そして今回アマテラスに悲劇が!?
二人の正義
影犬・紅蓮がリクオの仲間となってから少し経った後、次に顔を護符で覆い隠した妖怪・邪魅とも盃を交わした。それからさらに時が過ぎて夏休みになって一週間経ったある日、リクオ達清十字団は清継君の命令(?)で行方不明のゆらを探していた。東側は清継と島、南側は巻と鳥居とカナ、西側はチビテラスと氷麗と駿、北側はリクオである。
「何処にもいませんねあの陰陽師娘・・・」
「・・・・・そうですね」
「ボソッ(あの・・・もしかしてチビテラス様・・・怒っていますか?)」
雪女が小さい声でおそるおそる聞いてくる。
「いえ、私は怒ってなんかいませんよ氷麗さん(ニコッ)」
笑顔で答えるチビテラスに氷麗は震えた。
「そ、そうですか~~アッハハハ・・・(もうリクオ様ったら、一人で陰陽師娘を探しに行っちゃって!そのせいでチビテラス様はとても不機嫌なんですよ~~!!)」
先程別れて探すことになった時、リクオと一緒に行こうとしたチビテラスだったがリクオがゆらを心配するあまり走って行ってしまったので、一緒に行くことができなかったのだ。
「(多分リクオ様は友達だからゆらさんのことを心配しているんでしょうけど・・・流石に今回はじっくり話さないといけませんね)」
心の中で黒い決意をするチビテラス。それを見て氷麗はさらに震えだし、途中から見た駿も少し震えだした。その時、携帯が鳴って画面を見てみるとカナからメールが送られていた。内容は日が暮れてきたので巻達と一緒に先に帰っていると書かれていた。
チビテラスが返事を送って携帯をポケットにいれた時、少し離れた所から複数の妖気を感じた。
「(これはリクオ様とゆらさんと同じ気が二つ!?)もしかして・・・」
「あぁ、テラ様お待ち下さいー!!」
「え、大神さん!及川さん!待って!!」
突然走り出すチビテラスの後を氷麗が追いかける。さらにその後を駿が追いかけるのであった。
廃墟―――
「やれ・・・魔魅流。さっさと始末しろ」
ゆらの兄・花開院竜二が命令すると彼の側にいた魔魅流が一直線にリクオに向かって行く。
「奴良君―――!!」
「闇に・・・滅せよ」
魔魅流の手がリクオに触れようとした寸前、どこからか出現した紐が魔魅流の手を止めた。
「はいーーーそこまでだ。その手を引っ込めるんだ浮き世の人よ。でなきゃただでは済まないよ」
魔魅流の手を止めながら首無が言う。それを見て竜二は面白そうに笑いながら加勢しようと術を放とうとした時、別の声が飛んだ。
「牛鬼様、あれは何ですか?」
「あれは陰陽師という妖怪から人を守る役目を負った能力者だ。よーく知っておけ」
「はーい!」
「強いんですかねアイツら?」
「牛頭丸・・・その爪をしまえ」
「おいおいこっちもかよ・・・!」
牛鬼達に気を取られていた陰陽師達だったが一斉に気が付く。いつの間にか自分達の周りが強大な妖気に囲まれていることに・・・。
そして妖気で発生した煙が晴れると周りには多数の奴良組の妖怪に大神姿のアマテラスもいた。
「どうなってやがる・・・?でたらめな数じゃねぇか!?」
「お兄ちゃんコレ・・・百鬼夜行や」
「百鬼夜行!?ふざけるなよ!だとすればこの中に・・・っ!?」
側近達とアマテラスがリクオを守るかのように囲んでいる。それを見て竜二が尋ねる。
「お前・・・何者だ!?」
「関東大妖怪任侠一家奴良組若頭・ぬらりひょんの孫―――奴良リクオ」
「ぬらりひょんの・・・孫!?」
竜二が驚きの声を上げる。そこへチビテラスと氷麗が走って来た。
「リクオ様!!」
「待ってくださいテラ様~~私そんなに早く走れ・・・うわああぁぁ!!」
必死に走っている氷麗だが、石につまづいて転んでしまう。首無が呆れながら起き上らせる。
「お、及川さん・・・?」
「・・・ん?ひぇっ!?陰陽師娘―!?なんでここに・・・?」
「(やたら奴良君に引っ付いていると思ったら・・・及川氷麗、妖怪やったんか!!それにテラさんも奴良君の正体を知っているなんて・・・ってそんなことより奴良君が『孫』ってことは・・・う、嘘やろ・・・あれがぬらりひょんやったのか~~!?)」
次々と明らかになる真実と前に一緒にお菓子を食べ合った事にゆらは頭を抱えながら驚愕する。その間チビテラスがリクオの側に寄る。
「大丈夫ですかリクオ様?」
「ああ、心配かけたな」
「いえ、あなた無事ならいいのですよ」
お互いに微笑しながら見つめ合う。
「っ!?」
その時、首無が手に持っていた紐に違和感を感じて見てみると紐が途中で焼き切れていた。魔魅流が電気で紐を焼き切り、リクオに向かっていた。
「妖怪ぬらりひょん・・・滅すべし」
リクオの顔に触れようと寸前に左右から黒田坊と青田坊が魔魅流を捕まえて抑えた。互いにギロリと睨み合う。特に青田坊は昨日やられたこともあるので凄まじい殺気だ。
「昨日の続き、ここでやろうか・・・?」
「うわぁ!!」
「「「「「「!!?」」」」」」
突然の声に全員が声のした方を向く。そこにはチビテラス達の後を追いかけていた駿がいた。彼は奴良組の妖怪達を見て少し離れた場所にある破片した壁の後ろに隠れて話を聞いていた。ところがもっとよく話を聞こうと前に出てしまったため、壁が崩れたことで倒れてしまったのだ。その場にいた誰もがただの人間の子と思っていたが、アマテラスだけは深刻な顔で見つめていた。
「駿君・・・?」
「ええ~~となんか深刻な話だったからさ・・・」
苦笑いしながら駿はゆっくり後ろへ下がって行く。
「ワン!」
「えっ?」
いつの間にか後ろにはアマテラスがいた。そして駿の腹に向かって頭突きをした。
ドンッ!!
「うわぁ!!」
衝撃のあまり駿はその場に尻餅をつく。アマテラスは駿の体を前足で押さえながら右手に顔を近づける。すると手のひらからボコッと皇が姿を現して・・・
キュイイイイイィィィ―――ン!!
強力な光線をアマテラスに放った。攻撃を受けたアマテラスはゆっくりその場に倒れる。
「お母様―――――!!!!」
『大神・・・消えた』
チビテラスの悲鳴が響く中、皇が小さく呟いた。