「なっ、しまっ!?」
仲間を倒されたことに戦意を失ったもう一体は必死に暴れて紐を解くと森に向かって逃走しようとするが・・・
「逃がすと思っているのか」
「!?」
目の前に爪をクロスさせて立っている紅蓮がいた。しかし鳥天狗は走るスピードを落とさずに長刀を抜いて紅蓮を斬ろうとする。
「今までコケにしてきた分・・・全部返してやる!!」
そう言って紅蓮は双爪にさらに大量の妖気を纏わせて強化する。
「奥義・黒影爪斬衝(こくえいそうざんしょう)!!」
限界まで強化した爪をクロスしたまま鳥天狗に向けて放つ。すると妖気でできた爪が鋭い刃となって鳥天狗を☓印の形で切り裂いた。
「ぎゃああぁぁぁーーー!!」
悲鳴を上げながら残った鳥天狗も消滅した。全てが終わった後、紅蓮は急いで舌切りババの持っていた籠を開ける。中には紅蓮と同じ黒色の犬がいた。
「焔!!しっかりしろ焔!!」
紅蓮は名前を呼びながら必死に体を揺する。リクオ達も集まって心配しながら見つめる。すると焔はゆっくりと目を開けて周りを見渡す。
「うっ、んん・・・お兄様・・・?」
「気が付いたか焔」
「っ・・・お兄様!!」
優しく言う紅蓮に焔は涙を流しながら抱きしめた。今まで溜めていた涙を全て流し終えた焔を紅蓮は籠から出すとリクオに向かって頭を下げた。
「ありがとうリクオ。お前の助けがなかったら焔を救出することはできなかった」
「別に気にするなよ紅蓮。それよりこれからどうする?」
リクオの問いに紅蓮は黙る。今まで焔を助けることしか頭になかったので考えていなかったであろう。ムズカシイ顔になりつつあった。
「行く果てがないなら奴良組に来ないか?」
「なにっ!?」
「勿論妹も一緒に暮らしていいぜ。そのかわり俺と盃を交わしてもらうけどな」
そう簡単に答えは出ないとリクオは思っていた。だが、紅蓮はすぐに答えた。
「分かった。ここまで協力してくれたし、俺達にはもう帰る所もない。お前の部下にさせてくれ。お前もそれでいいだろ焔?」
「はい!お兄様」
こうして影犬・紅蓮はリクオと盃を交わしてリクオの百鬼夜行の一員となった。